• TOP
  • アーカイブ
  • シンプルな社内SNS投稿が新たなプラットフォームに!社員の声を集め、経営につなげる「discover!プロジェクト」

シンプルな社内SNS投稿が新たなプラットフォームに!社員の声を集め、経営につなげる「discover!プロジェクト」

千代田化工建設株式会社
取り組みの概要
社員の会社への思いや意見を「Voice」として集め、写真を社内SNSで共有。海外拠点も含めたグループ全体の社員の声を経営につなげていく取り組み。
背景にあった課題
かつての経営危機により業務効率化と分業化が進み、会社の将来が見えなくなったり、閉塞感を感じたりする社員が増えていたこと。
取り組みによる成果
部署や地域・国を超えたつながりが生まれた。また、この仕組みを活用して社員のリアルな意見を募るなど、新たな社内プラットフォームとして機能するようになった。
担当者の想い
一部の社員だけでなく皆が気軽に会社のことを考えられる場を作り、その声を経営層を含む多くの社員と共有したいと考えていた。

「経営理念を詳しく知らない社員が多数」という現実

ロシアの極寒の地でがんばるメンバーからのVoice

グローバル化への対応や経営効率の改善に迫られる大企業では、社内体制が高度に分業化され、各部門の専門性をそれぞれに求められることが多い。それは同時に、会社が目指すビジョンと個人の業務の間に壁を作り、仕事にやりがいを感じられなくなってしまう原因ともなる。

新興国の経済発展を支えるプラント建設などを進め、世界規模で事業を展開する千代田化工建設では、その課題をとてもシンプルな方法で解決しようとしている。社員の素直な言葉を「Voice」として集め、社内SNSで共有していく「discover!プロジェクト」だ。

極寒の地で頑張る社員に寄せられた、たくさんの応援コメント

「自社のここが好き!」「今の自社に一言!」

千代田化工建設の社内SNSでは、そんなテーマに沿って社員から集めたメッセージを「Voice」と名付け、社員の写真とともに次々とアップされている。横浜・みなとみらいの本社メンバーを中心に、ときには海外拠点に駐在する社員や現地スタッフからのVoiceも。

「ロシアの極寒の地に駐在する社員が、日々の苦労に負けず頑張っている姿を掲載したんです。たくさんの反響があり、コメント欄には社長も直接、応援のメッセージを書き込んでいました」。プロジェクトを推進する武田真樹さん(コンサルティングユニット 兼 経営企画ユニット未来創造室)はそう話す。Voiceの背景にある社員それぞれのエピソードを、「Story」として特別に紹介することもある。

これらの活動は、組織図に正式に記載された「経営企画ユニット未来創造室」の13名のメンバーによって運営されている。武田さんと同じくプロジェクトの旗振り役を務める大城昌晃さん(水素チェーン事業推進ユニット 兼 経営企画ユニット未来創造室・CSR推進委員)は、「社内公募で集まったメンバーが入れ替わりながら活動を支えています。私と武田は入社12年目の同期で、未来創造室に関わり始めて3年になります」と紹介してくれた。

“意識の高い”社員だけでなく、皆が気軽に発信できる仕掛けを

同社は、90年代後半から長く続いた「冬の時代」を経験している。一時は経営危機に見舞われ、効率化を優先し、それぞれのプロジェクトは高度に分業化された体制となっていった。目の前のプロジェクトにとらわれて事業の本来の意味や目的が見えなくなる社員も多く、会社の将来に閉塞感を覚えたり、退職してしまったりという悪影響を及ぼしていたという。「経営理念を詳しく知らない社員も多く、社員と共有する機会を持ちたかった」と大城さんは打ち明ける。

こうした状況を打破するため、インターナルブランドを高める取り組みとして未来創造室が生まれた。入社10年目までの若手社員を集め、会社が置かれている状況を共有し、会社の未来のあるべき姿を語るワークショップを「ちよだみらいエンジン」として開催。武田さんと大城さんはここで多くの活動をともにし、意気投合していくようになる。

ここでは、マネジメント層と一般社員をつなげる「千代田ラウンドテーブル」という討論会も行われていた。武田さんは「良い試みでしたが、参加者の顔ぶれが固定化され、“意識が高い社員の集まりだよね”と見られがちでした。もっと身近に、皆の声を気軽に集められる仕掛けが必要だと思ったんです」と振り返る。

未来創造室のメンバー

社員の思いを集める場所として、さまざまな場面で活躍する仕組みに

集まったVoiceやStory、そして数々の写真によって、世界各地の社員の日常が伝わり、思いを可視化できるようになっていった。「現在の“千代田らしさ”を見つけて、経営理念やビジョンにも反映させたい!」。そんな思いから、プロジェクトメンバーと社長が直接話し合う場も設定された。橋渡しをしたのは、未来創造室という部署の名付け親であり、メンバーと経営陣をつなぐ相談役として動く永橋信隆さん(社長付・秘書室長)だ。

