昇進の挨拶って何を話せばいいの?部下の心をつかむための「挨拶の心得」

「課長に昇進したけど…最初の挨拶、何を話せばいいんだろう?」
「部下にどう思われるか気になる…何とかして“最初の挨拶”で部下の気持ちをつかみたいのだけど…」

新任で管理職になった方にとって避けられないのが、新しく部下になる方に対する「昇進の挨拶」です。上記のように「何を話せばいいのか悩む」という方も多いのではないでしょうか?

今回は、そんな悩みに対して、12万部を超えるベストセラーシリーズとなった『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社、小学館文庫)の著者、俣野成敏さんに回答していただきます。

昇進の挨拶に拍手でこたえる部下たち

こんにちは。俣野成敏です。

このコーナーは、「よくある悩みや疑問」にQ&A形式でお答えしていくというものです。今回は「新任で管理職に昇進された方が、部下に対してどんな挨拶をすればいいのか」というお悩み。

これをお読みのあなたに、今までとは違った視点をご提供できればと思います。

昇進の挨拶、たった1回ですべてが決まることはない

【本日の質問】

昇進が決まって、チームメンバーの前でひと言挨拶をすることになりました。みんなから信頼されるような人になれたらと思いますが、初日でメンバーにどんな挨拶をすればいいのでしょうか?

質問した方がどのようなシチュエーションの下にいるのか、この文面だけではよくわかりませんが、だいたい以下の3つのパターンが考えられます。

1.今までいた部署で、そのまま昇進する
2.昇進と同時に、別の部署に異動する
3.昇進し、新たなチームを結成する

1のメリットは、自分もスタッフも、お互いを熟知していること。その反面、自分が他人より抜きん出た形になるため、やっかみを受ける場合があります。
2のメリットは、お互い余計な先入観がないこと。ただし、部署の中で自分が新米になってしまうことは否めません。「どんな人が来るのか?」警戒した視線を浴びることが多いパターンです。
3のメリットは、みんなで1からチームをつくれること。しかし「異動+ニューメンバー+事業の新規立ち上げ」となった場合は、負担がかなり重くなるでしょう。その反面、サラリーマンとして最も貴重な経験ができるパターンでもあります。

どのパターンであっても、メリットを活かし、デメリットがなるべく表に出ないように、というのが基本的戦略になります。そのための第一歩が就任挨拶、というわけですが、とはいえ、たった1回の挨拶ですべてが決まることはありませんので、ご安心いただければと思います。

昇進の挨拶は、部下にとっては「面白くないもの」

普段、私はセミナーに登壇したり、部下を教育したり、しばしば人前で話をする機会がありますが、最初からうまく人前で話せたわけではありません。ここでは、私がまだ人前で話すことに慣れていなかったころに、実践していた方法をご紹介します。昇進の挨拶の参考としていただければ幸いです。

耳を傾けてもらえる「昇進の挨拶」のコツ

私は何かのテーマについて取材や講演を求められたとき、まず「テーマの関連本を売れ筋から順に複数冊購入」しました。なぜ、私がこのようにしていたのかというと、書籍になるレベルの世のスタンダードを知りたかったこと。そして、それらに書かれている内容と差別化を図るためです。

すでにほかの人が語り尽くしたことを話したところで、聞き手は面白くないだろう、と考えたからです。もちろん、共通の概念は出てきます。その時に有効なのが自らの体験です。実体験を語ることで、オリジナリティが生まれます。

あなたが過去にお聞きになった、誰かの就任挨拶を思い出していただければわかると思いますが、実際に直接関わることになる人を除けば、他人の挨拶などどうでもいいのが本音ではないでしょうか。たいてい、話も似たり寄ったりで、面白くないと相場が決まっています。ですから、ここでもし、聴衆から「おやっ?」と思われるような話ができれば、違った印象が残せるはずです。

昇進の挨拶で、何を話せばいいのか?

だったら「どんな話をすればいいのか?」という事例をお話ししましょう。

かつて、ザ・ボディショップやスターバックスのCEOを務め、『「ついていきたい」と思われるリーダーになれる51の考え方』(岩田松雄著、2012年、サンマーク出版)等の著書のある岩田松雄氏は、ゲーム会社アトラスの社長を経験した後に、当時、売上の低迷していたザ・ボディショップのCEOに就任します。

岩田氏が就任後に感じた業績低迷の要因とは、「ザ・ボディショップの創業者であるアニータ・ロディック氏の理念や社員たちの思いと、会社の方向性が合っていない」、ということでした。そこで氏は、経営企画室に「日本におけるボディショップの可能性はどれくらいか?」と聞いたところ、140億円くらいである、という返事がきました。

ここから、岩田氏は「年商150億円を目指そう」とスタッフに向けてメッセージを打ち出します。それまで何年も、100億円を狙っては未達だったにもかかわらず、です。けれども、事前に会社のことを調べていた氏には、「この会社にはそれだけのポテンシャルがある」という確信がありました。会社の力を正しく把握し、それを具体的な目標にして掲げ、スタッフがそれを信じるストーリーを展開させたことで、売上が後押しされていったのです。

岩田氏のように、CEOという立場で大きな目標を掲げるということは、なかなか機会としてないかもしれませんが、あなたが率いる集団がワクワクするような大きな目標はきっと存在すると思います。「これを達せられたらうれしい」とメンバーが思うような大きな目標を知る上でも、しっかりと事前にグループを取り巻く環境をリサーチして挨拶に臨むことが重要でしょう。

部下が上司を見る目は、厳しくて当たり前

実のところ、昇進時の挨拶をする時に、一番心配なのは「部下に信頼されない・舐められるのではないか」ということではないでしょうか。その昇進が、最初に挙げた「昇進した際に考えられる3つのシチュエーション」のどれに当てはまるにせよ、基本的に部下の上司を見る目は、常に厳しいものです。

本来、信頼関係というのは、ある程度の時間をかけて築いていくものです。ですから、最初の挨拶では、「貢献」にフォーカスを当てましょう。

具体的には、「自分がこれまでしてきた経験」と「この部署で何を実現したいのか?」の2つ。これをみんなに向けて発信すると、「コミットメント(宣誓)」に近い意味合いになることを、知識として知っておいていただければと思います。

【ポイント】

・挨拶の内容は「自分のこれまでの経験」「この部署で何を実現したいか」

・「この部署で何を実現したいか」はメンバーがワクワクするような大きな目標を掲げよう。

・「ワクワクするような大きな目標」を考えるうえで、率いる集団を取り巻く情報は徹底的にリサーチしよう。

・基本的に「昇進の挨拶」はつまらないもの。事前の準備で、一般的な挨拶との“差別化”を図り、部下の信頼を得られる一歩としよう。

・とはいえ、たった1回の挨拶ですべてが決まるわけではないので、あまり負担に感じずに臨もう。

プロフィール

俣野成敏(またの・なるとし)

ビジネス書著者/投資家/ビジネスオーナー

30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。
2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。
自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』(→)及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(→)のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。
ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

俣野成敏 公式サイト

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