夫婦のジェネレーションギャップ解消法~川崎貴子の「チーム家族」痛快コラム

もしあなたとパートナーとの間に年齢差があるとしたら、どんな悩みがあると思いますか?
付き合い始めたころはそのギャップを楽しめていたのに、いつしか“ズレ”と感じるようになってしまったという人々がいます。

女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を手掛ける川崎貴子さんは、本業の傍ら、近ごろ特にそういった悩み相談を受けることが多いといいます。
自身も年齢差夫婦である川崎さんに、「長く寄り添うために年齢差ペアができること」について伺いました。

年の離れた夫に自分の趣味の世界を楽しそうに語る嫁

ジェネレーションギャップペアの抱える悩み

前回、「職場のジェネレーション・カルチャーギャップ」について書かせていただいたところ、予想以上に反響がありました。そこで、今回は夫婦版ジェネレーションギャップについて触れてみようと思います。

夫婦など、人生を共にする間柄の相手との「ギャップ」は、気になりだすと職場のそれよりやっかいです。

職場の場合、もしジェネレーションギャップが理由で人間関係に希望が持てなくなったとしたら、最終的には転職するという手段があって、比較的リセットしやすい。

ところが人生のパートナーとのジェネレーションギャップ問題ともなると、そう簡単にリセットできません。最悪の場合、離婚とかパートナーシップの解消となるわけで、なかなか人には相談しにくい内容ですし、実際に法的な話も絡んできたりして多大な労力が必要になるからです。

また、より近しい間柄だからこそ互いに甘えも出るし、スルーすることも難しいのが年齢差のあるペアの悩みでもあります。

私に寄せられた相談の中で浮き彫りになった、「パートナーとのジェネレーションギャップにおけるデメリット」にはいろいろな傾向がありました。
その内訳は、

・(夫が年上の妻)同世代よりも介護生活に早く突入しそうで心配
・(妻が年上の夫)妻の方が社会経験が豊富だから大きく出られないときがある
・(夫が年下の妻)共にいる時間が増えてから頼りにならない面が目立つように
・(妻が年下の夫)アクティブさについていけない
・(年の差ペア共通)世代的共感がないのでいちいち説明が必要
(※どのペアも5歳以上の年齢差があります)

などなどが挙げられ、どれもこれも「そんなこと最初からわかっていたのでは???」と、同世代婚の方々には言われてしまいそうではあります。

そうなんですよ。

恋愛していたころや付き合う前は気づかない、逆にメリットしか見えてなかったからこそ、小さな綻びから出てきた違和感が突如気になりだし、周囲に相談しづらいという状況も加わることで深刻さを増していってしまう、それがこの問題の恐ろしいところです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

ジェネレーションギャップをメリットにする3つのポイント

では、どうしたらいいのか?

年齢を変えることは不可能です。しかし、お互いのルールやコミュニケーション方法は変えることができます。恋愛初期とは違う、共に過ごした時を重ねたからこそわかる「ジェネレーションが違うことのメリット」に着目し、お互いが負担にならないように工夫をしてゆきましょう。

【1】シミュレーションしてみる

例えばわが家は、夫が8歳年下なのですが、先日保険の見直しでライフプランを改めて作ってもらったところ、収入や体力のピーク時に時差ができる(例えば私が50代になっても、夫はまだ42歳)、片方が定年になってももう一方は定年ではない、ということが見えてきました。これは、夫婦としても子育て世帯としても大きなメリットだと思いました。

また、これはわが家のような夫が年下のケース限定ですが、日本の平均寿命は女性が87.45歳で男性が81.41歳(厚生労働省「令和元年簡易生命表」(2020年)。女性の過半数が90歳まで生きるとも言われているわけで、図らずも8歳年下の夫とは「死期が合う」ということに気づいてしまいました。

ま、もちろん平均の話なので私たち夫婦に当てはまるとは限りませんが、「意外にゴールが一緒?」という「初めての連帯感(笑)」に包まれたものです。

こんな風に新たな発見があり、具体的なメリットが見えてくることもありますので、二人の人生の再シミュレーションはとてもお勧めです。

【2】〇〇友だちを作る

A子さんは冬はスノボ、夏はサーフィンと休日の度に楽しんでいるアクティブな女性。新婚当時は一緒に付き合ってくれていた年上の夫が最近付き合ってくれない、「私と行動を共にしたくないのでは?愛が減ったのでは?」と私のところに相談に来ました。

