自分に合った仕事を見つけられず悩むのは「ごちゃまぜにした3つの価値観」が原因かも!

「今の仕事は自分に合っていないのでは?」と感じている人や、「ほかの人は生き生きと働いているのに…。この仕事、何か違うかも」と思ってしまう人。そんなモヤモヤはどうしたら消せるのでしょう。
また、もっと自分に合う仕事を見つけてキャリア構築していきたいと思い描いている人は、どう動いたらいいのでしょう。

今回は、第二新卒からハイキャリアまで、これまでに5000人以上にキャリアアドバイスをしてきたキャリアアドバイザーの吉田智春さんに、「自分に合う仕事の見つけ方」について聞きました。

自分に合った仕事を見つけたい社会人女性

吉田智春さん

新卒でリクルート人材センター入社。企業向けの営業、営業企画、新サービスの立ち上げなどを行いキャリアアドバイザー歴は通算20年、第二新卒~ハイキャリア、シニア層まで広く担当し、これまでに6000人ほどをサポート。「転職をお手伝いした方が、入社先で昇進され、その方の部下の採用のお手伝いをさせていただいたことも。企業と転職者の間に立って、フラットに相性のよいつながりの支援をしています」

仕事が自分に合っているかどうかは、どう判断すればいい?

私がキャリアアドバイザーとして相談者の話を聞いていて感じるのは、多くの方が「価値観として大事にしたいこと・好きなこと・得意なこと」、この3つをごちゃ混ぜにしていることです。

そのため、中には“好きなこと=自分に合っている仕事”と安易に結びつけてしまう人がいますが、必ずしもそうとは限りません。

例えば、動物が大好きだからという理由で、動物園の飼育員の仕事を選んだとします。すると、動物相手ですから残業や休日出勤が発生するのはもちろん、給餌や排せつ物の処理など体力仕事が圧倒的だということを体感するはずです。
経験値がモノをいう世界でもありますから、キャリアによるヒエラルキーもあるでしょう。すべてを受け入れた上でやりがいを持って働いていけるならいいですが、ワークライフバランスを保てないことで大きな負担や不満を感じるとしたら・・・・・・? 動物とふれ合うことが好きであっても、「得意」でもなければ「価値観もあっていない」ならば、それは仕事として合っているとは言えません。

また、事務の仕事は地味だから好きじゃないと思っていても、実はエクセルで数字をまとめ上げたり、状況に応じた関数を組み合わせて、ピシッと揃えたりすることが快感、という人もいるでしょう。そうした人は、(自分で気づいていないけれど)状況に応じて自分で仕事の段取りを組み、企画書を仕上げ、電話の対応もこなすマルチな働き方が得意なのかもしれません。

あるいは、自分の価値観がワークライフバランス重視であるなら、ルーティン化した業務中心で多少メリハリがないと感じることがあったとしても、定時上がりが守られているので大きなストレスはない。そうだとしたら、この人にとっては「自分に合う仕事」と呼べるのかもしれないのです。

このように、「好き・嫌い」よりも、今の仕事は「自分の価値観とのズレていないか」、「得意か・不得意か」が、自分に合う・合わないに大きく影響してくるのです。

好きという感覚的なものだけで仕事を選んでしまうと、あとで何か違うと感じることになってしまいます。冒頭でご紹介した3つの価値観を、ひとつずつ見直しながら、まずは自分自身がどういう特性を持っているのかを見極めることが大切です。

「自分の価値観がどこにあるか」を探るには保育所・幼稚園時代までさかのぼろう

価値観がどこにあるかを見極めるために、自分は何を大事にして働きたいと思っているのか細分化し、優先順位づけをしてみましょう。

例えば、給料の額や土日がきちんと休めること、あるいは残業が少ないことなど、数字化して表せるものなのか。あるいは、人からの評価なのか、社会的な地位なのか。

「早く肩書きが欲しい」が優先だとすれば、大企業で長年かかって課長になるよりも、中小企業で早々と部長になって第一線を引っ張る仕事のほうが合っている、といった判断ができるようになります。

