ネガティブな反すうは止め、リスクを取った自分を褒める 女性たちが「自信」を持って生きていくために

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「働く女性の成功、成長、幸せのサポート」という理念のもと、キャリア支援やコンサルティング、現在では結婚コンサルタントして、女性たちのプライベートにまで踏み込んでサポートさせていただいている川崎貴子と申します。

今回は連載最終回ということで、私が上記の仕事を通じてずーっと気になっていたこと。「自信を持てない女性たち」について書きたいと思います。

“パイオニア”にはなりたくない女性たち

私は、前職を含めると20年以上も人材業に携わっているわけですが、その間、経営者や人事部長から毎年毎年、同じセリフを言われ続けてきました。

「今年の新人は女性の方が優秀で、本当はもっと採用したかったくらいだ」と。

果たして、その女性たちはいったいどこへ行ったのか? 結婚・出産で退職した人や転職してしまった人もいるでしょうが、その会社で働き続けている人もいることでしょう。しかし、結果的に日本の女性管理職の比率は、先進国の中でもアジア圏の中でもかなり低いです。いまだ男性社会が色濃く残る日本の企業文化において、女性たちが出世にいたらなかった理由は数えきれないほど想像がつきます。

それでも、ここ最近は女性の活躍推進がうたわれ、企業がこぞって女性管理職の比率を上げる努力をしている日本。そんな中、当の女性たちはというと一部の人を除いてしらけ気味といいますか、管理職になることをメリットと捉えていない人も数多く存在します。自分の上司のような働き方は嫌だからという意見もありますが、「では、新しい形の管理職を目指してみては?」と問うと、「パイオニアにはなりたくない」と返されます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

女性管理職の比率が増えない理由の一つは「自信のなさ」にある?

そう思う理由を聞くうちに、彼女たちに共通する一つの傾向が見えてきました。それは、新人の時に優秀だった女性たちは、自信のなさ故に職場でたくさんのチャレンジを回避してしまったことです。例えば「アイデアがあっても会議中に発言しなかった」「興味のあるプロジェクトに立候補もしくは上司に根回ししなかった」「結果を出すことよりも“ちゃんと”仕事をすることに注力してしまった」「嫌われることを恐れて上司に交渉しなかった、もしくは空気を読みすぎて皆と足並みをそろえてしまった」「失敗を恐れて仕事上の問題解決やジャッジを上司に委ねてしまった」などなど。結果、根拠なき自信を持った同期の男性たち、リスクを恐れずに手を挙げる男性たちにどんどん先を越されてしまったのではないか……と。

入社した当初は「自分はこの会社でどんなスキルを身につけて、どのように活躍できるであろうか」と、胸を膨らませていたはずの彼女たちの夢が萎んでしまった理由を、転職支援という仕事を通じて何千人分と聞いてきたつもりです。でも、それでも、女性たちに根拠はなくてもいいから「自信」という強い味方が付いていたなら、もっと女性管理職は増えていたはず……と、私は思うのです。

自信のなさが足を引っ張るのは何も仕事だけではありません。恋愛や結婚などのシーンでも、女性としての自分や人間としての自分に対しての自信のなさ故に、わざわざあつらえたようなダメ男と付き合ったり、不倫男と別れられなかったり、結婚したいという意思を相手に伝えられなかったりと、不幸せ方面に自ら誘導していきます。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「女性の自信」について感銘を受けた1冊の本

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私のような、一見自己肯定感が高そうで態度が偉そうな女でも(※友人、関係者談)、ある男性たちがデフォルトで携えている「根拠なき自信」を若い頃は持ってはいませんでした。自分が「100%こなせるはず」と思えないものに対してチャレンジしなかったこともあったし、「自分の器ではないかも」と心配して大きなチャンスを逃したこともあります。起業してからも、自分の意思決定によって社員やお客様に多大な影響を及ぼすことに怖気づいたことがしばしば。そして、そんな自分を振り返って、自分の器の小ささに嫌気がさし、何度も何度もくよくよしたものでした。

私自身が実感したことだからこそ、私はキャリアで悩んでいる女性たちに必ず薦める本があります。それはキャティー・ケイとクレア・シップマンによる『なぜ女は男のように自信をもてないのか』(CCCメディアハウス)です。この本は、日本語訳を担当された田坂苑子さんご本人から「川崎さんなら絶対に気に入っていただけると思います」と、私の2冊めの著書『愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。』(ベストセラーズ)の出版講演会でいただいたものでした。そして、読んでみると目から鱗(うろこ)がボロボロと。

