
大不況が何だ!逆境転職に成功したエンジニア奮闘記 |
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BtoBからBtoCへ! |
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不況下転職に成功したエンジニアたちを紹介していく連載企画。BtoCのWebサービス開発への思いを強く持ったエンジニアが、Webアプリ開発未経験というハンデをどのように乗り越え、意中の企業に転職できたのか?その秘密に迫ってみたい。 (総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:11.05.10
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業務系アプリ開発者が、BtoCのWebアプリ開発企業に転職できた理由

転職エンジニア
NHN Japan株式会社
テクノロジーセンター WEB開発室
丸山亮氏
3年前にインターネットゲームポータルサイト「ハンゲーム」で有名なNHN Japanに転職した丸山亮氏(32歳)。大学卒業後、独立系のソフトウェア開発企業に就職した丸山氏は5年間、業務系のWindowsアプリケーションの開発に従事していた。しかし開発経験を積んでいくうちに、「もっと自分の開発したシステムやアプリを多くの人に利用してほしい」という思いは日に日に強くなっていく。
そして5年を経たとき、意を決してこれまでのBtoBサービスから、未知の世界であるBtoCのWebサービスを展開している企業への転職活動をスタートした。
しかし丸山氏の前には、これまでのBtoBサービスとは大きく違う、BtoCならではの開発環境やスタイルが大きな壁となって立ちはだかることに。書類選考すら通らない状況が続く中、丸山氏はこれまでとは違うアピールポイントを打ち出すことで、BtoCサービス開発未経験というハンデを乗り越え、意中の企業への転職を勝ち取ったのだ。
大きな壁を乗り越えることができた、そのアピールポイントとは何か?早速、本人に語ってもらおう。
BtoCサービス開発への強い憧れが転職へ。しかしBtoBとBtoCには大きな違いが……

システム開発への関心は学生のころからあり、自然の流れで卒業後、独立系のソフトウェア開発企業に就職しました。VC++やVBなどを中心にした、業務系のWindowsアプリケーションの開発業務に従事したのですが、コードを美しく書くことや開発そのものの面白さを実感することで、気がつけば5年近い月日が経っていましたね。
その一方、プライベートで現在勤務しているNHN Japan「ハンゲーム」をはじめとした、オンラインゲームをプレイするようになりました。ゲームを楽しんでいるうちに、徐々に自分の中である関心が芽生えてきたのです。それは「BtoCサービス」。ゲームに留まらず、SNSのようなコミュニケーションサービスなどのエンタメ系のWeb開発に対して、純粋に楽しそうな印象を受けたんですね。そこでこの先、開発者としてもっと多くの人に自分の作ったサービスやアプリで楽しんで欲しいという思いが日に日に強くなっていきました。
その結果、3年前にBtoCサービスを展開している企業への転職を決意し、早速活動を開始しました。希望条件は2つ。ひとつはもちろん、BtoCサービス(特にゲームやSNSなどのエンタメ系)を展開している企業。もうひとつは前職以上の年収を獲得できること。
転職サイトや人材紹介サービスを活用して、10社程度に応募してみました。
しかしその半数は、書類選考すら通過できないという、予想以上に厳しい結果が待ち受けていました。
その原因を分析してみると、同じアプリ開発というジャンルであるにもかかわらず、これまで在籍していたBtoBと、希望のBtoC、この2つの世界には大きな違いがあったのです。
いかなる状況でも臨機応変に動ける「応用力」を徹底的にアピール!

例えば通信方式の違い。Windowsアプリでは自分のシステム内で通信して解決していくのに対して、Webアプリは通信する相手がいなければ成り立たない。またJavaといった言語の違いや、フレームワークによる開発スタイルなどさまざまな違いがあり、そのすべてにおいて未経験だった私には、改めてBtoBとBtoCの間にある大きな壁を感じざるを得ませんでした。
しかし私は、自分なりにこれまでの経験や知識が本当にBtoCで通用しないのか?再検討してみたんです。そこで見えてきたこと、それはPCやITに対する基礎知識を持っているということ、さらに、これまで多様なプロジェクトを経験してきたキャリアがあるということでした。
前職では客先に常駐して開発するスタイルでしたが、顧客によってVBやJava、オラクルなどさまざまな環境で開発を経験してきた経緯があります。つまりどんな環境でも、臨機応変に対応できる応用力が自分にはあり、それは大きなアピールポイントになると考えたんです。
そこでレジュメや面接で、未経験でも短期間で対応できる実績と自信があることをアピールした結果、NHN Japanに転職することができました。
入社後はASPやJavaでWebアプリの開発に一から取り組んだ後、「ログインシステム」や「会員登録システム」など主にサービスのプラットフォーム系システムの開発を担当しています。
BtoCサービスの開発を担当して実感したのは、ユーザーとの近さ。サービスリリース後、リアルタイムで感想やまた問題の報告などの生の声を直接聞けて、それをまたすぐにシステムに反映していくスピード感も大きな刺激になっています。今後、ユーザーのすそ野を広げていくために、一般の方に関心を持ってもらえるシステムを作っていきたいですね。
もし私のようにBtoBからBtoCへ移ろうと考えていらっしゃる方に対して話せるとしたら、関心のあるサービスやその競合サービスをユーザーとして使い倒すことです。これはBtoBではできない、BtoCならではの特性でもあるし、使うことで見えてきたメリットや欠点を面接で指摘することで、とてもいい印象を与えられるはず。私も開発者でありつつ、ユーザーとしての視点を忘れずに、日々の業務に取り組んでいきたいと思っています。
丸山さん採用企業:NHN Japan株式会社の採用戦略

NHN Japan株式会社
HR(ハートフルリレーション)室 採用チーム
柳 喜俊氏
当社は2000年にNHNグループの日本法人として設立して以来、インターネットゲームポータルサイト「ハンゲーム」を主力事業として展開してきた結果、現在では累計登録ID数が3,000万件を超えて、非常に多くのユーザーにご利用いただけるコンテンツに成長することができました。今後もさらなる成長を目指してスマートフォン、PCで次々に新サービスやアプリをリリースしていく予定です。
当社が求めるエンジニア、それは技術力もさることながら高いクリエイティビティを発揮して、セルフスタートで新しいサービスを生み出していける方。当社には、エンジニア自身が企画を自由に提案し、認められればそのまま正式なプロジェクトとして動かしていける環境があります。また最新技術のキャッチアップやしっかり休みを取れる制度等、エンジニアが開発に注力しやすい環境を提供できる自信がありますし、それがNHN Japanならではの魅力だと自負しています。
魅力的なWebサービスやアプリをすでに企画しているような方であればぜひ一度、ざっくばらんに話し合いましょう。心より歓迎します。
【転職活動のカギ】未経験を応用力でカバー。あとは自信を持ってアピールすることで道は拓ける
同じアプリ開発とはいえ、言語も違えばワークスタイルや環境も全く違うBtoBとBtoC、それぞれの世界。しかしその一方、今回紹介したケースのように前職の経験が全く役に立たないということではない。これまで経験してきたさまざまなプロジェクトに臨機応変に対応し、顧客の求めるアウトプットを出してきた「応用力」を自覚した上で、未知の分野でも確実に対応できると自信を持ってアピールした丸山氏のように、見方を変えれば時として未経験というハンデを乗り越えるアピールが可能になるのだ。
転職希望先の企業が何を求めているのか?そしてその求めにできる限り応えるために、どこまでアピールできるのか?応募条件項目だけで安易に判断せず、よりじっくり見つめ直すことで、転職チャンスは大きくなるチャンスがあることを、今回の事例が示している。
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