会社で偉くなる人は、僕とどこが違ったのか? 10の特徴

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会社や大きな組織で出世していく人たちは、ほかの人たちと何が違うのだろうか

組織で出世した人たちのことを「世渡りが上手いだけ」と言う人がいるが、本当にそうだろうか。
僕は出世しなかった組だが、そうは思わない。やっぱり彼らにはそれだけのものがあって、偉くなったのだと思う。

もちろん、取締役レベルになるかどうかのあたりで、運に左右される割合が増えてくるだろうと思うが、やはりそこに至るまでは、実力が大きくものを言う。

つまり、運に恵まれず取締役になれなかった人は多いが、能力もなく取締役になる人はほとんどいない、ということだと思う。

僕は、組織で出世した人を大いにリスペクトしている。
もちろん、大きな企業を裸一貫から作り上げた起業家の人たちも大いにリスペクトしている。
この記事を書こうと思ったのは、出世した会社人がその理由を述べるような機会が少なく、案外、若い人たちはそれを知らないんじゃないかと思ったからだ。

会社にいる若い人たちが見ているのは、組織で出世した人とそうでない人の「現時点」での姿であって、スタート時点ではさほど違わなかったその人たちが、どのような道をたどり、いま目にする姿のようにはっきりと異なってしまったのか、を見ることはできない。

かと言って、ふだん本やメディアで目にするのは、一流の起業家たちの話が多く、組織の中で重きをなしていく人たちの物語とはかなり異なっていて、参考にならない点も多い。 

僕の周囲からは、たまたまたくさんの取締役が出て、いまも頑張っている。
いまは取締役になった、同じ部署で働いたことのある同期の連中や、何人かの上司の働き方をつぶさに見てきた。

その働き方の中には、僕には能力的に無理だった点もあれば、考え方ひとつでそういうやり方ができそうだった点もある。
そういった話は本人たちはあまり語らないので、組織で頭角を現していこうという熱意ある若い人たちのために、そういう人たちの特徴を書いてみたい。

ただし、僕が経験したのは比較的安定した大企業である(具体的には百貨店)。
だから、大きな危機に陥っているとか、スタート直後で沸き返っている新興企業とかではなく、比較的安定した中~大規模の企業の場合と考えていただきたい。

何が何でも新規事業を創出しなければ会社が潰れそうであるとか、創業間もないネット関連企業とかでは、いまから僕が書くよりクリエィティブで、イノベーティブであること。ヒットを重ねるのではなく、たまにホームランを放つような働き方が求められているような気がする。

が、僕はそのことについては体験がないので語らない。
あくまで比較的安定した大きな組織の場合、という理解で先をお読みいただけたらと思う。

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8,568通り、あなたはどのタイプ?

1. 理想的であるよりも、徹頭徹尾現実的である

彼らは常に現実的だった。
たとえば僕は、上層部にウルトラCの解決を求めたり、理想主義的過ぎる制度を求めたりしがちだったように思う。

彼らはないものねだりはしない。頭を理想で一杯にするのではなく、自分が解決できる現実的な問題に、頭をフルに使う。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

2. クリエイティブであったり、イノベーティブであるよりも、実務家的である

クリエイティブであったりイノベーティブであったりするのが、僕の目標のようになっていた。

たとえば、どうしても20%の売上増が短期的に必要だとする。
クリエイティブなやりかたでそれが達成できると、最高に気持ちがいい。しかし、ほとんどの場合、クリエイティブな解決は、ないものねだりになってしまう。
だから、彼らは「値引き」などの泥臭い方法をとることを躊躇しない。長期的には悪影響があることはわかっていても、その悪影響と、現実のミッションの重要性のバランスをとり、実行する。

彼らはクリエイティブであることよりも、与えられた目標を達成することそのものにフォーカスする。

3. ぶれない現状認識をもち、はやりのビジネス書に夢中になったりしない

だから、はやりのビジネス書にうつつを抜かすようなことはない。
僕の場合、さまざまなビジネス書を読んで、かなり影響を受けた。とくに若いころはそれで高揚感を得て、自分の仕事に活かそうとするものの、現実との落差にいつも落胆していた。

ビジネス書にも不変の価値のあるものと、自分のキャリアには関係のないものがある。
偉くなったある上司が、はやりのビジネス書には見向きもせず、いつもさまざまな小説やノンフィクションを読んでいたのが印象に残っている。

4. 大きな売上を作った、といった眼に見える大きな功績がない人もいる

会社の評価は、なかなか冷静で的確なものだ。
目に見える大きな功績は、必ずしも必要でない。
彼らはそういうことができる人である、という評価は日々の働き方やさまざまな人との接し方、書いたもの、研修などで自然と形成される。

