【自分の人生を事業化する】転職時に活用できるマッキンゼー流フレームワーク

「世界最強のコンサルティングファーム」と称されるマッキンゼー。そのマッキンゼーの在籍年数は、平均3~5年といわれており、その後、さまざまな事業会社で経営やマネジメントに携わる人が珍しくない。
入社3年目といえば、通常の企業なら、ようやく自分の役割を与えられる頃。そのタイミングでマッキンゼーの社員は、経営者やマネジメント層としての能力を携えているとも言える。もともとのポテンシャルの高さもさることながら、新人のうちに一生使える仕事力を養えるのが、マッキンゼーの大きな魅力だ。

 

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ベストセラーとなった著書『マッキンゼー流 入社1年目 問題解決の教科書』(大嶋祥誉著/ソフトバンククリエイティブ)によると、同社には独自に築き上げた新人研修プログラムがあるという。そのプログラムの中では、先の見えない状況、正解のない問題に対して「さまざまな事実と情報から自分ならどうすべきか」という答え(具体案)を見つけ出すトレーニングが徹底して行われる。このプログラムの中で学ぶフレームワークは、ビジネスシーンだけではなく自分の人生を切り拓くことにも大いに役立つという。
人生を切り拓くことのひとつに転職という選択肢があるが、今回は同書の中から、特に転職活動に役立つフレームワークをふたつ紹介する。

【フレームワーク1】ビジネスシステム…自身の改善点や強化すべき点を見直す

ビジネスシステムとは、事業を行ううえで必要な要素を機能別に分けて、連続した流れにまとめたフレームワークだ。ヒト・モノ・カネ・情報・技術などのインプットをおこない、アウトプット(製品やサービスなど)として形になるまでの流れ(フロー)を順にステップで刻む。「転職」を考える際も、このビジネスシステムを利用して、その時々に応じてやるべき行動を整理しておくと、あとから改善点や強化すべき点を発見しやすい。

転職活動のケースをビジネスシステムにあてはめると、以下のようなかたちになる。

1.研究開発
自分の経験・スキルの棚卸し
2.商品企画
自分のやれる仕事・転職してやりたい仕事の分析
3.マーケティング
経験・スキル・強みを生かせる業界・企業のリサーチ
4.営業企画・プロモーション
履歴書や職務経歴書の作成
5.営業
希望企業に応募・面接を受ける
6.受注活動
条件面などのすり合わせをする
7.顧客サービス
入社後にやるべきことの準備をする

このように、「転職」をひとつの事業と捉えて、ビジネスシステムのフレームワークにあてはめてみると、問題が生じているステップだけでなく、その前のステップに戻って、やるべき要素を抽出することが可能だ。
たとえば、「5.営業…希望企業に応募・面接を受ける」の段階で、自分の強みをうまく面接官に伝えることができなかったとする。その場合は「1.研究開発…自分の経験・スキルの棚卸し」や「3.マーケティング…経験・スキル・強みを生かせる業界・企業のリサーチ」を重点的に見直せばよいことに気づく。もし、ここに改善点がありそうなのであれば、それまでとは違ったやり方を試みるのもよいだろう。たとえば、メンターやキャリアアドバイザーなど第三者の目を入れることで、それまで見落としていた経験やスキルに気づけるかもしれない。ひとつひとつのステップを刻み、そのやり方を見直すことができれば、改善点や強化すべき点にいち早く着手できる。

f:id:w_yuko:20141120110621j:plain【フレームワーク2】3C…戦略を発案する

3Cとは、顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)のCで始まる3つの要素の頭文字をとったフレームワークで、マッキンゼーが最初につくりだしたといわれている。3Cを使うことで、外部環境の市場と競合の分析から成功するための条件を見つけ出し、経営化の発見や戦略の発案などに活用できる
転職活動においては、顧客(企業/採用者)、競合(他候補者)、自社(自分)となるわけだが、たとえば、自分では「高い営業実績を残してきたことが強み」と考え、転職先企業にアピールしても、相手が「顧客とのコミュニケーション能力」を重視していたとしたら、その時点でミスマッチだ。それなら、営業実績を前面に押し出すより、顧客理解のプロセスに力を注いだことをアピールして、その結果として営業実績にもつながったというストーリーを掲示したほうがよい。

また、事前に自分と同じタイミングで面接を受ける他候補者をリサーチすることは難しいが、これまで採用されたひとや逆に不採用になったひとの傾向を事前にリサーチすることで、他候補者の仮説を立てて面接にのぞむことは可能だ。

「3C」のフレームワークは、このように競合や顧客のことも考えて、自分の戦略に客観性を持たせるための基本ツールである。

フレームワーク的思考を行うポイントは、「目の前の問題」ばかりに思考をフォーカスせず、「何が真の問題」というところをきちんと抑えておくこと。そのために「So What(だから何?)」「Why So?(それは、なぜ)」という自問自答をくりかえし、「真の問題」に気づく必要がある。目的を意識しないでいると、時間をかけて考えたことが「本当にやりたいことではなかった」ということになりかねないからだ。
転職に興味はあるけど、どうも自己PRが苦手で自信がない、自分のやりたいことややるべきことが今ひとつ整理できないというひとは、こういったマッキンゼー流のフレームワークをうまく利用し、自分自身をコンサルティングしてみてはどうだろう。

参考:
・書籍『マッキンゼー流 入社1年目 問題解決の教科書』大嶋祥誉著(ソフトバンククリエイティブ)

文:山葵夕子

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