リクナビNEXT 20代男女アンケート調査から見えた 女性がキャリアを広げるための「条件」

安倍政権が推進する女性の活躍支援策を受け、女性の活躍に注目が集まっている。新たに策定される成長戦略においては、女性登用の目標や行動計画の策定、公表の義務化が検討されているほど、女性活躍支援にいよいよ本腰を入れようとしている。一方で、「支援の対象」となる女性ビジネスパーソンは、自身の仕事をどう捉え、今後のキャリアをどのように考えているのだろうか? リクナビNEXT編集部では20代後半の男女ビジネスパーソン1203名にアンケートを実施。仕事に関する男女の意識の差を明らかにすることで、今、女性が現場で感じていることを紐解いていきたい。

2014年6月6日

(調査概要)
調査方法:「リクナビNEXT 若者の働き方に関する意識調査」インターネット上で実施
実施期間:2014年5月24日〜5月29日
調査対象:25〜29歳の男女ビジネスパーソン1203名(正社員・契約社員。男性624名/女性579名)

「業務量」や「会社からの評価」に男女差なし。
しかし「キャリアへの不安」は女性のほうが高い

まずは、現在の仕事について、現状を問う質問を投げかけてみた。
「1日の平均勤務時間・残業時間」について聞いたところ、平均勤務時間は男性が8.91時間、女性が8.75時間とほとんど差はなく、残業時間もそれぞれ1.84時間、1.59時間とほぼ同じだった。また、「会社から評価されていると思いますか?」との問いに対して「評価されていると思う」と答えた人は男性37.3%、女性36.8%と大きな開きはなかった。
男女雇用機会均等法が施行されて28年。昔は性別により業務量や評価に大きな差があったとされるが、現在の20代後半は、性別に関係なく同等に働いていることがわかった。

■1日の平均勤務時間

■1日の平均残業時間

■会社から評価されていると思うか

ただ一方で、気になる回答結果がいくつか見られた。
「自分の仕事や働き方に不安を感じている」と回答した人の割合が、男性が48.7%であったのに対し、女性は58.6%と、女性のほうが高いという結果が出た。また、「今所属している会社で転職を考えたことがありますか?」との問いに「ある」と答えた人は、男性が59.9%、女性が71.2%だった。
これらの結果から、男性に比べて女性のほうが現在の仕事や働き方に不安を持っており、新しい環境に移りたいと考えている人が多いことがわかった。

■自分の仕事や働き方に不安を感じるか

■今、所属している会社で転職を考えたことがあるか

「昇進」に対する考え方も聞いてみたところ、さらに男女の意識の差が明確になった。
「今現在の働き方で、将来どの役職まで昇進できると思いますか?」との問いに対して最も多かった答えは、男性が「部長クラス」19.2%であったのに対し、女性は「主任クラス」19.9%と大きな差がついた。「部長クラス以上」との回答を切り出すと、男性が35.8%であるのに対し、女性は10.8%と、3倍以上の開きが出た。

■将来どの役職まで昇進できると思うか

「今の働き方に不安を感じる」「転職を考えたことがある」、そして「昇進のイメージもわかない」――業務量や評価の男女差はほぼなくなっている一方で、働き方やキャリアに対する意識の差は大きいようだ。


「社内にロールモデルとなる同性がいる」人は男性52.4%、女性37.3%。
ロールモデル不足が女性のキャリア不安の一因か

では、女性が今の仕事にやりがいを感じる条件は何だろうか?いくつかの回答結果から、その糸口が見えてきた。

■会社の中に、働き方やキャリアのお手本となる同性の存在がいるか

「会社の中に、働き方やキャリアのお手本となる同性の存在はいますか」との質問に、「いる」と答えた人は、男性が52.4%だったのに対して、女性は37.3%にとどまった。

一方で、「今の会社で活躍できると思っているか?」との問いに、「思っている」と回答した人は男性37.8%、女性36.7%だったが、その回答者を紐解くと、働き方やキャリアのお手本となる同性の存在がいるほど、「自分も活躍できると思っている」と答えていることがわかった。すなわち、「お手本となる同性の存在がいる」と答えた人が、「今の会社で活躍できると思っている」割合は、男性49.3%、女性47.3%となっている。
また、先の回答で「転職を考えている・考えたことがある」と答えた女性に、「転職に求めることは何ですか?」と聞いたところ、10.7%の人が「同性の社員が活躍している」ことを挙げた(男性は3.2%)。

■自分も会社で活躍できると思うか
(会社の中に働き方やキャリアのお手本となる同性の存在がいる人といない人の比較)

※お手本がいる:「会社の中に、働き方やキャリアのお手本となる同性の存在がいるか」という問いに「はい」と回答した人
 お手本がいない:「会社の中に、働き方やキャリアのお手本となる同性の存在がいるか」という問いに「いいえ」と回答した人

これらの回答から、ロールモデルとなる同性の存在が身近にいることが、今後のキャリアイメージにつながり、「仕事で活躍できるイメージ」の醸成にもつながるのではないかと推察される。

なお、リクナビNEXT編集部では、今年1月に「女性管理職に対する実態調査」を行っているが、アンケートに回答した女性管理職250名のうち70.0%が「管理職になってよかった」と回答し、64.0%が「生まれ変わっても管理職になりたい」と回答している。

このように、自身の仕事にやりがいを持ち、キャリアアップを実現している女性管理職は存在する。政府の女性活躍支援による「後押し」で、イキイキと輝く女性管理職がさらに増えれば、彼女たちをロールモデルとして捉え、キャリアを目指す女性ビジネスパーソンも増えるのではないだろうか。


「生き方を真似したい有名人」の1位は男女ともにイチロー。
女性の回答は「浅田真央」など女性有名人も上位に

今回のアンケートでは、「キャリアを含めた生き方を真似したい有名人」についても質問し、実際に名前を挙げてもらった。
その結果、男性ビジネスパーソンが選ぶランキング上位は「イチロー」(125票)、「孫正義」(24票)、「所ジョージ」(20票)。女性ビジネスパーソンが選ぶランキング上位は「イチロー」(43票)、「浅田真央」(27票)、「松下幸之助」(16票)となった。
男性の回答ではイチローがダントツ1位で、2位と100票以上の差をつけたが、女性の場合は2位以下との票差は少なく、回答も割れた。また、女性の回答ベスト10には女性有名人が7名ランクイン。自分の道をストイックに追求しながら輝き続けている浅田真央さん、自然体のライフスタイルが人気で結婚・出産後も自分らしくイキイキ働いている長谷川潤さん、梨花さんなどが支持されている。

EDIT
伊藤理子
DESIGN
マグスター