ワーママの転職「こんなはずじゃなかった…」(後編)――転職コンサルタントに聞く“後悔しないワーママ転職”を実現する方法

前回(前回の記事はこちら)の記事では座談会の様子から働くママたちの転職事情をご紹介しました。

「時間がなく、吟味しないで転職してしまった」
「土日は休めると聞いていたのに土日も結局仕事だった」
「聞いていた仕事内容と違っていた」

座談会からはこのようなワーママ転職のリアルが浮き彫りになりました。

では、「こんなはずじゃなかった……」という事態を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。今回は女性の転職に特化した転職コンサルタントとして活動する株式会社エスキャリアの八木澤寛子さんに“後悔しないワーママ転職”を実現する方法 について伺いました。

プロフィール

八木澤 寛子さん

株式会社エスキャリア esAgent 転職支援チーム コンサルタント

1981年生まれ、神奈川県出身、横浜市立大学卒業。 2004年に銀行系証券会社に入社。大手金融機関の債券営業担当としてキャリアをスタート。リーマンショック後に早期退職制度に応募して、退社。 2カ月間の離職期間を経て、2012年3月に外資系情報メディアに記者アシスタントとして入社。 約6年間で二人の子供を出産・産休育休を取得しながら、データ配信と記者業務を担当。「やっている仕事」と「やりたいこと」が合致せず、働く意味を改めて考えたいと思いエスキャリアの「マイ・カウンセラー」を受け、転職を決意。 エスキャリアの「自分らしいキャリアの実現」を支援することに素直に共感して入社。日々リクルーティング・アドバイザーとして奮闘中。

“ワーママ転職”で後悔しない方法

「なぜ転職するのか」「どうなりたいのか」を明確にする

ーー働くママが転職で後悔しないためにはどうしたらいいのでしょうか?

まず、「そもそも、なぜ転職をする必要があるのか」を明確にすることが大切です。いまの自分は何が不満で、どうなりたいのかを掘り下げて考えていくこと。そうすると、転職以外の選択肢があるケースもあります。

私自身これまで2回転職をしていますが、過去にあまり内省せずに転職して失敗したことがありました。特にワーママは時間が限られているので短い時間の中で情報収集して行動して結果を出さないといけない。短い時間の中で効率的に情報を収集するためにも、まずは「なぜ転職が必要で、何を軸に転職するのか」を考える時間をつくることが大切だと思います。

その上で、転職エージェントに登録して専門家の話を聞いたり、求人サイトを使ったり、ネット検索をしたりして情報を収集します。私の場合は、大学時代の友人やママ友にも相談をしました。場合によっては転職せずに現職で理想を叶えられる場合もあるので、職場の人に相談してもいいかもしれません。ただ「職場の人に相談する」ことはリスクも伴うので注意が必要です。

いずれにしても、まずは「なりたい自分」を明確にして、それが現職で実現できないかを検討してみること。その上でいろんな人の話を聞く。そうすれば自分だけでは知ることができなかった選択肢が見えてくると思います。

実現したいことを紙に書き出し、現実と比較する

ーー「自分が何を実現したいか」を考えるときのポイントを教えてください。

まず、「やりたいこと」「実現したいこと」を優先順位の高いものから順番に紙に書き出してください。次に、それが現実ではどういう順番になっているか並び替えていきます。私は実際にこれをやってみたときに、実現したいことと現実が真逆になっていました。でも、そこで改めて自分が実現したいことを認識することができた。

目の前の仕事や子育てに追われていると内省する時間がとれなくて、自分のなりたい姿がわからなくなってしまうことがあります。まずは絡み合っているものを解きほぐして、自分のなりたい姿を書き出してみるといいでしょう。

「ゆずれない条件」は面接の段階から明確に伝える

ーー「なりたい姿」を書き出した結果、例えば「子どもとの時間を確保したいので、時短勤務はゆずれない」など、 面接で伝えても問題ないのでしょうか?

基本的には問題ないと思います。「時短でないと働けません」「土日は必ず休みます」といった「ゆずれない条件」は面接で伝えるべき。私たちも企業に時短勤務を希望する方を推薦するときは、必ず早いタイミングで「この方は時短勤務を希望されています」と伝えるようにしています。そうしないと双方の時間がもったいないですし、入社してからのミスマッチにもつながってしまう。

私は2社目の会社でみんなが残業している中、「子供のお迎えがあるのか帰ります」というのが言いづらく、働きづらさを感じて勤務していました。その会社に転職してから妊娠・出産したため面接で「時短勤務をさせてください」とは言えませんでした。仕事と子育てを両立したい方は面接のタイミングで希望をはっきり伝えた方がいいと思います。

「自分がどんな価値を出せるか」もしっかりアピールする 

ーー「ゆずれない条件」を伝えるときのポイントがあれば教えてください。

「ちょっと細かい話になるのですが、私は貴社で長くこんなお仕事をさせていただきたいので」と、入社してからのミスマッチをなくしたいという想いを伝えることだと思います。あとは、なるべく具体的に伝えること。例えば、「週何回までは残業できますが、それ以外は家庭の事情でこの時間には退社しないといけません。ただ、フレックスタイム制を上手く活用して対応します」とか。

