心置きなくお客様に寄り添えるよう、本当に役立つ支援を。 訪問看護で社会課題を解決するための働き方改革「ソフィアWOW!」
ソフィアメディ株式会社心置きなくお客様に寄り添えるよう、本当に役立つ支援を。 訪問看護で社会課題を解決するための働き方改革「ソフィアWOW!」
ソフィアメディ株式会社超高齢社会にあって病院の病床数が減少を続ける中で訪問看護の需要は高まる一方。24時間の待機体制や365日対応が求められる事業を拡充し、働く人に真に必要な支援体制を整えるため、ソフィアメディ株式会社は業界に先駆けて抜本的な働き方改革を進めている。
そのプロジェクトがスタートしたのは2018年の春。医療職の現場管理職やコーポレートメンバー、人事担当者など20名以上が集まり、会社の方向性を定めるための「北極星プロジェクト」が立ち上がった。
丸1年、累計100時間以上の議論を経て策定されたのがソフィアメディの新たなビジョン・ミッション・スピリッツだ。
<ビジョン>
安心であたたかな在宅医療を日本中にゆきわたらせ、ひとりでも多くの方に、こころから満たされた人生を。
<ミッション>
英知を尽くして「生きる」を看る。
<スピリッツ>
あの手この手、打つ手は無限。ソフィアの5 SPIRITS。
1.お客様第一主義に徹し、常に相手本位に行動する。
2.プロとして誇り高く、あらゆる可能性を追求する。
3.品質は人の質と心得て、感性と徳性を磨く。
4.学ぶ心を忘れず、自ら率先して変化の原動力となる。
5.仲間を認め、おせっかい、お人好しの精神で支え合う。
この議論と並行し、ビジョンの実現に向けて従業員一人ひとりが能力を十分に発揮できるようにするための働き方改革「ソフィアWOW!(Work for Our Wonderful life!)」も施行された。その施策は、同業界はおろか他業種と比較しても先進的で大胆な内容だ。
<ソフィアWOW!の施策一例>
・2時間単位で取得可能な有給休暇
・育児休業明けの正社員再登用制度(育児を理由に非正規社員に切り替えた社員の正社員化)
・育児時短制度の対象を子どもが最大小学3年生になるまでに拡大、短縮時間は30分単位で選択可
・LGBTQのスタッフの結婚・育児・就労支援、同性同士の事実婚等の慶弔休暇、結婚祝い金支給、育児休暇など
・弁護士ホットラインを社内外に設置(仕事でもプライベートでも相談可)
・社内融資制度、給与前払い制度
・ハローアゲイン制度(やむを得ない事情で退職した社員の復帰条件と環境を考慮)
・HAPPY “75” (定年後の再雇用制度の上限年齢を65歳から75歳へ引き上げ)
こうした施策の運用を主導するVMS(ビジョン・ミッション・スピリッツ)推進本部の宗梨恵子さん(VMS推進本部 人材開発グループ グループマネジャー)は、「特に2時間単位の有給制度が活用されている」と話す。
「お客さまありきの仕事なので、先方のご都合でキャンセルが出ることもあります。そうすると現場スタッフには、ぽっかりと空き時間ができる。そんなときに直前でも申請して2時間単位の有給が取れるので、リフレッシュの時間に充てたり、家事をこなしたりといった形で活用できるんです」
訪問看護スタッフと間近で接する川田雅子さん(訪問看護事業本部 世田谷/三鷹 エリアプロデューサー)は、施策の導入によって現場の働き方が変わったと語る。
「2時間休が導入されたことで、「休み」を取るということに対する気持ちの変化もみられ、事務所内でのコミュニケーションも増え、結果的に夏休みなど長期休暇の取得も増えてきました。医療職という特徴から、以前は無理をして休みを取らずに働き続けてしまう人も多かったんです。当社としてはそこを変えていきたいという思いがありました」
取り組みが加速したきっかけには、国が主導する「入院から在宅医療へ」の流れがある。訪問看護事業の老舗として東京都内を中心に拠点を展開してきたソフィアメディは、今後も予想される需要増に応えるため、そしてビジョンに定めた「あたたかな在宅医療を日本中にゆきわたらせる」ために、拠点数・人員数ともに拡大していく方向へ舵を切った。そのためには、何よりも働く人の環境を整えていく必要があると考えていたのだ。
「医療現場ならではの働き方改革にフォーカスしている」と話すのは伊藤綾さん(VMS推進本部 本部長)。
