共働きで夫婦喧嘩が絶えず、家庭内が険悪に…。うまく伝え合うにはどうしたらいい?~川崎貴子の「チーム家族」痛快コラム

仕事が終わってからも、家事に育児にと時間に追われ、気づくと寝落ちの日々…。家事も育児も積極的に行う男性も増えてきたとはいえ、「家庭のことは女性」という認識はまだ根深く、共働き妻の悩みは尽きません。そんな女性たちを応援するこの連載。女性のキャリア支援や結婚コンサルタントまで幅広く活躍中の川崎貴子さんから、家族を「チーム」としてとらえ、より効率的に日々を運営していくアドバイスをいただきます。

今回は「共働きですれ違いばかりで、夫婦喧嘩が絶えない…!平和に過ごすためにどうしたらいいのだろうか。ただし我慢はせずに!」というお悩みについて、共働き夫婦の不毛な喧嘩を減らすための方法をお伺いしました。

夫婦喧嘩

不毛な夫婦喧嘩はなぜ起こるのか?

どんな夫婦にだって喧嘩の火種の一つや二つはあるけれど、共に社会で働き、共に時間に追われて家庭を回している「共働き夫婦」には、火種どころか燃え盛るキャンプファイヤー並みの炎上力があります。喧嘩の原因は、役割分担の不公平さや、子どもの教育方針の違い、義理の実家との関係や、時間・余暇の過ごし方、お金のこと、などが多いでしょう。

これらクレームを議題にどちらかが口火を切って大喧嘩する夫婦もいれば、「仕事、子育て、家事で手いっぱいで、喧嘩する時間すらない」という夫婦も多くいます。
問題解決しないまま、内に秘めた怒りのファイヤーを燃やし、パートナーへの憎悪をただ募らせている…というのもまたつらい毎日だなぁと思うのです。例え時間ができて話し合おうとするも、取り合ってくれずに無視された案件も含めて。

共働きの夫婦喧嘩の場合(あくまでもこれまで私が見聞きした“当社”比ではありますが)、大抵妻の方から喧嘩を仕掛ける事が多いように思います。それも、多忙であるがゆえに「忙しいから今は止めておこう」「こんなこと言ったら喧嘩になって睡眠時間削る事になるから言わないでおこう」と我慢し続けて溜まりに溜まったクレームのすべてをぶちまける形で開戦します。

で、これもまた当社比で申し訳ないのですが、
女性に比べて男性のほうが、失恋や前の彼女を忘れられない傾向が強いことからもいえるように、受けたストレスをすぐ処理したり、気分を変えたりするのが不得意で、自分に対する大量の文句を受けるとエラーを起こしやすいんですね。男性側からすれば予期せぬ奇襲そのものといったところでしょう。
結果、夫たちは生返事をしたりその場から逃げようとしたりフリーズしたりするものですから、満を持して特攻していった妻たちの怒りをさらに買う事になるわけです。

そうなったらもう(私も経験ありますが!)相手をギャフンと言わせるまで徹底抗戦ですよ!進め一億火の玉だ!!

そして、戦いが終わってどうなるか。
愛し合って結婚した夫婦が口汚く罵り合い、修復が不可能な程、互いを傷つけてしまう。
これは「悪い夫婦喧嘩」のパターンで、下手をすれば離婚にまで発展してしまいます。

「良い夫婦喧嘩」には黄金のセオリーがある

このように、共働きだと多忙であるがゆえに、家庭内がギスギスする夫婦喧嘩は起こりがちではありますが、

私は夫婦喧嘩のすべてが悪いとは思っておらず、内に秘めてストレスを溜め合うより、二人の関係をもっとバージョンアップできるような「良い夫婦喧嘩」推奨派です。

例えば、
ストーリーや落としどころがあらかじめ決まっているプロレスみたいな、毒抜きの夫婦喧嘩。
お互いが理解と感謝を持てるようになる、話し合い目的の夫婦喧嘩。
愛情を確認し合えるような、「魂のぶつかり稽古」な夫婦喧嘩…。

不毛な「悪い夫婦喧嘩」から、「良い夫婦喧嘩」に変えていくには、どうしたらいいのでしょうか。

次から、わが家でも実践している「良い夫婦喧嘩」セオリーを紹介します。

セオリー1.怒りのメカニズムを知る

以前の記事(イライラが爆発する前に!川崎流「自分の機嫌」の取り方~川崎貴子の「チーム家族」痛快コラム)でも書きましたが、怒りのメカニズムを把握しておくと多少怒りはコントロールができるようになります。少なくとも、大爆発して相手を追いつめる「悪い夫婦喧嘩」までに至らずに済むでしょう。

