濡れ衣を着せられそうになったとき、自分を守るために身につけたいフレーズ5つ

「おい、ここに置いていた書類を知らないか?」
会社で同僚たちが騒いでいる。書類がなくなったらしい。
数秒後、同僚たちの視線が自分に集まる。

いや、オレ、知らないし。

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取引先の勘違いで会社に損害が出た。
「担当者の君にも落ち度があるよね?」

でも、勘違いしたのは取引先だし・・・。

「どうせ合コンなんでしょ?」
彼女からの誘いを断ったら、疑われた。
「いや、勉強会なんだけど」と伝えても、シラーッとした目で覗き込んでくる。

本当に違うのに・・・。

自分は悪くないのに、なぜか疑われてしまう。
いつも責められる。なんでオレだけ!?

そんな濡れ衣を着せられてばかりのアナタは、おそらく濡れ衣体質

マンガの小学校のシーンで「給食費を盗んだのは○○君です!」と指さされるシーンで、思いっきり「ワカル!」「お前じゃないのになぁ」と感情移入してしまう人は、濡れ衣体質の素質があります。要注意。

そんなアナタの未来を予見してみましょう。

昇進したアナタは、部下のミスを上司から追及されます。
「君の指導に責任があったんじゃないのか」

社内の派閥争いに巻き込まれ、かつての上司から責められます。
「お前、○○派に肩入れしてるみたいだな」

部下を指導すれば「パワハラされたって聞いてるぞ」

家庭にもひずみが生じ、妻とも離婚「あなたのせいだからね」

どうやら、こんな濡れ衣人生が待ちかまえているようです。

些細な濡れ衣ならまだしも、ひどい場合には、会社を解雇されたり、冤罪で捕まったりします。

そんな人生、イヤだ!

自分は悪くないはずなのに、つい濡れ衣を着せられてしまう。
そんな濡れ衣体質から抜け出し、自分をしっかり守るにはコツがあります。

「事実」と「評価」を分ける

なんか難しそうな話が来た!と戻るボタンを押そうとしたアナタ。
ここ、コース料理でいえばメインディッシュです。

仕事術や話し方について書かれたビジネス書では、よくこの話が出ます。

仕事の報告では、事実と意見・評価を区別したほうがいいと言われる。
取引先と揉めて怒られ、取引をキャンセルされたことを報告する場合、「先方はすごく怒っているのでもう取引は続けられません」と自分の意見を伝えるより、「先方がキャンセルしたいと言ってきました」「その際、先日のトラブルについて『○○』と言われました」という客観的な事実と、「怒っているようで、私としては取引を続けられないと思います」という意見や評価を区別したほうがいいのだ。
『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』より

物事には、順番があります。
ある「事実」があって、それを「評価」して自分の意見を加えるという順番です。

「事実」のステージ→「評価」のステージという順番です。

コース料理で「デザートを最初に持ってきてよ」と言い出したら、料理長は舌打ちするでしょう。

順番を守らないといけないのです。ここもそう。

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「評価」するには「事実」が先に必要です。

Amazonや食べログで「評価」するには、先に本を読んだり、店に行きますよね。

「読んだ」「食べた」という事実があって、評価するという順番です。

読んでも食べてもいないのに、星一つを付けるのは止めましょう。ホントに!

このように「事実」と「評価」の順番を守ってキッチリ区別できていると、相手に話が伝わりやすくなります。

メリットは、それだけではありません。
この区別をすることで、濡れ衣を着せられにくくなるのです。

濡れ衣を着せられるパターンで多いのは、
事実のステージが曖昧なままなのに、評価のステージでまとめられてしまう
というものです。

事実:みんなの前で「お前なんかクビだ!」と言った
評価:パワハラ

というように、評価をするためには、何の事実をもとにしているのかハッキリさせなければなりません。

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しかし、事実が曖昧なまま、パワハラとされてしまうことがあります。