逆にそういうものを大切にしていないと、大きな功績を挙げて注目を浴びた人たちは、将来足をすくわれるリスクもある。

5. 思考力を「ハードディスク」「CPU」「メモリ」と分けて考えた場合、「メモリ」の大きさに優れている

彼らは頭がいい。
彼らの頭の良さの特徴は、「メモリ」が広いことだと思う。覚えることができる容量「ハードディスク」が大きいことも、その思考のスピード「CPU」が速いことも重要だけど、僕がかなわないなと思ったのは、彼らの「複雑に入り組んだ巨大なシステムをどのように動かせば、どのような影響が現れるか」ということを考える能力だった。
それは、どうやら、「メモリ」の大きさ、一時に考えることのできる要件の多さのようなものだと思う。
僕も、常日頃から、もう少し広い視野で考える訓練をすべきだったなと思った。

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6. ディベート力と文章力に優れている

僕は文章力については苦手意識はないのだが、ディベート力については自信がない。
彼らのほとんどは、どちらにも優れていたように思う。
とくにディベート力は、組織の中では重要なポイントだったと思う。
ディベート力というものは、鍛えることができるのだろうか?
それは頭のメモリの大きさに比例するのだろうか?
どうしたら良いのか、僕には的確なアドバイスをする能力がない。

7. 課長時代には仕事が集中するが、それをハードワークで乗り越えている

彼らはほぼ一様に、課長時代にはたくさんの重要な仕事が集中した。
余人をもって代えがたいので、重要な案件は忙しくても彼らに集中していた。
しかし、彼らはなんとかその時期を乗り越えていた。
僕が何十時間もかかりそうな案件を30分でさらっと流しているところをこの目で見て驚愕したこともあるし、さすがに残業続きで休みもとれずぼろぼろになりながら頑張っているところも目撃した。

たぶん、この時期は、さらに上にいくための、試金石のような時期なのだと思う。

8. 部下に愛される人も、さほど人気のない人もいるが、上層部からは一様に好まれる

部下に愛されている人もいるが、そんな話をさほど聞かない人もいた。部下から離反されては何もできなくなってしまうが、大人気である必要はない。
「畏怖される」ことが一番望ましい状態なのだろうけど、案外、人それぞれの部下との付き合い方の流儀というものがあるようだ。
ただし、みな一様に、上司、上層部からは重宝がられ、ひっぱりだこであった。

9. 禁欲的である

組織に属するということは、時に窮屈に感じてしまう。とくに若いころは。
それに反発すると、「無頼」を気取りたくなる。たとえば、入社して数年後に目いっぱい休みを重ねて2週間ぐらいの休暇を取り、インドへバックパック旅行に出かけたりした。

彼らは、僕のようにできもしない「無頼」を気取ったりはせず、常に禁欲的にふるまっていた思う。

10. アポイントメント、会議の手配、身だしなみ、宴会の司会など、ビジネスの基礎的なことでは、おおむねパーフェクトである

いまは取締役の彼らも、昔は一兵卒であり、中間管理職であった。
そして、その場その場で求められる役割、たとえばコピーであったり、会議室の設定であったり、上司へのプレゼンであったり、宴会の司会であったりを、パーフェクトにこなしてきた。
身だしなみを含め、彼らはそういった、ビジネスの基本、細部に完璧であった。

以上、10の特徴をあげてみたが、どのように感じられるだろうか。
結局のところ、偉くなる人たちは、基礎を大切にし、論理的に考えぬき、戦うべきところは勝ち抜いて、地味な努力を続けることができる人であると思う。

とくに最初で強調したように、ビジネスを現実的に、本質的に考えることは、現場にどっぷり浸かっていたり、ランダムに本を読むだけでは難しい。大学のゼミで経営について本気で学んできた人などは、その点で有利であるとも感じた。

同僚や上司と飲みに行って社内のうわさ話になる。誰が凄くて、誰が凄くないのか、誰が将来有望で、誰がそうでないのか、誰が会社に一番貢献しているのか、誰が「カッコイイ」のか。そういう話は、半分は当たっているが、半分はまったく外れている。

あなたがもし会社で将来重きをなしたいと思うのなら、決して「目標とする人」を選び間違えてはいけない。
若いあなたが、「カッコイイ」と思う人たち、ギラキラと強烈な光を放っている人たちが、長期間にわたって会社に利益をもたらし、出世するとは限らないのだ。

将来出世する人たちは、おそらくあなたの近くで、現在もいぶし銀の輝きを放っている。

著者:Ichiro Wada (id:yumejitsugen1)

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1959年、大阪府生まれ。京都大学農学部卒業。大手百貨店に19年勤務したのち、独立。まだ一般的でなかった海外向けのECを2001年より始め、軌道に乗せる。現在、サイトでのビジネスのほか、日本のアンティークテキスタイルの画像を保存する活動を計画中。

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