怒りは、表出した時点ですでに二次感情です。
妻が怒りを吐き出す時、その背後にはたくさんの怒り以外の感情が一代絵巻を織りなしているものです。
例えば、最近夫が自分の話を聞いてくれない悲しみ、時間や気持ちに余裕がないぎすぎすした感情、今取り掛かっている仕事のストレス、「私ばっかり家事を頑張っている」のに承認欲求が満たされない、スキンシップ含め独身時代のようにもっと愛されたいと思う気持ち、などなど。

開戦のきっかけは「夫が当番の食器洗いを忘れていた」だとしても、その背後にはたくさんの感情があり、普段はそれをすべて我慢しているのに「なぜ、あなたは今日、食器洗いを忘れるのか!」「私がどんな思いでぶちまけているのかわかっているのか!」と、大炎上してしまうのです。
ところが、夫は「食器洗いを忘れただけ」で妻のマキシマムな怒りをぶつけられるので「そこまで言われる事?」と、フリーズもしくは抗戦になる。
まずは、自分が怒りの感情の裏にどんな気持ちがあるのかを一度冷静になって考えてみることをお勧めします。

セオリー2.一次感情を小出しにして伝える

上記の場合、妻の一次感情を無視しているのは、じつは夫ではなく妻本人です。
夫は妻の半身ではなく、生まれも育ちも違う赤の他人。おまけにエスパーでもないので、妻が欲しいタイミングで、欲しい言葉や行動の情報を受け取れる術はありません。
もうこの件に関しては、妻が言語化してその都度伝えない限り方法はないのです。
例え、独身時代はできていた、とか、ほかの家庭の夫はできている、とか反論はさまざまにあったとしても、私たちは刻一刻と変化しているし、共働き夫婦の数だけ夫婦関係のパターンがあるからです。

「最近、夫婦の時間が少なくて寂しいな。今週はいつ早く帰れる?」
「感謝されるともっと頑張っちゃうんだけどなー」

など、相手がやってくれない事をつるし上げるのではなく、自分の感情にフォーカスして夫に伝えるといいでしょう。

セオリー3.創作キャラを作って言いたいことを言う

他にも夫婦でちょっと言いづらい、関係が悪くなるようなことは、創作キャラを作るなどして冗談っぽく伝えるというのはいかがでしょうか?

わが家には以前から「米蔵タイム」というのがあります。米蔵は私が作り出した創作キャラで、推定年齢80歳の江戸っ子。多少ボケの入ったおじいさん設定で、言いたいことを言い放つという特徴があります。

(私:しゃがれ声)「なんでここのフィルター替えてくれないんじゃ。爺いじめか!」
(夫)「だれですか?(笑)」
(私:しゃがれ声)「「忘れたのか!米蔵じゃ!」

米蔵じいさんを憑依させた私は、「爺いじめか!」を連発してやってほしい事を伝えます。「妻に言われるとクレームを言われている気がするけど、米蔵に言われるならしょうがない」とは、夫談。

対抗して夫は「渋谷にいそうな女子高生」を憑依させてクレーム伝えてきます。

(夫:高い声)「これー、出しっぱなしやばみ!激おこー!」
(私)「ごめん!すぐかたづけるね(苦笑)」

その女子高生の声色のクオリティの高さに、私もまた笑いをこらえていそいそと従っているのです。

笑いがあれば、傷つけ合う喧嘩にならない。
ぜひ各ご家庭で、さまざまな創作キャラを誕生させていただきたいと思います。

【まとめ】甘えすぎないで甘える

先日対談したスーパーキャリアな女性(共働き子あり)は、
「夫にはついつい感情をそのままぶつけちゃうんですよねー」
とおっしゃっていて、私も身に覚えがあり、はっといたしました。

一日中、全方位で気を使った仕事の日なんかは特に、仕事仲間や友人には絶対見せない感情を夫にはぶつけてしまう。
それは、かつて子どもだったころ、親に対して思っていた感情「親なんだから受け止めて」に近い。いっぱしの自立した女を気取っていたはずなのに、蓋を開けてみれば子どもレベルの甘え方だったと反省しました。
さらにはその「自立した女」を掲げているものだから、かわいく甘える事がどうしてもできない。「こんな時、かわいく甘えられればもめないのに」と思ったことは過去に何度も何度もございます。
そこは、夫も同じように「妻ならやってくれるはず。なぜなら自分のお母さんはやってくれたから」がたくさんある事でしょう。
共働き夫婦なのに、退行した甘えを出し合ったなら上手くいくはずはないのです。

他人の大人同士が、愛と感謝と思いやりを持ち寄って運営するのが家庭生活。そこを戦場にするのも、安らぎの場にするのも、夫婦の工夫とコミュニケーション次第。
無駄な意地やプライドを捨てて、忙しいと思うけれども時間を捻出して、多くの共働き夫婦が「良い夫婦喧嘩」で愛を深めてゆかれます事を、願ってやみません。

プロフィール

川崎 貴子

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リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

イラスト:かしえみ

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