プレイングマネジャーの仕事の仕方とは?「現場とマネジメント、どちらも成果を上げるのは無理」ならどうしたらいいのか?

「一人でマネジメントもやって、現場も担当するなんて無理…」
そう思っている人も多いでしょう。
従業員数100人以上の上場企業に勤務し部下を1人以上持つ課長を対象に行った「第4回上場企業の課長に関する実態調査」(2018年1月 学校法人産業能率大学実施)によると、課長職の99.2%は「プレイングマネジャー」であり、そのうち約6割が「プレイヤーとしての活動により、マネジメント業務に支障がある」と回答している、とのことです。現場の業務とマネジメントの業務の両立は、多くのマネジャーにとっての悩みと言えそうです。

一体どうすれば、マネジメント業務とプレイヤーとしての活動を両立することができるのでしょうか?
12万部を超えるベストセラーシリーズとなった『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)の著者である俣野成敏さんに「プレイングマネジャーの仕事の仕方」についてお聞きしました。

こんにちは。俣野成敏です。こちらのコーナーは、主にビジネスパーソンの方を対象に、よくある悩みや疑問にQ&A形式でお答えしていく、というものです。

本コーナーを執筆する目的は、これをお読みのあなたに、今までとは違った視点をご提供することです。少しでもお役に立ちましたら幸いです。

そもそも“プレイングマネジャー”という役割にはムリがある

【本日の質問】

「私は、あるメーカーの営業職をしています。成績がそれなりに評価されて、上司から『今度、マネジャーに昇格する』と言われました。とはいえ、私がこれまで担当している顧客はそのまま担当することとなり、個人としての売上目標も持つことになるので、プレイヤーとしての役割とマネジャーとしての役割を同時に期待されている状態です。
仕事が認められたのは嬉しいですが、現場を自分でも担当しながらマネジメント業務を行うのは大変そうだ、というイメージがあります。
現場業務とマネジメント業務を両立するに当たっての注意点やアドバイスなどがあればお願いします」

昨今、日本の会社では、プレイングマネジャーを求められることが多いと聞きます。プレイングマネジャーとは、現場の仕事を続けながら、部下やプロジェクトの管理も任されるという、かなり難易度の高い役割です。おそらく人数的な問題や、予算の都合などがあるのでしょう。しかし、本来はまったく別の仕事です。

プレイングマネジャーになる人はこれまで現場で成果を出し続けてきただけに、多くの方が、個人の成績とマネジメントの両方で結果を出そうとして、押しつぶされそうになっているのが実情ではないでしょうか。しかし、急に全く別の仕事を追加されるわけですから、これまでと同じ業務時間内で「どちらもきちんと成果を出せ」というのは、無理があるのではと私は感じています。

プレイヤーとマネジメントを無理に両立させようとは思わない

現場とマネジメント、どちらも同じように力を注ぐのが難しいとなると、多くの方は「どちらかの比重を高くしよう」と考えるはずです。では、どちらの比重を高くすればいいのでしょうか?
それは、会社や部署の状況、あなたの今後のキャリア志向によります。

例えば、あなたの現場での役割が大きな影響力を持っており「個人の成果の方を強く求められている」「プレイヤーとしての仕事の姿勢を部下に見せることを期待されている」、かつ「名プレイヤーとしてのキャリアを積みたい」という志向がある場合には、プレイヤーとしての役割に比重を置くことになります。しかし、この場合、当然マネジメント業務は対応しきれなくなります。部下の抱える問題への対処が遅れたり、姿勢を見せるだけでは成長できない部下への対応がおざなりになりがちなので、対策は練っておく必要があるでしょう。

一方で、「現場はスタッフに任せて、マネジメントの役割を期待されている」「マネジメントの経験を積みたい」という場合は、マネジメントの比重を高くし、プレイヤーとしての比重を下げるのが良いでしょう。この場合は、部下の面倒を見ることで、その分、自分個人の成績を上げるための時間が減ります。よって、自分がマネジメントに割く労力以上の成績を部下に上げてもらわない限り、会社から評価を得られないことになります。