事実:上司が部下に対して個室で「そんなんじゃダメだ」と言った
評価:パワハラ

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事実から評価がつながっているのか、これだけでは微妙です。
「そんなんじゃダメだ」との発言は、時にはアドバイスとも取れます。他の事実が出てくれば、パワハラになることもあるでしょう。
ブレがあって曖昧です。

それなのに事実と評価の区別ができないと、「パワハラ」とまとめられ濡れ衣を着せられてしまうのです。

事実のステージを曖昧にしたまま、評価のステージで戦わない。

これが大事です。

逆に言うと、アナタに責任を取らせようと考える人は、事実と評価をごちゃ混ぜにして、評価のステージでまとめようとしてきます。
鍋でも出てきた材料をいっぺんに入れちゃう人、いますよね。そんな感じ。

たとえば、電車内の痴漢事件での警察の取調べ。
事実:電車内で女性の身体に手がぶつかったかもしれない。でも触る気はなかった。
というケースで、警察側が供述調書を作ると、こんな感じになります。

「女性の身体に触ったかもしれません。女性からすれば、私が痴漢であると考えるのも無理がない行為だったと思います」

このような調書を作った後、「触る気はなかった」という事実は曖昧にされ、
評価:痴漢
というステージで取調べが進んでいくのです。

「相手が痴漢だって考えたのは仕方ないよな?」
「だったら痴漢だと思われても仕方ないよな?」
「もう痴漢だよな?」
と少しずつ、痴漢に仕立てあげられていきます。

評価ステージが「責任」のような曖昧な概念の場合、ここだけでやりとりしていると、いつの間にか、自分にも責任があるかのように感じてきてしまうのです。

評価のマジックです。

これを避けるためには、「評価」のステージから「事実」のステージに戻り、何の事実をもとに評価しているのか、しっかり決めてもらうのが有効なのです。

だからこそ、「事実」と「評価」を区別して、「今、どっちのステージ?」と意識するのがポイントです。

このポイントから、有効なフレーズを紹介します。

フレーズ1 「○○って、どういうことですか?」

○○には評価のステージの言葉が入ります。

派閥争いで、「お前、○○派に肩入れしてるんだろ?」
と言われたら「肩入れ」というのは、評価のステージです。

「肩入れってどういうことですか?」

と、どういう事実をもとに発言しているのかを確認します。

評価のステージから、事実のステージに戦場を移すフレーズです。

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フレーズ2 「その発言はしましたけど、それは・・・」

事実のステージでやるべきことは、
・相手が根拠にしている事実があったのかどうかの確認。
 例)「その発言はしました」

・他の事実を出す(事実についての言い訳)
 例)「その発言は、こういう文脈でした」

ことです。

事実:上司が部下に対して個室で「そんなんじゃダメだ」と言った
評価:パワハラ

というケースでは、
・部下の仕事の進め方
・それによって生じた損害
・発言の態様
・個室にいた時間(短時間のアドバイス)
などの事実を出していけば、パワハラと評価されにくくなります。

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フレーズ3 「責任を決めるのは私ではありませんから」

濡れ衣を着せられるシーンで多いのは、
評価のステージで戦わされ、誘導されることです。

「君にも責任があったとは言えないか?」

「責任」のような曖昧な概念の場合、白か黒かハッキリさせられないものです。
多少の責任はあるかもしれません。

そうすると「少しは責任がある」→「責任は自分にある」と誘導されていき、いつの間にか全責任を負わされることになりかねません。

このような場合は、あくまで事実のステージで主張し、評価については、「自分がするべきものではない」と伝えましょう。

仕事での責任であれば社長などが決めるでしょうし、法的な責任であれば裁判官が決めるでしょう。

以上の3つが、「事実」と「評価」を分けるポイントでの話です。

では、評価ではなく、事実自体を疑われている場合は、どうすれば良いでしょうか?
最初から戦場が「事実」のステージの場合です。

社内で書類がなくなった
→あなたが持っているのでは?

