仕事は続けたいけど、子供もほしい。どうしたら良い?

「働く女性の成功、成長、幸せのサポート」という理念のもと、キャリア支援やコンサルティング、現在では結婚コンサルタントなど、幅広い領域で活躍されている川崎貴子さん(川崎さん執筆の過去記事はこちら)。そんな川崎さんが、「“働く女性”に立ちはだかるさまざまなお悩み」に、優しくも厳しくお答えするこのコーナー。第2回は、転職したばかりで妊活タイミングに悩む女性からのご相談です。

仕事か、子供か_イメージ画像

<今回の相談内容>

半年前、ちょうど30歳で転職をしました。転職と同時に結婚もし、できれば遅くとも33歳くらいまでには第一子が欲しいと思っています。その点は夫も同じ考えです。ただ、先輩に相談したところ、「一人前になるまで最低2年は見ておいた方がいい」と言われました。確かに、一人前になる前に産休を取得してしまうと、戻る場所がないのではと不安になります。できれば仕事は続けたいと考えています。

まずは2年間、仕事に専念すべきか、それとも頃合いを見て妊活を始めるべきか…どうしたら良いでしょうか?(30歳・女性・人材)

回答者

川崎貴子

1972年生まれ。埼玉県出身。
1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。2017年3月に同社代表を退任し、同年4月よりリントス(株)代表に就任。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に『結婚したい女子の為のハンティング・レッスン』『私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由』『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』『上司の頭はまる見え。』『モテと非モテの境界線』がある。株式会社ninoya取締役を兼任し、2016年11月より、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。12歳と5歳の娘を持つワーキングマザーでもある。

私は女性の転職支援を長い事やってきた訳ですが、常に相談内容のトップ5には入っていたこのお悩み。仕事の方向性が見えてきて、転職したりキャリアアップできるチャンスが来たかと思うと、結婚や妊娠というプライベートのチャンスも同時期にやってきてしまうという理不尽な自然の摂理を前に、相談者の女性達とあーでもないこーでもないと何度も話し合ってきたものです。

結果、この大波を色々な形で乗り越えた女性達をたくさん見てきました。そして、その波乗りの、フォームの多様性に毎回驚かされたものです。ある人は転職後1年で実績を上げ、「早く帰ってきて!」と言われて育休3か月で復帰、ある人は婦人科健診で妊娠しづらいと言われて転職したばかりの会社を退職。妊活して子供を二人産んでから再就職し、再び活躍。ある人は、話し合った結果夫が育休を取る事に。またある人は管理職まで上り詰めたが子宝に恵まれず、里親制度を利用して現在仕事と子育てに奮闘中・・・。

乗り越えた彼女達に共通していたのは、長期的にキャリアを捉えたことと、その都度人生の優先順位をはっきりさせたこと、です。

「キャリアを手放さない」「33歳まで第一子」という強い意思があれば、多少のタイムラグやキャリアの停滞期があったとしてもそれらを挽回することは可能です。同時に全てを手に入れる事はできないかもしれません。しかし、逆を返せば「同時じゃなければ手に入れられる」という事であり、慌てずに一つ一つクリアにしていく大切さを彼女たちは教えてくれました。

コントロールできるもの、できないもの。

 

女性の生き方_イメージ画像

 

そもそも、妊活をすると言ってもすぐに子供ができるかは神のみぞ知る事。計画通りにはいかないのが子宝であり、まさに「授かりもの」な訳です。仕事も同じですね。先輩の助言である「2年」というのもあくまでも先輩の一意見。2年後に一人前として認められるかどうかなんて誰にも解りません。妊活も仕事も前向きにチャレンジするのは大切ですが、少ない情報の中で不安を抱えるのは大いなる時間の無駄です。

ですから、まずは会社の社内規定を調べ、育休が取れる入社年月を確認しましょう。また、社内で出産している人達の話を聞きに行ったり、社外や同じ業界など幅広く先輩キャリアママ達の「波乗り」を調べ上げましょう。キャリア妊活も情報戦です。先人が歩いてきた、できる限り舗装された道を堂々と歩きましょう。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

時代が働くママを応援している

これから子を持つ働く女性達に一番気を付けて欲しいのは、「卑屈にならない事」です。前職に復帰しなかったママ達の中には、「1年で妊娠してしまったので歓迎されないのでは?」と言って転職会社の門をくぐる人も少なくありませんでした。また、このような議題が出るとネット上ではいつも、「何しに入社してきたのか?」「会社の損害は?」というような意見が飛び交いますし、社内にも同じような意見や空気を見つけてしまう事もあるでしょう。

でも、そんなこと気にしていたら、働く女性は一生子供なんて産めやしません。それに、これから日本は世界で初めてといえる規模で「超高齢化&少子社会」を迎え、おまけに「未婚社会」に突入していきます。祖父母や両親の介護問題を含めて、一時的にでも、家庭の事情で思うように仕事ができなくなる人も増えることでしょう。これらを鑑みると、「いつ産むか」「子供を産むか・産まないか」と悩む人は男女に関わらず、今後も増え続けてゆくと思われます。

なお、経営者の立場から言わせてもらえれば、弊社の場合は育児中の女性社員達が復帰して戻ってきてくれて本当に助かりました。保育園のお迎え時間が決まっている彼女たちの鬼気迫るハイパフォーマンスぶりに驚き、「なんのために働いているのか。」と、問うまでもなく仕事にコミットしている姿勢に学び、視野や考え方に変化を得た彼女たちに大いに刺激を受けました。会社側としてあまりにも良かったので「主婦の再就職支援」という新規事業を当時立ち上げてしまったほどです(笑)

これから、残業しないで仕事を回す会社作りをしていかなければならない中で、そのような理由でも働くママ達はキラキラと輝く戦力であり、現在も多くの企業で求められています。ですから、是非自信を持ってチャレンジして欲しいと思います。

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キャリアと一緒に徳を積むべし

とはいえ、当然の権利とばかりに主張したり、色々な人がいる職場であからさまな「妊活宣言」するのはキャリアの可能性を自ら潰しにかかっているようなものです。迷惑をかけた人にはお詫びを、助けてくれた人にはお礼を忘れずに。毎日顔を突き合わせている人たちは意外によく見ているものです。

前述した「波乗り女性達」の話を聞いていると、家庭の問題や会社の方向性が変わって働きづらくなっても、前の会社の人に声をかけられたり、紹介を受けたりして事なきを得たり、更に良い条件で仕事ができるようになったりしていました。「この人は信用できる。」「この人と働きたい。」という人徳と信用は、何が起こるか解らない人生において貴重な財産です。

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長女が生まれてくれてよかった

私自身は13年前、会社を拡大しようとしたときに妊娠が発覚し、社員やお客様先、銀行やパートナー企業の人々が脳裏によぎり青ざめた経験があります。当時会社の事を考えたら、1mmも産める気がしなかったからです。それでも授かった命ですから、社員に詫びて協力を仰ぎ、何とか出産してワーキングマザーになりました。

思い返すと、子供を持った事で、当時思ったようなスピードで思ったような拡大ができなかったかもしれないし、あきらめたチャレンジはあったかもしれません(ほとんど忘れています)。でも、働き続けていたことで道は無数に広がり、現在思いもよらなかった幸せな仕事に数多く恵まれております。40歳になった時次女も生まれました。

覚悟が決まった時、人生は動き始めます。優先順位を整理して、果敢に実践してみましょう。

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