【村口和孝氏×堀江貴文氏×堀潤氏の人生相談】“みんな考えすぎ。まずやれ!”ホリエモン節炸裂

 有明・国際展示場で行われた学生による学生のための『起業家スーパーキャリアカンファレンス』の目玉としてベンチャーキャピタリストの村口和孝氏、SNS株式会社創業者の堀江貴文氏、ジャーナリストの堀潤氏が登壇。Twitterや会場で集められた学生の質問に答える人生相談会が行われた。イベント後半、「もうさ、何なんだよ!」と堀江氏が不満を漏らし、モデレーター役の堀氏がたしなめる場面も。堀江氏がプチキレた理由とは…?当日の様子を一部抜粋してご紹介しよう。

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――頭の良さとは何ですか。

堀江それは何のために聞きたいのだろう。意味が分からない。どうなんだろうな、みたいな。
頭でっかちになってしまっていて、考えるよりすぐアクションしたら…というのはありますよね。
村口:頭の良さというのは未来仮説を自分なりに想像で思い浮かべてみて、とりあえず行動するというのが…。
堀江村口さん、親切ですね。すごいなぁ。僕そういう質問する人と話したくないもん。
「堀江さん、堀江さん、頭の良さって何ですか」って目の前の人に聞かれたら?
堀江:僕はシカトですね。そんなこと考えてんじゃねぇよって。

――(先に登壇した)勝間和代さんが「発展途上国しかビジネスチャンスがない」とおっしゃっていましたが、堀江さんはこの点についてどう思いますか。

堀江意味分かんない。
ハハハ。勝間和代さんが先ほどセッションに出られて、発展途上国にしかビジネスチャンスがないというお話をしていたそうです。ビジネスチャンスとして発展途上国、新興国で、要はチャンスを見出すという話だったんですが、堀江さんの意見が聞きたいと。
堀江それを勝間さんがそういう風に言い切ったとも思えないですけど。
言い切り型の発言に対しては懐疑的にならざるを得ない?
堀江そんなの、ビジネスチャンスをどういうふうに定義するかにもよるじゃないですか。例えば、俺が飲んでいるこのペットボトルの水を、1000円で売りますよと言ったら買う人が会場にひとりくらいはいると思う。これ、0円で売ったら0円ですけど、1000円で売ったら1000円でしょ。
堀江さんの水を買いたいって人います?(挙手した学生を確認して)ほら、いるいる。
堀江だって、ここで買ったら1000円以上の価値あると思うもん。だから、ただ、単にそういうことなんですよ。ビジネスチャンスなんていうのはどこにでもあるので。
村口私も同意です。発展途上国と先進国を分けて、境界線のあっちとこっちで考え方を変えるというジオグラフィカルに考えてしまう時点でちょっと違うかなと。

