ヒット作に学ぶ、嫌われない&好印象を残せる自己紹介の組み立て方とは?

「自己紹介って何だか緊張する」
「自分のことを話すと自慢話をしているようで何だか嫌だ」
「まずは嫌われない自己紹介を身につけたい」

人事異動や転職の挨拶、Twitter(ツイッター)やInstagram(インスタグラム)の投稿など、意識的・無意識的を問わずさまざまな場面で自分について語ったり、自己紹介したりすることが多い時代になりました。

あなたは自己紹介が得意ですか?初対面なので謙虚に話したら「つまらない」と思われ、自分の良さを知ってもらおうと頑張って話したら、「自己主張が強い人」「なにか鼻につく」などと引かれた気がする、という経験はありませんか?

しかし、人の心は目で見えないこともあり、何らかの形でアウトプットしなければ伝えられないのが自己紹介。なかなか奥が深いテーマのようです。そこで今回は、広告代理店勤務時代に3,000人以上のVIPと交流し、彼らの「自己紹介の仕方」を研究している気配りのプロフェッショナル・後田良輔さんに「嫌われない、かつ好印象を残せる自己紹介のコツ」について話を伺いました。

リモートでプレゼンする男性社会人

嫌われない自己紹介の秘密は「大ヒット娯楽作品」にあり

3,000人のVIPを見ていて発見したことがありました。それは、彼らは自己紹介の際に「大ヒット映画のようなプロット(ストーリーの筋書き・要約)」を用いているということです。

自己紹介において最も嫌われるのは自慢(に聞こえる)話です。「あれもできる」「これも知っている」など、自分が達成してきた実績や経験などを独りよがりに話せば話すほど、聞き手は「すごいけど、何だかイヤみな人」と感じるものです。

人は自慢話を聞くのは好きではない傾向があります。でも一方、人に自分のことを理解してもらうには、実績や経験を話すのが手っ取り早く、特に仕事のシーンではその傾向が強いもの。

VIPはこの自己紹介の矛盾を理解しており、自分の実績や経験を話す際に嫌われない工夫を仕掛けていました。その仕掛けこそ「大ヒット娯楽作品と同じプロット作成法」でした。

映画や小説、漫画などの中の主人公は、他人よりも優秀な能力や魅力を持っているケースが多いです。でも、たとえば映画の「ハリーポッター」。いきなりハリーは優秀な能力全開でスタートしませんよね?あるいは「鬼滅の刃」。竈門炭治郎も順風満帆なスタートを切るわけではありません。

ヒットした映画の中には、優秀なヒーローが「最初は不幸な状況や何らかの試練を受けるところから始まる」ように意図的に作られているものが多く見られます。なぜなら、人は他人の優秀な部分よりも、挫折や失敗などの不幸を乗り越えるエピソードにカタルシスを感じる傾向を持っているからです。

たった数時間で人の心を掴んで感動させなくてはいけないエンタメ業界はこのことを知っており、この王道ともいえるプロット作成法でヒットを稼ごうとするわけです。

それはまさにエモーション(感情)をロジカル(論理的)に計算する、これは私の造語ですが、“エモロジカル”な理論で成り立っています。VIPもこのプロット作成法を使い、短い持ち時間の中で嫌われることなく自分の実績を自己紹介し、しかも好意的に認められていました。

この、誰でも真似できる簡単なプロット作成法のひとつを応用すれば、あなたの自己紹介も印象深いものになるかもしれません。次から具体的なテクニックをご紹介しますので、ぜひ試してみてください。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

組み立てのコツ【その1】 まずは挫折や失敗・欠点などにまつわるエピソードから話す

まずは“つかみ”を用意しましょう。ここはプロット作成法にならい、「あえて自分の挫折や失敗・欠点などのネガティブなエピソードから話す」ことに挑戦してみてください。

例えば自身の持つ英語能力を伝えたい場合。「TOEIC950点です」といきなり言われると自慢と思われる可能性がありますが、「英語が苦手だった私には、あるとき外国人に話しかけられ、何を話していいかわからず思わず逃げ出してしまった経験があります。あの時、夢中で逃げて転んだ時にできた擦り傷のあとが今でも残っています」と言われれば、相手も興味を持って聞いてくれるものです。

