自分に自信が持てないのはなぜ?仕事に活かせる「自己肯定感」の高め方

「自分に自信が持てない」「自分の強みがわからない」。特に若手世代からは、よくこのような声が聞こえてきます。自分に「自己肯定感」を持てないがゆえに、やりたいことにチャレンジできなかったり、転職に踏み切れなかったりする人が少なくないようです。どうすれば自分を好きになり、自信を持てるのでしょうか。若手人材の発掘・育成に携わり、数々のスタートアップ企業設立に携わってきた奥田浩美さんに、アドバイスをいただきました。

自己肯定感の高め方イメージ画像

奥田 浩美さん
株式会社ウィズグループ 代表取締役
一般社団法人ヘルス・アンド・ウェルビーイング・アライアンス 代表理事

奥田浩美さん画像ムンバイ大学(在学時:インド国立ボンベイ大学) 大学院社会福祉課程修了。1991年にIT特化のカンファレンス事業を起業。2001年に株式会社ウィズグループを設立。2013年には過疎地に株式会社たからのやまを創業し、地域の社会課題に対しITで何が出来るかを検証する事業を開始。2020年に一般社団法人ヘルス・アンド・ウェルビーイング・アライアンス(HAWA)を設立し、ウェルビーイングのビジネスインキュベータープログラムのWOMBを展開中。委員:情報処理推進機構(IPA)「IT人材白書」検討委員、「医療系ベンチャー振興推進会議」委員等。著書:「会社を辞めないという選択(日経BP社)」「人生は見切り発車でうまくいく(総合法令出版)」「ワクワクすることだけ、やればいい!(PHP出版)」

日本の若者が「自己肯定感」が持てない原因は?

なぜ、自分に自信が持てないのか。実は、その要因は個々人の問題ではないところにあります。そもそも日本の若者は、「自己肯定感」が他国に比べてとても低いのです。内閣府が2018年、13歳~29歳を対象に実施した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」の結果を見てみましょう。

「自分自身に満足しているか」という問いに対し、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えている若者は、他国では8割前後に達するのに対し、日本では半分以下。「そう思う」と答えた人はわずか10%程度にとどまっています。

内閣府2018年調査より作成した「自分自身に満足しているか?」グラフ
▲内閣府2018年調査「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」をもとに編集部が作成

つまり、自信を持てないのはあなた自身のせいではありません。自分に対しても他人に対しても、「満足している」と宣言することが認められにくいのは、日本の文化・環境の問題なのだと捉えてください。

例えば、顧客ロイヤルティを定量的に把握するための調査NPS®(Net Promoter Score)のコンサルティングを手掛ける海外企業が行った調査では、「日本人は諸外国に比べ、満足度やロイヤルティの点数を低く付ける傾向にあった」と発表しています。ホテルに宿泊した人にサービスへの満足度を尋ねると、本来、5点満点を付けてもよいレベルのサービスに対して3点を付ける傾向があるのです。

そもそもの「評価基準」が厳しい日本で、皆さんは生きています。生まれてから18歳ぐらいまでに持たされたものさし。それで測っているかぎり、自分を好きになったり、満足を感じたりするのは難しいでしょう。

特に、親から「もっと上を目指せ」と激励されながら育ってきた人──テストで90点を取っても褒められず、「満足するな。100点を取れ」と言われてきたような人はなおさらです。もちろん、上を目指すのはとても良いことです。ところが、目指すものが何かもわからない状態で、「もっとやらなければ」と、自分を追い込んでしまっている人が多いと感じます。

でも、大人になった今、これまでのものさしを使うも使わないも、あなた自身が決めればいいのです。人から与えられたものさしは、一度手放してみませんか。

自分の強みを知り、自己理解を深める4つのヒント

では、自分自身のものさしで考え、自己肯定感を持つためにはどうすればいいのでしょうか。いくつかのヒントをお伝えします。

1.謙遜を美徳とする環境から抜け出す

自分に自信が持てないのは、環境による影響が大きくあります。まずは、身の回りの環境から変えてみましょう。高校生くらいまでは親元を離れられなかったとしても、20歳を過ぎれば自分の環境を変える選択肢を手にしているのではないでしょうか。

ポイントは、「現状に満足するな」と言われがちな場所に身を置かないこと。そして、謙遜ばかりする人、「私なんて」が口グセの人を周りに置かないことです。謙遜や卑下は伝染してしまうからです。

転職や部署異動はなかなかできないでしょうが、こうした環境とはなるべく距離をとることで、自分を責めたり自己嫌悪に陥ったりするネガティブ思考をリセットするのに役立ちます。

2.両隣に自分を認めてくれる「人間シーサー」を置く

多くの人から支持されたり褒められたりすることで、「自己肯定感」を持てるとは限りません。自己肯定感とは、「私はこれでいい」と自分自身で思えることだからです。ですから、わずか数人でも、近しい人が自分を認め、褒めてくれる環境を作りましょう。

