キャリアの棚卸しは転職しない場合でもオススメ!スキルや強みが見つかる棚卸しのコツ

今後のキャリアの方向性を考えたい、キャリアアップするにはどうすればいいのか知りたい…という方は、ぜひキャリアの棚卸しに取り組んでみましょう。「転職のためのもの」というイメージが強いですが、自分の経験やスキル、強みなどを洗い出すことで、今後の方向性が考えやすくなり、キャリアアップにも役立ちます。

この記事では、キャリアの棚卸しを行うメリットや具体的な方法やコツについて、組織人事コンサルタントの粟野友樹さんに伺いました。

キャリアの棚卸しをするビジネスパーソンのイメージ
Photo by Adobe Stock

キャリアの棚卸しとは?

キャリアの棚卸しとは、これまでの社会人経験を振り返り、何をやってきたのか洗い出し、整理する作業のこと。これまでに取り組んだ業務や成果、身につけた知識やスキルなどを整理することで、自身の強みや持ち味、得意分野や志向性、モチベーションの源泉などを明らかにすることができます。

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キャリアの棚卸しをするメリット

「キャリアの棚卸し」というと、一般的に転職活動を行う時に取り組むものというイメージがあるかと思いますが、スキルアップやキャリアアップなどにも役立ちます。具体的なメリットを、いくつかご紹介します。

自分に自信がつく

キャリアの棚卸しを行うと、これまでの経験や身に付けたスキル、成果などを可視化することができます。日々の仕事に追われていると忘れがちですが、これまでを振り返り自身を見つめ直すことで、「こんなに頑張り成果を上げてきた」「着実に成長できている」と実感できるでしょう。普段なかなか成長を実感できないという人も、自分に自信がつき前向きになれるでしょう。

仕事でやりがいを感じやすくなる

これまでの経験を振り返る過程で、熱中して取り組めた仕事、モチベーションが上がった仕事などを思い出すことができます。どんなときにやる気になる、モチベーションが上がるのかわかるので、そういう仕事を意識して増やせばやりがいを感じやすくなるでしょう。

仕事で成果を上げやすくなる

自分の強みや持ち味、具体的なスキルなどが確認できるので、それを活かせるような働き方をすることで成果を上げやすくなるでしょう。目標達成が容易になり、勤務先から高い評価を得やすくなると思われます。

同時に弱みや苦手なことも洗い出されるので、例えば苦手なことに取り組むときは準備を万全にする、周りのサポートを得るようにするなどあらかじめ手を打てるようになるでしょう。

今後のキャリアを考えるうえでの土台になる

これまでの経験を振り返ることによって、キャリアの方向性を考えることができます。なりたい自分を実現するために、身につけておきたい経験・スキルを考えたり、異動や転職の必要性を検討したりと、今後のキャリアプランも立てやすくなるでしょう。

転職活動時のアピールポイントがわかる

もちろん、転職活動にも役立ちます。自分の強みや持ち味を洗い出すことで、転職活動でのアピールポイントが明確になるでしょう。応募書類や面接でのアピールもしやすくなると思います。

また、自分の強みが活かせそうな求人を探せば、入社後に活躍できる可能性が高いできるでしょう。

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ステップで紹介!キャリアの棚卸し方法

キャリアの棚卸しは、

(1)社会人になってからの経験を振り返り書き出す

(2)自分の強みや価値観を洗い出す

(3)どんなキャリアを歩みたいのか言語化する

という3ステップで行うことができます。

ここでは「かんたんキャリア整理シート」を活用して行うキャリアの棚卸し方法を、3つのパターンに分けてご紹介します。シートの内容に沿って誰でも簡単にキャリアの棚卸しができるので、ぜひ試してみてください。

実務経験が短い若手ビジネスパーソンの場合
キャリアが長いビジネスパーソンの場合
キャリアチェンジを繰り返してきた場合

上記には当てはまらないという場合、「スキルに自信がない」人は「実務経験が短い若手ビジネスパーソンの場合」の方法を、それ以外は「キャリアが長いビジネスパーソンの場合」の方法を参考にしてみてください。