つまり短期的にみると、どちらを選んでも片方は犠牲にせざるを得ない「トレードオフ」な関係にあるということです。ここに、両立する難しさがあります。どちらに比重を高くするかは、会社が期待することとご本人のキャリア志向にそって考えてみるのが良いでしょう。
いずれにしても、上司からマネージャーの役割も担ってほしいという打診があった際に、現場とマネジメントのどちらの比重を高くするのか、そのためにどの業務を他人に引き継ぐのか、などをお互いに握っておくとスムーズでしょう。

堪えるのではなく、変化する

私が実際にプレイングマネジャーの立場になったときは、最終的にはマネジメントの比重を高くしました。現場の仕事ももちろんやりがいを感じてはいたのですが、新たなマネジメントという仕事への興味や今後のキャリアを考えての決断でした。

サラリーマン時代、老舗メーカーの正社員だった私は、社内ベンチャーに片道切符で応募し、アウトレットモールに在庫処分店を出店するビジネスを始めました。2店舗目までは、私がプレイングマネジャーとして、店長を兼務していました。当時、店を行ったり来たりと大変でしたが、それでも自らもシフトに入っている安心感を持ちながら東奔西走していました。当時、私は「プレイヤーとして自分がお店を支えている」と思っていたので、どちらかといえば最初は「プレイヤー」としての役割に軸足を置いていたのです。
ところが、1年後に店が4店舗に増えると、もうどうやっても自分がシフトに入ることはできなくなったのです。

そこで、私はプレイヤーとしての自分を捨て、マネジメントに徹することにしました。この際に、私は以下2つのステップでプレイヤー業務からマネジメント業務へと軸足を移していきました。

【プレイヤーからマネジメント業務の比重を高くする2つのステップ】

1. 他の人に引き継げるよう、自分の持っているスキルを言語化する。
自分が現場にいなくても、誰でも対応できるよう横展開することを意識して、まずプレイヤーとして注意していたこと、こだわったことを資料にまとめて渡す。

2. 誰に引き継ぐのがふさわしいかを見極める
人それぞれ得意領域があります。「誰にどんなことがお願いできそうか?」をしっかりと把握し、自分の担当業務を可能な範囲で切り出して、得意と思われる人にお願いする。

段々と自分のありたい姿(私の場合にはマネジャー)に向けて仕事を「入れ替え」していくイメージです。「入れ替え」の方法については、こちらもあわせてご覧ください。

私がプレイングマネジャーを経験して一番重要だと感じたのは「割り切る」ことだと思っています。「この仕事を本当に他の人に任せてもいいのか…」と思うことも多かったのですが、結果的には、任せることで部下の成長にもつながりますし、自分自身も任せたあとの対応の仕方や任せ方など新たなスキルが身につけられたと感じています。

目指すべきは「プレイングマネジャーの先にあるもの」

私はマネジメントに比重を置くことで、マネジメント能力を養うことができましたが、
もちろん名プレイヤーとして生きるのも1つの道です。自分がプレイヤーに徹することで、会社により多くの利益をもたらすことができるのなら、それに越したことはありません。

もしも、実際にどちらかの比重を高くして業務を行うなかで、自分が進む方向性として違和感を持ったり、向かないと思った時には、比重を見直すなど柔軟に考えていいと思っています。

いずれにせよ、プレイングマネジャーは、キャリアの過渡期に位置する暫定的な役割に過ぎないということです。このことを頭の片隅にでも置いておいていただけたらと思います。

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プロフィール

俣野成敏(またの・なるとし)

ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。『プロフェッショナルサラリーマン』(→)及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(→)のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』(→)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。2012年に独立。フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネースクールを共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』に3年連続で選出されている。俣野成敏 公式サイト

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