著者の2人は「女性の自信のなさ」が、女性たちの成功を阻んでいる大きな要因であるとあたりをつけ、脳神経学、心理学、遺伝学、教育方法などからその理由を調べていきます。実際に、男性が多い会議では女性の発言率は男性より75%も減ったり、数学のテストの前に性別を聞かれただけで無意識のうちに点数が悪くなったり……。逆に、いたって平均的な男性が自身のパフォーマンスの評価を実際の30%高く評価することが明らかになり、男女の「自信の格差」がデータで浮き彫りになります。特に「自信を阻むブラックリスト」として挙げられる「考えすぎ」「完璧主義」「人を喜ばせたいがために嫌われることを極度に恐れる」「失敗を忘れられず、何度も反すうする」は、私がカウンセリングの場で出合った優秀なのに伸び悩む女性たちの大きな特徴であり悩みでもありました。

このデータで興味深いのは、自己肯定感が低いとされる日本のデータではなく、自己肯定感が高い印象のあるアメリカのものであることです。そして、著者たちが実際にインタビューした「世界で成功している各界のスーパーキャリアな女性たち」が、「実は私も自信がなくて、いつ本来の自分が露呈して、この場から引きずり降ろされるかと本当はびくびくしている」と、口をそろえて言うのです。このように書きますと失望しかないようですが、本著は「自信は作り出せる」と述べていて、実際に自信を付ける方法が数多く紹介されています。

「自信のなさ」の正体を知り、自信を作り出す

自信を作るための一歩として重要なのは、まずは「自信のなさの正体を知る」ことです。何よりも恐ろしいのは得体の知れない状態が続くこと。我々の自信のなさの正体を知ることは、確実に対処法となります。急に不安に襲われたって「来た来た、例のやつね。考えすぎないようにしよう」と、気構えができるからです。国際通貨基金(IMF)の専務理事や海軍の超エリートや、世界的に有名なプロスポーツプレーヤーでさえ「自信がない」という思いを感じているのだから、「私たちに押し寄せたって当然!」と開き直ることもできます(笑)。

また、本著で述べられている「自信の作り方」は私も大いに身に覚えがあるものでした。一部ですが、このようなことが書かれています。

  1. 今日一日のネガティブな反すうを止め、ポジティブな反すうに置き換える
  2. 恐怖に怖気づいても「行動しないよりはよっぽどいい」と腹をくくり、決断する癖をつける
  3. 人生の早い時期に失敗や挫折をする、小さな失敗をたくさん経験する
  4. リスクを取った自分を自分で称賛する
  5. “完璧主義病”を止める

思えば自信がないときはこれらを繰り返し、自分の失敗を「経験やスキル」にしてきました。私は40歳を過ぎてからやっと、自信を身につけられたと自負しておりますが、それは先ほど書いた通り天然ではありません。会社を経営し、離婚したり再婚したりしながら何度も何度も失敗して、それでも「自分で意思決定してきた」「あきらめずにチャレンジしてきた」という実績を、ほかの誰でもない私自身が評価してきたからなのです。そして、自信は、職業的にも社会的にもプライベートの幸せであっても「人生を豊かにしてくれるものである」と絶賛実感中であります。

思考の仕方を変え、習慣を変え、アプローチを意識すれば、自信は得られます。決して、男性の真似をする必要はありません。私たちは私たちなりの自信を作ることができ、女性性を失うことのない「自信」は、我々の人生を開き、満ち足りた生活を与えてくれるに違いありません。本著は女性だけでなく、ぜひ女性部下を持つ上司や女の子を育てているご夫婦にも読んでいただきたいと思います。そして、キャリアやプライベートで悩むすべての女性たちが勇気を出して考えすぎないこと、勇気を出してチャレンジすること、そして、自ら望むプロフェッショナルとして、社会や会社でちゃんと評価を得られることを願ってやみません。

著者:川崎貴子

1972年生まれ。埼玉県出身。1997年に働く女性をサポートするための人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を展開。女性誌での執筆活動や講演多数。著書に「結婚したい女子のためのハンティング・レッスン」「私たちが仕事を辞めてはいけない57の理由」「愛は技術 何度失敗しても女は幸せになれる。」「上司の頭はまる見え。」がある。2014年より株式会社ninoya取締役を兼任し、ブログ「酒と泪と女と女」を執筆。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。10歳と3歳の娘を持つワーキングマザーでもある。
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編集:鈴木健介
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