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本当に自分を必要としているポジションがある

人材紹介会社でコールセンターノウハウの価値を知ったK・Hさん(27歳)

技術サービス会社に就職し、最初に出向した企業でネットワークのスキルを身につけたK・Hさん。ところが次の出向先では単純な運用業務(ディスパッチ作業)ばかり。このままではスキルが伸びないと危機感を抱き、人材紹介会社に登録したところ……
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/山田せいめい)作成日:04.04.28

キッカケ編
スキルアップの意欲を転職で満たしたい

出向先でコールセンター構築スキルを学ぶ

 出向先が違えば、与えられる仕事も違っていた。この夏まではコールセンターの分野では世界でもシェアの高い米ネットワーク機器のメーカーの日本法人に出向し、販売代理店の技術サポートを任されていた。
 この装置をベースにコールセンターシステムを構築するサポート業務であり、ネットワーク技術に加えてコールセンター業務に関する幅広い知識を身につけられる。仕事にも意欲的に取り組めた。

毎日変わることのない作業。このままでは成長できない……

 ところが今回の出向先である米コンピュータメーカーの日本法人で任された業務はネットワーク監視システムのディスパッチ作業。毎日変わることのない作業。明日も、明後日も同じに違いない……。運用上は重要な業務だとは思うが、エンジニアとしての醍醐味はまったく感じられない。ここ最近、新たに覚えた技術もまったくない。この業務が続くかぎり、エンジニアとしての成長は停滞したままだ。転職でもしなければこの状況から抜け出せない、そんな気分が支配し始めた。

PROFILE
コールセンターソリューション企業
ネットワークエンジニア
K・Hさん(27歳)

2000年に地方国立大を卒業。専攻は物理。もともとパソコンを操作することが好きだった。新卒1年目は教師になることを目指して学習塾の講師に就くものの、途中から就職活動を再開。
2001年、フィールド業務を代行する技術サービス会社に就職。2003年1月より現在の会社に。
K・Hさんの転職活動DATA
前勤務先 技術サービス会社
ネットワークエンジニア
転職した時期 2003年1月
活動期間
(決意〜内定)
約2カ月
転職理由 エンジニアとして自分を伸ばせる仕事がしたい
会社選びで優先したこと 長期的視野に立ってスキルアップできる環境があること
実際に応募した社数 2社
内定社数 1社
落ちた社数 1社
辞退した社数 0社

応募からの日数
 A社:ネットワーク機器メーカー
 B社:大手出版社系コールセンターソリューション企業
 
A社
B社
1次面接
7日
7日
(内内定)
2次面接
14日
14日
内定
(不合格)
(内定)

転職準備編
自分の市場価値を上げるために資格取得に奔走

自分のスキルの棚卸しをしてみる

 さて、自分にはどんな市場価値があるのだろうか。転職活動の際に自分をアピールできるスキルを整理してみた。Solarisを扱っていたのでSUNのSCNAとSCSAは取得済みだった。件のネットワーク装置など、ハードの知識も多少は身についていた。

 でも、これだけでは心もとないような気がする。CCNAやオラクルマスターなど、はやりの資格も取っておかなければならないような気がする。転職が先か、資格取得が先か。とにかく今のポジションから抜け出したい。転職活動と資格取得の勉強を同時並行で進めることにした。

ネットワークにかかわる仕事で、志望企業の絞り込み

 やはり自分はネットワークにかかわる仕事を通してスキルを高めていくべきだという結論に達した。まず給料に関しては、下がらなければ良しとした。まだまだ仕事を通して勉強したいという気持ちでいっぱいだったからだ。勤務地は東京近辺。有名企業であることにもこだわった。出向続きで長期的にスキルアップのビジョンが描けない今の会社に嫌気が差していたからである。そして日本企業が良いと漠然と思った。出向先における日々の業務を通して、外資系はドライだと感じていたからだ。

活動編
異なる人材紹介会社から同じ企業を紹介された

転職活動スタート、しかし最初の面接は……

 さっそく転職サイトにエントリーした。すぐに説明会の案内メールが送信されてきた。著名ネットワーク機器メーカーのA社だった。相手にとって不足はない。入社できるとすれば、満足度は高い。以前は同様な企業から業務委託を受けて働いていた立場。今度は本体の社員となる。意欲を持って説明会に臨んだ。

