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『Tech総研エンジニア白書』シリーズ(3)週90時間→45時間で仕事・ストレス・睡眠は? 労働時間を半減させた転職エンジニアの証言
Tech総研創立1周年を記念して2月に発行された『エンジニア白書』。その中で掲載しているエンジニア3117人のアンケート結果の中から、気になるデータを3回にわたって追跡レポート。最終回は「労働時間とゆとりの関係」。
(取材・文/栗原知女 総研スタッフ/山田せいめい イラスト/内山弘隆)作成日:04.04.07
 
その1 およそ6割のエンジニアが週平均労働時間50時間以上
 
アンケートの結果、週平均50時間以上働くエンジニアが全体の6割を占めた(図1)。最も多かったゾーンは、50時間以上60時間未満で38.0%。法定労働時間が週40時間だから、残業は週に10時間〜20時間程度か。もっとハードで、残業が30時間以上、週平均60時間以上働く人が全体の2割もいる。ハードワークのエンジニアほど年収も高い。年収900万〜1000万円クラスのエンジニアの4割近くが週平均60時間以上だった。 図1 1週間の平均労働時間の割合
そのうえ、さらに「労働時間が増える」と将来を予測した人が全体の6割にものぼった(図2)。労働時間を減らして自分の時間を確保したいと思う人がいる一方で、「労働時間が増える」という見通しをもつ人ほど、3年前と比べて「モチベーションが上がっている」人の割合が高い。意欲の高いエンジニアに仕事が集中し、労働時間も年収も増えるという構図だ。
いったい「労働時間」と「ゆとり」のバランスは、どの程度が適正なのだろうか。
図2 労働時間の今後の増加傾向予測
出典:『エンジニア白書』(Tech総研 2004年2月)
その2 転職エンジニアが証言「労働時間の違いが及ぼす、生活への影響」
労働時間とゆとりの関係を探るために、転職前と転職後で労働時間がほぼ半減した2人のエンジニアを取材した。長時間労働であっても質の高い仕事内容に2人とも満足し、やりがいも感じていたという。だが、典型的な仕事中毒で、心身を壊しかけていた……。
  証言1…「自律神経失調症」「休日の24時間睡眠」→“自分らしい”生き方を求め転職
E氏のプロフィール
(転職前)外資系ソフトウェアメーカーのサポートセールス部⇒(転職後)ハードウェアメーカーのeラーニング事業部コンサルタント。28歳
仕事編
BEFORE(転職前)
   10時出社で夜の10時に退社できればいいほうだった。今夜はどうしようかと悩みつつ、気がつけば11時過ぎ。帰るのはあきらめて仕事を続け、寝袋で仮眠する日もあった。午後2時出社で11時半まで拘束されるシフトのときは、朝の4時まで残業した。時間節約のために会社に内緒でバイク通勤した。仕事の要求レベルが高くてやりがいはあったが、20代後半で早くも実質的なリーダーを任され、上と下の板ばさみになり、燃え尽きた。自律神経失調症になり、医師から「休むことも覚えましょう」と言われ、転職を決意した。  
AFTER(転職後)
   もう残業という言葉はほとんど聞かない。月140時間以上働くと、マネジャーのペナルティーになるのだ。半年先までスケジュールがわかっているので、余裕で仕事を進められる。朝は早めに家を出て、バスで通勤する。のんびりした速度が肌に合う。勉強時間は、勤務時間中に好きなだけ取れる。心理学など、読書の幅が広がった。顧客との「心理戦」に役立つし、雑学的知識を増やせば相手の関心領域との接点が増え、商談がスムーズに進む。  
プライベート編
BEFORE(転職前)
   朝起きてから夜寝るまでの間から仕事時間を除いたら、残るのは食事時間ぐらい。自分らしく生きるための時間が全くなく、この5年間は死んでいたに等しい。おかげで土曜の休みに「冬眠」する特技を覚えた。24時間飲まず食わず、布団をかぶってひたすら寝た。自分のことを心配してくれて、日曜にドライブに誘ってくれる友人がありがたかった。  
AFTER(転職後)
   コアタイムが10時〜3時のフレックス制で、1日に7時間勤務すればいい計算だから、早出すれば3時に帰れる。平日の夜は、バッティングセンターにふらりと立ち寄ったり、映画館に入ったり。なじみの喫茶店のマスターに頼まれ、商店街の店主たちにボランティアでパソコンを教える日もある。全くの初心者の相手はストレスになるが、指導法の勉強だと思えばいい。休日は、友人と気の向くまま遠くまでドライブする。幸せとあえて感じないくらい幸せだ。仕事とプライベートのバランスが完ぺきだからだろう。  
  転職前後のE氏のタイムスケジュール表
 