しかし、そうした価値観に本人が気づいていない場合もあります。

そこで、私がキャリアアドバイザーとして相談者によく尋ねるのは、幼稚園や小学生のころから今に至るまでの歴史です。

保育所・幼稚園や小学生のときについて尋ねる

・幼稚園や保育園に通うころ、何になりたかった?(どうして、その職業に憧れたんだろう)、
・小学生のときどんな子だった?(「よく外で遊んでいた」「本が好きだった」としたら、そのきっかけは何で、特に好きだったのはなんだろう)

など、幼いころを振り返ってもらうことで、その人のベースになっている部分を把握していきます。

中学生・高校生のときについて尋ねる

・中学・高校で何部に入っていた?(「吹奏楽部で大会にも出場した」「野球部でベンチ入りはできなかったが皆のサポートをするのが好きだった」など、成果やモチベーションはなんだったのだろう)
・そのころの忘れられないできごとってある?
・当時好きだった科目は何?なぜ好きになったの?

など、中学・高校時代の経験やエピソードを掘り下げることで、その人の得意とするもの、得意ではないものを聞いていきます。

大学生のときについて尋ねる

・大学での専攻はどうやって選んだの?
・詳しく何を勉強してきた?勉強してみてどうだった?
・サークルやアルバイトはどういうものを選んで何をやってきた?そこでのエピソードを教えて

など、就活に至るまでの歴史を振り返ってもらいます。

就活のときについて尋ねる

・何になりたいと思って就活をしたの?それはなぜ?
・どういう業界の幅で就活をしたの?
・最初に入社した会社を選んだ理由は何だった?

大学までは点数や偏差値で進学先がある程度決まってしまいますが、就活は自分の意志で進路を決めるという、人によっては初めての大きな選択をするときとなります。そのときに、何を大事にしたのかを、ヒアリングさせてもらっています。

一人ひとりに歴史があり、すべての要素が積み上がって、今に至っています。こうして振り返ることで、

・積み上がった要素の中のコアな部分が何なのか
・どこがフィットしないために「今の仕事は合っていない」と感じるのか
・フィットしない原因

を考えられるからです。

“少しだけ頑張れたこと”に大きなヒントが隠れている

自分の歴史を一つひとつたどり直すと、自分の持つさまざまなコンテンツや強みにも気づくことができます。

以前ヒアリングしたAさんは、小さいころから習いごとは何ひとつ続かず、半年~1年でやめてしまったのに、大学のときにやった居酒屋のバイトは、なぜか3年間続けられたと言います。

なぜ続いたのかいろいろ聞いていくと、その居酒屋ではバイト生にもサンキューメールを送ってくれていた、というエピソードが。

「あいさつの声が前よりよく出るようになりましたね、ただ、お客様が食べ終えた皿を下げるタイミングはもう少し早く。来月のテーマにしましょう」というようなメッセージを社員さんがスタッフに送って、フォローしてくれていたそうです。

そういう環境で働いていたので、「店が混んでいる時には勤務時間が延びて終電ギリギリになることがあっても、乗り切れました」と話してくれました。

こうして紐解いていくと、Aさんにとっては残業があるかないかよりも、モチベーションを高めてくれるようなチームで仕事をするほうが能力を発揮できるのかな、とわかっていきます。

逆に、人と関わる煩わしさが苦手という人もいます。

Bさんは中学・高校と部活を何もしていない、いわゆる“帰宅部”で、大学のときにも特にサークル活動に熱心になったことはありませんでした。

長期の夏休みなど、どうやって過ごしていたのかを聞くと、社会心理学の授業で出会った統計学にハマり、休み中はテキストを読みながらさまざまな分析法にチャレンジしたそうです。

