【漫画家・やしろあずき氏登場】楽しさファーストを重視しよう!やる気が出なくて悩んでいる人へ

「なんとなくやる気がわかない」「どうすればやる気が出るのかわからない」「そもそもやる気って今の時代に必要なの?」と悩んでいる若手社会人は少なくありません。編集部にも、同様の相談が寄せられます。そんな悩める同世代に向けて、苦手だった会社勤務に見切りをつけ、“自分の楽しさファースト”を貫いてWeb漫画家に転身した、やしろあずきさんからのメッセージです。

やしろあずき氏の漫画のひとコマ
漫画家・やしろあずき氏作品/公式ブログより

漫画家 やしろあずきさん

1989年生まれ。2012年に東京工科大学を卒業後、ゲーム会社にプランナーとして入社したものの半年で退社。13年、大手ゲーム会社に転職。在職中に始めたWeb漫画投稿の収益が会社の給料を越えたのを機に退社。現在は、ブログ(https://yashiroazuki.blog.jp/)で「Web漫画家やしろあずきの日常」を配信。Twitterフォロワーは54万、YouTubeチャンネル登録者数は14.8万(2021.08.27現在)。著書『人生から「逃げる」コマンドを封印している人へ』(ダイヤモンド社/2020年)。
ツイッター @yashi09
インスタグラム yashiroazuki

【相談の声】仕事は頑張りたいけど、やる気がでないです…

仕事がイヤだ、というわけではなく、むしろ頑張りたいのですが、どうにもやる気がでません。一日の成果を感じることもなく過ごしてしまう日々をどうにかしたいです。どうすればやる気をだせるのでしょうか?

このようなお悩みに対し、今回は、毎日のように精力的に自己発信を続ける漫画家・やしろあずきさんに持論を語っていただきました。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

やる気があるかどうかは他人の判断でいいかもしれない

「仕事にはやる気が必要だ」と思っている人って、根が真面目なんでしょうね。だから、「やる気が起きない。どうしよう…」「何とかやる気を出さなくちゃ」と悩んでしまう。でも、やる気を出すのって難しいですよね。僕自身も、会社員時代はやる気がないほうだったので、よくわかります。

そもそも、常にやる気がある人なんていないんじゃかな。だから、僕はやる気より“楽しさ”を重視したほうがいいと思っているんです。その仕事が楽しければ自然と集中できるし、その姿を見て「おっ、アイツやる気あるじゃん!」と周りの人が判断してくれるんだと思うんです。

ゲーム会社にいたころの自分を思い出しても、やりたかった仕事を与えられたときは、純粋に「楽しい」って気持ちで夢中になれたし、そんなときは周りにも「やる気を出している」って見えていたんじゃないかな。

だから僕は、「やる気が出ているように見えていれば」いいんじゃないかと思っています。自分は楽しんでいることが前提ですが。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

やる気が出ないと悩む前に、自分に向いているのか考えてみる

「昨日はやる気があったのに、今日はやる気が起きない」というレベルなら、誰にでもあること。その日だけやる気が出ないのは、たぶん疲れているだけなので、旨い飯でも食ってぐっすり寝ればいいんです。

ただ、「常にやる気が出ない」と感じる場合は、根本的に自分にその仕事が向いていない可能性もあると思うんです。向いていない場合、楽しいなんて気持ちにはなかなかなれません。

だから、やる気云々を思い悩む以前に、「その仕事は自分に向いているのか」を俯瞰で見て、突き詰めてみる必要があるような気がします。

その結果やっぱり向いていない、となれば、仕事のやり方を変える、転職する、というのが選択肢になりそうですけど、手始めに日々の生活を変えてみるのもあり。

例えば、趣味を見つけてみるとかね。仕事の中で楽しさを無理に見つけなくても、プライベートで楽しいことに没頭する時間ができればいいんです。

そうすると、仕事とプライベートとのメリハリがついて、向いていないと思っていた仕事でもやる気が湧いてくるかもしれません。

将来的には、趣味が高じてその業界に進むとか、人生の可能性が広がるかもしれませんよ。

「苦手」を切り捨てていった結果、漫画家にたどり着いた

僕は、ほぼ毎日Web漫画を配信しています。「やしろ、やる気あるわ。すげーな」って言われることもあるけれど、実際はイヤなことから逃げ、苦手なことを排除していった結果、自分に向いている今の仕事に至ったんです。

これは自分でもネタにしているんですが、自分がADHD(多動性症候群)だとわかって、できないことはできないとあきらめがついたこともあって、興味を持てないことを切り捨てていくことができました。

そして残ったのが、漫画を描いてネットにアップするというこの仕事でした。これだけは何回やっても集中できて、飽きずに続けることができたので、「天職なんだな」とわかったんです。

だから、僕自身はやる気を出して漫画を描いているという意識はなくて、自分に向いていることを毎日純粋にやっているだけ。朝起きて、鼻くそほじりながら、やれることをやっている(笑)。それが楽しいから続いているんです。

僕の場合、しがみつかずにあきらめて捨てていった結果、ここにたどり着いたから良かったけれど、漫画もダメだったら今ごろ路頭に迷っていたでしょう。

今があるのは“自分の楽しさファースト”を貫いたから

僕の漫画ネタには三角コーンがよく登場します。既に知っている方もいるでしょうが、その理由を簡単にお話しましょう。

まだ某SNSでも僕のフォロワーが少なかったころのことです。地下アイドルをやっている友人が、Amazonの“欲しいものリスト”に書き込んでは、ファンからいろいろなものをもらっていたんです。それが羨ましくて、僕もその当時欲しかったゲーム機などを、自分の欲しいものリストに書き込んで公開していました。

それを見た知り合いのYoutuberが「本当に欲しいものだけを書いているとイヤらしいから、ネタも入れておいたほうがいい」と言うんです。で、たまたまそのときにAmazonで目に付いた三角コーンを、ジョークでリストに書き込んだ。そうしたら、それだけが届くようになって(笑)。しかも大量に!