実務経験が短い若手ビジネスパーソンの場合

社会に出て間もなく、社会人としての経験が浅い若手の場合は、「経験を振り返っても書き出せるようなトピックが少ない」と感じるかもしれません。その場合は、努力したことや工夫したこと、学んだことなどを書き出してみるといいでしょう。それが他の人にはない自分ならではの経験であり、強みや持ち味にもつながる特徴です。

Step1:キャリア整理シートをもとにキャリア年表を作る

可能な範囲でこれまでの経験を細かく書き出してみましょう。担当した業務、手掛けた仕事、参加したプロジェクト、関わった人などとともに、参加した研修やセミナーなども書き出しておきましょう。

「かんたんキャリア整理シート」をダウンロードする

Step2:書き出した経験について、成果を上げたこと、努力したこと、工夫したことなどを振り返ってみる

成果や実績だけでなく、努力したことや工夫したこと、失敗したこと、学んだことなどを振り、なぜ成果が挙げられたのか、なぜその努力や工夫をしたのか、失敗から何を学びどうリカバーしたのかなど、「なぜ」を繰り返し掘り下げてみましょう。そこから自分ならではの強みや価値観、こだわりが見えてきます。

Step3:今後どんなキャリアを歩んでいきたいかを考え、言語化する

2つのステップで洗い出されたことを参考に、これからどんなキャリアを目指したいか考えてみましょう。強みや価値観が活かせる方向性を大事にすれば、自分ならではの力が発揮しやすく、ステップアップもしやすくなると考えられます。

キャリアが長いビジネスパーソンの場合

キャリアが長くなり日々の仕事に忙殺されていると、以前の成果や実績、モチベーションの源泉などを忘れている場合が多いものです。しかし、そんな中に、大事な人との出会いやターニングポイントがあったり、自分が大事にしていることやこだわりなどが隠れていたりします。

書き出すことが多く、大変だと感じるかもしれませんが、これから先のキャリアをさらに充実させるためにも、じっくり自分に向き合う時間を取ってみましょう。

Step1:キャリア整理シートをもとにキャリア年表を作る

長くなってもできるだけ端折らず、トピックとなる経験を振り返り、書き出してみましょう。振り返る過程で、「そういえばこんなプロジェクトも担当していた」「こんなことにやりがいを感じていた」など忘れていた仕事や感情などを思い出せると思います。

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Step2:全体を俯瞰して、キャリアに共通するものをピックアップする

シート全体を俯瞰して、これまでのキャリアに共通する知識やスキルを洗い出してみましょう。同時に、熱中できたこと、モチベーション高く取り組めたことなど、自分の思いや感情についても思い出してみることをお勧めします。それが今後のキャリアを築く上での原動力になるでしょう。

Step3:今後どんなキャリアを歩んでいきたいかを考え、言語化する

2つのステップで洗い出されたことを参考に、これからどんなキャリアを目指したいか考えてみましょう。Step2で洗い出された「これまでのキャリアに共通するもの」は、自身のキャリアの軸であり経験豊富な強みです。それを活かしてキャリアプランを考えれば、さらに高い成果を上げられたり、キャリアアップがしやすくなったりするでしょう。

キャリアチェンジを繰り返してきた場合

これまで紆余曲折を繰り返し、キャリアに一貫性がないという場合は、キャリアの棚卸しにより「根底にある軸」を明らかにすることができます。これまでのさまざまな選択の共通点が見つかれば、それが自身のキャリアの軸。今後のキャリアプランが考えやすくなるでしょう。

Step1:キャリア整理シートをもとにキャリア年表を作る

紆余曲折を繰り返してきたという場合も、できるだけ端折らず、トピックとなる経験を振り返り書き出してみましょう。特に、キャリアチェンジを行った前後の出来事は詳しく書き出すことをお勧めします。

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Step2:転職やキャリアチェンジごとに、なぜその決断をしたのかを考える

キャリア年表をもとに、なぜキャリアチェンジしようと思ったのか、そのきっかけやその時の思い・感情を一つひとつ思い出していきましょう。キャリアチェンジごとに共通する思いを洗い出すことで、今に至るまでの「軸」となっている思いや志向、価値観などが見えてきます。

