薄毛もポッチャリも心配なし!デキる男がやっているスーツの着こなし

 汗がべたつくこの季節。クローゼットを開けてみたところで、何を着ていけばよいのか分からない。クールビズでよいというけれど、自分で選ぶとどうもあか抜けない雰囲気になってしまう。そんな経験はないだろうか?
 今回は、600人以上の一般人のスタイリングを手掛け、多くの経営者やビジネスリーダーから支持を得ているパーソナルスタイリストの大山旬さんに、かっこよく見えるスーツの着こなしについて話を伺った。

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大山旬さん パーソナルスタイリスト
2009年より独立。大学生から定年を迎えた男性まで、600人以上の「普通の人のためのスタイリング」を手掛ける。TBS はなまるマーケット、NHK おはよう日本など多数メディアに出演。一般人向けにファッション相談・ショッピング同行・コーディネート相談・クローゼット整理などをサービス提供しており、必要最低限のファッションの基本を伝えることでリバウンドしないファッション改善を提案している。

■目次

外見・内面コンプレックスをファッションで解消!

 私に相談に来られる方は、大きく2通りに分かれます。自分に自信が持てず、コンプレックスに根差して変わりたいと思っている層と、仕事で前に出ていくために、ブランディングの一環としてファッションを取り入れたいという層。経営者と企業勤めの方の割合は、6対4くらいでしょうか。企業勤めの方では、SEなどの技術職系の方が最も多く、あとは公務員や弁護士、税理士など、かたい職種に就いていて、学生時代はずっと勉強してきて、ファッションを気にする余裕がなかったという方が多いです。
 ファッションは人生における名刺のようなものだと思っています。世の中には外見で判断されて、評価されていない方がたくさんいらっしゃいます。なんとなくの第一印象でネガティブなイメージを持たれて、本当の魅力に気づいてもらえないのは損ですよね。ならば、第一印象のハードルを取っ払ってしまおうというのが私の考え方です。

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 私がファッションに目覚めたのも、実はコンプレックスからでした。小学校6年生のときに163センチあった身長がぴたりと止まり、成長期でまだまだ伸びると思っていたのに、同級生たちにどんどん抜かれていきました。その心の隙間を埋めたいと思ったときにファッションに目覚めて、そこから雑誌で研究したり、古着屋へ通ったりして、気づいたら今の職種に就いていました。
 太っている、逆に痩せすぎているなど、コンプレックスのせいで自分が嫌いという方はとても多いです。中でも多いのが髪の悩み。髪が薄いから洋服が似合わないという方には、渡辺謙さんや竹中直人さんなど、カッコいい方のモデルケースをしっかりとお伝えします。薄毛の方の場合、顔のインパクトが薄くなってしまうので、黒縁のメガネをかけてもらったり、無精ヒゲを生やしてもらうことで、顔の中にインパクトを加えていきます。あとは思い切って短髪にしてもらうことも。

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 コンプレックスの強い方は、「いつか変わってやろう」という願望も逆に強い。だから、外見と内面の両方について細かくヒアリングして、そのコンプレックスをファッションで解決することが私の仕事だと思っています。おかげさまで、年間に3~4人からは結婚したという嬉しい報告が届きます。また、見た目を気にしてひきこもりだった方が、ファッションを変えることで自信をつけて、今では会社を立ち上げて、バリバリ働くようになったケースも。
 パッと見の印象を変えると、周囲の反応がよくなります。すると、いいスパイラルに乗ることができるように。スタイリング前とスタイリング後で撮った写真を見比べると、多くの方が立ち方から違っていて、背筋を伸ばして颯爽と街中を歩いていきますよ。

■STEP1 人生を変えるファッション改革のための前準備

1)クローゼット整理:7~8割のクローゼットにある服を捨てる

 1年以上着ていない服やコーディネートしにくい柄の強い服は思い切って捨てる。自分の中の「これは安心できる」という概念自体を捨てないと、なかなかそこから脱皮できず、いつまでも古臭いファッションに。「物持ちがいいというけれど、その単なる“物”を着つづけて、自分の価値が高まるかは別問題」と大山さん。たとえばクローゼットに古いアイテムが10個あり、そこに1個を足しても変化は起きないが、古いアイテムを10個から2個に減らして1個を足すなら、効果は絶大。

