やたらと干渉する上司がウザい…どう対応すればいい?【シゴト悩み相談室】

キャリアの構築過程においては体力的にもメンタル的にもタフな場面が多く、悩みや不安を一人で抱えてしまう人も多いようです。そんな若手ビジネスパーソンのお悩みを、人事歴20年、心理学にも明るい曽和利光さんが、温かくも厳しく受け止めます!今回は、ウザい上司に悩む26歳男性からのお悩みです。

曽和さんメインカット

曽和利光さん
株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『人事と採用のセオリー』(ソシム)など著書多数。最新刊『コミュ障のための面接戦略』(星海社新書)も好評。

細かいことまで干渉してくる上司が嫌すぎる!

 

<相談内容>
CASE43:「上司がウザすぎて毎日がつらい…」(26歳・人材サービス会社勤務)

人材系営業に就いて3年目、昨秋異動してきたマネージャーがウザすぎて毎日がしんどいです。

マネージャーなのに指導するわけではなく「あれをやれ、これをやれ」と命令するばかり。そして、細かいことまで干渉してきます。今日はどこに行き、明日はどこに行くのか、どんな話をしたのか、事細かに聞かれます。なのに、具体的にどうしろというわけではありません。ただ監視され、「まだそんなレベルか」「早く決めてこい」などというだけです。

以前の上司は、営業力も指導力もあり、自分のことを常に気に掛けてくれました。人間的魅力もあり毎日が楽しかったのですが、今の上司は指導力はもちろん営業力も感じられず、尊敬できません。以前の上司が素晴らしかっただけに、今の落差が激しく、仕事にもやりがいを見いだせなくなりました。

最近は在宅勤務の機会が増え、はじめは少しほっとしていたのですが、自分の目が行き届かないためか頻繁にチャットで所在確認をされたり、抜き打ちで電話が来たりと、ますます監視が厳しくなりウザさが増した気がします。最近では精神的にキツイとも感じています。

現状を変えるには、転職しかないのでしょうか?それともほかに対応方法はあるのでしょうか?

 

8,568通り、あなたはどのタイプ?

「相談者が上司を過干渉にさせている」可能性はないか?

曽和さんインタビューカット

相談文を読んだだけでは、上司に問題があるのか、それとも相談者のほうに問題があるのか判断できないので、それぞれのケースの対処法をアドバイスしたいと思います。

まずは、「相談者に問題がある」場合。実はこの可能性が高いのではないかと、私は思っています。上司がそこまで細かくあなたに干渉してくるのは、あなたが上司から信頼を得られていないせいだと思われるからです。

わたしにも経験がありますが、ある部下に仕事を任せたけれど納期を守ってくれなかったということが一度でもあれば、上司は不安感から進捗を細かく確認するでしょう。そして明らかに遅れているならば、口うるさく思われようが頻繁に声を掛け、お尻をたたくのが当たり前です。

「まだそんなレベルか」という発言からも、「相談者の働きが、上司が望むレベルに達していない可能性」を感じさせます。部下に仕事を任せた結果、納期までにできないうえにレベルも低いということであれば、上司が責任を取るしかありません。それを理解せず、表面だけを捉えて「上司がウザい」と騒ぎ立てているようであれば問題です。

「以前の上司は素晴らしかった」と言いますが、その上司から本当に信頼されていたかどうかも不明です。「指導力があった」ということは、相談者が頻繁に指導を受けていたということであり、実は前の上司にも「特に指導が必要な手間のかかる部下」と思われていた可能性だってあります。指導の仕方は人それぞれ。前の上司の「丁寧な指導」と今の上司の「細かい干渉」は、いずれも「手間のかかる部下を何とかしなければ」という思いから行われているのかもしれません。その可能性を、考えてみたことはありませんか?

上司は相談者の仕事ぶりに不安を感じているから、細かく確認し、干渉する。それを相談者はただ「ウザい」と捉え、現状を変えようとしな…この悪循環がただ繰り返されているだけのように感じます。本当に自身に反省すべき点がないかどうか、今一度冷静に考えてみましょう。

 

8,568通り、あなたはどのタイプ?

自発的に報告、連絡することで「ウザい干渉」を封じこめる

曽和さんインタビューカット

もちろん、「上司に問題がある」可能性も大いにあります。部下には問題がないのに、マイクロマネジメントが行き過ぎてウザい上司は、どの会社にも一人や二人存在するものです。そういう上司を何とか攻略したいのであれば、「上司を安心させる行動を取ること」をお勧めします。

例えば、自発的に日報を提出してみるのはどうでしょう?細かく聞かれるのがウザいのですから、あれこれ言われる前に自分から先手を打ってどんどん報告・連絡してしまうのです。「指示されてもないのに面倒くさい」と思われるかもしれませんが、相談者はウザさに困り果てているのですから、ここは「ウザい」と「面倒くさい」のトレードオフで考えましょう。

その際、「いろいろ確認いただくのが申し訳ないので、どういうポイントが気になるか教えていただければ、毎日きちんと報告します!」と伝えれば、上司も納得し、安心するでしょう。仕事終わりにメールで数行ほど、今日の進捗を送るだけで十分効果があると思います。毎日数分だけ時間を割けば、現状が劇的に変わるかもしれません。

ただ、中には病的なまでに干渉してくる人もゼロではありません。これは上司の性格の問題であり、部下の努力や工夫では変えようがありません。前述の日報も効かない可能性があります。

自分だけではなく、ほかのメンバーも困り果てているのであれば、上司のさらに上役、もしくは人事に相談してみるしかありません。「〇〇さんにこのようなマネジメントを受けているが、どう思われるか」と意見を仰いでみましょう。部下の働きやすい環境を整えるのも上役や人事の仕事ですから、上司に何らかの働きかけがあり、現状に改善がみられるかもしれません。

もちろん転職も一つの方法ではありますが、相談内容を見る限りでは、相談者は仕事自体は嫌いではなさそうですし、一緒に働く仲間も悪くはないのでしょう。問題は「上司がウザい」だけなのですから、今の環境を簡単に手放すのはもったいない。まずはこれらの行動を起こしてみてから考えてみてはいかがでしょうか。

 

アドバイスまとめ

自分に本当に原因がないか考えたうえで
ウザさの「元を断つ」努力をしてみよう
現状が劇的に変わるかも?
EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

 

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