管理職を引き受けてしまったことに後悔…今からでも断るべき?【働く女性相談室】

「働く女性の成功、成長、幸せのサポート」という理念のもと、キャリア支援やコンサルティング、現在では結婚コンサルタントなど、幅広い領域で活躍されている川崎貴子さん(川崎さんの記事一覧)。
人材コンサルティングの経験と、女性経営者ならではの視点から、のべ1万人以上の女性にアドバイスをしてきた川崎さんが、「“働く女性”に立ちはだかるさまざまなお悩み」に、厳しくも温かくお答えするこのコーナー。

第四弾の今回は、“よく考えずに管理職を引き受けてしまった…”と悩む女性からのご相談です。

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今回の相談内容

管理職に抜擢されてしまい、上司をがっかりさせたくなくて引き受けてしまいました。しかし今になって困惑しています。仕事は好きなので一生働きたいと思っていますが、管理職になりたいと思ったことはなかったし、自分に適性があるとは少しも思えません。職場の人間関係も良かったのに、私だけ管理職になれば空気も乱れそうです。失敗することも嫌われることもよく考えずに引き受けてしまった自分に後悔しているのですが、今からでも断った方がいいでしょうか?(33歳 メーカー)

回答者

川崎貴子

リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「2030」がもたらす女性の悩み

「2020年までに管理職の女性比率を30%まで持っていく」と政府が目標を掲げてから、企業も女性管理職の育成や抜擢に腰を上げ始めました。私達のようなコンサルティング会社に依頼したり、社内でプロジェクトチームを作ったりと会社によって取り組みは様々ですが、「あと3年以内に30%」を達成する為に十分なヒアリングや教育がなされないまま管理職に抜擢されてしまった女性も多く、相談者さんと同じお悩みに最近よく遭遇します。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

何故男性上司は「よくヒアリングしないで」抜擢するのか?

コンサル先で女性に「管理職になりたいか」というアンケートを取ると、同性の私ですらその「なりたくない」という答えの数の多さに集計ミスを疑う程ですから、日頃女性社員一人一人とコミュニケーションを取っていない男性上司の場合、「こんなに意欲的な社員が管理職になりたくない訳がない」と思ってしまいがち。一般的に男性思考では、「管理職抜擢」は昇進昇給であり、評価された事であり、「ハレルヤ!」な事だからです。ところが、実際に管理職を希望する女性は全体の10%もいないと言われており、その数字は現場を調査している我々からしてもとても現実的なもの。更には、その男性上司の働き方を見て「管理職など絶対になりたくない」と思っている女性社員も多く、互いに理解しあえぬ溝は深まるばかりなのです。

女性は管理職に向いている

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多くの働く女性達が非管理職志向であることは、前述した通りよく理解しているつもりです。それでも、相談者さんや全ての働く女性達に私は言いたい。

「チャレンジしてみて!」「女性は管理職に向いていますよ!」と。

失敗したっていいではありませんか?命を取られるわけじゃなし、降格して元に戻るだけです。そして、管理職を経験するという事は、そんな小さなリスクテイクに対して、有り余るスキルや経験、思考や人脈をもたらせてくれます。

私は25歳で起業し、部下の殆どが年上というアラサー時代を過ごしました。時に修行のようだと悩んだりもしましたが、あの時に培ったマネージメントスキルに、その後の仕事人生だけじゃなく、ありとあらゆるプライベートシーンでも何度も助けられたものです。おまけに、自信がついたからか、自分の人生から「私なんて・・・。」というセリフはいつの間にか消滅しました。

また、「女性は管理職に向いている」に関して言えば、女性管理職比率が先進国最下位の日本においてはイメージしづらいと思いますし、古いタイプのリーダー像に囚われ、「私にはできない」と思ってしまいがちです。しかし時代は今、大きく変わってきています。同じ製品を大量生産していたトップダウン経営時代のリーダーには強烈なリーダーシップや決断力など、男性的な要素が過分に求められました。しかし、これだけ世の中の消費行動が多様になると、ボトムアップ型マネジメントが必要になります。ユーザーに近い人から話をよく聞き、流行や情緒的な差異に敏感で、皆の意見をまとめられる、そんな女性の得意分野がリーダーとして必要とされるからです。

何より、部下のマネジメント分野においては、「剛のマネジメント」から「柔のマネジメント」への変化が求められています。権力志向よりビジョン思考の社員が若者に増えている事、残業や飲みニュケーションの撤廃、外国人社員の登用、精神疾患の増加、などなどに対して、従来の「剛のマネジメント」では対応が難しく、コーチングを基礎とした女性的な感性がマネジメントでも求められているのです。

まずは口角を「きゅっ」と上げるべし。
お手本は、小池百合子都知事

管理職を引き受けてしまったことに後悔…今からでも断るべき?【働く女性相談室】_まずは口角を上げましょうとはいえ、管理職になる事で嫌な事も言わなければならないし、嫌われることだってあるとは思います。でも、そんな時は是非、小池百合子都知事の「口角」を真似してみてください。あれは初登庁の時。都議会議員たちが都知事の出迎えも握手も拒否したニュースは未だ記憶に新しいと思いますが、都議会議員のおじさん達は何も小池百合子氏を個人的に嫌いだから、あんな幼稚な事をしたわけではありません。所属する党の思惑やそれぞれの立場があんな行動をとらせちゃった訳です。そんな事はしたたかに承知している彼女は、握手を拒否された時も困惑せず、口角を「きゅっ」と上げて対応しておりました。

選挙中に「大年増の厚化粧」と言われても、「女狐」なんて揶揄されても、彼女の口角は一向に下がらず、先日の都議会銀選挙の際には彼女の穏やかな笑みに自信をもらった候補者達が次々に勝利し、都民ファーストの会圧勝という結果になりました。最近ニュースに取り上げられているほかの女性議員たちとは明らかに運気が違いそうです。そして、部下と言うものは運気が悪そうな人に面白い程ついてきません。

オフィスの空気を作るのはその構成員であり、リーダーや管理職はその最たる存在です。実は余裕が無くても、彼女のように口角だけきゅっと上げていると部下は話しかけやすく、緊張を緩和させることができます。それは結果的にパフォーマンスに大きく影響するでしょう。「女性管理職は常にニコニコしていろ!」と言いたい訳ではありません。むしろ真逆です。

目の奥なんか笑ってなくていいんです!(*都知事のように)

毎朝オフィスで「きゅっ」と口角を上げてみてください。それだけで、「さあ、やってやろうじゃないの。」と自身のチャレンジ精神にも火が付きます。管理職のスイッチを自分でON/OFFできれば、管理職という「立場」が重荷じゃなく、「もう一人の私」として楽しめるようになる筈です。

「管理職」も「百合子口角」も是非お試しあれ。

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