カルチャーマッチを判断される最初の人事面接でそこまで具体的な話をする必要はないかもしれませんが、直接的な影響を与える事業部の担当者やその上長と面談する際は、なるべく具体的にゆずれない条件を伝えた方がいいでしょう。「企業から選ばれる人にならなきゃ」と思う人も多いかもしれませんが、面接はあくまでお互いが合うか合わないかを見極める場です。「これを言ったら落とされるかも」と遠慮してしまうと採用されたものの、働き続けられなくなる可能性もあります。

ただ、一方的に要望を伝えるだけではなく、「自分の強みは何で、こんなパフォーマンスを発揮できます」ということをしっかりアピールすることが重要です。もちろん、ゆずれない条件を伝えないとミスマッチになってしまうのですが、最初に自分の希望条件を伝えるのではなく、まずは「この会社で私はこの仕事をやっていきたい。なぜならこうなりたいからです」という想いを最初に伝えた方がいいでしょう。

ワーママの強みは限られた時間の中で高いパフォーマンスを出せることだと言われています。そこを強みと感じているのであれば、しっかり伝えた方がいいと思います。職種によっては時間で区切れないものもあるかと思います。そうであれば、希望時間で終わる仕事を選ぶか、時間を定めて働くような契約社員や派遣社員で働くことも視野に入れた方がいいかもしれません。

自分のポータブルスキルを可視化してアピールする

ーー転職を考えているワーママの中には、目に見える資格やスキル がないと転職できないと思っている方も多いのではないかと思っています。そんな方にはどのようなアドバイスをされていますか?

どんな仕事をしていた人にも資格や実績では表せないポータブルスキルがあると思っています。営業のように成果が数字に見えやすい仕事は実績をアピールしやすいかもしれませんが、他の仕事でもポータブルスキルを可視化することができれば、立派なアピール材料になります。

例えば、これまで3社で事務の仕事をしていた人なら、「私はこれまで3社で事務をやってきましたが、それぞれ場所も状況も社員数も仕事の進め方も異なりました。その中でなぜ私が各社で成果を出すことができたかというと柔軟性があったからです」ということが言えると思います。

「私は3社で事務をやってきました」と伝えるだけでは、その人の強みがわからない。資格がなくても「これまでの仕事の中で私はこんなところに強みを発揮してきました。だから私は貴社のこの業務においては強みを発揮できると思います」と伝えることができれば、面接官もその人が活躍するイメージができるのでマッチしやすくなります。

とはいえ、自分のポータブルスキルを可視化することは難しいかもしれません。そのため、私はよく求職者の方に「これまでの仕事ですごく楽しかったこと。やりがいに感じたことはなんですか」「失敗や困難をどのように乗り越えてきましたか」ということを聞いています。その問いの答えを考える中で、みなさん自分の強みに気付かれるようです。

“会社全体の実態”を面接で突っ込んで聞く

ーー前回のワーママ座談会では「時短勤務の制度はあるけど、実態が伴っていなかった」という声もあったのですが、そのような実態を事前に見極めるにはどうしたらいいのでしょうか?

面接で突っ込んで聞くことだと思います。例えば、残業の実態を確かめたい場合は、「男性社員の方も含めてみなさん何時頃までお仕事されていますか」とか。女性やワーママに限らずその会社全体の働き方を聞くといいでしょう。

「男性も含めて」という聞き方なら、「子育てしているママさんもいてこの時間に帰っています。フレックスタイムがあるので前倒しで仕事を進めている人もいますよ。男性でもお子さんを朝保育園に送ってから出社して、その分残業している人もいますよ」という男女に限らない回答が返ってくることがあります。

さいごに

「面接でこんなことを伝えたら落とされてしまうかも」「こんな突っ込んだ質問してもいいのかな」など、不安に感じている方も多いかもしれません。しかし、面接はあくまでお互いが合うか合わないかを見極める場。「選考されている」という意識で遠慮してしまうと、入社後にミスマッチになってしまう恐れもあります。

「こんなはずじゃなかった……」ということを防ぐためにも、面接では自分のゆずれない条件を伝えましょう。そして、条件面の実態が不安な方は、会社全体の働き方を確かめる突っ込んだ質問をするといいでしょう。

ただし、希望条件だけを一方的に伝えるのではなく、「どんな価値を出せるか」をアピールすることが大切。自分がこれまでの業務の中で培った強みをどのように活かせるのか。資格や実績などの定量的な強みがない方はどのようなポータブルスキルがあるのか。面接ではこれらをしっかり可視化して伝えましょう。ここでご紹介したポイントを参考に、ぜひ「なりたい姿」を実現してください。

ワーママの転職「こんなはずじゃなかった…」前編はこちら

文・田尻亨太 編集協力・武井梨名(株式会社LiB) 写真・松田然(合同会社スゴモン)

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