• はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
「○○」君から“さん”付けへ、元後輩へのつらい成果報告etc…… 後輩が上司に逆転!当惑するエンジニアの赤裸々告白
人事異動によってある日突然、今まで面倒を見てきた後輩が自分の直属の上司になったとしたら……。
今回はそんな複雑な事情を経験したエンジニアに、その当時の心境を告白してもらった。
(取材・文/川越宗徳 総研スタッフ/山田モーキン イラスト/師岡とおる)作成日:05.06.15
その1 飛び級昇進で後輩が係長に! 逆転されたエンジニアがその複雑な心境を告白
 今回、人事異動などによって上下関係の逆転現象を経験した100人のエンジニアにアンケート調査をしたところ、意外にもそのほとんどのケースで、逆転現象が原因による表面的なトラブルが生じていないことが判明した(図1)。

 だがその一方で、「嫉妬」「屈辱」「困惑」「苦悩」など、逆転現象によってもたらされるさまざまな“心の葛藤”が、当事者の内面に深く広がっているようである。そこでまずは、ある日突然後輩が“飛び級昇進”で直属の上司になってしまった1人のエンジニアからお話を聞いた。
図1 逆転現象が生じた後、職場で トラブルが起きましたか?
システム開発エンジニアAさん(29歳)
大手通信会社に勤務、入社8年目。
今回上司になった後輩は、Aさんが入社3年目に同じ部署に配属された。
課長との密談、後輩がとった不可解な行動……「逆転現象」に至る経緯
 もともと彼が新入社員のときから私はずっと教育係として、クライアントの社内会計システム開発における、細かい部分の失敗をしない(手戻りのない)ためのヒアリング方法についてアドバイスをしてきました。しかし徐々に仕事に慣れてきたのはいいのですが、仕事の話をあまり私に相談しようとしないのです。私としてはやはり心配ですから、こちらから仕事の進行状況をさりげなく聞いてみたり、仕事が終わったら飲みに誘ったりして何とかコミュニケーションを図る努力をしました。でもアドバイスをすれば、ただ黙ってうなずいているだけ、飲みに誘ってもついてくることは皆無でした。

 そんな折、彼が不可解な行動をとっていることに気がつきました。ちょくちょく出身大学の先輩である課長を会議室へと連れ出して、なにやら密談しているんです。あまりにも回数が多いので、私も彼にどうしたのか聞くようになりましたが、そうすると「別になんでもありませんよ」の一点張り。部署内では言葉にならない不穏なムードが、いつの間にか漂っていました。

「○○」くん→「○○」さんへ 逆転後の「当惑」シーン3連発と心の葛藤
 ある3月の人事異動の日に驚くことが発表されました。なんと彼が、私たち主任を追い抜いて係長に飛び越し就任したのです。当然私たちは納得がいきません。今まで目に見える実績もなく、むしろ部署で浮いている彼がなぜ?という疑念に駆られ、私たちは課長へと詰め寄りました。ですが、「上が決めたことだから、よろしく頼むよ」の一点張りでまるで取り合ってくれません。しかし私たちも大人ですから、その日の帰りに仲間で酒を飲みながら、「彼だっていきなり責任を任される立場になって何かと苦労するだろうから、僕らがサポートしてやろう」という結論に達したのです。

