Bluetooth／ユビキタス時代到来でいよいよ開花！

技術的には話題を集めながら、いまひとつ盛り上がりにかけていたBluetoothが、ようやく本格普及の兆しを
見せてきた。カーナビや車両情報など、自動車の機能高度化にうってつけとあって採用例が増加。
PC、家電分野でもようやくそのメリットを生かせる条件が整ってきた。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:05.03.02

　次世代無線通信技術であるBluetoothは、1Mbpsという高速な通信速度、認識の容易さ、データ通信のみならず音声通信も可能という特性を掲げて、2000年に鳴り物入りで登場した。
　だが、無線通信用のBluetoothチップの価格がしばらく高止まりしたことなどが原因で、装置の価格も下がらず、普及がなかなか進まなかった。それが最近になって、閉塞状況にようやく光が差してきた。

　起爆剤となっているのは、Bluetooth発足時に普及の足がかりになると思われていたPDAではなく、自動車のカーナビだ。
　双方向通信機能を標準搭載する商品が増えるにつれ、従来のように携帯電話をI/Oを介して接続するのではなく、車内に入っただけで対応電話とリンケージが行われるという利便性が、ユーザーの注目を浴びたのだ。

　自動車分野ではさらに、タイヤの空気圧など車体の各部に装着したセンサーの情報をBluetoothでデータリンクさせる試みもなされており、この方式が普及すればBluetoothの需要はさらに高まるものと思われる。
　また、遅れていた家庭用PC向けBluetoothについても、無線LAN代替やケーブルレス接続を行うための、内蔵あるいは後付けデバイスが徐々に増えてきている。情報家電の普及もスロースタートだったが、技術基盤が確立してきたため今後は次第に増加するだろう。

　富士経済研究所の予測によれば、ユビキタスコンピューティングの市場は、2010年には約9兆円にまで拡大するという。ユビキタスの品目にはBluetoothのほか無線LAN、ホームPNA、PoF、UWB、UPnP、IPv6、IPモビリティー技術、RFID、ICカードなどがあるが、Bluetoothはそのなかでも有望株となりつつある。
　今後のITテクノロジーの主流となる無線技術は、先端志向のエンジニアにとって大いに興をそそられる分野といえよう。

　Bluetooth関連の求人は次第に増えてきている。もっとも、Bluetoothは無線通信方式のひとつであり、それに限定した求人はそれほど多くない。
　リクナビＮＥＸＴでは「ブルートゥース（Bluetooth）」での検索が一般的だが、より積極的に動きたい場合は、技術的に関連性の深いRF、無線LANを手がけている企業を検索し、Bluetoothを手がけているかどうかを直接調べるのも手だ。
　また、自動車部品メーカー、タイヤメーカー、カーオーディオメーカーなど、自動車関連分野でも、独自にBluetoothのためのエンジニアを募集するケースもある。

　求められるスキルは無線技術が主。既存のIEEE802.11bやRFIDなどの通信アーキテクチャーに携わったことがあれば、スムーズなコンバートが可能だろう。ハードウェアでは無線LAN、W-CDMAなどの、無線半導体の経験は転職に有利。
　あるいはDWDM、POS、DSLAM、MPEG、RTOSといった通信半導体および回路の経験があり、かつ無線の基礎知識を有しているエンジニアも採用されやすいだろう。

　ソフトウェアではBluetooth機器への組み込み系とデバイスドライバ開発が主。C言語による単純なプログラム書きではないため、C++、VC++、Linuxなどの組み込み言語を、最低ひとつはマスターしていることが最低要件といえる。
　ユビキタス社会の実現に不可欠な無線ネットワーク技術。今後の普及が確実視されるBluetoothに、無関心なネットワークエンジニアはいないはずだ。いち早く自分のスキルとすることで、新しいステップが見えてくる。