土日出勤・深夜残業は当たり前! 超多忙なSEの「夫婦間コミュニケーション」成功術――shin5

多くの人が悩むパートナーとの関係性。思ったことを素直に話しただけなのに怒られたり、何度頼んでもお小遣いを増やしてくれなかったりと、悩みの種は尽きません。
そこで今回アドバイスを求めたのが、土日出勤・深夜残業も当たり前の超多忙なシステムエンジニアでありながら、5冊の本を執筆し、笑顔あふれる家庭生活を送っているshin5さん。4人の子どもがいるなか、どのように妻の理解を得て、自分の時間を確保しているのでしょうか。「結婚後も恋人同士のような生活を送っている」と話すshin5さんに、夫婦間のコミュニケーション術を聞きました。

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【プロフィール】

shin5(しんご)

家族との日常生活を温かい言葉で綴ったTwitterで話題のビジネスパーソン。フォロワー数は約22万人。幸せあふれる日々は“理想の結婚生活”として一躍話題になり、2016年に『結婚しても恋してる』(KADOKAWA)というタイトルでコミック化。累計20万部を突破し、2017年には小説化した。現在は愛する妻と4人の子ども、3匹のハリネズミと暮らす。

怒り心頭の相手をなだめる最短のルートは?

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――夫婦喧嘩で相手を怒らせてしまったとき、shin5さんはどのように対処していますか?

何よりも気を付けているのは、謝り方です。我が家は4人も子どもがいて毎日慌ただしいため、夫婦喧嘩をしていると日常生活をスムーズに送ることができません。さらにシステムエンジニアの仕事が深夜に及び、著書の執筆も重なると、家族の支えなしでは私自身が心身のバランスを崩してしまいます。

そこで夫婦間の衝突をさけるために、日ごろからメッセージアプリを使って会話をするように心がけています。昼休みに電話をしたり、写真を撮って送ったりと、仕事以外の話をします。

会えない時間が増えてケンカしてしまった場合は、メッセージのやりとりも一切なくなってしまうので、早めに仕事を切り上げて帰宅途中にスイーツを買って帰ります。夜遅いときは、コンビニのケーキやアイスクリームなどでも構いません。食べ物を口に運ぶと自然に唇が開くため、話しやすい環境ができますよね。

テーブルで向き合ったら、まずは甘いものを食べながら、ケンカとは関係ない話を適当に始めます。固い雰囲気がとけてきた頃合いをみて、自分が悪かったと思うことを「あれが悪かった?」「そういうつもりじゃなかったんだよ」「これがダメだった?」と話をしていきます。ケンカをする理由が僕にあることが多いので「そんなこともわからないの?」と言われた日もありましたが、いくつか候補を挙げれば一つは当たるもの。何が悪かったのかを自覚し、反省点を踏まえて素直に謝り仲直りします。

――それでも相手の怒りが収まらないときは、どうしていますか? 日頃から気を付けているポイントと合わせて教えてください。

できるだけ早く仲直りしたいので、メッセージを送り続けます。朝は「会社に着いたよ。昨日はごめんね」。昼は「昨日は言い過ぎた。ごめんね」。夜は「しつこいと思うけど、ごめんね」。本当にしつこいと思われるくらい送ります。100%許されてはいないのかもしれませんが、「もういいよ。わかった」と言われて収束します。

夫婦喧嘩で最も多いのは、些細なイラつきから始まり、売り言葉に買い言葉で結局どちらも言い過ぎてしまうパターン。結婚当初はぶつかることも多々ありましたが、大小様々な地雷を踏んできたので、早めに仲直りしようと心掛けるようになりました。

また日頃からメッセージを頻繁に送る習慣をつけています。1日の連絡回数は20回ほど。システムエンジニアなので、時には携帯電話を預けセキュリティルームに入り、一切連絡が取れなくなってしまう時間帯もありますが、その前に必ず「今からしばらく連絡できない」と伝えます。飲み会が入りそうなときは、その時点ですぐに「来週、飲み会があるかも」と連絡。なくなったときはその旨を伝えます。全て説明しておけば、何かあったとしても理解を得やすいです。お小遣いは月2万円ほどですが、足りなくなりそうなときに稟議が通りやすいというメリットもあります(笑)

8,568通り、あなたはどのタイプ?