イメージは「人間シーサー」です。シーサーとは、沖縄でよく見られる魔除けの獣像。建物の屋根や門などに設置されますが、必ず右と左の一対となっています。あなたの「良さ」を理解し、守ってくれる人が、シーサーのように両脇に一人ずついる状態を作ってみてください。つまり、最低2人。自分の右と左にいる人を変えてみる、これが第一歩です。

そして、自分自身もその人を大切にし、その人にとってのシーサーになろう、という意識を持ってお付き合いする。ごく小さな単位で構わないので、お互いの良さを認め合う関係性を作ることをおすすめします。

シーサー

では、自分にとって人間シーサーとなる存在を、どのように見つければいいか。職場の中で見つけようとするなら、「会社」「仕事」の枠を取っ払って、同僚たちを見つめてみてください。その人は自分にとってどんな存在なのか。その人の良さを理解できるか。自分の理解者となり得る人の存在に気付けるかもしれません。

あるいは、社外で自分が好きな領域、興味があるテーマのコミュニティにアクセスしてみてもいいでしょう。今はSNSなどを通じてそれが簡単にできる時代です。お互いに認め合える2人に、どこに行けば出会い、つながれるかを考えてみてください。

「本が好き」「お料理が好き」「編み物が好き」、そんな小さなテーマで構いません。自分は何が好きなのか、何をしているときに楽しいのかを認識することで、居場所を見つけることができます。

3.ワクワクするものを100個見つける

なかには、「好きなもの・夢中になれるものを見つけられない」という人もいます。私は、こんなことをよく言われます。

「私は奥田さんみたいに、ワクワクしながら取り組めるテーマや仕事を見い出すことができません」

たしかに私は、社会に影響を与えられるような、大きなワクワクを見つけてきました。けれどそれと同時に、日常生活の中のあちこちに小さなワクワクも見つけています。

「この草にも花が咲くんだ」
「このミックススパイスには何が入っているんだろう」
「シチューに入れた牛肉はうまく煮えたかな」

皆さんも、「自信」や「自己肯定感」をふわっとした概念で捉えるのではなく、この瞬間、身の回りに自分が心を動かされるもの、小さなワクワクに目を向けてみてください。自分が何に心を動かされるのかがつかめたら、そこに近いところにいる人とつながってみましょう。

自分を磨きたいと考える人は、意識が高い人たちが集まるコミュニティに入って自己啓発を図ろうとする傾向があります。でも、それによって自己肯定感が高まることは、まずないと思います。それよりも、自分がワクワクする軸で、意識が近い人を見つけてみてください。

「興味」が軸となれば、そこをどんどん深掘りしていけます。深まっていくことに楽しさを感じれば、それを活かした生き方をしていけばいいのです。それは仕事でなくても構いません。好きなことを見つけられた自分に自信が生まれれば、仕事にもプラス効果をもたらすはずです。

4.自分のいいところを100個書き出す

自分のいいところを100個書き出してみてください。そうすると、後半は取るに足らないようなことが挙がってくるでしょう。

実は、そこに意味があります。どうでもいいと思っていたことも、自分の長所だと認識できる。転職活動などで堂々とアピールできるような強みを1つ2つ見つけるよりも、小さな「いいところ」を100見つけるほうが、自信につながるのではないでしょうか。

先ほど触れた、自分にとっての「シーサー」ができれば、お互いのいいところを100個出し合うのもいいと思います。自分では気付かないことも発見できるでしょう。

自己肯定感の高め方イメージ画像

自分を認めてあげるのに役立つ「まぁいいか」の発想

これまで行動のヒントをお伝えしてきましたが、ただそのままやってみるだけでは、自己肯定感を高めるのは難しいと思います。

自分自身が固定観念に捉われたままでは、いくら友人があなたのいいところを100個挙げてくれたとしても、あなたの頭はそれを受け入れないでしょう。ですから、根本的な発想、考え方から変えることが大切です。

「自己肯定感を持つ」とは、「私はすごい」と思えることではありません。私自身の自己肯定感を一言で表すなら、「まぁ、いっか」です。「まぁ、いっか」と思えることが、自分の周りにいくつあるかということです。

実は大ごとでも何でもないことに対し、一つひとつ深掘りしては、理想の状態に到達できずに悩む人は多いのではないでしょうか。「○○に自信はあるか」と考えたとき、「ある」とは言えないけれど、「まぁ、それでいっか」と思えるなら、そこで自己肯定していいと思います。

世の中で、第一志望校に合格し、第一志望企業に採用され、仕事でもトップになれる人なんて、人口の0.01%ほどしかいないのではないでしょうか。その人たちだけが自己肯定感を持てる社会なんて、おかしいと私は思います。

いろいろあったけど、「まぁ、いっか」と思える。それが自己肯定感になる。そして、大多数を「まぁ、いっか」とならしていって、「これだけは『まぁ、いっか』で終わらせたくない」というものを見つければいいのです。

私自身も「まぁ、いっか」のかたまりです。その中で「譲れないもの」を見つけ出し、そのポイントを突破して今の自分があります。

無意識のうちに自己肯定のハードルを上げてしまっている人は、「まぁ、いっか」の発想に転換してみてはいかがでしょうか。

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WRITING:青木典子 EDIT:馬場美由紀
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