でも、そのおかげで三角コーンを漫画のいいネタにできましたし、Web漫画家としての認知度も上がって、好きな漫画で食べていけるようになりました。

こんな風に、今の僕は楽しいことをやっているだけ。だから、やる気を出すために何かを犠牲にするようなことはありません。

ただ、過去には“自分の楽しさファースト”を貫くために、ゲーム会社の上司や同僚との信頼関係を犠牲にしてきました。何しろ、当時の仕事には楽しさがなかったこともあり、仕事中にも漫画を描いていたんですから。

「仕事中にまで漫画のことを考えているなんて、熱心だな。やる気があるんだな」という人もいるかもしれませんが、職場の人たちにしたらたまりませんよね。今振り返っても、心からお詫びしたい人が何人もいます。

これは極端な例なのでマネしたらダメですよ。だけど、もし好きなことを突き詰めていこうとするなら、「定時に帰ったらみんなに申し訳ないな」と思う瞬間があっては実現は難しい。

自分の人生がかかっているんだから、そんなことを気にするより、仕事はあくまで仕事として割り切ったほうがいいんじゃないかな。

結果的に転職するしかない、となったときに、真面目な人は「転職するにも迷惑をかける」と考えてしまうかもしれないけど、上司あたりから小言をいわれるとすれば、いっときだけです。すぐに忘れてくれます。

どんな割り切り方をするにしても、“自分の楽しさファースト”で自分の気持ちや自分の人生を優先させてほしいですね。仕事のやる気を出せるか、やる気があるように見せられるかどうかは、そのあとです。

楽しさファーストのあとには恩返しの気持ちも

楽しさファーストでやってきた僕にも、いま、仕事をやる気になる理由があるとすれば、それは“家族”です。

新卒で入社したゲーム会社は、朝の掃除と電話番がイヤで退社。転職した大手ゲーム会社は、毎朝起きて出社するのが苦手で辞めました。その後しばらく、会社に行っているふりをしてスタバに通う生活をしていたんですが、あるとき母にバレてしまった。

それでも母は「ハイハイ」って感じで、叱ったり説教したりはしませんでした。僕は漫画が描きたかったし、母もそれを知っていたので、内心不安だったとは思うけれど、僕の自由にさせてくれたんでしょうね。

思えば、子どものころから、母が僕にやる気を強いるようなことは一度もありませんでした。もしかしたら、それは親のやさしさや甘さなのかもしれないけれど、僕の意見や僕が大切にしていることを尊重してくれていたんだと思います。

母がそうやって自由にさせてくれたからこそ、今こうしてクリエイティブな仕事ができているんだと感謝しています。

僕の漫画には家族がよく登場しますが、毎日漫画を描き続けられているのは家族のおかげです。

母と妻の存在は絶大です。何しろ僕の母はすごく面白いのでネタには不自由しませんし、家族が経験していることは多くの人たちも経験していることだと思うので、格好のコンテンツになっていると思います。妻も協力してくれるので、好きな漫画に集中することができて、本当に助かっています。

そんな家族に、恩返しというわけではありませんが、これからも一緒にやれることを楽しみながら、親孝行・妻孝行していきたいと思っています。

仕事をすることがその手段になっている僕にとっては、家族の存在が仕事をやる気にさせてくれる、ともいえるかもしれません。

自分から動くしかない

人生は、死んだらそこで終わり。

だから、やりたいことや心に秘めた野望があるのなら、あれこれ思い悩むよりも、自分の人生を優先させて行動していいと思っています。

逆にいうと、自分から動いていくしかないんです。動き続けていれば、意識しなくてもやる気が湧いてきて、全力で打ち込めるようになると思います。

僕自身は、自分の人生を優先して漫画に打ち込んだら、漫画家になるという人生を実現できました。今後は、今までなかったような新しいサービスが登場したら、すぐに飛びついてコンテンツを提供していこうと考えています。

というのも、僕が多くの人に知ってもらえたのは、まだ参入している人が少なかった時代にWeb漫画を始めたからだと思うんです。Youtuberにしても、黎明期に始めた人が売れっ子になっていますよね。

現状維持ではいたくないので、新しいサービスにいち早く参入していけるよう、柔軟な考え方を維持しながら、情報アンテナを張っていくつもりです。

これもまた、僕の「やる気」として、人々からは見えていくのかもしれません。

皆さんも、「やる気があるように見えればいい」くらいの気持ちで動いてみてください。

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WRITING:笠井貞子
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