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――就職活動についてどう思いますか。

堀江さんは就活廃止論というのをよく言ってますよね。

堀江就活廃止論というか、就活を認めていないというか…。僕の頭の中に就活というものがないんで、何なんだろうなってずっと思っているだけ。
リクルートスーツを着て、並んで、面接を受けて、あれがいわゆる就職活動かと。
堀江それは例えば検察とかと同じで。
検察!?
堀江検察も捕まるまでもちろんあるのは知ってたけど、それまでは検察なんて別に興味もないし、いてもいなくてもいい人たちだと思っていたわけです。意識の範囲外にいる。期せずして、無理やり入ってこられましたけど。そういう意味で僕の中で就活というのはそこにあるわけです。就活って世の中に意味があると思っていることの範疇外にあるので、どうだっていいんです。どうだっていいから、そんなことについて考えること自体が無駄だなと思っていて、だから僕は就活をしたこともないし、僕が立ち上げた会社では新卒採用というのがないんです。
逆にどういう人材なら働いてみたいと思いますか。堀江さんにとって人材を確保する時というのは、どういう瞬間なんですか。
堀江何なんですかね。レスポンスが良かったりする人ですかね。よく分からないですけど。
レスポンスといっても、速さ、内容、深さといろいろあると思いますけど。
堀江ただ、ミスることもあるので。分かんないじゃないですか。出会って何回かくらいで。面接だったら本当にすぐ決めちゃうでしょ。ある程度ノリもあります。だから、僕、採用が嫌になってきていて、新卒採用どころか、採用そのものがなんかちょっと微妙だなと思っちゃって。そういえば最近、堀江貴文オンラインサロンというのを始めて、僕と何かを一緒にやりたいという人たちが月1万円を払ってくれるんです。
すごいですね
堀江今までは誰かとやろうと思ったら、社員に最低でも月10万円とか払って雇わなければいけないでしょ。それで雇った奴が使えなかったら、クビにもできないし、どうすんの、これってなっちゃうじゃないですか。それが最近嫌だなと思っちゃって。いろいろ模索していたんです。もともと岡田斗司夫さんが3、4年前にそういう話をしていて、またとんでもないこと始めたなと思っていました。あとはオンラインサロンみたいなことを勝間和代さんやはあちゅうがやっていたので、それを見て俺ならこういうやり方をするとちょっと改良して始めたんです。(中略)要はお金を払ってくれている人は1万円のもとを取ろうと思って、一生懸命やってくれるんです。(こちらが)お金を払っている奴より、もしかしたら彼らのほうがうまく動いてくれるんじゃないかと、すごく最近思うんですよね。
村口労使関係。起業するというのはいきなり経営陣になるということなんだけども、雇われます、雇いますという関係自体がもしかすると21世紀的ではないのかもしれませんね。
確かに就職活動というのが、自分で何をやるかというより名刺をひとつ買うみたいなところがありますよね。名刺を手に入れる作業みたいな。シリコンバレーで“What do you do?”と聞かれたら、日本人は「ああ、僕はNHKで働いているんですよ」と答えがちなんですけど、そういうのは聞いてないんだと。君は何ができる人なのかを教えてほしいと言われるんです。それが実をいうと非常に大事なコミュニケーション。日本の就活は「●●商事なんですよ」というのに学生たちが重きをおいているのが問題なんじゃという指摘もありますよね。
村口20世紀は工業社会であって、みんながどこかの組織に属することで自分の地位が維持できるというパラグラムに侵されていた世紀だったなと振り返る日がやがてくるかもしれません。そういう意味では、21世紀というのは日本人全員が起業家になるというか、そういう新しい時代に入っていくのではないかという予感がします。
堀江それもソーシャルメディアやモバイルインターネットが普及する以前はできなかったと思うんです。それが今ではフェイスブックでつながり、オンラインで放送でき、それを見たら、すぐにフィードバックすることができるようになった。これはフェイスブックやLINEが流行り、スマートフォンを皆が持つようになったからこそできるのであって、できるのならやればいいって話なんですよ。

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――勘で意思決定をすべきなのか、計算や分析をしたうえで理性的に判断すべきなのか、どちらでしょうか。

村口誠実に意思決定をするしかないというのが古今東西みんなが言ってることだと思うんですね。どういう基準で意思決定をするかというと、結局自分の胸に手を当てて、誠実に意思決定をしなければいけないんですが。いけないことはその20世紀型の組織的な意思決定に、誠実じゃないんだけれども、思わず従ってしまう。組織には誠実なんだけども、個人の腹の中では不誠実といった矛盾した意思決定はできるだけ避けたほうがいい。半沢直樹的意思決定は避けたほうがいいと思います。避けるためにはどういうふうにしたらいいかということを考えていかなければならないと思います。
堀江:みんな考えすぎかなと思いますね。あんまり考えないんですよね、そういうの。だって分かんないこともあるじゃないですか。数字とか。そうである時もあればそうじゃない時もある。投資のステージによっても違いますし。それはケースバイケースでしょう。

