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社員500人のナレッジをシェア!「トップ人材による社内勉強会」と「部署間の交換留学」で成長企業の課題を解決!

レバレジーズ株式会社
取り組みの概要
各事業部のトップ人材が講義形式でレクチャーする『社内勉強会』と、他事業部の日常業務に参加できる『事業部間交換留学』を実施。
背景にあった課題
事業の多角化と急激な人員増に伴い、部署の壁を超えた情報共有や交流が難しくなっていた。他事業部で類似した課題に対するプロジェクトが走っている、既に事例があるのにゼロから解決策を考えている等の問題があった。
取り組みによる成果
勉強会にはのべ900人の社員が参加。交換留学は社員の5人に1人が実施した月もあるほど、社員の自主的なナレッジの共有が加速した。
担当者の想い
インターン時代から会社の成長を目の当たりにし、同時に組織の壁が築かれていく様子を見てきた。顕在化した課題を、各事業の中核を担うメンバーを中心に解決したいと考えていた。

組織拡大の反面、「事業部を超えた交流」はますます難しくなっていく

『事業部間交換留学』では他部署の営業同行も可能

成長期のベンチャー企業。事業が多角化し、優秀な若手がどんどん集まり……。そうなると必然的に難しくなるのが、「部署を超えてナレッジを共有していくこと」ではないだろうか。ITや医療・介護など幅広い領域へ拡大を続けるレバレジーズは、事業部を横断して学びを深めることに課題を感じていた。

そこで同社が始めた取り組みが、多くの社員が抱える共通課題に対する解決事例・方法をレクチャーする「勉強会」と、社員1人ひとりが抱える個別課題を解決する「交換留学」。若手が主体となって動かすユニークな試みは、たくさんの社員に影響を与えている。

「1年間で120人採用」という急拡大フェーズに

レバレジーズでは2014年に続々と新プロジェクトを立ち上げ、2年で3事業部体制から7事業部体制になった。さらに全国への拠点展開も進め、規模の拡大とともに社員数が急増。過去1年で約120名を新たに採用している。渋谷ヒカリエの本社ワンフロアのみだった同社も国内外に13拠点を設け、個人レベルでの部署間交流が難しくなっていた。また、製作から運用まですべてのマーケティング活動を自社で行うオールインハウスの組織体制に強みを持つ同社だったが、幅広い分野のプロフェッショナルがそろっているにも関わらず、事業部が異なる同職種のメンバー同士で事例を共有する機会は減っていた。

「ITや医療・介護など、事業領域はどんどん広がっていき、事業部によって顧客も提供するサービスの内容や形式もまったく違う状況となりました。各事業部で蓄積された成功事例の中には、他部署でも生かせそうなものがあることは分かっていたんです。ただ、なかなか全社規模で共有することはできませんでした」。取り組みの推進者である藤本直也さん(事業部長)はそう話す。

そこで生まれたのが、「Leverages Crossdepartmental Program」(LCP)として月1回の社内勉強会と事業部間の交換留学を実施する制度だ。勉強会では「マーケティング視点で売上を上げる方法」「事業拡大における広報の役割と重要性」など多くの社員が抱える共通課題に対するナレッジを、各部署の管理職クラスを中心とした講師がレクチャー。交換留学では、ミーティング参加や営業同行、違う職種の社員に対する専門分野のヒアリングなど、他部署の通常業務へ1時間から参加でき、社員1人ひとりが抱える個別課題の解決方法を見出す。

取り組みの推進者 藤本さん

肩肘を張らず、リーダー層で会社を動かす取り組みに

2014年に新卒で入社し、現在3年目の藤本さん。インターン時代から会社の拡大を目の当たりにし、事業部を超えた連携の難しさを肌で感じていた。そんな中、入社2年目で事業部長という重責を担う。

「かつてはスプレッドシートでノウハウや情報の共有を行っていた時期もありましたが、いつの間にか運用がおろそかになり、形骸化してしまっていました。メンバーは皆、他事業部の成功事例に興味がある。経営側としては部署間の壁ができていることに課題を感じている。『課題に気付いてはいるんだけど……』という状況だったんですよね」

この状況を改善するため、藤本さんは各事業部の中核を担うメンバーを集め、課題について議論した。そこで生まれたのが勉強会と交換留学からなる「LCP」。同時にLCPが文化として根付くよう、参加メンバーを運営委員に任命し、運営委員会として月に2~3度のミーティングを実施している。「あまり固い雰囲気にし過ぎず、メンバーが気軽に会社の将来を語り合えるような楽しい場にしたい」。そんな藤本さんの肩肘張らない姿勢も功を奏し、組織の壁が少しずつ壊れていった。