と疑われるケースです。

同僚たちの視線が何故か自分に集まる。

ということは、何か原因があるはずです。

同僚たちが「あなたが持っている」と考える根拠を探りましょう。

何かの「事実」→「あなたが持っている」という事実

と考えているのです。

その何かは一体?

よくあるのが前科

以前に、社内で紛失した書類が、あなたのデスクから出てきたことがあったとしたら、あなたが疑われるのも無理がありません。
同じことが何度もあって、前科3犯だったりしたら、同僚は「あなたが犯人に違いない」と確信しているでしょう。

前科が、疑われる原因になるのは仕方がありません。

刑事事件の法廷で、無罪を主張する被告人に対し、検察官は、
「こんだけ似たような前科があるんだから、犯人はお前だ!」という内容をオブラートに包んで主張します。

フレーズ4 「それとこれとは別」

前科があるからといって、今回も犯人とは言い切れません。

前に同じような失敗をしてしまっているなら、今回は違うということを主張しましょう。
たとえば、
「あれから気をつけてますから」
「あれからデスクはしっかり整理してますよ」
「あの後、滝に打たれて生まれ変わったんです」
と、以前とは違う自分だと伝えるのです。

なお、このように前科は関係がないことを主張すべきなのですが、そもそも前科がない方が良いですよね。

曖昧な責任を認めてしまうと、次に何かあったときにその責任まで負わされてしまうリスクがあるのです。

濡れ衣人生を避けるためには、余計な前科を作らないことも大事です。

フレーズ5 「あいつはそんなヤツじゃないよ」

濡れ衣を避ける最後のフレーズはこれ。

とは言っても、発言するのはアナタではありません。

他人から「あいつはそんなヤツじゃないよ」と言ってもらうフレーズです。

「どうせ合コンなんでしょ?」と彼女から疑われ、本当に違うのに、あたふたしてしまう。
まったく違うし、証拠を見せても、信用してもらえない。
本当に違うのに、「違う」と言えば言うほど怪しく見えるのです。
みんな、そうに違いない。

こんなときは、口を交換しましょう。

「何を言うか」より「誰が言うか」が大事なシーンがあります。

「オレってすごいだろ?」と自慢するより、同僚から「あいつ、すごいんですよ」と言われた方が、相手に一目置かれます。

濡れ衣を避けるのも同じ。

アナタが完璧なロジックで説明しても信じてもらえなかったのに、友人が「あいつ、そんなヤツじゃないよ」とマジメな顔で放った一言が信用されたりします。
何も説明してないし、何も根拠ないし、感性で発言しているだけなのに、信用度が高かったりします。何だそれ。
必死に自分で考えていたのがバカらしくなります。

怪しい目で見られているときは、「何を言うか」より「誰が言うか」。
信頼されている人の口を借りてみましょう。

まとめ

・「事実」と「評価」を分ける
1 「○○って、どういうことですか?」

2 「その発言はしましたけど、それは・・・」

3 「責任を決めるのは私ではありませんから」

4 「それとこれとは別」

5 「あいつはそんなヤツじゃないよ」

仕事で成果を出しているのに、濡れ衣を着せられてはたまりません。
余計な濡れ衣は、サラリとかわして、仕事に打ち込んでいきましょう。

P.S.
「デザートは別腹」「飲んだ後はシメにラーメン」についていけない人は、私だけではあるまい。

「事実」と「評価」の話は、めんどうな人を相手にするとき活躍する神ツールです。詳しく知りたい人は、書籍『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』をチェックしてみてくださいね。

著者:石井琢磨

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『めんどうな人をサラリとかわしテキトーにつき合う55の方法』著者。弁護士。幼少時から家族が次々と壺を買わされるという、ダマされ環境で育つ。偏差値35から中央大学法学部に合格。在学中に司法試験一発合格、消費者事件を中心に活動中。

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