2)店選び:商品力>販売力の店を選ぶ

 アパレルで働いていた経験のある大山さんによると、ショップスタッフとパーソナルスタイリストの大きな違いは、「客が手に取った”すでに気に入った商品”に、どう合わせるか」をアドバイスするか、「その人に合うものをゼロから」アドバイスするかの違いだという。「どのショップも、着回しのきく使いやすい服は全体の2~3割程度しか置かれていません。販売力の強い接客のお店だと、流行のアイテムをお薦めされて、着回しのくベーシックな服が買えないという可能性もありますので、そういう店は避けたほうが良いでしょう」。

3)心構え:ゴールは70点を目指す

 自己主張が強いファッションは、ビジネスシーンではマイナスに映ってしまう。あまりにおしゃれすぎるファッションは避けるのが無難。ポイントはあくまで普通に見えること。大人のスタイリングは、着飾りすぎず、必要最低限でOK。「すごくおしゃれという感じはしないけれど、よくよく見ると細かいところがちゃんとしているとほんのり感じられるくらいがベスト」と大山さん。エッジを立てたい場合は、ベーシックなものをベースにデザイン性のあるものを少しずつ足していくこと。

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■STEP2 知っておこう!男性ファッション三大タブー

1)サイズが大きすぎる

 大半の男性が、サイズ選びが間違っており、少し大きめを着ているという。服を選ぶ基準をそのままにしていると、着心地がいい、機能的だ、動きやすいという3点に偏りがち。すると、どうしても本来のサイズより大きめのものを選んでしまうそう。

2)無頓着すぎる

 5~6年前の、ヨレヨレの服を平気で着てしまう横着な人が少なくない。大山さんいわく、ジャケットの襟を見るとすぐにわかるそう。「今はジャケットの衿もと(ゴージライン)も、水平に近いラインですが、昔のものは大きく下がっています。流行も5年くらいの周期でゆるやかに変化しているので、古臭い印象を与えないよう買い替えましょう」。要注意!

3)やりすぎる

 ただ、かっこよくなればいいというわけではなく、職場の上司や同僚にどう見られたいかをよく考えることは重要。そのステップを抜くと「一人だけ“ちょい悪系”になっている」など浮いた存在に。また、学生の頃に“モテ”を捨てた部活動に熱心だった男性がはまりがちなのが、個性的なアイテムのみですべて揃えてしまうこと。「若い頃からいろんな服を試して、分かっている人がやる分にはよいけれど、分からない人がいきなりそちらに走るとまず失敗します」。

■STPE3 実践!ベーシック・スタイル編

1)シャツとネクタイで差をつける

 ビジネスファッションで印象を大きく変えるなら、シャツとネクタイを質のよいものに。人間の印象は上半身で大半が決まると言われている。最近は出来のいいスーツがリーズナブルな価格でたくさん出回っているため、スーツの価格がものすごく高いから品質がよく見えるかというと、実はそうでもない。それに比べてネクタイとシャツは見た目に差が出やすいアイテム。しっかりと投資することが重要。

2)シャツの衿もとはワイドカラータイプ

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 シャツの衿もとは、羽の開きが広い(100~120°前後)のワイドカラータイプを選ぶ。衿羽の角度があるため、首回りがスッキリして見える。ある程度役職が上がってくると、知ったうえでこだわる人が多いパーツだ。

3)ネクタイは1万円以上のものを選ぶ

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 ネクタイは金額によって確実に印象が変わるアイテム。2~3000円で売られているものと、セレクトショップで1万円以上で売られているものでは、確実に光沢や質感が違う。大山さんいわく、ネクタイは持っているのが10本でも50本でも、本当に気に入って使うものは5本程度なのだとか。であれば、量よりも1本あたりの単価を上げ、質のよいものを選ぶように心がけよう。

