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ディレクター、エンジニア、デザイナー……求められる人材って? 1位はイチロー!「理想の開発チームメンバー」を調査
エンジニアにとって、非常に大きな存在である「プロジェクトチーム」。プロジェクトを成功させるためには、チーム内の各メンバーが役割に応じた活躍をすることが必要不可欠だ。今回はプロジェクト成功のための理想のメンバーについて考察してみた。
(総研スタッフ/山田モーキン 撮影/モーキン山田・三浦健司 イラスト/駒見龍也)作成日:12.09.20
ITエンジニア100名に聞いた、理想のプロジェクトチームメンバーとは?
今回、100名のIT・ソフトウェア系のエンジニアに、理想のプロジェクトチームのメンバーについて「一般有名人」「IT・技術系の著名人」の2つのカテゴリーに分けてそれぞれ質問した。
まず従来の常識を超越して、理想のプロジェクトチームに入ってほしい一般有名人の結果がこちら。
1位 イチロー 2位 中田英寿 3位 落合博満
・「独自の考えを持っている」
・「なんでもそつなくこなせそう」
・「常に自分のコンディションを最高
 に整えている」
・「職人気質が感じられる」 etc.
・「センスや行動力がある」
・「理論的に自分の考えを説明する
 ところ」
・「HPなどが充実している」
・「自分の考えを持っていて、なおか
 つ固定概念に捉われていない」
・「良くも悪くも常に冷静沈着で、プ
 レーヤーに責任転嫁しない」
・「感覚を言語化できる」
・「柱がぶれない」
というように、上位は全て現役&元プロスポーツ選手。他にも
・古田敦也 「データ重視」
・長友佑都 「攻守共に考え、システム的に動く」
・為末大 「科学的トレーニングを取り入れ、その効果を論理的に理解しているため、合理的な設計をしてくれそう」
・星野仙一 「組織を厳しく管理し、正しい方向に導いてくれそう」
・羽生善治 「将棋とプログラムには親和性がある気がする」
またスポーツ選手以外の有名人で挙がったのは、以下の方たち。
・所ジョージ 「独創的な発想」
・タモリ 「理論的で落ち着いている」
・池上彰 「物事をいろんな角度から見ている」
・ロザン宇治原史規 「頭の回転が早く、状況把握が正確」
・中川翔子 「奇抜なセンス」
・有吉弘行 「着眼点が素晴らしい」
・阿部寛 「物事を理論的に構成するのがうまそう」
・バナナマン設楽統 「客観的視点に基づく分析力が高く、他者を納得させる力を持つ」
・マツコデラックス 「マイナス要素についてもハッキリ発言してくれるところ」
・ロンドンブーツ1号2号田村淳
「好き放題発言する大勢の芸人をまとめつつ、満遍なく一人一人の芸人の持ち味を生かしたフリができるので、うまくプロジェクトを進めてくれそう」
比較的お笑い芸人の割合が多かった。どの有名人も独創的なアイデアの持ち主であったり、また物事を冷静に分析できる能力を持つ。そういった人が理想のプロジェクトを成功させるために必要不可欠であると考えられているようだ。
続いて、アンケートで複数の人達から挙がった、技術系の著名人による「理想のプロジェクトチーム」の結果がこちら。
「もしこの人が…」 「このポジションだったら…」
及川卓也 PM
理由
今日本でナンバーワンサイエンティストだから
プロジェクトの目的
新しいOS
リーナス・トーバルズ プログラマ
理由
Linuxのような堅牢で拡張性のあるシステム構築のすべを知りたい
プロジェクトの目的
スマートフォン向けOS
孫正義&まつもとゆきひろ PL&プログラマ
理由
発想がすばらしい(孫) センスがいい(まつもと)
プロジェクトの目的
世界に通用するSNS
久多良木健&岩田聡 ハードウェア&ソフトウェアエンジニア
理由
設計思想が秀逸(久多良木) コードが洗練されている(岩田)
プロジェクトの目的
汎用性が高いモバイル機器
仙石浩明&山本和彦 PL&プログラマ
理由
二人とも技術力やマネジメント力に定評がある
プロジェクトの目的
革新的なデータ転送制御プロトコル
和田卓人&ひがやすを&makotan&木村聡 PM&PL&プログラマ
理由
社長としてリーダーシップをとりながら自らプログラマとしてテスト駆動開発を進めるバランス(和田) 将来を見据えた進路決定ができる人だから、プロジェクト成功に導きそう(ひがやすを) ワークフローエンジンの開発等業務システムに汎用的に使えるシステムの考案から実装までできる(makotan) 持っている技術はすごいのにそれをわかりやすく人に伝える力がある