  ですが、その後上司になった後輩との仕事のやりとりで、今でも忘れられない3つの“当惑シーン”がありました。
当惑シーン1 「○○係長は勘弁してよ!」
 しかしいくら社内の風習だからといって、今まで5年間も「○○君」と呼んでいたものをいきなり「○○係長」と呼ぶことに抵抗がないわけがありません。複雑な心境が胸の中で渦巻く中、「○○さん」と呼ぶことが精いっぱいでしたね。
 それでも最初の1週間ぐらいは、言葉にすることへの抵抗もあって、呼びかける声がぎこちなかったのが、今思い返しても恥ずかしいですね。
当惑シーン2 「俺はお前のお茶汲みか!!」
 私のいる部署にお得意様が来たときのこと。その方とは昔からのおつき合いで、私も、上司になった後輩ともどもよく知っている方です。応接室へと私が案内し、上司となった彼を「今度から責任者になった○○です」と紹介するときにも、正直かなりの屈辱感を抱きました。
 しかしそれ以上に屈辱的だったのは、お茶出しを自分がするときでした。今までならその席には私がつき彼がお茶を出していましたが、これからは自分が代わりにお茶を出さなければならない……。心の中では「俺はこんなところで何をやっているんだ!!」と情けない気持ちでいっぱいでした。
当惑シーン3 「仕事の配分もわからないのか!!」
 私たちの部署では、部内での仕事のほか、他部署からの依頼で仕事をすることも多々あります。あるとき、ERPパッケージ導入の依頼がきたのです。そのとき、一人頭、すでに数千万円の受注金額を突破しており、もはや個々の仕事量は限界の状態でした。にもかかわらず、彼は次の仕事を同じ納期内に請けてしまうのです。
 さすがにこれには私も感情的になり、彼に詰め寄りましたが、「上からの業務命令ですから」とまるで取り合いません。そのときにあらためて、仕事のできない元後輩の部下になってしまった厳しい現実を痛感し、その後も彼と仕事で絡むたびに、言いようのない苦痛を強いられることになりました。
現在は・・・
 ここまで人間関係がもつれたなら、上司ならば修正しようとするでしょう。ですが、彼は相変わらず淡々と仕事を言われたままに私たちに振るだけ。仕事後の酒の場にもまるで同席しようとはしません。部署内はバラバラとなってしまったのですが、慌てているのは彼を係長に推薦した課長です。このまま業務に支障が出るようならば、その人選能力に疑問符を投げかけることになるためにフォローに必死な毎日です。ですが、私たちにしてみれば、係長となった彼の存在はすでに不要です。ですから、責任ある事項は彼に任せるといったちょっと仲間外れのような形ですが、このようにして自分たちを“納得させる”しかなかったのです。
その2 認めたくない、成果報告がつらい……3人の逆転経験エンジニアそれぞれの告白
 今回取材したAさん以外にも突然の逆転現象によって「心の葛藤」を体験したエンジニアは数多い。その中でも同僚が上司になった3人のケースを紹介しよう。
ケース1 システム開発Bさん(39歳)
・逆転前と逆転後の関係 【逆転前】:会社同僚 【逆転後】:自分は主任・相手は課長
・逆転現象が生じた瞬間の感想 まさか抜かれると思っていなかったので、ショックで口が利けませんでした。
・逆転現象で最も苦労したこと モチベーションが下がってしまったことですね。気持ちを切り替えるまで、それが原因で失敗をしたときはつらかたです。
・逆転現象による「心の葛藤」からの脱却法 もう、その状況をひたすら我慢するしかないですね。
ケース2 Web開発Cさん(30歳)
・逆転前と逆転後の関係 【逆転前】:会社同僚 【逆転後】:自分は平社員のまま・相手は課長
・逆転現象が生じた瞬間の感想 彼の指示を聞きたくなくて、別の場所へ行って仕事をしていました。
・逆転現象で最も苦労したこと 彼を上司として認めるのに時間がかかりアルコールに頼ってしまいました。おかげで一時、体調を崩してしまいました。
・逆転現象による「心の葛藤」からの脱却法 仕事ですから割り切るしかありません。人は人、自分は自分。これに尽きます。
ケース3 システム開発Dさん(39歳)
・逆転前と逆転後の関係 【逆転前】:お互いに開発担当者 【逆転後】:自分は開発担当者のまま・相手は課長
・逆転現象が生じた瞬間の感想 大変なショックでしたが、平静を装いました。
・逆転現象で最も苦労したこと お互いに仕事がやりにくかったです。特に成果報告なんてするのはつらかったですね。
・逆転現象による「心の葛藤」からの脱却法 悩まずに今の状況を逆に利用することだと思います。自分をよく知っている人間が上司になったわけですからね。
 同僚や後輩といった人たちが、自分を追い抜いて上司の立場に「逆転」されたとき、共通して言えるのは、精神的なショックでモチベーションが一気に低下すること。表面的なトラブルに関してはお互いが大人になるという部分で回避されているが、その心中は決して穏やかではない。そうしたつらい状況から一刻も早く立ち直るためには、現状を認め、そのうえで自分に何ができるのかを考えるという、素早い気持ちの切り替えがその後の仕事に影響してくるようだ。

 また今回のアンケート調査から、全体的に逆転人事がうまく機能していない印象を受けた。今後成果主義が拡大していく中で、こうした逆転人事はますます増えていくだろうが、現状においては、「人事異動後の組織作り」という視点が企業側に弱いのではないだろうか。
今回のような“表面化しない”現場の苦悩を汲み取らないと、本来人事異動がもたらすメリットが機能しないばかりか逆効果になってしまい、本末転倒ということになりかねない。

 ここまでは、かつての同僚や部下が自分の上司になってしまった事例を紹介してきた。ではその逆の立場として、後輩が同僚や先輩を抜いてしまったケースでは一体どのような心境の変化が起こっているのだろうか。次に挙げるのは先輩を追い抜き上司になった、あるエンジニアの告白である。

コラム 上司になった後輩もつらい! 逆転したエンジニアがその複雑な心境を告白
 私の場合は、自分が上司になってしまったケースなのですが、これが結構大変でした。ある日、先輩の課長に呼ばれて「そろそろ覚悟しろよ」と言われたことから始まりました。その先輩課長は、かつて自分の先輩を抜いて現職に就いた方です。その彼が“覚悟しろよ”と言うことは、つまり“次はお前が俺と同じやりにくさを感じるんだよ”という意味でした。うちの部署は40〜50代の方が大多数を占めていて、その8割が先輩という現状でした。