社員1人ひとりの知識を共有し、組織ぐるみの成長を

LCPには多数の社員が参加している。勉強会は毎回100人近い社員が出席。交換留学は四半期の中月となる2・5・8・11月を「強化月間」と制定し、運営委員会がオリジナルポスターや社内報を通じて参加を呼びかけ、全社員の5人に1人にあたる111名が実施した月もあるという。その広がりの背景には、事業部横断を実現するためのさまざまな仕掛けが施されている。

「事業部のプライドがくすぐられる」

勉強会の講師は各事業部の持ち回りで選出し、部門内でトップレイヤーの人材が担当。スケジュールは半年ほど前から決定している。全社的に意義があり、多くの人が興味を持つテーマを考えてもらう。発表者のプレゼン内容は運営委員会のミーティングでブラッシュアップしていく。勉強会へ参加する社員の人数を目標数値化し、各部署で呼びかけて集客するというマネジメントも重要なポイントだ。これまでに計9回の勉強会が開催され、のべ900人の社員が参加しているという。

交換留学制度では、個人の希望を叶えることはもちろん、マネジメント側からメンバーへ「こんなことを学んできてほしい」と働きかけることも多い。留学希望者は「他事業部のトップ営業に同行したい」などの希望を社内SNSで申請。受け入れ側の負荷なども考慮しながら、運営委員会が両者の橋渡しとなって日々実行している。

「勉強会では部署を代表してプレゼンをする。交換留学希望者を迎え入れる際には『良いチームだな』と思ってもらえるようにする。そんな風に、事業部としてのプライドがくすぐられるような仕立てになっていることも取り組みが活性化した理由だと思います」

毎回100人近い社員が出席する『社内勉強会』

年間投資額100億円の実現に向けて

田村貴弘さん(メディアシステム部・マーケティンググループ)は、「部長クラスの人へも気軽に話しかけられる風土ではあるものの、日頃は別部署の上司に個別相談することは難しい。勉強会に参加したことでその知見を学ぶことができた」と話す。登壇時に使用する資料はそのまま社内共有され、部署内での共有や顧客への提案に二次活用できる。「資料の作り方や発表の仕方といったプレゼン方法そのものも勉強になる」という声も聞かれるという。

交換留学制度では、業務改善や商談の進め方など、事業部が違っても汎用できるノウハウが多く共有されている。石川尚弥さん(レバテック事業部・インフラグループ)は、別事業部のリーダーへ新規開拓営業のマネジメント手法を相談した。ミーティングに参加して広告投資の方法やイベント参加による営業、テレアポ部隊の活用などを学び、自部署へ取り入れている。「他部署で成果が出ていることはどんどん取り入れようという機運が盛り上がっている」と話す。

藤本さんは「この取り組みを通じて事業部間の交流機会が圧倒的に増え、課題解決や業務効率化にもつながっている」と話す。レバレジーズの今後の目標は、年間投資金額100億円の実現。社員1人ひとりが持つナレッジをフル活用して全社ぐるみで成長を続けていくために、今後もこの取り組みを拡大していこうとしている。

『交換留学制度』では、事業部が違っても汎用できるノウハウを共有

受賞者コメント

藤本 直也 さん

この取り組みの発起人として活動しています。後々に文化として残る制度を作るために、運営会議はリーダー層を巻き込み、楽しい会の雰囲気で運営すること、運営メンバーが納得する取り組みのミッション、ビジョンを作ることを先に行ったことが大きかったと思います。また、制度の普及にあたって、社員の上長から合意の元、半ば強制的にでも取り組みに参加してもらい、初めて自分で制度活用するハードルを下げ、制度を使用した社員の「参加してよかった」をたくさん生み出すことに注力しました。今となってはこの制度を元に「勉強会で登壇することがかっこいい」「交換留学で持ち帰ったノウハウを事業部内で共有することが素晴らしい」という文化を作れたと思います。

審査員コメント

アキレス 美知子

すぐに真似したい取り組みです。社員が急増している時は、大変ではあるけれど新しいモノがうまれる面白い時期だったと思います。そんな中でいかにコミュニケーションをつないでいくか。実践しやすく、とても刺激になる試みだと感じました。レバレジーズさんのビジョンは「時代を動かし世界を変える。その中心にいる」というもの。これを実現するために、国内だけでなく世界にも目を向けて、取り組みを広げてほしいと思います。

※ 本ページの情報は全て表彰式当時の情報となります。