――おふたりの過去の最大級の失敗は?そのリカバリー方法を教えてください。

堀江:僕、失敗とか思わないですけど。
昔から失敗は成功のもとと言いますけど。失敗が何かしらの経験にはなると。
堀江いやあ、なんだろうな。失敗のこととかあまり考えないほうがいいんじゃないかと。もちろん失敗したら、その原因を分析して二度とそういうふうにならないように、失敗しないようにします。でも、そこまでであとは後悔しない。酒飲んで忘れる。
村口:永遠とダイナミックな試行錯誤をやり続けることが豊かな人生なんじゃないかなと思っています。試行錯誤ってよい日本語ですよね。一般的に言われている失敗を失敗として理解していたら、人生、前に進めないですからね。

――物事を直感で判断できる人は、物心つく頃からそうなんでしょうか。

堀江直感で判断するって、要は決め打ちですよ。能力ではなくて、そうする方針かどうか。それ言ったら子どもなんてすべて直感で動いているじゃないですか。好きとか食べたいとか。
村口盛り上がると大体直感でやりますよね、子どもは。
堀江おとなになると逆にフィルターがかけられていって、そうじゃない行動をしてしまう。
怖いと思うことは?
堀江怖いというのは、失敗を考えてしまうからでしょう。過去の失敗や嫌だったことをたくさん記憶すればするほど怖れていくわけでしょ。だから忘れると、そんなに怖れないですよね。

――リスクを怖く感じませんか。

村口それは怖いです。投資するたびに朝起きて、出資して大丈夫かなと思うんですよ。だって、何もない状態のところに何億円も出すんですから。あの時、あの投資をしておかなければよかったとかね。
堀江じゃあ、かなりずっと後悔していたじゃないですか。そういうことであれば。
村口そうなんですよ、実は。
村口ベンチャーキャピタル事業というのはかっこいいと思うかもしれないですけど、後悔と試行錯誤と未来の回収との中で常に混沌としています。そういう商売です。
堀江僕は投資、大体うまくいっちゃうから、あんまりそういうことない。
村口いいなぁ。
大体うまくいっちゃう(笑)
堀江たまに失敗しますけど、それはそれでいいかなと。
おふたりとも必ず未来をつくる側に関わっているからじゃないですか。
村口また、いろんな意見が出てくるわけですよ。やめておいたほうがいいとか。DeNAに出資する時もいろんな人から指摘されましたしね。女性経営者はやめておいたほうがいいとか、コンサルタント出身者には投資しないほうがいいとか。ジンクスみたいなのがあった。そういうのを聞くと「本当にやって大丈夫かな」と思うんですけど、でも、最終的に自分の中から「これはやっぱりやろう」という思いがわいてきて、決めるんです。結構、意思決定をする時は混沌としていますね。
堀江俺は人の意見聞かないですね。ふざけんな、俺がやりてーんだ、バーカって。

――ふたりがお金を出したいという企業の基準は何ですか。

堀江基準があるわけではないです。
村口私は景色がありますね。その時のパッション。事業機会があって、その人にやれそうな元気があって、情熱があって、根性がありそうだという景色がないと怖い。
堀江僕の場合は、途中でうまくいきそうにないなと思ったら、どんどん軌道修正します。ベンチャー企業なんてそうじゃないですか。そんな台本どおりにうまくいく会社なんてない。DeNAだって、プランCとかDくらいじゃないですか。
どんどん変わっていくわけですよね。
村口:すべての成功事例が試行錯誤の延長線上です。
堀江僕も走りながらやろうという感じ。ただインターネットのことはずっと考えてやっています。
村口堀江さんのように、あるOpportunityに対してがーっと根性と情熱を注いでやるような人は、投資をしたくなるタイプです。
堀江やりたいですからね。
堀江さんには投じてみたいなと。
村口堀江さんと同じ時期にやって全然だめだった人たちもいるわけで。(DeNA創業者の)南場智子さんと一緒の時期にやってだめだった会社もいっぱいあるでしょう。
堀江たぶん、みんなしつこさが足りないんですよね。上場直前期にとにかく納品しまくるとか。無理やり契約を取ってくるとか。そういうのを含めてやれないと、というのはあります。

