プログラムも、企画書も書いてみよう──エンジニアのための企画書講座vol.1

新しい技術の登場により、様々なサービスやプロダクトが生まれています。
その中で、思いついたアイデアを伝えるために、企画書を書けることはとても役に立ちます。この連載では、エンジニアとして企画を学んでいった筆者の経験を踏まえ、企画書を書く上で役に立つ実践的な方法をご紹介します。

1. はじめに

はじめまして、セオ商事の瀬尾と申します。

普段はエンジニアをしながら、Webサービスの企画やUI/UXデザインの設計、そしてセオショージというペンネームで「はしれ!コード学園」という漫画のシナリオを書いています。

ところで、これを読まれている皆さんは、普段企画書を書かれているでしょうか?

「ベンチャー起業でサービスの企画書を書いている」という方から「担当している案件で、企画書のシステム構成を書いている」という方まで、エンジニアといえども企画書に向き合う機会は度々あるかと思います。もちろん「企画書なんか必要ない。思いついたら作るまでだ!」という方もいるでしょう。

最近の世の流れに視点を移してみると、WebやITを中心とした技術により、様々な新しいサービスやプロダクトが生まれています。高度な専門知識と技術が必要とされる中で、エンジニア職、企画職という区分けでものづくりをしていくのが、大分難しくなってきています。

そのような状況において、エンジニアが企画書を書くスキルを身に付けるのは、これからのものづくりにおいて、とても良いことだと言えるでしょう。

私も開発を専門に行っていたのですが、ある時から企画書を書くようになり、最近では企画とエンジニアリング両方を担当する形で、さまざまなプロジェクトのお手伝いをさせていただいています。

偏った内容があるかもしれませんが、この連載では私の体験をもとに、なるべく実践的な「エンジニアが企画を書くのに役立つこと」を紹介させていただく予定です。この連載で、一人でも多くの方が「企画書を書いてみよう」と思っていただけると幸いです。

またこの連載の内容、実は前職でディレクター向けに行った企画書講座をベースにしています。なのでエンジニア以外でも、デザイナーであったり、企画書作りに苦手意識を持たれているディレクターの方にも、ぜひ読んでいただけるとうれしいです。

どうぞ、よろしくお願いいたします。

▼企画と開発を行った最近の事例

Newton: Interstellar WatchFace:相対性理論をベースにウラシマ効果を表現するというAndroid Wear Watch Faceです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

2. どのような時に企画書が必要?

さて、広く企画書といってもいろいろなものがあります。実際私も様々な企画書を書いてきました。

  • 現在運用しているサービスに追加する新機能の企画書
  • 新しいサービスやプロダクトの企画書
  • 広告キャンペーンでつくられるキャンペーンサイトや仕掛けの企画書

規模も1~2ページのシンプルなものから、大きなプロジェクトで複数人と手分けして100ページをゆうに超えるものまで書いてきました。

基本的に思いついたアイデアを、自分で手を動かして形にする場合は、企画書を書かなくてもよいと考えています。しかし、他の人と一緒に仕事をしたり、会社に予算を出してもらうときなど、誰かにアイデアを説明しないといけないときには、企画書が必要となってきます。

どのような規模でも、企画書というのはやりたいことを人に伝えるためのツールという点については変わらないと捉えています。

また企画書を書くということは、自分が何をしたいのか、何を提案したいのかを整理することにつながっていきます。なので、自分一人でつくる個人的なプロジェクトも、最近は企画書を書いています。

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3. 企画職 ≠ ディレクター?

たまに企画職、開発職というカテゴリでざっくりと分けられることがあるのですが、企画書づくりは、一般的なディレクターの持つ数ある職能のほんの一部であったりします。「必ずしもすべてのエンジニアが、サーバの管理をするわけではない」という感覚が近いでしょうか。

フルスタックエンジニアという言葉もありますが、エンジニアと同じく、すべての職能を担当できるディレクターもごく一部の人に限られていたりもします。参考までに自分が思いつくディレクターの職能を書き出してみましょう。

  • 営業
  • 企画
  • サービス設計
  • コピーライティング
  • UI / UX設計
  • 開発進行
  • スタッフィング
  • サービス運営
  • ユーザテスト
  • 売り上げ管理

そう、思いの外あるのです。これだけあると企画はディレクターの持つ職能のごく一部のような気もしてきます(企画が苦手なディレクターの方も、もちろんいます)。最終的に企画を実行に移すのには、コスト意識や、プロジェクトを実現させるための様々な能力や知識が必要となってきます。

ただエンジニアを行いながら、このすべてを身につけていくのはなかなか大変なことです。企画を行うのに、決してディレクターの仕事をすべてできる必要はないです。

私の場合、開発進行やマネージメントが得意なディレクターと一緒に、プロジェクトで企画と開発を担当するところから、企画書を書くことを覚えていきました。

まずは良く仕事をするディレクターに「こんな企画を考えたんだけれど」と、書いてみた企画書を見せてみることから始めてみることをオススメします。

次回より、企画書作りにまつわるトピックを決めて、毎回その話を紹介したいと思います。

おまけ:企画書を書きはじめたきっかけ


もう少し、本音の話を聞きたいワン


連載の原稿、どんな人格で書こうかと悩んでいたから、こういう風に本音で説明できるパートがあると助かります(犬、犬がしゃべった!)


(二重人格?)


(君のパートも全部一人で書いているんだけどね)


ところで、企画書を書くきっかけってなんだったの?


エンジニアとして、もっと企画にコミットしたいと感じていた時に、ある案件で、エンジニアの人が企画書をプレゼンしているのを見て、自分もやってみようと思ったのがきっかけかな。


なるほど!とはいえ、いきなり企画書を書き始めるといっても、具体的にどういうふうに勉強したの?やっぱりGitHubとかにアップされているオープンソースの企画書を読むところから始めるのかな。


本を読んだり、一緒に仕事をした人たちのやり方から学んだのが大きいかな。企画書は一般に公開されることがほとんどないから、なかなか世の中の一般的な形が見えづらいんだよね。

プログラム以上に人それぞれのスタイルがあって、正解がないのが企画書づくりの面白さとも思っています。なので当時、いろいろな人に教えてもらったことには、今でも感謝しています。この連載では、そのようにして得たノウハウを書いていければと!


次回も読んでね!

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イラスト : Shiori Clark

瀬尾 浩二郎(セオ商事)

大手SIerを経て、2005年に面白法人カヤック入社。Webやモバイルアプリの制作を主に、エンジニア、クリエイティブディレクターとして勤務。自社サービスから、クライアントワークとしてGoogleをはじめ様々な企業のキャンペーンや、サービスの企画制作を担当。
2014年4月よりセオ商事として独立。「企画とエンジニアリングの総合商社」をモットーに、ひねりの効いた企画制作からUI設計、開発までを担当しています。
Twitter: @theodoorjp
ホームページ: http://theodoor.jp/

※本記事は「CodeIQ MAGAZINE」掲載の記事を転載しております。

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