 説明会の直後に1次面接を受けた。あがってしまって自分でも何をしゃべったか覚えていない。1週間後に2次面接があったが手ごたえはなかった。その1週間後、やはり不合格メールが届いた。
 自信喪失までにはならなかったが、少し不安になってきた。CCNAを早く取ろう……資格取得が何よりの打開策のように思えた。

人材紹介会社2社から同じ企業を紹介される

 資格取得の勉強に励む一方で、公募に頼るだけでは間口が狭いと思い、人材紹介会社ルートも活用してみようと思い立った。すぐに紹介会社C社、D社、E社の3社にエントリー。登録直後にC社のエージェントから紹介候補企業のリストが送られてきた。その中には夏までの仕事で取引関係にあった企業も含まれていた。さすがに紹介してもらうのはためらわれた。

 登録より1週間ほど過ぎたある日、C社のエージェントから「Kさんにぴったりの企業が紹介できそうです」とのメールが届いた。帰宅後、C社に電話して詳細を聞いた。
 紹介してもらうのは某大手著名企業を親会社に持つ、コールセンターソリューション、ダイレクトマーケティングソリューションの提供を専門とするB社。親会社のコールセンター業務を代行し、システムの構築と運用も手がけている。さらに外販事業も積極展開している企業だ。そのシステム部門の紹介らしい。

 B社の評判がどのようなものだろうと自分なりに調査した。あの“2ちゃんねる”で悪い噂が立っていないかまで調べた。問題はなさそうだ。
 ここでびっくりすることが起きる。相次いで人材紹介大手のD社からもB社を紹介されたのだ。よもや同じ会社を紹介されるとは思ってもみなかった。B社とはよほど縁があるのか。それともよほど募集意欲が高いのか。しばらく考えてひとつの結論に到達した。

 そうか、業務ノウハウが評価されたのか。確かにコールセンター業務のノウハウも夏までの仕事を通してけっこう蓄積している。もちろんネットワーク構築技術がベースにあってのことだろうが、自分のアピールポイントとして技術スキルばかり考え、何より資格取得が近道だとばかり思っていたので、ちょっとした驚きだった。

入社の意識が高まる

 B社を紹介してもらうのは先に連絡してきたC社にした。11月も半ばとなったある日、さっそく面接の機会が整えられた。向こうからは情報システム部門の部長と副部長、課長が出席。今までどんなことをしてきたのか、どんなことができるのかを一通り聞かれた。こちらからもネットワークとセキュリティー技術をやりたいとの希望を伝え、その後は通信業界全般の話題や大学時代の話など和やかな会話が進んだ。そして、最後に一緒に頑張ろうと言われた。かなりの好感を持った。

異動の内示が出たが、不信感も……

 転職活動を感づかれた訳ではないだろうが、上司よりねぎらいの言葉と異動の内示をもらった。「気の進まない仕事をさせて申し訳なく思っている。1月からの仕事はやりがいが大きいはずだ」と。  内容を聞くと確かにうなずける部分がある。出向先は現在の企業と変わらないのだが、米国本社の技術部門と日本法人の間で先端技術の橋渡しを行う役だ。本当なら刺激的な業務だ。だが不信感がぬぐえなかった。相手から見れば出向で来ているエンジニア。ひとつの駒として使われるだけなのではないか。反対にB社は正社員採用。自分の会社のシステムを見るほうが落ち着いて挑める気がした。

入社を決めた職場見学

 1次面接から1週間後、B社の総務との面接があった。仕事内容は前回の面接で確認済み。事実上の内定をもらっていたこともあり、条件面の提示がメインだった。給料は現在の1割弱増。まずまずというところか。もう、ほとんど入社の意志を固めていたが、最後の最後でわずかに残っていた不安を払拭したいと思い、職場見学をさせてほしいと申し出た。

 B社からもどうぞとばかり案内された。そして一気に入社意欲が高まった。何面ものブースがあり、1フロア200人規模のオペレータが業務を遂行している。マシンルームも広大で、設備も申し分ない。この巨大なコールセンターシステムを運用管理するとともに、絶え間ない構築作業が続く。さらに他社にもソリューションとして展開していく。そんな仕事のスケール感がストレートに伝わってきた。お礼を言ってB社を後にしたとき、心が晴れていた。

 翌日、正式にB社に入社の希望を伝えた。その直後に上司に退社の意を伝えた。残念がられた。でも動きだした歯車を、もう止めることはできない。新年からの仕事に思いを馳せた。
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