転職前(週労働75時間) 転職後(週労働45時間)
 
  転職前 転職後
週平均労働時間 75時間 45時間
余暇時間(平日) 平日は限りなくゼロに近い 遅くとも7時には帰宅(3〜4時間)
余暇時間(休日) 土曜は一日中寝るので、実質的に日曜だけ 土曜も日曜もフルに遊ぶ
睡眠時間(平日) 1日平均4時間30分 7時間
年収 15%アップ=理由: 自分の仕事を正当に評価してもらえた、残業代がしっかり支払われるようになった
  証言2…転職前の余暇時間ゼロ→大幅な増加で資格取得の勉強・スキルアップ  
K氏のプロフィール
(転職前)電気メーカー系システム会社のSE(携帯電話担当)⇒(転職後)精密機器メーカー系システム会社のSE(画像処理システム担当)29歳
仕事編
BEFORE(転職前)
   携帯電話のソフトウェア開発を担当し、リリース前の2〜3カ月間は戦争状態だった。工場の門が閉まる深夜0時までに退社できず、30分余計に歩いて裏門から出る日も多かった。水曜だけは9時閉門だった。昼間は自分の担当部分のソフトを更新し、夜の11時が締め切りで、チームの60人全員の分をまとめてインストールし、テストする。長い待ち時間に、お茶してグチをこぼし合った。真夜中に近くのアパートの部屋に帰れば、何をする気力もなく、コンビニ弁当を食べて寝るだけ。それでも5時には目が覚めてしまう。いつも睡眠不足でふらふらして、まっすぐ歩けなかった。   
AFTER(転職後)
   面接で残業がほとんどないことを確認して、入社を決めた。チームリーダーと1カ月のスケジュールについて話し合い、計画的に時間をコントロールしている。個人作業が多く、マイペースで仕事ができるのがいい。フレックスタイム制だが、自分は8時出社7時退社のペースで一定に保つのが性に合っている。  
プライベート編
BEFORE(転職前)
   土曜も夜まで働き、たまった洗濯物を片付けてから、夜中に東京の実家までクルマを飛ばした。 日曜は朝寝坊して、新鮮な素材を使った母の手料理を満喫した。午後は書店で専門書を買い込んだ。田舎暮らしで情報に飢えていたのだ。実家に帰らない日は、ゴロ寝でホームシアターの映画鑑賞。たまった残業代でDVDソフトを買い込み、つまらないものを衝動買いした。ストレスのせいで食欲が爆発することがあり、10キロも太った。  
AFTER(転職後)
   ハードだった分を取り返すため、9カ月のブランクを置いてから転職し、その間に海外旅行も楽しんだ。今は余暇時間の大半を資格試験の勉強に使う。目標は、シスコ技術者認定(CCNA)、画像処理検定、情報処理技術者試験のテクニカルエンジニア(エンデベッド)。以前は休日もバグのことが頭から離れなかったが、いまは完全にスイッチオフしている。残業の変動がなく収入が一定なので、計画的に貯金し、スポーツカーを買うつもりだ。  
  転職前後のK氏のタイムスケジュール表
 
転職前(週労働90時間) 転職後(週労働45時間)
 
  転職前 転職後
週平均労働時間 90時間 45時間
余暇時間(平日) 平日は限りなくゼロに近い 1日2時間ずつ資格の勉強プラスα余暇時間
余暇時間(休日) 休日は9時間 24時間(土日合計)
睡眠時間(平日) 1日平均2〜3時間 6時間
年収 10%ダウン=理由:残業代が減ったため
週労働時間が25時間減れば年間では1,200時間、約2カ月も「トクする」。6年たてば、仕事中毒型と余裕の公私バランス型では余暇時間に1年も差がつく。人生は有限だ。心身ともに健康的に仕事、そして人生を楽しめるのは、時間をリッチに使えた人であろう。
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山田せいめい(総研スタッフ)からのメッセージ
私もこういう仕事柄、労働時間は長めのほうで、生活が不規則になりがちなのですが、今回のお2人の話をおうかがいしていくうちに……。自分が恵まれた環境で生活していることに気づかされた次第です。1日24時間・1週間168時間・1年365日……。 “Time is money”=「時間は貴重な資源」であるからこそ、自分のために大事に活用したいと思うのですが、それを実現するためには努力と工夫が必要なようです。

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