「意識高い系」の行動は揶揄されがちだが、実は役に立つという話

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最近、すっかり定着した感のある「意識高い系」という言葉。おもに揶揄するために使われているようですが、実は学ぶべき点もある……というお話をさせていただきたいと思います。

「意識高い系」は「実力もないのに偉そうにしている」人

「意識高い系」の定義を箇条書きにすると

  • 人脈作りに精を出す
  • SNSなどで自己アピールに余念がない
  • 自己啓発書や勉強会が大好き
  • 偉そうにするわりに大した実績は残していない

つまり、一言でまとめると「実力もないのに偉そうにしている人」です。「意識の高い人」と「意識高い系の人」は違う、前者は素晴らしいが、後者は前者の偽物である、などという言い方で非難されたりもしています。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

空疎な自己アピールでも、しないよりした方がよい

「意識高い系」の行動は、たしかに見ていてイライラすることがあるかもしれません。たとえば、Facebookで冒頭の写真のような投稿があったら、「いい刺激になった、って……刺激だけかよ!」などと呟いてしまうはず。何を勉強し、学んだ内容をどう活かしていけばいいのかについて触れていればいいのでしょうけど。

とはいえ、勉強会には、自分の生活をよく見せる意味においては、出ないより出た方がいいですし、たとえ受け取ったものが「刺激」だけだったとしても、「具体的に何かを得たかというと、得てはいないので投稿を控える」のももったいない。なぜなら、何も言わなければ「何もしていない人」のように見えてしまうからです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

実力がないなら、なおのこと自己アピールが必要である

しかも、「いい刺激」以上のものを得て、それを人生に適用できるような努力家はむしろ少数派なのが現実です。アピールするに足る経歴を持っていない人の方が多いのです。

それでは、大多数の人は自己紹介のときに「平凡なサラリーマンです」「休日は疲れて寝ていることが多いです」などと正直に言うべきなのでしょうか。何も期待しないのであればそれでいいのかもしれませんが、この際、空疎でもいいので何らかのアピールをしておくべきではないでしょうか。

「意識高い系」から学ぶ自己アピールの技術

つまり、実力がなければないほど「意識高い系」に学ぶことができるのです。そこで、意識高い系の行動から学ぶべき点についてまとめてみます。

1. インプットしたことも自慢する

【例】「今日は、『経営者が気をつけること100』『経営者が気にしてはいけないこと100』『経営者になれなかった人のために』を読んだ。でも積ん読が全然消化できないので、睡眠時間を削らねば……」

ノーマルな感性の持ち主なら、自己紹介をするときは自分がアウトプットしたものについて語ります。たとえば、今までにしてきた仕事が何であるとか。

もちろんアピールできるアウトプットがあれば、それに越したことはないのですが、残念ながら何もなかった場合、どんな勉強会に行った、どんな本を読んだ、などのアピールでもしておいた方が、何も言わないよりもアピールにはなります。

2. ブランドを素直に信仰する

【例】「慶応で同じクラスだった友人が起業したんだけど、けっこううまくいってるらしくて、今日は創業2周年パーティ。最近テレビでもよく見かける○○社の社長も来てたんだけど、これからの経営について聞いてみたらフランクに話してくれて、やっぱり器の大きさが違うと実感した!」

有名人と知り合いであるといった話は鼻につきますが、それはすなわち「ちょっとうらやましい」と思わされていて、彼らの空疎なアピールも鼻につく程度の印象にはなっていることの証拠です。

有名人の知り合いなどの話も、言わないよりはましなのです。

3. 大したことないことでもドヤ顔で語る

【例】「まあ在庫を抱えるビジネスモデルに明日はないね!」

人は自信を持って話す人のことを信じます。「なんでも続けることがだいじだよ~」と言うより「継続は力なり!」と言った方が重々しく、信頼できるような気がしてしまいますよね。大したことがないことでも、自信を持って語れば、信じてくれる人はいますし、人を説得するための技術ともいえます。

このような「意識高い系」の行動に本気で腹を立てる人は、「彼らの行動によって自分の地位が脅かされるかもしれない」と無意識で恐れているからかもしれません。もしそうなら、自分の地位が脅かされることがないよう実力を身につけるか、素直に彼らのやり方を取り入れるしかないでしょう。

「意識高い系」嫌悪の行きつく先は「分をわきまえて地味に生きろ」でしかない

わたしも、空疎な自己アピールを嫌悪していた時期もありますが、その思想の行きつく先は、「みんな身の程をわきまえておとなしくしよう」という、「出る杭を打つ」息苦しい社会です。

人を傷つけるならともかく、自分が持っているものをアピールすることを「気持ち悪いこと」として嘲笑していると、周囲は「自分も笑われるのではないか」と委縮してしまい、自分をアピールするのが恥ずかしくなってしまうし、そうやって自分が控えている自己アピールを他人がしていると、腹立たしく思うようになってしまうのかもしれません。

出る杭を打ちあう世の中なんて窮屈で仕方ないので、たとえ「意識高い系」と揶揄されようとも、確信をもってセルフブランディングに努めていきたいところです。

著者:ココロ社 (id:kokorosha)

ココロ社 (id:kokorosha)

大阪生まれ。東大文学部卒業後、テレビゲーム製作を経て平凡な窓際サラリーマンとなる。傍らで珍妙なブログ「ココロ社」を運営。書籍の執筆もしており、著書に『マイナス思考法講座』(阪急コミュニケーションズ)『モテる小説』(阪急コミュニケーションズ)『忍耐力養成ドリル』(技術評論社)など。好きな犬はヨークシャテリア。

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