――モチベーションがなぜ保ち続けられるんですか。

村口シリコンバレーに行った時に、あるベンチャーキャピタリストからヒューマンアンダースタンディング(人間理解)が必要と言われたことがありました。人間の一部がお客さんなんだし、人間の一部がパートナーなわけだから、人間が面白いと思い続けられなければ続かない。逆に人間の一部が面白いと思い続けられる限りにおいてモチベーションはなくならないと思います。
堀江やりたいことがあるので。モチベーションも何も考えたことがないです。

――おふたりの夢は何ですか。

堀江だからさ、なんかさ、もう質問がさぁ…何なんだよ!
ハハハ(苦笑)。
堀江:もうさ、何なんだよ!やりたいことがあるんだよ。
「地図を捨ててコンパスを持て」と(ベンチャーキャピタリストの)伊藤譲一さんがよく言ってますよね。
堀江夢をかなえる手帳ってあるじゃないですか。夢をちゃんと書いて、逆算して、それでマイルストーン設定してっていう。でも、明日、何が起こるから分からないから面白いのであってと僕は思いますよ。明日が分かっているなんてつまらない。

――これから学生たちの指標となるような言葉をお願いします。

村口いろんな未来の仮説は持ってみるんだけど、それはどんどん変わっていく。夢や計画を最適化できて、そこにたどり着ければ大したものですけど、おそらく堀江さんも私もまだたどり着けていないんですよ。たどり着けることはきっとないと思うんです。結局、自分の胸に手を当てて、誠実にやりたいなと思うことに向かって情熱をかけながらダッシュするしかないんじゃないかと。会社に入ってもいいんだけど、組織人を脱して、誠実な起業家になって、毎日毎日好きなことで一生懸命にやる。いい彼女を見つけて、いい彼氏を見つけて、いい人生を送っていってほしいなと思います。
堀江おととい、地元のテレビ番組で、高校生や大学生が50人くらい集まって質問大会やったんですが、そこで(今日と)同じような質問してきた奴がいた。高校3年生が、僕は将来農業で起業したいんですけど、どうのこうのって話をしていたんですね。それで「経営に必要な能力は何ですか」と訳のわからないことを聞いてきたから、「お前さ、農業やりたいんだろ。今すぐやれよ」と。近所の畑を借りて、聞いたらテニス部だっていうんで、じゃあ、テニス部の後輩呼んで「お前ら今から農作業やりながら練習だ」って言って、トマトでも育てて販売所で1日5000円売れたら、月間15万円の売り上げだぞと。立派な商売じゃないか。今すぐできるだろと。あと、「クリエイティブな仕事がしたい。慶応SFCを受験したい」っていう高校三年生の女の子。「私はずっと部活でミュージカルをやってきました。そういうクリエイティブな子どもたちが育つような教育事業がやりたいんです」という。あのさ、今からやれることがあるだろと。お前の後輩に言って、夏休みの間、小学校へ行って出張ワークショップをやればいい。小学生たちにボランティアでミュージカルのやり方を教えろと。それで舞台立たせたら、その中から将来スターが出るかもしれない。それだったらお前ら今すぐできるじゃねえかよ、ということです。つまり、みんな難しく考えすぎなんだよ。俺のこのペットボトルを1個1000円で売ったら、これも立派な商売なんだ、実際に。こういうことやっている人いるんだ。僕なんかの飲みかけのペットボトルじゃないですよ。もうちょっと怪しくないものですけど。すごく考えて、考えて、考えて、会社ってものをかっちりつくってやらなければならないんだというのは20世紀で終わったんです。今、フェイスブックとか、LINEとか、フリマアプリとかあるんで、やろうと思ったら、何だってできるんです。今日、せっかく来たんだから今すぐやろう。帰りにもできることあるはずだ。自分がやりたいこと、たぶんあるはずだ。頭の中には。なんか、いろいろ言い訳をしてやりたくないんだよ。やりたくないから、そういうふうにしているんだけど、今すぐやってください。マキだと言われているから終わります。

文・撮影:山葵夕子

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