企画書はまず読みやすく書かれていることが重要なのですが、意外とそれが難しかったりします。今回より前後編に分けて、デザインの知識がなくてもできる綺麗な見せ方や、分かりやすく読ませるコツについてご紹介します。
せっかく書いた企画書がボツになった…
わーん、企画書を提出したら「よく分からない!」と言われてボツになっちゃったよ。
おぉ…。使われることを前提で書かれるプログラムに対して、ときに10書いて1つ実現するくらいの企画作業は、ボツになっても落ち込まない強い心持ちが必要なんだ。
そうなのか。とりあえず、どこが分からないかよく見てほしいんだけど。
どれどれ。こ、これは…!
そんなわけで、今回は分かりやすい企画書の書き方について前後編で紹介します。(企画書の書き方より内容に問題がある気もするけれど…)
(前回好評だった対談パートからのスタート。PVをもっと増やしたいという意志を強く感じますね)
1. 言いたいことは1ページに1つ!
全体が俯瞰できるほうが良いと思い、1つのページにできるだけ情報を詰め込んでしまった結果、逆に読みづらくなってしまった企画書をたまに見かけることがあります。特にプレゼンで使う場合、ページで言いたいことを1つにまとめるのが企画書の基本となります。
▲ 本連載の企画書の例
このように、このページで伝えたいことのタイトル、内容、補足といった形にフォーマットをそろえて書くと、今何について話しているのか分かりやすくなります。プレゼンツールについているテンプレートを利用するのも良いでしょう。
2. 分かりやすい構成
ページごとの配分が分かったら、概要から企画の詳細、最後にスケジュールや予算といったように、全体の流れを作ります。
例えば、次のような企画書の構成が考えられます。
この “与件の整理” ってなに?
「クライアントからのオーダーまとめ」みたいな感じかな。企画を始めるにあたってクライアントからのオーダーを噛み砕いて、企画の出発点がぶれていないことを確認するために入れることがあるんだ。他にも「市場の流れ」とか「利用する技術の概要」といったように、企画の内容に合わせて入ってくる要素は変わってきます。基本的に抽象的なところから具体的な方向へ内容が進むと思ってもらえれば良いかな。
なるほど。
3. 分かりやすいフォーマット
ページごとに思いつきでフォントサイズを変えたり、テキストの位置を変更すると読みづらくなります。なるべくフォーマットを統一しましょう。もちろんページごとの情報量や、写真や図表の有無によりフォーマットは変わっていくのですが、いくつかのパターンを決めておくと便利です。特に見出しの位置やフォントサイズを固定している方が、見るストレスが減り、内容に集中できます。企画書全体を通して統一感が出るよう、できるかぎり整理しましょう。
▲テキストを中心に構成されるページのフォーマット例
▲図表とテキストで構成されるページのフォーマット例
4. 分かりやすいフォント
サイズ以外にも、テキストのフォントをしっかりと決めましょう。Macであればヒラギノ、Windowsであればメイリオが早くにOSに搭載され馴染み深いかと思いますが、最近は他にも游ゴシックや筑紫A/B丸ゴシックなど、OSに付属で使えるフォントが増えてきました。
選ぶフォントによって文章の表情が変わったり、使える文字のウェイト(太さ)の種類が変わってくるので、読みやすく使いやすいフォントを選びましょう。
またフォントの中には解像度の低いディスプレイ向けに作られたMS Pゴシックや、企画書を一瞬にしてスーパーのチラシにしてしまう創角ポップ体など、取り扱いが難しいフォントがあるので注意が必要です。
▲最近は游ゴシックや筑紫A/B丸ゴシックなどが増えてきました
個人的にはOS付属ではありませんが、Googleが配布しているNoto Sans CJK JPは英語と日本語のバランスがよく、ウェイトの種類も充実しているので便利です。またMacのOS X El Capitan以降では、ヒラギノ角ゴシックはウェイトが10種類あり、こちらも便利です。
▲Noto Sans CJK JPはウェイトが7種類もあって便利
▲大きい文字を細く、小さい文字を太くするとインパクトを出しつつもバランスをとることができます
OS | フォント |
---|---|
Windows(Vista 以降) | メイリオ |
Windows(8.1 以降) | 游ゴシック |
Mac(OS X 以降) | ヒラギノ角ゴ |
Mac(OS X Mavericks 以降) | 游ゴシック |
Mac(OS X El Capitan 以降) | ヒラギノ角ゴシック(10 種類のウェイト)/ 筑紫A丸ゴシック / 筑紫B丸ゴシック |
オープンソース | Noto Sans CJK JP |
フォントはいろいろあって悩んでしまうね。
今回はゴシック体に限ったけれど、明朝体というのもある。
明朝体は習字っぽい字だよね。それは、どういう時に使うの?
ゴシック体にくらべて字が細くなるので、例えば小説のように文字が密集しているときは明朝体の方が読みやすい。ただ明朝体はプロジェクターで映すと若干読みづらい時がある。
なので読みやすさで選ぶというより、クライアントや企画の内容に合わせて、例えば歴史や和の雰囲気を感じさせたい時などに、タイトルや見出しに大きく使ったりすることがある感じかな。
ますます悩みが深まってきた。
とりあえず「MS Pゴシックを使うと、フォント警察が飛んでくるから要注意」とだけ覚えておけば大丈夫。
フォ、フォント警察…!
後編に続きます!
⇒ エンジニアのための企画書講座シリーズ一覧はこちら!
瀬尾 浩二郎(セオ商事)
大手SIerを経て、2005年に面白法人カヤック入社。Webやモバイルアプリの制作を主に、エンジニア、クリエイティブディレクターとして勤務。自社サービスから、クライアントワークとしてGoogleをはじめ様々な企業のキャンペーンや、サービスの企画制作を担当。
2014年4月よりセオ商事として独立。「企画とエンジニアリングの総合商社」をモットーに、ひねりの効いた企画制作からUI設計、開発までを担当しています。
Twitter: @theodoorjp
ホームページ: http://theodoor.jp/
※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。