「がんばって」は英語では何と言う?ビジネスでよく使う表現6選

夏目漱石が英語教師をしていたとき、”I love you”を「我、君を愛す」と訳した生徒に対し、「日本人はそんなことは言わない。『月が綺麗ですね』とでも書いておきなさい」と言ったという有名なエピソードがあります。(今でこそ「愛してる」という表現は日本でも市民権を得ていますが)

このように、たとえ直訳できてもその文化的背景の違いから全く違う意味に捉えられたり、場合によっては無礼にあたることもあります。特にビジネスシーンでは無礼のないようにしたいものですよね。

そんな英語に直訳すると勘違いされてしまうフレーズや、英語には存在しない日本語独自の表現の、ネイティブ風な言い回しをご紹介します。

1.「お疲れさまです」

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社内の同僚に向けて毎日のように使うフレーズの代表格が「お疲れさまです」でしょう。同僚の労をねぎらう日本ならではのフレーズですが、このような文化は英語圏にはなく、直訳して”You must be tired(「お疲れでしょう」とも解釈できる)”と言われると「そんな心配されるようなことをしたかな?」と思われてしまいます。

そもそも「お疲れさまです」は、誰かが出社・帰社・退社するときの挨拶として言う場合と、労をねぎらう場合の2つがあります。

まず挨拶の場合は単純に”How are you?” ”Hey, how’s everything?” “How’s it going?”など、一般的な挨拶の言葉で充分です。こういった一般的な英語の挨拶にはすでに「調子はどうですか?」という意味があり、「あなたがいつでも元気であることを願っていますよ」という想いが含まれているため、あなたの配慮が充分に伝わります。

一方、何らかの仕事やプロジェクトを終えた人の労をねぎらう場合は、相手がさぞ疲れているだろうという配慮ではなく、”Great job!” “Nice work!”など、その人の仕事や努力を評価するような言い回しが一般的です。

もしどうしても相手の苦労を汲んであげたい場合は、”That was tough(今回は大変だったね)”や”Finally!(やっと終わったね!)”というふうにいうこともありますが、これは言い方を少し間違えると「本来はもっと簡単な仕事だったはずなのに、あなたが手こずったせいで・・・」という皮肉に聞こえることもあるので注意しましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

2.「お世話になっております」

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「お世話になっております」は、ビジネスシーンでは日常的に使われる便利な日本語です。ただこのようなフレーズは英語にはなく、”~ has been good to me(いつもよくしてくれている)”または”~ takes care of me(面倒をみてくれている)”などの似たフレーズはありますが、これらは恋人や家族のようにかなり近しい仲でしか使いません。

メールの冒頭で相手に対して何らかの挨拶を入れたい場合は、”I hope you are well(直訳=お元気であることを願っています)”と書きましょう。英語圏では相手の調子や近況を聞くことがマナーとされているので、日本のように「相手に手間を取らせていないか」と迷惑の先読みをする必要はありません。

また日本でははじめて電話する相手に対しても「お世話になっております」ということがありますが、英語の場合は「◯◯と申しますが(担当者)にお繋ぎいただけますか?」と、余計な挨拶をいれず単刀直入に言いましょう。英語圏では相手の時間を無駄にしないことがマナーとされているということを覚えておきましょう。

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3.「よろしくお願いします」

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「よろしくお願いします」というフレーズもまた、どんな場面でも使いやすいフレーズですが、英語に直訳しようとすると”Please treat me well(どうか優しくしてください;どうぞお手柔らかに)”と、あたかも相手があなたのことを傷つけようとしているかのように聞こえてしまいます。

まず初対面時の挨拶として使う場合は、”Great to meet you(お会いできてうれしいです)”などの簡単な挨拶だけで充分です。

またメールの締めに何らかの挨拶を入れたい場合は”Please let me know if you have any questions(何かご不明な点がございましたらご連絡ください)”や”Thank you, and all the best(直訳=「ありがとうございました。あなたに幸あれ」)”などの定番フレーズでサラッと締めましょう。

4.「一応」

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日本語独特の曖昧な表現は、英語で表現する際にちょっとしたコツが必要です。例えば「一応受注しました」など、何か自分の思惑通りにいかなかったということを含ませる場合、英語では”Well, we closed the deal… but…(まぁ〜受注したけど・・・)”など、言い切らずに少し含みをもたせた間の取り方やトーンで表現します。このとき”deal”で音程を少し上げることで、そのあとにまだ何か言いたげな余韻を残すのがポイントです。

また「一応受注はしたけど・・・」のように「は」をいれることでさらに含みを持たせる場合は”Well, we DID close the deal… but…”と、”did”を入れることで「は」を入れるのと同じような含みを持たせることができます。

「一応」には「念のために」という意味もあります。そのニュアンスを表現する場合は”just in case”を文章の最後に加えましょう。”Could you ask for his phone number, just in case?(念のために彼の電話番号を聞いておいてもらえる?)”のように、知らない場所を初めて行く際には”just in case”でいろいろと確認しておきましょう。

5.「しっかり」

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「しっかり」はハッキリとした意思表示のため、一見英語で直訳できそうにも思えますが、「しっかりとした仕組み」と「しっかりと意見を述べる」ではその意味合いが若干違います。

仕組みやチーム体制、アイデアなどを形容する場合は”solid(固まった;堅実;揺るぎない)”や”structured(構造化された)”、または”carefully planned(緻密に計算された)”という表現を使いましょう。

例えば「すでにしっかりとしたチーム体制が整っています」という場合は、”There is a solid team structure already(チーム体制はすでに固まっている)”というふうに表現します。

対して「しっかりと意見を述べる」 という表現には、それが正しいことだという意味と同時に、少し強固な姿勢が含まれています。このどちらをより強調したかによって英語での表現法は変わってきます。

「正しく」という意味であれば”properly(適切に)”や”sufficiently(充分に)”という表現を使います。一方「強固な姿勢で」という意味であれば”firmly(堅く)”や”boldly(ハッキリと;図々しく)”という表現を使いましょう。

6.「がんばります」「がんばって」

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「がんばります」は”I’ll try my best”だとご存知の方もいるかと思います。ただ相手に対して「がんばって」という場合、”Try your best”と言ってしまうと「できるところまででいいよ。無理しなくていいよ」というふうに捉えられる可能性があります。

相手の能力を最大限に引き出そうと応援するのであれば「I know you can do it!(君ならできるよ!)」というふうに表現しましょう。

また「次こそはがんばります」などと意気込みを語る場合、”I’ll try my best next time(次はベストを尽くすよ)”というと「それじゃあこれまでは本気じゃなかったのか?!」と誤解されることもあるので”I’ll try harder next time(次はもっと努力します)”といえばあなたの意気込みが伝わります。

いかがでしたか?日本語と英語では表現法や単語が異なり、文化的背景も理解していないと誤解を生んでしまうということがおわかりいただけたかと思います。

ここで紹介したものはビジネスシーンですぐに使えるものばかりなので、しっかりと覚えて相手に誤解を与えない正しい言い回しを習得しましょう。

監修:ワンドロップス株式会社 代表取締役 村重 亮。防衛大学校・陸上自衛隊幹部候補生学校を経て渡米しゼロから英語を習得。その後4か国に駐在し、20か国以上と取引をした豊富なグローバルビジネス経験をもとに超実践英語道場 Spark Dojoを設立。 武道の「トレーニング」や「スパーリング」のような形式で日本人に圧倒的に足りない実績と経験値を補い、脳科学に基づいて日本人が世界で戦うために必要な自信・英語力・コミュニケーション力を鍛え上げる。

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