実録 求人魂!知られざるエンジニア採用の舞台裏 Vol.26 |
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年収額&労働時間公表! |
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高待遇なのに低残業、これはエンジニアに限らず多くのビジネスパーソンにとっての理想だろう。今回、毎年社員の平均年収や労働時間を公表してまで、高待遇×低残業であることを主張する企業を紹介。そこにある企業側の意図について探ってみた。 (総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:11.06.16
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【今回の求人魂】 大手SIベンダーにはない顧客メリット優先の姿勢を打ち出し続けた結果、5年連続売上高経常利益率7%超えを達成
今回紹介企業 |
アイティーソリューションズ株式会社(以下ITZ)は1999年に設立された、プロフェッショナル上流SE支援(問題解決、要求分析、要件定義、アーキテクチャ設計など上流業務)と、オープンソースソリューションによるWeb+DB系SI開発および保守のワンストップSIサービスを提供する企業。これまで、大手顧客企業の情報システム部門の多くは、業務システムのSIを大手SIベンダーに依存する構図が長年、続いていた。しかしそうした独占的な状況による弊害も生まれる中、大手SIベンダーにはない「顧客メリット最優先」という姿勢を前面に打ち出すことで、顧客の要望にきめ細かく応えていきたいとの思いでITZは設立されたのだ。 |
【求人背景】好調な業績を背景に昨年、100名体制を可能にする新オフィスに移転。受け入れ態勢は万全
アイティーソリューションズ株式会社
代表取締役社長
高山明直氏
このように好調な業績を維持しているITZ。その理由について同社代表取締役社長である、高山明直氏はこのように語る。
「先ほどご紹介していただいたように、当社は大手SIベンダーにはない、徹底した顧客視点に基づいたサービスを提供するために立ち上げた企業。その中で、当社のポリシーがあります。それは『ソリューション志向』『上流志向』『プロフェッショナル志向』『プライム志向』『SE中心主義経営』の5点。中でもエンドユーザ企業との直契約・元請けにこだわることで、顧客が求める質の高いサービスを提供していくことにこだわっているのです。その結果、現在では95%以上がエンドユーザと直接取引しています。このように、顧客志向でハイクオリティな上流サービスを提供していく姿勢を貫いた結果として、現在の業績に結びついているのだと確信しているところです」
その流れで昨年、新たに100名体制のチームを作れる新オフィスに移転。現在40名強の社員数を今後、大幅に増やしていくことで、より大規模なプロジェクトを直請けできる体制に持っていこうとしている。
【求人魂1】SE中心主義経営を証明するために、平均年収&労働時間など経営データを毎年公開!
こちらがITZのサイト内で公表している経営データ項目ページの一部
先述した5つのポリシーの中にある「SE中心主義経営」。それもまた、同社が好業績を挙げている大きな理由のひとつだ。
「業績を上げるためには、顧客に信頼される質の高いサービスを生み出す優秀なSEが必要。そこで当社では『SE中心主義経営』と打ち出し、例えば明確で公正な人事考課制度であったり、頑張った分だけ高い報酬として還元できる態勢であったり、当社で活躍するSEをできる限りサポートしていく体制作りに力を入れています。その結果、これまで多くの優秀な人材を採用できたと考えています」
しかし「SE中心主義経営」を打ち出す企業はほかにも多くある一方、実際どの程度のレベルまで取り組んでいるのか、具体的な成果が見えないケースも多く、その点に対して不信感を募らせているエンジニアも多いのが事実。そこでITZでは、「SE中心主義経営の証拠」として数々のデータを自社サイト(http://www.itsol.co.jp/recruitment/dataview.html)で公表している。
例をあげると「売上高」「経常利益」「技術者1人当たり平均年間売上額」といったものから、「平均年収」「インセンティブ実績」「平均賞与倍率実績」「平均月間労働時間」といった項目まで、過去5年間の実績をすべて公表しているのだ。
「特に大手に比べ、当社のような知名度の低いベンチャー企業の場合、当社のことを理解してもらうにはこれくらい正直にデータを公表するべきだと思います。また公表することで、当社の魅力を最大限アピールできる絶対の自信があるから、今後も可能な限り公表していくつもりです」
【求人魂2】採算管理を直接行うことで優良案件を獲得することが、高待遇×低残業の秘密
上流SEとして活躍するメンバーのみなさん
公表されている数々のデータを眺めていると、気になるデータがある。それは「年収と勤務時間」の関係だ。例えば2010年度の平均年収が約660万円なのに対し、平均月間労働時間が約172時間。つまり1日8時間労働×月間20日勤務とした場合、月の残業時間は12時間と、1日平均にすれば1時間弱の残業しかないことになる。年収だけを見れば正直なところ、驚くほどの高年収というわけではないが、勤務時間との兼ね合いで見た場合、この数値は注目に値する。その理由について、高山氏はこのように語る。
「ひとつは先ほど触れたように、当社のエンドユーザ取引率がほぼ100%であるということ。それによって自然と顧客と密接な取引ができる上、経常利益ベースで単価を設定したり、間接人材を少なくすることで利益を生み出す独自のビジネススキームを構築できていることが、結果的に優良案件を生み出しているのです。そのため、社員に対しても無理なスケジュールやコストを押し付けるようなプロジェクトにはならないため、低残業でも高収入を維持できる大きな理由だと考えます。
ほかにも、当社にはプロフェッショナル上流SE支援など、付加価値の高いソリューションSIビジネスを提供していることで顧客から高い評価をいただいていることも、インセンティブや賞与も含めた、高年収という形で社員に還元できる理由です」
【今後の展望】コンサルファームとは違う、システムのグランドデザインを描ける「上流SE」を社長自ら積極的に採用していく
上流SEならではの仕事の魅力について語る高山氏
今後も積極的に採用していくITZが求める人物像、それは「顧客志向」と「上流志向」の強いSEで、なおかつ「最上流工程に関わる意欲の強いSE」だという。
「当社は今後、経営的に無理のない範囲で5〜6億円規模の大規模案件にも取り組みつつ、顧客が抱える本質的な課題解決を実現する“最上流工程”のフィールドまで乗り込んでいくことで、ITZでなければできないことを提供していくつもりです。そのためには、『プロフェッショナル上流SE支援』&『Web+DBアプリ開発』の2つの事業を軸に、その中でこれまでのスキルを生かしつつ、私たちとともに最上流工程に乗り込んでいく気概を持った方を採用していきたいですね」
また実際の採用に関しては、社長自らレジュメの隅々までチェックし、採用したいと思った応募者に対しては、リアルな年収額を提示していくそうだ。
最後に高山氏から、ITZの上流SEならではの魅力について語ってくれた。
「上流SE最大の特徴、それはシステムのグランドデザインを描ける立場であるということ。顧客に対して提案するだけでなく、実現するための現実的なプランを提示した上で実現に結びつけることができる、それが上流SEとして活躍する大きな魅力ですし、コンサルファームのITコンサルタントには体験できないことだと思います。そんな上流SEの魅力をもっと知りたい方はぜひご連絡ください」
このレポートに関連する企業情報です
★当社は上流工程のコンサルティング・プロフェッショナル上流SE支援と、先進OSSフレームワークを駆使するWeb+DB系ソリューション力を強みとするシステム開発・SIの両輪で、エンドユーザ直取引100%など強固なビジネス基盤を築いています。現在は、大手顧客企業の有名BtoCサイト開発案件を多数手掛けるな…続きを見る
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