8歳下のアクティブな夫を持つ私は、相談者さんの旦那さんに激しく共感!
彼の代わりに、彼の心情をイタコのように降ろして、
「もうそろそろ、体力的にきついんっすよ・・・」
と、呟いてしまった経験があります。

スポーツに限らず、趣味や余暇の過ごし方含めてすべてをパートナーと共にするのは限界があるんです。これは体力面の問題だけでなく、「何に時間を使いたいか」という個人の価値観が、歳を重ねていくに連れて変わっていくからでもあります。
そこを無理に合わせていくよりも、ゲームはゲーム友だちとする、テニスはテニス友だちとする方がお互いにストレスなく過ごせます。

テレワークで一緒に過ごす時間が以前より増えたことで露呈した「夫婦は適度に離れているが吉」という真理(?) からもわかるように、無理に、全部を一緒にやらなくてもいいのです。この気づきは大事だと思います。そのうえで、共にやっていたことが一つ減ったのであれば、かわりに二人で新たに楽しめることを作ったりして、お互いが不満や負担を感じないルールに変更してみてはいかがでしょうか?

【3】相手から学べたことを言い合う

恋愛期間(情熱的な期間)を過ぎて落ち着いてくると、相手のメリットよりデメリットに目がいってしまうのは人間の悲しい性(サガ)ではあるのですが、ここをテコ入れすると二人の関係は向上します。(ま、これは年齢差夫婦に限りませんが)

月に一回のデートの時でもいいですし、二週間に一回ぐらいのんびりする日曜日でもいいです。お互いから学べたことを言い合ってみる事を習慣にすることをお勧めします。

例えば、「あなたの話し方がいつの間にか私にうつったみたいで、交渉事がうまくなったって上司に褒められたんだー」とか、「SNSとか興味なかったけど、〇〇に教えてもらって世界が広がったよ」など。

うまくいっていないパートナーは、互いに「相手もこの関係に少し後悔しているのでは?」と勘繰っているものです。「愛情関係や信頼関係にメリットもデメリットもない!」と誰かに怒られそうですが、「自分のパートナーが自分から学んでくれていることがある」とお互いが感じられるのはジェネレーションギャップペアにとってはひとしお、なかなかの喜びです。

そして、相手を安心させるだけじゃなく、学べたことを当の本人が具体的に口にすることにより「二人のギャップメリット」を深く感じることができ、さらには毎日の生活の中でもっとメリットを探すようになる。要は、メリットに目が向くようになるのです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

どんな場合でも執着を手放すことで前進を

上で挙げたポイントは当然ながら万全ではありません。色々試みたけれど、どうしても二人の間の溝を埋められず、お別れに至るケースもあるでしょう。

何年か前、ある女性の芸能人が24歳年下の男性と離婚した時、私の周囲もネットも騒然としたのは未だ記憶に新しいです。彼女の場合、夫から「やっぱり子どもが欲しいから離婚してほしい」と言われての離婚だったため、「そんなこと最初からわかっていたじゃない??」「自分からプロポーズしておいてひどい・・・」と、「年の差婚こわい」的な空気になったものです。

ただ、彼女は「そっか、そっか、それじゃーしょうがないわ」と言って離婚承諾したそうで、大人の女の愛情というか矜持みたいなものを見せてもらった気がしました。相手に執着せず手放した彼女に、超年下婚の覚悟や気構えまでも教えてもらったように思います。

問題を解決するためであっても、彼女のように気持ちにひと区切りつけるためであっても、この「執着を手放す」は大事なこと。なぜなら、「前に進む」につながるからです。

ジェネレーションギャップペアは、「先に亡くなるかも」「相手が成長して価値観が変わってしまうかも」「すぐに浮気されるかも」などなど、不安要素は同世代ペアより多いかもしれません。でもその分、「相手の幸せを考える」という、本来の愛の形やパートナーシップについて考える機会も多いように思います。その時こそ、自分の価値観や相手の存在そのものなど、執着していることはないか自分に問うてみてください。

私は婚活事業もやっているので、お互いがお互いをパートナーに選ぶというのはものすごく低い確率であるということを日々目の当たりにしています。

あなたも私を選んでくれて、私もあなたを選んだ、というのはある意味奇跡だと思うのです。ただでさえそうなのに、年齢や世代を超えてパートナーになった人たちは、半端ない奇跡を起こしたといえるかもしれません。

折角の出会いですから、ぜひ試行錯誤して、何より楽しんで、「奇跡」を大切に紡いでいってほしいと思います。

プロフィール

川崎 貴子

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リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

イラスト:yoko
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