リクナビNEXT 女性管理職に関する実態調査

安倍政権が推進する「成長戦略」のひとつである、女性の活用にいま注目が集まっている。2013年、安倍首相は、ゴールドマン・サックス証券のチーフストラテジスト、キャシー・松井氏が1999年に提唱した「ウーマノミクス(Womenomics)」についても言及し、「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%程度にしたい」と目標を掲げ、「全上場企業において、積極的に役員・管理職に女性を登用していただきたい。まずは、役員に、一人は女性を登用していただきたい」と発言しており、国の動きは勢いを増している。
一方、管理職への女性登用や労働環境の整備がなかなか進まないという経営者・人事担当者の声を耳にすることも多い。「女性の管理職登用」という新しい目標を突きつけられた人事担当者は、どのような対策を行っているのだろうか。逆に、いま現在、管理職として活躍している女性は、どのようなキャリアを積み、どのような壁に直面しているのだろうか。リクナビNEXTでは、人事担当者500名と、課長職以上の役職に就く男女500名に意識・実態調査を行い、女性の管理職登用の実情を読み解いてみた。

2014年2月26日


管理職向け 調査結果

(調査概要)
調査方法:「リクナビNEXT 管理職実態調査」インターネット上で実施
実査機関:楽天リサーチ
実施期間:2014年1月24日〜1月29日
調査対象:現在課長職以上の役職に就いている管理職500名(男性250名/女性250名)


管理職のリアル

■所属企業の業界

女性は不動産建築とサービス業男性はIT通信、メーカー、金融保険業に多い

>>関連記事:女性管理職が多いのはどんな企業?独自調査から読み解く活躍しやすい環境と心構え 所属企業の業界のグラフ

■所属企業の規模

女性の約4割が「10人以下」男性の3割超が「3,001人以上」の企業に在籍

■所属事業の事業区分

男性の26.8%が上場企業であるのに対し、女性は14.4%

■職種

女性は「財務、会計、経理」が24.8%と最も多く、続いて「エグゼクティブ」「医療・福祉関連職」という結果に。男性は「エグゼクティブ」が19.6%を占める

男性管理職 女性管理職
1 エグゼクティブ 19.6% 1 財務、会計、経理 24.8%
2 営業、代理店営業、障害、MR 14.0% 2 エグゼクティブ 9.6%
3 経営企画、事業統括、新規事業開発 10.0% 医療、福祉サービス関連
4 公務員、団体職員 9.6% 4 営業、代理店営業、渉外、MR 4.4%
5 財務、会計、経理 3.6% 5 企画、マーケティング、宣伝、MD、バイヤー 3.6%
施工管理 公務員、団体職員

■年収

年収500万以下の割合は男性13.6%に対して、女性37.2%。平均は男性890.6万女性618.9万

■婚姻状況

婚姻状況は男性の8割強が既婚に対し、女性は過半数近くが未婚

■子供の有無

男性の8割に子供がいるが、女性は子供がいない人が過半数

■現在の役職

男性は課長・部長で8割となり、役員・経営者層は女性比率が高い

■初めて役職についた年齢

35歳未満で管理職になる割合は男性16.0%に対して女性は26.4%。平均は男性39.8歳女性39.2歳

管理職になって得たもの、犠牲にしたもの

■女性が管理職になって得たもの TOP20

男女ともに「裁量範囲」「責任ある仕事」など仕事の範囲が広がったことが上位にランクイン。
女性は「趣味に使えるお金が増えた」「オシャレに使えるお金が増えた」など、自分自身のプライベートの充実が男性に比べて高ポイント。

>>関連記事:「生まれ変わっても管理職になりたい」という女性は64%!管理職という女性のキャリアの「選択肢」

■女性が管理職になって犠牲にしたもの TOP20

男女ともに身近な人と過ごす時間を犠牲にしているが、対象は男性が「配偶者」「子供」であるのに対し、女性は「友人」「恋人」「両親」となっている。また、女性は「食生活」「健康」という他人にサポートしてもらいにくい項目と、「服装の自由度」「オシャレにかける時間」という身だしなみに関する項目が男性より高い。

人事担当者向け 調査結果

(調査概要)
調査方法:「リクナビNEXT 管理職実態調査」インターネット上で実施
実査機関:楽天リサーチ
実施期間:2014年1月24日〜1月29日
調査対象:人事担当者500名(男性350名/女性150名)

女性の管理職登用、取り組みの実態

■女性の管理職登用への取り組みの有無

人事担当者のうち35.6%が取り組みを行っている。

■女性の管理職登用への取り組みの有無(業界別)

取り組みを行っているのは「金融・保険」「メーカー(電気・電子・機械)」「サービス」、逆に行っていないのは「商社」「IT・通信」「不動産・建築」という結果となった。
>>関連記事:人事500名調査から見る、女性管理職登用の取り組みの「今」

■女性の管理職登用への取り組みの有無
(資本別)

国内が35.1%に比べ、外資は45.5%と高い

■女性の管理職登用への取り組みの有無
(事業区分別)

非上場企業が31.1%に比べ、上場企業は55.4%と高い

■女性の管理職登用への取り組みの有無(企業規模別)

1001人以上の大企業では、過半数の人事担当者が取り組みを行っている。

人事担当者が実施している具体策は?

■女性の管理職登用に向け、実施している取り組み ※複数回答

「評価・処遇制度の整備(60.8%)」「育休などの社内制度整備(45.8%)」など、現在在籍している女性社員向けの施策を中心に展開している企業が多い。

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