Step3:洗い出された軸を踏まえ、今後どんなキャリアを歩んでいきたいかを考え、言語化する

2つのステップで洗い出されたことを参考に、これからどんなキャリアを目指したいか考えてみましょう。Step2で洗い出されたキャリアの軸をベースに考えれば、強みを活かせるキャリアをブレることなく歩めるでしょう。

2回目以降は経歴を書き足し、全体を俯瞰してみよう

キャリアの棚卸しは、継続的に行うといいでしょう。キャリアを積み重ねる中で、新たな強みや価値観が生まれたり、新たなキャリアの方向性が見えてきたりする可能性があるからです。1年ごとを目安に、取り組んでみましょう。

その場合は、かんたんキャリア整理シートに新たな職務経歴を追記したうえで、1回目で洗い出した強みやスキルをその後どう活かすことができたのかを書き出し、全体を俯瞰してみるといいでしょう。

中には「前回は○○が強みだと思っていたけれど、この1年の経験を通して△△のほうが得意だと気づいた」というケースもあると思います。新たなキャリアの方向性を考えるためにも、定期的に行うことをお勧めします。

キャリアの棚卸しを行うポイントやコツ

スムーズにキャリアの棚卸しを行うためのポイント、コツをご紹介します。

まずは思いつくままざっくりと書き出してみる

なかなか以前のことが思い出せず、手が止まってしまう人もいるかと思います。詳細に振り返ることは大切ですが、一度にやり切ろうとせず、まずは大きなトピックだけ書き出してみることをお勧め。その後、そのトピックをもとにその周辺の出来事、経験を思い出し、間を埋めていくといいでしょう。

過去に参加したプロジェクトやターニングポイントについては、共に関わった同僚などと話をして、記憶を掘り起こしてみるのも一つの方法です。

第三者の手を借りてみる

キャリアシートにこれまでの経験を書き出し、俯瞰してみても、「自分では共通する強みやスキル、持ち味などが洗い出しにくい」と感じる人もいるかもしれません。

その場合は、上司との人事評価面談の場で自分の強みや持ち味を教えてもらったり、社内のキャリア研修などを活用してみたりして強みを洗い出すといいでしょう。それをもとにキャリアシートを再び俯瞰すれば、「この強みや持ち味があるからこういう決断をしたんだ」「このプロジェクトでこの価値観が醸成されたんだ」などというように答え合わせができると思います。おぼろげにつかんでいた自分の強みや特徴を、第三者の意見でシャープにすることも可能です。

「まずは職務経歴書を書いてみる」のも一つの方法

キャリアシートを用いなくても、前述のステップを参考に紙などに書き出していけば、キャリアの棚卸しは可能です。

転職を考えていなくても、「職務経歴書を書いてみる」のも一つの方法。職務経歴書は、自身のキャリアを端的にまとめて整理するものなので、「自分の経験やそこから得た強みなどをA4版2枚程度に収めるにはどうすればいいか」などと考えることで、キャリアが長い人でも要点を絞りやすくなるでしょう。

診断ツールを活用するのも有効

自分で一からキャリアの棚卸しを行うのは大変そう、時間がないなどという場合は、診断ツールなどを活用するのもいいでしょう。そこで洗い出された強みや持ち味などをベースすれば、これまでのキャリアを振り返りやすくなります。

【リクナビNEXTジャーナル編集部より】
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そのほか、厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」で自己診断ツールが紹介されているほか、ストレングスファインダー、FFS診断などを活用するのもいいでしょう。

厚生労働省「自己診断ツール」
「ポータブルスキル見える化ツール」

組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント・粟野友樹さん組織人事コンサルティングSeguros 代表コンサルタント
粟野友樹さん

大学・大学院にて人材教育ファシリテーションの経験を積み、大学院を修了後、GMOインターネットグループ、外資系金融機関、パーソルキャリアを経て2018年より現職。これまでに約500人の転職成功を実現してきたキャリアアドバイザー経験と、複数企業での採用人事経験をもとに、個人の転職支援や企業の採用支援コンサルティングを行っている。

EDIT&WRITING:伊藤理子

 

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