このように、アピールしたいネタは、きっかけとなった「ネガティブなエピソード」から話すといいでしょう。ポジティブなエピソードで開幕したネタであれば、途中で苦労したエピソードを盛り込んでみましょう。

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組み立てのコツ【その2】 挫折や失敗を乗り越え目標に立ち向かう姿を語る

挫折や失敗談を話したあとは、その状況に屈せず、乗り越えていく自分について話します。

先ほどの例で言えば、「道に困っていた外国の人だったかもしれないのに、逃げ出してしまった自分が許せない。もう二度と同じ経験をしたくないと思い、毎日2時間英語を、特にリスニングを重点的に勉強し始め、外国人から話しかけられたら、拙い英語でも応じるようにしました」などと、ポジティブに乗り越えていく姿を話しましょう。

映画の主人公もどん底から這い上がるシーンで観客の共感や応援を得ますよね。あれと同じことで、これにより聞き手はあなたに親近感を覚えてくれるかもしれません。

組み立てのコツ【その3】 試練を乗り越えて獲得した実績と今後の夢を語る

ここで初めてあなたが獲得した実績を語ります。その際、実績はあくまできっかけであり、その先につながる夢や目標についてしっかり話すことで、より印象的な自己紹介ができます。

英語の事例でいうと「こうして自分の苦手なことに3年間向き合った結果、最終的には試しに受けたTOEICで950点という結果を獲得することができました。でも私の目標は英語の点数ではなく、このスキルを活かして『外国人の友人を100人作ること』です」などと言うイメージです。

あなたが獲得した実績や経験は過去のものですが、それを未来までつなげれば、よりあなたの魅力を演出することができるでしょう。

「嫌われない自己紹介」へ変える表現方法の例

今までお話したことで「嫌われない自己紹介」の作り方をなんとなくでもお分かりいただけたと思います。ほかにも、ほんの少しエモーショナルなエピソードを加えることで印象づけやすい表現になります。いくつかの具体例を見てみましょう。

×営業ができる

飛び込み営業ができず泣いた日もあったけど、今は営業ができる


さらに、営業のどんな点が苦手だったのか、その時の感情はどうだったかなどを描写するといいでしょう

×○○大学(難関大学)出身です

赤点を取るレベルの高校生だったのですが、周りを驚かせようと猛勉強の末、偏差値を30ほど上げて○○大学に入りました。


出身学校などの「属性」だけを語ると味気ない情報の伝達のみとなりますが、勉強ができない状況で出会った理不尽や苦労などを交えて一念発起する様子を話せば、「属性」を良いネタとして扱えます。

×継続力がある(〇〇の能力があるなど、プラスのことを言う際)

「何ごとも続ける点“だけ”はすごい」と先生に褒められてから、逆に継続力があるんだというにプライドを持ちました


〇〇ができる/得意などは、言い方次第で嫌われやすい要素となります。そこで「できなかった」時に言われたエピソードなどを混じえることで、ストーリー性を出しやすくします。

まとめ

このように、「ヒット映画を生む王道プロット作成のテクニック」を応用して、自分の強みを「失敗・挫折・欠点」など、普段は語ることのないネガティブなエピソードをセットにして話し始めてみましょう。そうすれば、ヒット映画と同じように、その逆境に立ち向かうあなたの姿に共感してくれる人が出てくるものです。

「間違ったことがない人は、何も新しいことを試してない人だ」というアインシュタインの言葉もあるように、ネガティブな経験があるからこそ人は成長するのだと私たちは知っています。

成長しようとしている人が嫌われることはないと信じ、今回お伝えした方法などを使ってほんのすこしでも自己紹介のプロット作りを工夫してみてください。それによってあなたの自己紹介が「嫌われない、その上に、好感度を上げられる」ものになるなら、やらない手はないと私は思います。

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プロフィール

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。
著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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