「現場の専門職人材が健康で、幸せに働くことができ、チームワークが機能していなければ、訪問看護のサービスは成り立ちません。日本の社会課題として在宅医療の問題が深刻化し続ける中で、私たち自身が存在意義を改めて問うタイミングだったのだと思います」
いかに魅力的な制度を整えても、活用されなければ働き方改革は進まない。2016年度に39拠点だったソフィアメディの事業所数は、2019年9月時点で55拠点へと増加している。あわせて従業員数も200人以上増加した。新たに加わるメンバーも多い中で、同社ではどのようにして施策を浸透させていったのか。その背景には、「現場で働く人たちのわだかまりと正面から向き合う」という風土があった。
ソフィアメディの各事業所には、ある小冊子が置かれている。「ソフィアWOW!」の制度活用法を伝えるために、1人の新人看護師が入社してからどのような場面で制度を使うか、シーンごとに分かりやすく説明するストーリー仕立ての小冊子だ。
2018年10月以降、人事チームのメンバーが各拠点を回り、現場スタッフへ冊子を配りながら制度を説明していった。新しく入社する人には、最初のガイダンスで制度内容を説明して周知を徹底した。
しかし、それは単に「人事が制度を説明するだけ」の場ではなかった。フォーカスしたのは現場で働く人たちの思い、そしてそれを支えたいと願う本社の思いだ。宗さんは当時の様子を感慨深げに振り返る。
「先に動いていた北極星プロジェクトでは、ミッションに掲げた『生きるを看る』という私たちの仕事の意識を、みんなが強く感じていることを実感できました。そうして積み上げてきた思いを再確認するための共有会も開き、イメージビデオを作って上映したんです。「生きる」にとことん寄り添う仕事は大変な場面も多く、ジレンマも多い。でも私達のミッションには、とても尊い意味があり、お客様は私達を必要としてくださっている。そんな思いを共有し、涙を流しながら試聴している方もたくさんいました」
川田さんは「現場のスタッフは24時間いつでもお客さまのことを考えている」と話す。
「『○○さん、今日はちゃんと寝られたかな』『息苦しくないかな』といつも気にしながら過ごしています。そうやって活動している私たち自身の『生きる』も大切にしなければ、訪問看護の価値が発揮できなくなってしまうかもしれないと伝えました」
こうして、「ソフィアWOW!」に込められたメッセージは現場へ浸透していった。
ソフィアメディには創業社長の時代から、「現場は現場、本部は本部」と明確に役割分担をする文化があるという。だからこそ、人事部門は現場のスタッフを支える仕事に集中できた。
その恩恵は、現場のスタッフが意見を出しやすい職場環境に反映されている。川田さんは、自身も救われたと語る。
「看護師は引く手あまたの職種です。勤めている会社に違和感があれば、すぐに他社へ移ることも難しくはありません。でもソフィアメディには本部へ意見を言いやすい風土があり、これまでもずっと現場の悩みや課題を吸い上げてきてくれました。そこに希望を感じられたから、私も今まで続けてこられたのだと思います」
現場で働く人が感じるわだかまりと向き合ってきた歴史が現在につながっているのだ。
伊藤さんは「現在の働き方改革はリモートワークやIT化などの情報が比較的豊富で、例えば24時間稼働などの仕事についての事例はそれほど多くなく、担当チームは苦心していました」と話す。
「でも、ソフィアメディのように現場に答えを求めて改革が進んでいる例もあります。労働集約型の仕事であっても、やり方次第で方法はあるのでは、とみんなで議論し続けてきました。かと言って制度が充実しているからホワイト企業になれるわけではありません。ビジョン・ミッション・スピリッツに基づいて、自分たちにできることを考える繰り返しです」
訪問看護の世界はもちろん、こうした考え方がさまざまな業界へ行き渡ることを願っています――。3人はそう結んだ。
(WRITING:多田慎介)
※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。
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