4)ネクタイを結ぶ際は“ディンプル”を忘れずに

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 結び方は通常のシングルノットでよいが、結び目の下にきちっと“ディンプル”(くぼみ)を付けるようにしよう。こうすることでメリハリができて、こなれて見える。結ぶ際は、結び目を胸元でゆるくまとめたときにつくるのがコツだ。「ファッションにこだわりのあるビジネスマンでディンプルをつくらない人はいない」と大山さん。

5)天然素材のボタンをつける

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 ボタンが安っぽいと、服自体がとても安っぽいものに見えてしまうため、天然素材で、自然な光沢感のあるものをチョイス。仕立ての良いスーツやシャツほど、いいボタンが付いているもの。ただ、高いボタンのみを購入しリーズナブルなシャツに付けかえて差別化しようとしても、品質の良さをシルエットや佇まい全体で見せるのがシャツブランドのプライドなので、ボタンだけで際立たせようとすると、エレガントさを欠いてしまう。

6)ジャケットから見えるシャツの分量は1.5センチ前後、親指からジャケットの袖までの長さは11センチ前後

 このような細かな見え方にこだわることが肝心。お直しをせずにそのまま着てしまう人が多いが、分量を調整することでトータルバランスが美しくなる。

7)ボトムは膝から下が細めのものを選ぶ

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 ウエストサイズに合わせて選びがちなボトムだが、太めのシルエットのものではなく、足の形に沿ったものを選ぶようにしよう。膝から下を細めに作ってあるテーパード型のボトムがおすすめ。スキニ―のような細すぎるボトムはタイプはビジネスシーンにはそぐわないので避けるのが無難。

■STEP4 応用!!クールビズ編

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1)スーツ用とクールビズ用は完全に切り分ける

 クールビズアイテムを通常のスーツパンツと合わせてしまう人が少なくないが、それはNG。パンツ、ジャケット、シャツをすべてクールビズ用でそろえる。たとえばシャツひとつにしても、ネクタイを締めることを考慮した通常のものと、ボタンを開けることを前提にデザインされたクールビズ用のシャツでは襟のかたちが変わってくる。襟元を開けたときに、いかにきれいに見えるかを重視して選ぶ。

2)半袖シャツより長袖の腕まくりスタイルがベター

 半袖シャツを着た際に袖まわりが大きいと、子どもっぽく見える。「普通の長袖シャツを、パツンと切ると、ああいうシルエットになってしまう」という。二の腕はたるみが目立ちやすい部分なので、できれば見せないほうが美しい。長そでシャツを巻くって上げるスタイルか、半そでシャツを着るのであれば、腕にフィットしているタイプのものを選ぼう。

3)ラインの見えない下着を着用する

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▲グンゼの「SEEK」シリーズ UネックTシャツ ライトベージュ

 汗ばんで、シャツから透けて見える男性の乳首は、女性から敬遠される要因に。しかし、下着自体が透けて見えるのもおじさん臭い印象を与えてしまう。切りっぱなしになっている下着など、シルエットに響かない、吸収性のよい下着選びを心掛けよう。大山さんのおすすめは、グンゼの「SEEK」。縫い目をなくしたオリジナル仕様で、肌色のものをチョイス。第2ボタンを開けても下着が透けない「見せないための下着」だ。

 目安の予算は、春夏で10万円~、秋冬で12万円~と高めの設定だ。最初の1年はアイテム数が多いため費用がかかるが、そのぶん、2年目からはアイテム数が整い、衣服代を大きく減らすことが可能だ。「新しいものをちょくちょく買っているようでは、ファッションを変えることはできません。全部を捨てて、新たに生まれかわるような覚悟がないと、元に戻ってしまうことが多いです」と大山さん。この機会に、まずはクローゼットの整理からチャレンジしてみてはいかが。

取材協力:大山旬(4COLORS)グンゼ株式会社

取材・文:山葵夕子  写真:矢部朱希子

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