キャパシタ／「作り置きのできる電気」を実現させる

電気は作り貯めできない――この常識を覆す夢のテクノロジー、キャパシタ。太陽電池、風力発電の蓄電、
電気自動車やモバイルデバイス向け二次電池の代替など、膨大な潜在需要がある。
この夢の技術をモノにして、エネルギー革命に名乗りをあげてみないか。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:04.01.14

　電気を一時的に蓄えておくためのコンデンサ、別名キャパシタ。ちょっと複雑な電子回路には必ずといっていいほど使用され、また微細なものはLSIに組み込まれており、エンジニアにとってはおなじみのパーツ。このキャパシタが今、環境技術に欠かせない重要技術として、世界で注目されている。

　キャパシタは従来、せいぜい補助電源にしか使用できなかった。それが電気二重層コンデンサ、すなわちウルトラキャパシタのように蓄電容量の大きいものが考案され、二次電池への置き換え需要への期待が高まっている。
　充電にかかる時間が二次電池に比べてきわめて短時間で、放電ロスもほとんどないことが最大の特徴。容量を拡大できれば、太陽電池や風力発電で発生させた電気を貯蔵する手段にも使える。「電気は作り置きができない」という現在のエネルギー供給の常識を、根底から覆す可能性があるのだ。まさに「夢の技術」といえる。

　研究開発はまだ途上で、開発の方向性もまちまちだが、すでに電気自動車や鉄道で実証実験が行われるなど、ブレイクスルーへの挑戦が続いている。2010年には3000億円市場を形成するという試算もあり、将来性が大いに期待されている。

　リクナビＮＥＸＴで「キャパシタ」をキーワードに検索すると、3件がヒットする（12月17日現在）。先ごろキャパシタを搭載したハイブリッドトラックを発表した大型車メーカー、ポリマー関連の独自技術で知られる多国籍化学メーカーの名が上がる。
　キャパシタは自動車、電気、金属、化学、重工など、すでに多くの分野の企業が研究開発を手がけており、求人も少なくないので、リクナビNEXTなどで常に最新の求人情報をチェックしておきたい。

　スキルとしては化学、材料系が中心。キャパシタの中身である電極や電解質の研究もさることながら、セルの密封性向上のための樹脂開発など、通常のコンデンサと比べた技術の間口は比較にならないほど広い。

　また、高性能キャパシタに実際に電気を蓄えるには、高容量の電源供給回路などが必須で、回路設計や制御系のスキルを持つ人材は歓迎される。キャパシタ開発は燃料電池、ハイブリッドシステム、自然エネルギー発電などとの関連性も深く、開発に携わりながらこれらのシステムを本格的に勉強することもできる。意欲的なエンジニアには魅力の尽きないジャンルである。

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