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徹底したコミュニケーション&絶対他社に負けたくない!

30代現場リーダーたちの
    仕事術とモノづくりへの情熱

今、日本のモノづくりの中核を担って活躍している30代の現場リーダーたち。最先端の技術に挑みつつ、メンバーのまとめ方やプロジェクトの進め方などの苦労や悩みは尽きない。そこで今回、アンケート調査を通して見えてきた30代現場リーダーならではの仕事術やモノづくりに対するこだわりについて探ってみたい。

(総研スタッフ 山田モーキン)作成日:10.04.08

30代現場リーダークラスのモノづくりエンジニア300人に調査!
テーマは「仕事の進め方&モノづくりへのこだわり」

今回、電気・機械・半導体各種モノづくり系エンジニアの中でも、プロジェクトの中心メンバーとして活躍している30代現場リーダークラス300人に対して、アンケート調査を実施した。
主な質問項目は以下の通り。
・現在取り組んでいるプロジェクトの概要
・プロジェクトの目標
・目標達成のための課題
・目標達成のために普段、仕事の進め方で工夫したり努力していること
・目標達成に対する思い
・モノづくりや技術に対するこだわり
・今後、どんなモノづくりをしていきたいか
前半では、普段の仕事の進め方における現場リーダーならではの工夫や努力について、後半ではそんな現場リーダーたちが、モノづくりや技術に対してどんなこだわりや思いを持って仕事に取り組んでいるのかを探ってみた。

プロジェクト成功へ導くために普段、努力&工夫していること

現場リーダーたちが抱える、プロジェクト目標達成の4つの課題

今回の調査で回答した現場リーダーたちが抱えているプロジェクトには、
・太陽電池製造一貫ラインのタンデム層成膜装置の製造(30歳・生産技術)
・LED液晶テレビ専用コネクタの開発製造(36歳・プロセス開発)
・高速カラーMFP(複合機)開発(35歳・機械設計)
・半導体、液晶向け表面処理液の開発、生産、生産設備建設(37歳・半導体素材)
・原子力発電所の施工計画(34歳・生産管理)
といったように、今注目されている太陽電池やLED、また自動車やAV機器、半導体・医療・航空・通信など多岐にわたる。
またプロジェクトの規模も、全体で10人規模のものから1000人規模の巨大プロジェクトまで幅広い。その中で30代の現場リーダーが受け持つチームの規模はおおよそ、数人〜20人程度の規模が中心だ。
続いてプロジェクトの目標に目を移すと、最も目立つのが「コストの削減」と「開発製品化のスピードアップ」。不況の影響で各業界が従来に増して厳しい競争にさらされている中、「従来比30%製造コストダウン」「不良率半減による生産効率化」「1年以内の製品化」といったように、より厳しい条件で目標を達成する必要に迫られている。

そこでプロジェクトの目標達成の課題として挙げられた点をまとめると、「メンバーへのコスト削減意識の徹底」「開発生産業務の効率化」「人員の育成」「技術的課題(例:素子の微細化による記録能力低下、検出アルゴリズムの確立)」の4点に集約される。

プロジェクト成功のカギは、徹底した情報収集&コミュニケーション


4つの課題に対して300人の現場リーダーたちは、普段どのような工夫や努力を重ねることで克服し、プロジェクト成功へ導こうとしているのだろうか?
ここで最も多くのリーダーたちが異口同音にコメントしているのは「チーム内での徹底したコミュニケーション&情報収集・共有」。
・仮説検証ルーチンのマイルストーンを立てて、スケジュール(週1回)をメンバーで確認、課題を共有しながら進める(34歳・プロセス開発)
・週1回、業務終了後に学習会を開きCADを使用して設計図作りのポイントに関する情報交換を実施(36歳・機械設計)
・プライベートも含めメンバー全員がオープンに話し合える関係を保てるように、週に3日は昼食を全員一緒にとる。メンバーが希望する学会や発表会にできる限り参加させられるように、役員との交渉を積極的に行う(36歳・研究)
・情報を、関連部署に即時開示するためのスケジュール更新頻度の向上。それによってチーム全体の方向性を修正したり、バックアッププランを提示できる(39歳・回路システム設計)
・論文や社内の技術報告書などから情報収集し、課題解決につながりそうなアイディアの創出をメンバーとのミーティングで出し合う(35歳・研究)
・部下には技術に関して、失敗させることで身につける環境や余裕を作るように心がけている。予算や開発期間に余裕はないが、そういった経験が必要だと思うし、努力している(38歳・機械設計)

一つ一つの内容を見れば、それほど特別な工夫をしているわけではないが多くの現場リーダーは一様に、「取引先や関係部署からの積極的な情報収集」と「メンバー間でのコミュニケーションの充実&情報共有の徹底による育成」を頻繁なミーティング開催や、食事などでの密な関係構築によって実現しようと努力している。
その結果、およそ6割の現場リーダーたちがこれらの工夫や努力が目に見える効果として現れていると回答しているのだ。