 この数年は会社が従来の年功序列主義から能力主義へとその方針を転換し始めたときでした。私のように、年が下の者が、先輩を抜いて出世をしてしまう事例はほかの部署でもたまに見かけたのですが、やはり状況としては穏やかではありません。今まで指示を受けていた立場だった私が、人事異動を境に先輩たちに逆に指示するのですから。わざと足を引っ張るような意地悪こそありませんでしたが、なんといってもいちばん困るのが“暖簾に腕押し”状態なことです。何を言っても、聞いているのかいないのか、いわゆる“報・連・相”がまるでないのです。後輩の部下たちからは仕事が進まないとクレームは出始める。ほとほと困り果てた私は、さらに上の上司から注意なり勧告なりをしてもらうしかなくなってしまいました。そうでもしなければ部署として機能しないんですよ。

 現在でも状況は変わっていません。相変わらず私からの注意が聞き入れられることはなく、私の上司から彼ら先輩へ注意が促される毎日です。彼らにしてみれば面白くないことはよくわかりますが、お互いに協力がなければ仕事は成立しないじゃないですか。上司となってしまった私にしてみれば、自分の責任のような気持ちにもなるし、会社にいると胃が痛い毎日です。とはいってもストレスをためていては自分のためになりません。私の場合、仕事が終わったらひたすら会社のことは忘れて趣味などに没頭していますよ。

システム設計エンジニア Eさん(33歳)
建設系企業の情報システム部門に勤務。部内の年齢層は高く、半数以上を40〜50代。よって今回の逆転現象で、部下の多くは10歳以上離れていることになる。
 
  • はてなブックマークに追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
あなたを求める企業がある!
まずはリクナビNEXTの「スカウト」でチャンスを掴もう!
スカウトに登録する
山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ  
山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
前回の「突然の降格・左遷から復活したエンジニアの執念」に引き続き、人事異動シリーズ第2弾として紹介してみました。こうした逆転現象は、逆転する側・される側それぞれが複雑な心境を抱えることになり、コミュニケーションの難しさを実感しました。みなさんの経験した人事異動にまつわるエピソードも随時募集していますので、お聞かせください。

このレポートを読んだあなたにオススメします

ますますヒートアップ!派閥抗争から小学生レベルのケンカまで

いつ見切る?バブル入社上司たちのあきれた出世争い

陰湿な派閥抗争から小学生レベルのケンカまで、バブル入社上司たちの出世争いにまつわるトラブルが現在、続発中! そこで早速…

いつ見切る?バブル入社上司たちのあきれた出世争い

それは甘えなのか? 脱出すべき臨界点なのか?

今どきITエンジニアの不条理☆ボーダーライン

組織の中で仕事をする限りぶつかるさまざまな不条理の壁。人はどこまで我慢できるのか。ITエンジニアが成長するために、死守…

今どきITエンジニアの不条理☆ボーダーライン

エンジニアの宿命とあきらめるのはまだ早い!

「上司と顧客で板ばさみ」地獄から這い出す技術

文句ばっかりの上司、無理難題を押しつけてくる顧客……。どちらもやっかいなのに、その“板ばさみ地獄”にはまったらもう大変…

「上司と顧客で板ばさみ」地獄から這い出す技術

エンジニア386人を追跡!転職前後の仕事と評価ギャップ実態は?

上司に話さなかった転職理由と転職してわかった事実

いつかは転職したいという気持ちがあっても、不安や疑問を抱えて悩むエンジニアは多い。そこで、2004年以降に転職したエン…

上司に話さなかった転職理由と転職してわかった事実

プライドが高く指示を聞かないVS権力あるけど知識はない

その一言にムカッ!年下上司VS年上部下の危うい関係

自尊心を守るため?はたまた自己愛を満たすため? 彼らの「意地」と「プライド」がぶつかり合い、職場は一気に戦場と化す。天下統一、太…

その一言にムカッ!年下上司VS年上部下の危うい関係

僕たち私たちの転職忍者の術★31

バレないようにコッソリ転職活動したいでござる の巻

在籍中に転職活動をする場合、今の会社にバレないようこっそり慎重に進めたいもの。ときには家族や友人にも内緒で活動したいケ…

バレないようにコッソリ転職活動したいでござる の巻

この記事どうだった?

あなたのメッセージがTech総研に載るかも

あなたの評価は?をクリック!(必須)

あなたのご意見お待ちしております

こちらもお答えください!(必須)

歳(半角数字)
(全角6文字まで)
  • RSS配信
  • twitter Tech総研公式アカウント
  • スカウト登録でオファーを待とう!
スマートグリッド、EV/HV、半導体、太陽電池、環境・エネルギー…電気・電子技術者向け特設サイト

PAGE TOP