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コミュニケーションの要は「聴き方」にあり

コミュニケーションに関するビジネス本を約20冊も出されている、 コミュニケーション総合研究所代表理事の松橋良紀さん。そんな松橋さんに「コミュニケーションの極意」についてお話しいただくこのコーナー。第4回目は「聴き方」についてです。今回は、具体的なスキルについてお話しする前に、「聴き方がコミュニケーションにおいて、いかに大切か」についてお話しいただきます。

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「話すのが苦手なんです」

「コミュニケーションをどう築けばいいのかわからないんです」

このように、コミュニケーションに対して苦手意識を持っている人はどんどん増えているように感じます。その証拠に、コミュニケーション関連の書籍は数多く出版されていて、私への執筆の依頼もコミュニケーションが苦手な人向けのものばかりです。

 

このように、「コミュニケーションに苦手意識を持っている人」は、ある大きな勘違いをしている場合が多いです。

それは、しゃべりを磨くこと、自分が伝えることにばかりエネルギーをかけていて、「聴き方」にまったくエネルギーをかけていないことです。

 

私は普段、コミュニケーション力向上のために様々な研修を行っていますが、コミュニケーションが苦手だと言う受講生にこんな質問をすることがあります。

「話し方が苦手でこの研修に来られたのはわかりました。では、聴き方についてはどうですか?」

すると、こんな返事が返ってきます。

「え?聴き方ですか?それは問題ないですよ。私は話すのが苦手なんで、この研修に参加しにきたんです。聴く方は得意な方です」

研修では、このように答える方に限って、聴き方の実習をしてもらうと、まったく聴けていない…というケースが多かったりします。

話すのが苦手だと思っている人ほど、聴き方の重要性を理解していないのです。

 

ピッチャーが気分よく投げられるかどうかはキャッチャー次第

コミュニケーションはキャッチボールです。

言うまでもなく、ピッチングの技術と、キャッチングの技術の両方の技術が必要です。自分が豪速球を投げることができても、相手が受け取ることができなければ、キャッチボールが成り立ちません。

また、相手の球を受けようともせず、自分の球を一方的に投げ続けようとする人が多いです。自分が投げるばかりでは、これもまたキャッチボールは成り立ちません。

そもそも、キャッチボールをしていて楽しいのは、受けてくれる人がうまいかどうかに大きく影響されます。

プロ野球では、本番前のピッチャーが、ブルペンで投球練習をします。その際に、ブルペンキャッチャーには特別な技術が要求されます。それはキャッチングの際に、「パーン」と乾いた大きないい音をさせることです。「今日は球が走っている」と、ピッチャーに自信を持たせて気持ちよくマウンドに上がれるようにするために、いい音を出して捕球する技術が必要とされています。

ピッチャーが、気持ちよく投げて試合で活躍するためには、キャッチャーの技術が大事ですが、通常の会話も同じです。

話し手が気分よく話せるかどうかは、聴き手の技術次第です。

 

聴くときのリアクションが盛り上がりを決める

あなたは、初対面で話が盛り上がらないという悩みを持っていませんか?

盛り上がらないのは、話題がおもしろくないからと思っていませんか?

実は、話が盛り上がらないのは、話題のせいではありません。それよりも大事なのが、聴く力なのです。

相手が話したくなるような聴き方をしていないのが問題なのです。

あなたが相手に対して興味を持って聴いているように見えるなら、相手はべらべらしゃべるはずです。つまり、リアクションが薄いから、相手の話が盛り上がらないのです。

 

初対面の人が相手なら、あなたは、「この話は、相手が興味を持ってくれるだろうか?」と探りながら話すことがあるはずです。相手も同じように、あなたが興味を持つかどうかを探りながら話をしているのです。

相手が話しているのに、小さなリアクションしか返さなかったら、「この話題には興味がないんだな」と判断するでしょう。

それが続くと、「どうやら私には興味がないみたいだ」と判断して、会話をしなくなるのも当然です。

 

愛想のいい人には気をつけろ!

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様々な会社に営業研修に伺っていますと、次のようなことを言われます。

「うちで扱っている商品は、○○向けなので、気楽にしゃべってくれない人ばかりなんですよ」

こんなふうに、どこでも同じ言い訳を言います。

経営者向けだから話を聞いてくれないとか、経理担当者だから世間話をしても口が重いとか、SE担当者だから理屈ばかり言うとか、いずれにしても、担当者の聴く力が低いだけの言い訳です。

どんな相手でも、突破口はあります。

どんな相手でも、べらべら話し始めてくれるポイントがあります。どれだけしゃべらせることができるかが、コミュニケーション技術の土台となります。

 

私自身は16年間、英語教材や家庭電化製品の訪問販売を経験しました。10,000件を超えるお宅にアポを取って伺うのですが、最初からニコニコ向かいくれてくれるお客様はほとんどいません。

多くは、「今日は絶対に買わないからね!」と最初からケンカ腰で、警戒心のかたまりのような人です。そんな状態から、説明をし始めて1時間後には、「今日は、ほんとにいい商品を紹介してもらってよかったわ!」と、最初の反応はまるで嘘だったかのような対応になるのです。

 

逆に、最初からベラベラしゃべってくれる人の場合、まったく売れない場合が多いです。最初から愛想が良すぎる人は、完全に暇つぶしの人か、よほど断り慣れている人だからです。

感じが良くて、愛想がいい人ほど、調子よく世間話もしながら、最後はスッパリと断ります。

ですから、愛想が悪い人の心を開いて、仲良くなるスキルは、ビジネスでは必須と言っていいでしょう。

初対面の相手であったとしても、べらべらとしゃべりたくなるように、聴く技術を磨くこと。

これがますます今の時代は求められています。次回から具体的なスキルをお伝えしていきますので、お楽しみに。

 

松橋良紀(まつはし・よしのり)

コミュニケーション総合研究所代表理事/一般社団法人日本聴き方協会代表理事/対人関係が激変するコミュニケーション改善の専門家/コミュニケーション本を約20冊の執筆家

1964年生青森市出身、青森東高校卒。ギタリストを目指して高校卒業後に上京して営業職に就くが、3年以上も売れずに借金まみれになりクビ寸前になる。30才で心理学を学ぶと、たった1ヶ月で全国430人中1位の成績に。営業16年間で、約1万件を超える対面営業と多くの社員研修を経験する。2007年にコミュニケーション総合研究所を設立。参加者が、すぐに成果が出るという口コミが広がり出版の機会を得る。NHKで特集されたり、雑誌の取材なども多く、マスコミでも多数紹介される。

約20冊で累計30万部を超えるベストセラー作家としても活躍。「コミュニケーションで悩む人をゼロにする!」を合言葉に奮闘中。

 

著書

「あたりまえだけどなかなかできない聞き方のルール」(明日香出版社)

「相手がべらべらしゃべりだす!『聞き方会話術』」(ダイヤモンド社)

「人見知りのための沈黙営業術」(KADOKAWA)

「何を話したらいいのかわからない人のための雑談のルール」(KAODOKAWA)

「話し方で成功する人と失敗する人の習慣」(明日香出版社)

公式サイト http://nlp-oneness.com