目標達成への強い思いの裏にある、モノづくりや技術に対する情熱

「絶対に他社に負けたくない!」強い気持ちが、目標達成の原動力


現場リーダーとしての大きな責任を担いつつ、さまざまな困難に直面しながらもプロジェクト成功に向けて立ち止まることなく進み続ける。その背景にはどんな思いを胸に、日々の業務に取り組んでいるのだろうか。
目標達成に対する現場リーダーたちの意識を探ってみると、ここでも2つのキーワードが浮かび上がってきた。
ひとつは「世にないものを生み出し、価値のある成果をだすこと」。
・(電力機器の絶縁診断技術)微細な劣化の兆候を発見するのは非常に困難を伴うことだが、ぜひともやり遂げて後世に残る診断技術の構築を進めたい(36歳・研究)
・発展途上のジャンル(電気自動車関連)なので、パイオニアになりたい(36歳・機械設計)
・高効率の太陽電池を安価で製造できるラインを構築することは、全世界レベルで価値ある仕事と考えて業務に当たっている(30歳・生産技術)

すぐに実現できる技術レベルでは面白くない、実現が困難であるほどそれが実現することで多くの人を助けられる。そして人々の生活を変えるような、あっと驚かせる製品や技術を創出できることに対して非常に燃えるのが、モノづくりにこだわるエンジニアならではの考え方といえる。
そしてもうひとつは「ライバル企業に絶対に負けたくない!」という強い気持ち。
・最低でも他社の既存製品よりダントツにいいものを設計したいと思う気持ちと、それを実現するために何をすべきかを常に考えている。やるからには誰にも負けたくないという気持ちが強い思いになっている(32歳・機械設計)
・同業他社の中でトップに君臨しているという自負がある。逆にその名前に負けぬように恥じない仕事をして社会に貢献したい(34歳・品質管理)
・他社ではまねのできない品質、生産性を両立させることで世界一のシェアを維持。これほどやりがいを感じる仕事はないし、自分の時代にその座を明け渡さない(34歳・制御設計)
普段は現場リーダーとして冷静沈着に行動しているように見えて、その胸の内にはこれだけ負けん気の強い思いを抱いている。
そしてこれら2つの強い思いを原動力に、目標達成に向けて全力で取り組んでいるのだ。

6割以上がモノづくりや技術にこだわりを持って、今の仕事を選んだ事実


目標達成に対する強い思いの背景にある、モノづくりや技術に対するこだわりはいったい、いつから持ち続けていたのだろうか?
アンケートの結果、今の仕事を選んだ段階で6割以上が仕事の中身、そしてモノづくりや技術への関心が高かったのだ。
では、そうしたモノづくりに対する具体的なこだわりの中身を見てみると…
・現場主義。基本的に現場が企画立案しなければいいものはできない(38歳・生産技術)
・製品は自分の技能や自分にしかできないこだわりを映す芸術性の鏡(37歳・生産技術)
・でき上がった品物をよく観察することが、モノづくりの技術開発では必要で、エンジニアの観察力、推察力がプロジェクトの成否に影響する(34歳・光学技術)
・自分が納得できる形でモノを生み出すこと。目標とは関係ない所にもそれなりの工数を割いて形を作りたい。予算や工数の都合で妥協して目標を達成しても、人には伝わらない(39歳・研究)
・製品を作るための図面はかなり大事で、細かいR指示なども抜けがないようにしている。図面上の選1本に意味がある(35歳・機械設計)
・モノづくりはこだわりの積み重ね。積み重ねたモノは強固な石垣となり、決して崩れない。そしてこの世に形として残るモノづくりを担う者として誇りを持つ(38歳・生産技術)

「徹底した現場主義」「安易に妥協せず、自分が納得できるまでこだわり続けること」。
まさに“職人気質”という言葉が当てはまるような、モノづくりに対する真摯な態度や完璧なこだわりを、30代現場リーダーの多くが持っている。

現場リーダーに必要な条件とは?


最後に、現場リーダーにとって必要とされる条件とは何か?という質問を300人の現役現場リーダーたちに投げかけてみた。その結果は表にある通り、「コミュニケーション能力」がトップ。以下、「リーダーシップ能力」「指導力」「問題解決能力」が続く。
まさにこの結果は、これまで紹介してきたプロジェクト成功に導くために必要不可欠な能力だと、当事者自らが答えている内容と一致する。
そして300人の現場リーダーたちが今後目指しているのは現場主義を貫き、年をとっても最新技術に挑戦し続け、自分が楽しめるモノづくりができる。そんなエンジニアなのだ。

本レポートは総合転職サイト「リクナビNEXT」連動コンテンツです。 Supported by Tech総研

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