統計学ではデータを重視し、論理に基づいて分析を行いますから、このときの振り返り以降、Bさんはデータと向き合う専門職を視野に、一定のジャンルを深くコツコツと攻めていく仕事が向くのではないかと可能性をさぐります。
そして、結果的に自分に合う仕事と出会えたのです。

シーンで思い出して自分の強み、得意・不得意を見つける

あなたの強みって何?と聞かれても、即座に応えられる人は多くありません。
強みなんてないと思う人もいるかもしれませんが、何が得意か不得意かは、具体的なシーンで振り返ることで、浮き上がらせることができます。

例えば、何が不得意かを自問するなら――。
上司から何かを依頼されたときに、気持ちが乗らない、できれば避けたいなと思うのはどんな仕事かを思い浮かべてみましょう。

「売り上げの前年同期比を支店ごとにグラフ化して」なのか、「C社とのランチミーティングに行くぞ」なのか、「製品ユーザーのグループ座談会をセッティングして」なのか。

そして、自分がその依頼を「できれば避けたい…」と思う理由は何なのかを書いて言語化してみると、整理しやすくなります。

あるいは入社1・2年目のころや研修などで、同期はみんなサクサクこなしているのに、自分だけ時間がかかっていた業務は何だったかなと振り返ってみてもいいでしょう。

逆に、自分にふられたらつい力が入る仕事は何か、人よりも先に終えられた仕事、同期がまごまごしていたときに教えてあげられた仕事、上司や先輩に褒められた仕事は何かを振り返ってみると、得意なことが見えてきます。

このように具体的なシーンを思い出すことで、自分に合う仕事の方向性を見つけるヒントにしていただいたらいいと思います。

やってみたい仕事が見つかったら、必ず「シミュレーション」を

自分自身の価値観や得意を整理できたら、どんな仕事が合っているのかを検証し、場合によっては異動願いや転職などを検討してみるのもいいでしょう。

ただし、異動願いや転職活動の行動を起こす前に、ぜひやってほしいのが、シミュレーションです。

例えば、今は一般事務職だけど、企画から携われる職種に転職したい人。
そこでは、プレゼンをする機会が少なからずあるでしょう。すると、これまであまり触ったことのなかったPowerPointを使うことになるかもしれません。ユーザーの多いそうしたソフトは、今はオンラインでも勉強できるので、トライしてほしいのです。

楽しく学べればよし、あるいはあまり得意ではないと感じるようだったら転職活動自体をいったん見直したほうがいいでしょう。

学生や第二新卒の人の中には、「モノ作りは昔から結構好きだし、IT関連は求人も多いし、伸びている分野だから」とエンジニアに応募したものの、研修中に「やっぱり無理かも」と感じて、そこから転職活動を始める方もいます。

企業側もエンジニアが足りないので、新卒採用などでは、「未経験でも構いません。研修でしっかり学べますので、モノ作りに興味がある人はぜひどうぞ」とうたっていたりするのですが、短期間で見切りをつけるようなことがあれば、どちらにとってもアンハッピーな結果になってしまいます。

ですから、やみくもに転職活動をする前に、本屋さんに行ってJavaScriptやPHP、HTML、CSSなどプログラミングを学ぶ本を1冊でいいので購入し、実際に自分で勉強する、あるいはオンラインで1週間、集中して学んでみましょうとオススメしています。

実際に1週間やってみて楽しいと思えるのであれば、キャリアチェンジで応募するときも「実務は未経験ですが、プログラミングをやりたいと思い、1週間独学したらハマってしまって、絶対これを仕事にしたいなと思ったので、今回御社を受けました」と言えば、本気が伝わります。
また、企業側にとっても、本人が面白いと思っているのであれば離職されるリスクは低くなるだろうという安心感が生まれます。

自分に合いそうだな、と思った仕事を見つけ、興味を持ったら、今はオンラインで多くのことのサワリを学ぶことができますから、その一端をシミュレーションしてみてください。

それが、お互いにとってハッピーな出会いにつながると思います。

インタビュー・文:中城邦子

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