超多忙でも「一人時間」を確保する理由

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――土日出勤・深夜残業も当たり前の多忙な職場で働いているshin5さん。システムエンジニアとして働きながら、どのように自分の時間を捻出しているのでしょうか?

自分の時間は、子どもと妻が寝た後です。我が家ではハリネズミを飼っているのですが、夜行性なので帰宅時間が遅い日でも僕が掃除やごはんの準備をしています。ハリネズミと向き合いながら考えるのは、その日の出来事や家族とのやりとり。10月に出版したフォトエッセイ『ボクの針は痛くない』も、そんなハリネズミとの時間から生まれました。実際に夜中ハリネズミを見つめて書いた文章も多数入っています。

ハリネズミはネズミよりモグラに近い生き物です。落ち葉にもぐり群れから離れて生活する動物なので、周囲からの刺激に敏感で、僕からするととても不器用に見えます。

明かりの少ない部屋でハリネズミを手に乗せているとき、自分の心がささくれ立っているとハリネズミもブワッと針を立てます。職場の仲間や家族に対してトゲトゲした態度をとってしまった自分を認めながらも、「怒らないで」「そんなに敏感にならなくてもいいんだよ」と語りかけていると、自分の心も少しずつほぐれていくのを感じます。そうして少しずつ撫でていると、くるりと可愛い顔をだし柔らかいお腹を見せてくれるんですよ。

見た目は痛そうで近づきがたいハリネズミですが、ヨーロッパでは幸運のシンボルとも言われています。トゲトゲした背中にリンゴを乗せて、幸せを届けてくれる生き物だと思われているとか。私自身、ハリネズミを飼うことで一人の時間を確保し、自分の敏感さや不器用さを自覚できたのはとても幸運なことでした。

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「パパは何になりたいの?」と聞かれて考えた未来

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――システムエンジニアとして着実に実績を積み、先日5冊目の著書を出版されたと聞きました。今後の人生プランはどのように考えていますか? また、家族とどのように話し合っていますか?

以前、子どもに「パパは何になりたいの?」と聞かれたことがあります。突然だったため「もう会社で働いているからなりたいものはないよ」と答えましたが、ふと、それでいいのだろうかと考え直しました。学生の頃は学校の先生を目指して勉強していましたが、大学に入ってみるとITの世界が面白く、システムエンジニアを志すようになりました。ですが、実際になってみると体も心も壊れてしまうほど忙しい毎日。家族との時間も取れず、なりたかった自分とは違うことに気がつきました。

その日から、いつか妻とともに小さな店を持つという新たな夢を抱くようになりました。妻の趣味でもあるハンドメイドアクセサリーを並べ、僕が好きな生活雑貨や本や写真、コーヒーやお酒も出せるような小さなお店を持ちたいと。

転職や独立など、経済的に不安定な状態になることを妻に伝えると、普通は反対されるかもしれません。けれど、日ごろから仕事の状況や人間関係、スケジュールを妻に伝えていたため「今の仕事はいつか辞めると、私も思っていたよ」とすんなり受け入れてくれました。最近は二人で小さな雑貨店や書店をまわったり、空き物件を見てイメージを膨らませたりしています。家ではアクセサリーを作っている妻とテーブルに並んで座り、僕は原稿を書くこともあります。自分の好きなことをしながら、同じ音楽を聴いたり話をしたり……。それぞれの仕事や趣味を理解しているからこそ、お互いにアドバイスしあい、快く受け入れる体制ができています。

毎日のメッセージやケンカの後の仲直りなど、何かと面倒に思われがちな夫婦間のコミュニケーション。後回しにしたくなることもありますが、しっかりと向き合っていれば自分のマイナス面をプラスに変えることも、夫婦で将来の夢を語り合うこともできます。仕事に追われる多忙な毎日だからこそ、自分が自分でいられる家族を何よりも大切にしていきたいですね。

【参考】
http://special.asa21.com/special/bokuhari/index.html

shin5 著
『ボクの針は痛くない』
(あさ出版)

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取材・文:華井由利奈

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