「社内には、部署を超えたコミュニケーションがどんどん生まれるべきだと思っています。難しい仕事を成し遂げるためには、人とのつながりが不可欠ですから」。永橋さんはそう語る。若手メンバーの活動に対して、社長をはじめ経営陣も理解と興味を示し、見守る。プロジェクトは、新たな「スピンオフ企画」にもつながっていった。

の声を気軽に集められる仕掛けが必要だと思ったんです」と振り返る。

社員の思いを集める場所として、さまざまな場面で活躍する仕組みに

集まったVoiceやStory、そして数々の写真によって、世界各地の社員の日常が伝わり、思いを可視化できるようになっていった。「現在の“千代田らしさ”を見つけて、経営理念やビジョンにも反映させたい!」。そんな思いから、プロジェクトメンバーと社長が直接話し合う場も設定された。橋渡しをしたのは、未来創造室という部署の名付け親であり、メンバーと経営陣をつなぐ相談役として動く永橋信隆さん(社長付・秘書室長)だ。

「社内には、部署を超えたコミュニケーションがどんどん生まれるべきだと思っています。難しい仕事を成し遂げるためには、人とのつながりが不可欠ですから」。永橋さんはそう語る。若手メンバーの活動に対して、社長をはじめ経営陣も理解と興味を示し、見守る。プロジェクトは、新たな「スピンオフ企画」にもつながっていった。

Voiceのやり取りで、上司の意外な一面を発見

佐藤なつきさん(調達ユニット 回転機・パッケージグループ)は、スピンオフ企画の一つである「ファミリーデー」の事務局メンバーを務めた。社員が家族を会社に招待し、普段はなかなか面と向かって伝えられないメッセージをVoiceに託す。子どもからのVoiceを受け取った社員もいた。

「ご家族とのやり取りから、日頃は気難しそうに見える上司の“かわいい一面”も知りました。ファミリーデーには、プロジェクトメンバー以外にも100人ほどの有志が参加したんです」

入社当初にカタールへ半年間赴任していた佐藤さんは、帰国後、海外拠点のオープンな組織風土とやや閉鎖的な本社の風土に落差を感じ、悩んでいた時期もあったという。“今の千代田に一言”というVoiceのテーマに「グローバリゼーション」と投稿し、その思いを上司にぶつけるきっかけを作った。以降はVoiceの普及に力を尽くすようになった。

スピンオフ企画「ファミリーデー」では家族へVoiceを届けた

「育児と仕事の両立」に向けた意見もVoiceで募る

これまでに集まったVoiceは約400件。その中には、海外グループ会社や関連会社から寄せられたものも約200件あるという。discover!プロジェクトは現在、社内の新たなプラットフォームとして機能しつつある。ダイバーシティ推進グループと連携し、育児休業や復帰後の時短制度のあり方を考えるためのVoiceを積極的に集めるなど、「社員の思いを集める場所」として新たな価値を発揮し始めているのだ。

武田さんは「取り組み自体がシンプルだからこそ、目的を限定することなく、さまざまな場面で活用できるのだと思います。今後はVoiceをきっかけにして、社員同士、社員と経営などのいろいろな階層で直接コミュニケーションを図れるようにしていければ」と抱負を語る。いずれ、同社が新たな理念やビジョンを発信する際には、Voiceで寄せられる世界中の社員の思いが反映されたメッセージとなるのかもしれない。

社内の展示ポスター

受賞者コメント

武田 真樹 さん

未来創造室・インターナルブランドチームのリーダーをしています。Voiceを共有するという活動を始める前は、経営理念や会社の将来を考えるため、座談会のような場を設け、そこには意識の高い社員が集まっていました。それだけではなかなか活動が広がらないと感じたため、身近な取り組みとしてVoiceとして発信できるようにしました。

大城 昌晃 さん

discover!プロジェクトの発起人です。当社は世界各国で石油プラントやLNGなどのエネルギーなどを建設しています。この取り組みを始めた経緯は、「経営理念を社員ともっと共有したい」と思ったこと。各国のエネルギー戦略に大きく貢献できる仕事であるにも関わらず、目の前の仕事に埋没してしまう社員が多いことを残念に思っていました。取り組みを通じて、当社で仕事をする社会的な意義や、当社の良さ・強みなどを社員と共有しています。

審査員コメント

守島 基博

SNSを使って参加しやすくすることで、グローバルでの一体感を生み、国境を超えて意思疎通ができる取り組みとなっていることが秀逸だと感じました。また、単にvoiceを集めて共有するだけではなく、担当者が一人ひとりのもとへ行ってその裏側にある思いやストーリーを聞いている。この行動によって、社員が「自分を大切にしてくれている」と感じられるようになったのではないでしょうか。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。