プロジェクトの目的
銀行や証券といったバグが許されない、24時間稼働の基幹システム
どれも実現すれば、夢物語ではなく本当に世の中に大きなインパクトを残すシステムやサービスを生み出す可能性を感じさせてくれるメンバーばかりだ。
ディレクター、フロントエンジニア、デザイナーが語る「理想のプロジェクトチームとは?」
理想のプロジェクトチームの条件、それは人によって、また立場によってさまざまな考えがあるだろう。そこで次はひとつの理想の形を明らかにするため、ユニークかつ斬新なアプリやサービスを開発する企業として有名な面白法人カヤックの協力の下、3名の社員(ディレクター、フロントエンジニア、デザイナー)による座談会を開催。3つのポジションそれぞれに対して普段から抱いている思いや要望を話してもらいながら、理想のプロジェクトチームの姿を探ってみたい。
「理想のプロジェクトチーム座談会」参加者
杉政さん ディレクター
主にクライアント案件を担当。ディレクターでありながら、顧客交渉や予算・人員管理等企画営業やプロデューサー的役割も担う
写真左から杉政さん、比留間さん、林さん
比留間さん フロントエンドエンジニア
HTMLやJavaScriptによるフロントエンドのWebサービス・アプリの開発を担いつつ、「HTMLファイ部」というエンジニアチームのリーダーも兼ねる
林さん デザイナー
カヤック創業初期からのメンバーで、アートディレクターとして制作に携わる一方、最近では事業部の人員管理、各プロジェクト進行や品質管理等を取り仕切る重要なポジションで活躍
理想のディレクターとは?
杉政 ディレクターにとって重要なのは「場づくり」だと思います。チームメンバーが気持ちよく仕事を進めてうえで、一人ひとりの表情や雰囲気が大きく影響することも大きい。だからチーム内でのコミュニケーションは重視していますね。
比留間 エンジニアの立場からすれば、その雰囲気づくりにとってディレクターの存在は大きいと感じます。特にプロジェクトのテーマやこれから開発するプロダクトについてディレクターがエンジニアに説明する時、いかに楽しそうに語っているかが僕たちのモチベーションに大きく影響しますから(笑)。プロダクトに愛情や熱意を持っているディレクターがいれば、「いいものをつくってやろう!」という気持ちも自然と湧きますしね。
杉政 ただ仕事ですから、いつも楽しいだけのプロジェクトとは限りません。重要なのはチームの雰囲気ですから、厳しい内容でも「楽しそうにしていること」が大事ではないかと。それによってメンバー全員が「自分から積極的に動かないとこのプロジェクトは成功しない」とどれだけ本気で思ってもらえるか。それがディレクターの役割だと思いますね。
デザイナーやエンジニアが、それぞれのモノづくりに対して集中できる環境づくりをディレクターがどれだけ本気で取り組んでくれるか?そうすれば自ずと積極的に取り組むし、プロジェクトが活性化されていくんだと思いますね。
理想のエンジニアとは?
杉政 エンジニアからプロジェクトに対する具体的なアイデアがどんどん出てくるのが理想ですね。もちろんディレクターとして企画を出したりまとめたりしますが、エンジニアの視点でなければ出せない、面白いアイデアも多くありますし。
比留間 うちのヒットサービスである「koebu」もそのひとつ。元々、音声技術を個人的に研究していたエンジニアから、この技術を使ったネット上のコミュニケーションができないか提案したのがきっかけでした。
そうしたら社内でどんどん盛り上がって、ウグイス嬢をしていた社員が「私の声を聞かせたい!」と言いだしたり(笑)。リリース後も実は声優を目指しているユーザーが多く利用してくれたり、予想外の広がりを見せましたね。
比留間 特にうちのエンジニアはみんなつくることが好きで、仕事と全く関係ないものを、時間を見つけてつくっています。そこである時、エンジニア発信で何かやれないか?と思い、今では定期的に社内で自分の開発テーマに関する公開プレゼンを行っています。
杉政 一般的にエンジニアの方は、せっかくいいテーマに取り組んでいるのに、自分からアイデアを発信しないことで結果的に個人も会社もチャンスを逸しているケースもありますから、公開プレゼンのような取り組みは歓迎ですね。エンジニアにはとにかく新しい技術に挑戦してほしいし僕の経験則として、成功したプロジェクトにはエンジニア発のアイデアが取り入れられていることが多いです。
理想のデザイナーとは?
