SEはフリーになったほうが、稼げるよね？

Dr.きたみりゅうじの“IT業界の勘違い”クリニック（25）　SEはフリーになった方が、かせげるよね？

同じ仕事をしているのに、隣のフリーでやってるSEは自分の倍以上の給料もらってた……。独立してフリーでやったほうが、稼げるじゃん！そう思うSEも少なくはないはず。でも待った！実際にフリーで仕事しているDr.きたみりゅうじがぶったぎります。

（イラスト・文／きたみりゅうじ　総研スタッフ／宮みゆき）作成日：07.01.19

　SEといえば、とかくつきまとうのが「フリー願望」というヤツです。会社に搾取されるのはまっぴらゴメンだ。オレは自分の腕一本で食ってみせるぜ。そもそも朝出社するのがイヤだ、夜型なんだオレは。もっと言うなら家で寝てるのが一番だ。そもそも仕事なんかしたくねぇぜ……ゲフンゲフン。
　と、とにかくいろんな理由があるわけですが、中でも多いのが客からの発注額を見て「ああ、これが直接フトコロに入るのなら、じゃんじゃか稼げていいのになぁ」というきっかけではないでしょうか。んじゃ、実際のとこ、「フリーの身」って稼げるもんなの? そこんとこちょっとどうなのよ？　さてさて、それは以降の物語をご覧あれ。


自分が社会人3年目あたりのときも、こういった論調のことはよく耳にしたものです。特にフリーの人が多い職場だったので、「月に手取りが50万円だぞ、正社員でそんな給与が望めるか？」なんてことをよく言われ、おまえもフリーになれよと誘われたりしたものでした。　でもね、ボーナスも各種保障もなしで原ナマが毎月50万円。つまり年収にすれば600万円。そりゃ当時の私にすれば高額ですが、それから5年もたった後の給与平均から見ればけっして高額なんかじゃありません。さらにそれから5年がたてばどうなるか……。　フリーはよく「仕事を取ってくるのが大変ですよね」という言われ方をします。でも本当に大変なのってそこじゃなくて、自分の年齢や家族構成に合わせて、給与水準も上げていけるかどうかだと思うのです。　年を取り、無理が利かなくなり、新しいものも吸収しづらくなり……、でも給与だけは毎年上がっていく。会社というある種の年金システムが持っている特権のスバらしさは、なめちゃいかんのココロなのです。

Dr.きたみりゅうじ

ソフトウェア開発会社にて約７年間、企業システムの営業・設計開発、Windows向けパッケージ商品の企画開発などに従事。現在は、フリーのイラストレーターおよびライターとして活躍中。SE時代の七転八倒を描いたコミックエッセイ『新卒はツラいよ！』『改訂版図解でよくわかるネットワークの重要用語解説100』が現在好評発売中。

http://www.kitajirushi.jp/

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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ

実際にフリーで活躍しているきたみさんの言葉だからこそ、現実味のあるメッセージ。でも、成果主義の浸透などで、決して会社員でも生涯安定ではいられなくなってきているのも事実。でも結局は、個人がどういう働きかたをしたいのか、やりたいことは何なのかで決まってくることではありますよね。どんな選択をしても、メリットとリスクは共存することは重々覚悟することは忘れちゃいけないって思います。