ニューノーマル時代に押さえておきたい─ 評価につながるリアクションの取り方

コロナ禍前と比べてビジネスの環境が大きく変わりました。あなたは在宅勤務やテレビ会議など、ニューノーマルの働き方に上手く対応できていますか?「今までよりコミュニケーションがしにくくなった」と悩む人が少なくない中で、自分なりに工夫を凝らし、今まで以上に円滑な人間関係を築いて成果を上げている人もいるようです。その違いはどこからくるのでしょうか。

「そのカギは“リアクション”にあり」と、広告代理店勤務時代に3,000人以上のVIPと交流し、彼らの「良好な人間関係の作り方」を研究している気配りのプロフェッショナル・後田良輔さんは言います。「ニューノーマル時代のリアクションの取り方」について話を聞きました。

YOU ARE AWESOMEと書かれたKEY
Photo by Adobe Stock

ニューノーマル時代、評価のカギは「リアクション」にあり

コロナ禍に活躍しているVIPを観察し、発見したことがあります。
それは「リアクションを重視している」ということです。

コミュニケーション上手というと話しが上手い人、と思いがちですが、仕事で成果を上げている人は必ずしも話術に長けている訳ではありません。むしろ話し下手な人のほうが多い、というのが私の印象です。

でも、コミュニケーションが得意なのに話し下手な人たちの中には、「相手が発したことに対してのリアクション、特に返事のリアクションは抜群に上手い」という理由で評価されやすい人がいます。

そもそもこのような人は、コロナ禍前後に関係なくよほど変な行いをしない限り周囲からの評価が低い、なんてことはありませんでしたが、いまはもっと上げやすくなっています。

なぜかといえば、いま職場では、返事をする際のリアクションがこれまで以上に人間関係の良し悪しに関わるようになったからです。

ニューノーマル時代の働き方として、在宅勤務やテレビ会議、普段の会話もチャットツール、という環境が当たり前になったいま、以前のように相手の表情を見て、空気を察するということが少々難しくなりました。

例えば上司が何気なく発した「よろしく」という言葉。

コロナ禍前なら、上司がどんな意味で「よろしく」と自分に言ったかを、その表情や仕草で理解できることもありました。

しかし、チャットの文字だけで言われた場合、どんなニュアンスの「よろしく」なのか想像しにくかったり、また相手にもこちらが迷っていることをすぐに察知してもらったりするのは難しい場面が増えました。

だからこそ返事のリアクションが今まで以上に重要なのです。

リアクションとは外からの働きかけに対しての反応のこと。いまや、相手が言ったことにどう返すか、つまりリアクションの上手い下手で人間関係の評価が左右されるほど影響力を持つ時代になった、と感じています。

互いに顔を見合ってのコミュニケーションが難しい時代だからこそ、意識的に気持ちを込めたリアクションを仕掛けないと誤解を招くこともあり、場合によっては「真剣に取り合ってくれているのか?」「なんだか嫌な感じの人」と思われかねません。

これがニューノーマル時代に生まれた、ひとつの評価ポイントの分岐点だったのです。

だからといって、過剰に考える必要はありません。

目指すリアクションのゴールは、おおげさ過ぎず、かといってあっさりしすぎないこと。大切なのは、相手が「きちんと返事をしてくれた」と思うかどうかです。

次からVIPも実践している、評価ポイントが高まるリアクションの取り方を紹介します。どれも簡単で、誰でもマネできるポータブルスキルですので、ぜひ試してみてください。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

《素早いリアクション》メールやチャットの返信を早く行う

「メールの返信は24時間以内」というビジネスマナーはコロナ前の遺物。ニューノーマル時代となったいまや、返事に1日もかけていては「返事が遅い」と評価されてしまうかもしれません。

逆に返事が早いだけで評価を上げることができる時代なのです。

事実、「AI分析でわかったトップ5%社員の習慣」(越川 慎司,ディスカヴァー・トゥエンティワン, 2020年9月)という書籍によれば、社員のうち「仕事ができる」と言われるような5%の人は返信を15分以内に行っているとのこと。

返信が遅く相手を待たせる行為とは、相手の仕事を滞らせることを意味します。これが積み重なるといらぬストレスを相手に与え、嫌われる要因になってしまうこともあるのです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

《ポジティブな印象を残すリアクション》使う言葉を前向きにする

伝えたい内容は同じでも、表現の仕方が変わるとニュアンスが異なるのが日本語の難しいところです。

例えば上司からチャットで何かに誘われた際の返信で「承知しました」と答えるのと「ぜひ!」と答えるのでは、相手に伝わるニュアンスが違いますよね。

あるいは何かを頼まれ、それに対応できない場合に、「今は無理です」という文言だけでは拒絶した印象を与えてしまいそうですが、「〇時まで時間をもらえればできます」と伝えれば、前向きな印象を与えることができます。

ポイントは「ポジティブな言い回し」です。同じ意味の返事をするならば、少しでも前向きな人なんだと思ってもらう言葉使いでリアクションしないと損してしまいます。

《意思を感じさせるリアクション》自分の意見を伝えることを怖がらない

メールやチャット、ビデオ会議などは、オンラインでのミュニケーションに慣れていない場合、特に下の立場の人間からすると気軽に意見が言いにくいツールです。

ともすると「わかった/わからない」「できる/できない」だけの返事になりがちなもの。コミュニケーション上手は、これに問題があると考え、「〇〇してもいいですか?」「××という工夫をしてはいかがでしょうか?」などの自分なりの意見を返事に添えるようにしています。

上の立場の人も前向きな意見はウェルカム。もしそちらのほうが目的を効果的に達成、あるいは問題をスムーズに解決できると思えば、採用したいと思っているはずです。

返事に自分の意見を盛り込むだけで相手に一目置かれるのだとしたら、やらない手はないと私は思います。

《気づかいをみせるリアクション》感謝の言葉を添える

「『ありがとう』という方は何気なくても、言われる方はうれしい。『ありがとう』、これをもっと素直に言い合おう」と「経営の神様」の松下幸之助は言いました。

ニューノーマル時代に好かれる人も、ありがとうの言葉を意識的に使うようにする傾向があります。

コミュニケーション上手な人は、メールなどで返信をもらったときに「返信してくれてありがとう」、テレビ会議の冒頭に「セッティングしてくれてありがとう」など、成されて当然のように見えることもよくよく考えるとなんらかの手間があることに対し、感謝の言葉を添えています。

感謝の言葉はいくら伝えても「伝えすぎ」ということはありません。積極的に伝えることを意識しましょう。

まとめ

在宅勤務が主流の企業が増え、普段の会話も多くがチャットツールで交わされるなど、リアルな顔が見えづらい時代になりました。だからこそ、リアクション次第で相手の印象も180度変わってしまいます。

なにごとも相手の気持ちに寄り添えば、それだけで相手の好意を引き寄せることができます。それはまるで「てこの原理」のよう。的確なリアクションは、たとえ小さなものであっても、相手の気持ちを大きく動かす威力を秘めています。

本記事を読んで、自分はいつも何気なく文字を打っているだけだな、と思ったときは、相手が喜ぶリアクションを心がけてみてください。たったそれだけであなたの人生は好転していきます。

▶あなたの知らない自分を発見できる。無料自己分析ツール「グッドポイント診断」

プロフィール

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

PC_goodpoint_banner2

Pagetop