これはデザイナーだけの話ではありませんが「会社のブランドをデザインしていく」という認識を持っているか?というのも重要だと思います。デザイナーは様々なアイデアを現実的な形として表現していく、とても重要な役割。だからクライアントの意向やチーム内部の意向、そのすべてを正しく認識した上で、さらに自分なりのアイデアを加味してデザインしていくことが求められると思いますね。
杉政 そういう意味では、みんなの話を正確に理解できる「読解力」が、ことデザイナーには求められるかもしれません。
それに加えて当社の場合、デザイナーも時としてクライアントを訪問するケースもありますから、クライアントのニーズをヒアリングする能力も必要ですね。
比留間 あとデザイナーには、ある程度の技術的な知識は理解していてほしいですね。打ち合わせをしても最初から何を言っているのか全く分からないような対応をされてしまうと、こちらもどうにも対応できませんし……。
それならデザイナーからエンジニアに対しても「基本的なデザイン知識は理解していてほしい」と声を大にして言いたいです(笑)!いきなり「そのコード読んでおいて」のひと言で済まされたら、それこそどう対応していいのか(笑)。説明一つにしても「少しでもわかりやすく伝えよう」とする、相手に対する気遣いが重要なのでは?
比留間 そうですね(汗)。エンジニアもデザイナーもそれぞれ、お互いの立場に対して思いやりを持って対応していく必要がありますね。
杉政 立場は違えど同じ「Webクリエイター」であるという共通認識を持った上で、それぞれの得意領域で切磋琢磨してもらえると、ディレクターとしてもプロジェクト全体としてもとてもいい方向に進んでくれると思います。
理想のプロジェクトチームとは?
最後に3人を代表して、林さんにカヤックにおける理想のプロジェクトチームについて話してもらった。
「共通のゴールイメージを持ち、それぞれの役割や得意分野をメンバー全員が共有していることがひとつの条件だと思います。どんなに優秀な人でも、プロジェクトの目的に沿った役割にマッチしてなければ、決して力は発揮できませんし、結果も伴いません。
仮にその人が得意でない領域でも事情により対応しなければならない場合、その事実を最初からチーム全員が認識していれば、全員でフォローしたり他のメンバーをアサインすることもできますよね。
またプロジェクトの目的によっても、チームのあるべき姿は変わってきます。当社では、プロジェクトは主に1.クライアント発注によるキャンペーン制作 2.自社開発アプリ・サービスの開発・運営の2つに大別できます。1.に関してはクライアントの戦略・ビジョンをメンバー全員が深く認識することが重要。期間限定キャンペーンの場合には、チームとしての“瞬発力”をどう発揮させるか、が成功のカギを握ります。自社開発はゼロから形にしていく創造力と、運営しながら育てていくチームワークが求められます。
それぞれの目的をメンバー全員が認識し、目的達成のために自分に何ができるのかを考え、行動に移していく姿勢をもっていることが、理想のプロジェクトチームになっていくんだと思います」
イメージが全く湧かない!? まつもとゆきひろが語る、理想のプロジェクトチーム
今回の企画にからめて、「Ruby」開発者として有名なまつもとゆきひろ氏にも「理想のプロジェクトチームとは?」というお題についてご意見を伺ったのだが、こちらの想像をはるかに超える!?お答えをいただいた。
その一部をご紹介しよう。
「理想のプロジェクトチームは?」というお題をいただいたんですが、正直な話、全くイメージが浮かばないんです。その理由は、これまでいわゆるチームに属して開発やプログラミングをした実務経験が皆無に等しいから(笑)。

でも20年以上のエンジニア人生で一度だけ、プロジェクトチームを率いたことがあります。
ただし僕と、部下の若手プログラマの2人だけのチームでしたが(笑)。
半年の期間であるシステムを開発しなければいけなかったのですが、3カ月納期が遅れてしまうことに。
原因は一向に部下の開発が進まなかったことなんですが、本来それをチェックすべき立場の僕も、彼の「進んでいます」という言葉を信じて放置していたら、期限直前になって全然間に合いそうにないほど遅延していることが発覚して……。
そのとき、自分にはマネジメントやチームに属して仕事をしていくスタイルそのものが向いてないんだと、つくづく実感させられましたね(笑)。
少なくとも僕の場合、自分のペースでプログラミングをしていくスタイルが性に合っているので、おそらくこれからもプロジェクトチームに属することはないんじゃないかな。
まつもとゆきひろ氏
1965年生まれ。筑波大学卒業後、ソフトハウス、CADベンダーを経て、1997年に株式会社ネットワーク応用通信研究所に入社。1993年に「景気が悪くなって空いた時間」でRubyの開発を始め、95年にフリーソフトウェアとして公開する。現在、Rubyのメンテナンスや質的向上には世界中のプログラマが参加している。
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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ 山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
理想のプロジェクトチーム、と言われてみなさんはどんなメンバーが頭に浮かびますか?今回の企画を通して感じたのは、一人ひとりの性格が合う・合わないというよりも、プロジェクトごとに、それぞれの目的を達成するために必要なスキルを持つプロフェッショナルな人をアサインしたい、という思い。つまりそれだけ、自分の関わったプロジェクトを成功させたいという思いの強い現われであり、その志こそプロフェッショナルだと痛感しました。

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