新卒で入社して1年…在宅勤務ばかりで会社に愛着が湧かない【シゴト悩み相談室】

キャリアの構築過程においては体力的にもメンタル的にもタフな場面が多く、悩みや不安を一人で抱えてしまう人も多いようです。そんな若手ビジネスパーソンのお悩みを、人事歴20年、心理学にも明るい曽和利光さんが、温かくも厳しく受け止めます!今回は、「出社機会がほとんどなく、会社に愛着が持てない」と悩む新卒2年目男性からのお悩みです。

曽和利光さんメインカット曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー』(ソシム)など著書多数。最新刊『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)も好評。

ずっと在宅ワークで出社は月1回。上司や先輩の人柄もつかめない

<相談内容>
CASE51:「会社への愛着がわかない…このままでいいのでしょうか?」(24歳・Webサービス会社勤務)

新卒で今の会社に入社し、2年目に入りました。
しかし、入社してすぐコロナ禍に突入し、ほぼ在宅勤務の状況が続いています。
入社式はかろうじて行ったものの、導入研修はすべてリモート。6月に今の部署に配属されましたが、出社は月1回です。

1年目の仕事はリモートでもできる雑用か、仕事に関する勉強(課題を与えられ、本やレポートを読んで提出するような)などがメイン。本当は採用業務に携わる予定でしたが、このご時世で新規採用は見送られ、目標も持てずにいます。
ビジネスチャットやZOOMで毎日会議や打ち合わせなどがあり、オンラインではコミュニケーションがありますが、実際に顔を合わせているわけではないので上司や先輩、同僚の人柄や性格などを未だにつかめずにいます。

こんな状態で会社に愛着心を持てるはずもなく…コロナは怖いですがもう少し出社義務のある会社に転職したほうがやりがいが持てるのではないか?などと考えたりもします。
私はどうすればいいのでしょうか?(人事職)

会社への愛着は、会社に恩義を感じたときに初めて湧くもの

曽和利光さんインタビューカット

在宅ワークのせいでそう思ってしまうのでしょうが、たとえコロナ禍でなくとも、そもそも入社1年程度で「会社に愛着を持っている」と言える人なんてほとんどいないのではないでしょうか。

相談室のような場で「みんなそう」というアドバイスをするのは少々気が咎めますが、今回は敢えて「みんなそうだから焦らなくていい」と伝えたいです。

人は好意を受け取ると、好意を返さねばならないという感情を抱きます。これを心理学用語で「好意の返報性」と言います。
愛着も同様です。相手から何らかの恩義を感じることができれば、その相手に対する愛着が湧きますが、そういう出来事がなければそう簡単には愛着なんて湧きません。

すなわち会社への愛着は、この会社にお世話になったな、助けてもらったなと感じたときに初めて湧いてくるものです。

例えば、「仕事で何らかの成果を上げたときに、皆が喜び褒めてくれた」とか、逆に「仕事で失敗してしまったときに先輩たちが寄ってたかって助けてくれて、大事に至らなかった」などという経験を経て、徐々に会社や組織、そこで働く人々に対して愛着が感じられるようになります。このまま在宅ワークが続いたとしても、いずれこのような経験をするときが必ず訪れます。今は、それを待ちましょう。

 

自ら働きかけ「単純接触効果」を上げる工夫をしてみては?

毎日のように出勤し、先輩や同僚と繰り返し接しているうちに、相手に好意を持つようになる現象を、単純接触効果と言います。在宅ワークが続くと、この単純接触効果が得られにくくなり、「一緒に働く人への愛着が湧かない→会社への愛着も湧かない」となっているのでしょう。実際、相談者のように、コロナ禍の在宅ワークで孤独感を覚えている人は少なくありません。

「恩義を感じられる経験」を待っている間に、「このような状況下でも接触頻度を上げる工夫」をしてみてはいかがでしょうか?

月に1回は出社しているとのことですから、同じ日に出社している先輩や同僚と意識的にコミュニケーションを取るなどして、接触度合いを上げるのはどうでしょう。もちろん、感染症対策を万全に行ったうえで。ちょっと美味しいお弁当をテイクアウトして、社内で距離を取って食べるのもいいかもしれませんね。

リモートであっても、会議だけでなく雑談や意見交換の場を設けてみるとか、ビジネスチャットで雑談を振ってみるなどして、交流機会を増やすというのも一つの方法です。

 

今の状態での安易な転職は、孤独感を高める結果になりかねない

曽和利光さんインタビューカット

雑用ばかりで責任ある仕事に携われていないことにもお悩みのようですが、在宅ワークでなくとも、新卒1年目ならばそんなもの。雑用を積み重ねて知識をつけ、それに伴い少しずつ責任ある仕事を任されるようになるものです。コロナ禍が、そのスピードを少し遅延させる可能性はありますが、焦らず目の前の業務にコツコツ取り組むことで、徐々に道は開けます。

そして、「愛着が湧かないから」という理由で転職を考えるのはお勧めしません。
今の業務を1年しか経験していないタイミングで転職しても、新しい会社でまた1からやり直しになるだけ。「恩義を感じる瞬間」が、さらに遠のくだけだと思います。

そもそも、新卒採用した新人に対しては、会社は一から業務を教えてようとしてくれますが、中途採用だと「社会人経験があるのだから、ある程度一人で考え行動できるだろう」と、今よりほったらかしにされるかもしれません。在宅ワークは多かれ少なかれ、多くの企業が取り入れていますから、ますます疎外感を感じることになりかねません。従って、相談者が抱える悩みの解決方法としては、悪手だと思います。

おそらく、相談者は理想家なのでしょう。組織に所属している以上、その組織に愛着を持つべきであると。それはいいことだと思いますが、前述通り「愛着を持ちたいのに持てない」と悩んでも状況は変わらないので、今は自分でもできる工夫をしながら「恩義を感じる瞬間」を待ちましょう。

アドバイスまとめ

目の前の仕事にコツコツ取り組んでいれば
「恩義を感じられる瞬間」は、いつか必ずやってくる
いよいよ孤独を感じたら、
リモートであっても積極的に交流の機会を持とう

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EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

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