いい人なんだけど…専業主婦の義母にモヤモヤ、どうしたらいい?~川崎貴子の「チーム家族」痛快コラム

仕事が終わってからも、家事に育児にと時間に追われ、気づくと寝落ちの日々…。家事も育児も積極的に行う男性も増えてきたとはいえ、「家庭のことは女性」という認識はまだ根深く、共働き妻の悩みは尽きません。そんな女性たちを応援するこの連載(→)。女性のキャリア支援や結婚コンサルタントまで幅広く活躍中の川崎貴子さんから、家族を「チーム」としてとらえ、より効率的に日々を運営していくアドバイスをいただきます。
今回は「専業主婦ひとすじの義母と合わない…」という共働き妻たちに向けて、義母とのモヤモヤを解消する方法を教えていただきました。

古より「嫁VS姑戦争」は日本の伝統文化よろしく、「姑」や「嫁」という立場に就任した者たちに脈々と受け継がれ、現代ではさらに「専業主婦VS共働き妻」という価値観の違いも加わり、平成が終わろうとしている今も終戦の目途が立っていない模様です。

大変申し上げにくいのですが、たまたま私や周りのバリキャリ女性たちは姑に(舅にも)恵まれていて、「意地悪な姑はほんとにいるのか?」とリサーチしてみたところ、出るわ出るわ、鬼姑、毒義母の数々。

「姑は“昔はそんなものなかったから”と言って、アレルギーのある我が子にアレルゲンの食材を内緒で食べさせ子どもが救急車で搬送された」とか、「夫婦不在の家に勝手に入り、嫁の下着をチェックして派手なものを捨てた」とか、「義実家に行くと毎回嫁だけ置き去り。姑が扇動して他の家族全員でお寿司に行く」とか…。

ここまできたら、もうそれ絶縁しかなくね?

(ていうか、一体、夫は何をしているのだ?!)

夫が対応できることは夫に任せる

完全なる毒姑の場合は、家族の命と精神の安全のために「逃げて!」としか言いようがありません。それどころか夫が盾にならない場合は完全なる離婚案件だと言えるでしょう。

問題なのは、姑が「鬼」でも「毒」でもなく、「いい人なのだけど…」とモヤモヤが残る場合ではないでしょうか。

たとえば、このようなレベルのモヤモヤ。

(1)姑と話が合わない
(2)休日にやっと休めると思うと姑が突然来る
(3)趣味の合わない頂き物へのリアクションに困る
(4)義理実家に呼ばれると「嫁業務をしろ」と言われるわけではないが気を遣って疲れる
(5)「仕事よりも家族の面倒をちゃんと見るべき」というニュアンスの圧がかかる

夫にも「なんとかしてよ!」と言いづらく、だからこそよりストレスになりやすいのではないでしょうか?
小さなこととはいえ、ストレスはストレス。積み重なれば、大きな亀裂になりかねません。仲良くできるにこしたことはないとお考えであれば、ここはチーム家族としてきちんと夫と話をして、効果的な解決策を練るのが得策です。

上記でいえば、(2)と(3)は夫の出番です。
(2)は「お義母さん、突然いらして私たちが不在だと可哀そうだから」ということで、夫から「俺たちも都合があるんだから突然来ないで」と直接言ってもらうのがベスト。
また(3)も「いただいても困っちゃうから」「お義母さんのお金がもったいないから」ということで、「俺はこれ嫌いだからいらない。○○のほうがいい」などと息子である夫から言ってもらい、回避していくのがいいでしょう。

そして、(1)に関しては「当たり前である」と捉えるが吉です。
私は実母(専業主婦、私と37歳差)より義母(大黒柱妻、24歳差)のほうが話は合いますし、実娘(中学生、32歳差)なんかもう宇宙人かと思う程で。立場や年齢や育った時代が違えば違うだけ話なんか合わなくて当然。そんなことを日々実感しております。

主婦力で競わず、「力のある嫁」になろう

さて(4)と(5)についてですが、「なんとなく、そんな気がする」「そんな圧を感じる」というのは、そもそも「姑」という存在が被害者意識発生のトリガーなのかもしれません。
共働き妻は「専業主婦より家の事がちゃんとできていない」「お義母さんから見ると‟嫁“としては失格レベルなのではないか?」と、つい思ってしまいがちだからです。
ちゃんと外で働いているのに。

そこで、相手の守備範囲である主婦力に目を向けるのではなく、自分の得意分野で存在感を発揮している私の友人たちのケースを紹介しましょう。

友人Aは、中小企業の経理をしていて、義実家の店の数字も見ているため姑にも舅にも「経理ができる嫁最高!」ととても頼りにされています。

友人Bは、大手企業の社長秘書で、とにかくおみやげ選びが上手。姑&舅が泣いて喜ぶような老舗のお菓子や気の利いたものを、これまた絶好なタイミングで、手書きのお礼状と共に送っており、姑も舅もいつの間にかBのファンになってしまったとか。

そして、友人Cは夫実家が色々な事業をやっていて、その経営を任されている「細うで繁盛記」な嫁。しかし結婚15年目で夫の浮気が発覚。離婚騒ぎに緊急義実家会議が開かれましたが、夫の味方は皆無。逆に全員から〆られ、夫はお詫びと改心を促されたとか。これは、Cが義実家事業の最高責任者だからでもありますが、それ以上に義実家メンバーの誕生日やイベントなどを取り仕切ったりしていたのが大きいでしょう。

これらは、自分の得意な事で義実家全員がハッピーになるような取り計らいをすることによって、良好な関係を築くこともあるという事例です。

義母と握る

義母は誰でも本当は自分の息子が一番かわいいし、孫が何よりの宝物です。
でも、クレバーな義母たちは何も言わなくてもわかっています。
お嫁さんと仲良くいるほうが息子にも孫にも会う機会が多くなるという事を。
そして、お嫁さんが仕事をしているほうが息子家族の将来のリスク(息子の疾病とか会社の倒産とか)が減り、安心して見守っていられるという事を。
「一族がそのほうが幸せになれる」と子どもたちを散らばせる華僑の如く、視座の高い義母とハードに働く嫁の組み合わせは、二人が暗黙で握り合っているから上手くいっているのかもしれません。

そんな義母ばかりだったら何の問題もないワケですが、そうではない義母の場合「息子を取られたようで面白くない」という気持ちを小出しにしたり、料理や掃除、子育ての件で、うっすらマウンティングしてきたりすることもあるでしょう。
それでも、決して同じ土俵で戦ってはなりませぬ。
敵認定する必要も、卑屈になる必要もありません。ただ、その義母さんは視座が低く、全体を見渡せていないだけなのです。

専業主婦が当たり前だった義母世代と違い、現在共働き夫婦は全体の半数を超え、今なお増加傾向にあります。
共働きのデメリットとしては子育てや家事や個人の時間を十分に取れない事だと思いますが、それこそ主婦のプロである義母に助けてもらうのはあり。「近距離にいる実母と義母は財産だと思え」とは先輩起業ママさんからの教えでもあります。近距離にいる実母・義母とチームを組むことができれば、共働き妻としては最強なのです。任せられることはドーンと任せ、ちゃんとお礼として食事をご馳走したりプレゼントしたりすれば、「私と嫁は違う能力を持つ違う生き物」と早々に認識してくれるかもしれません。

また嫁が働くことに不満がありそうな義母には、共働きのメリットを言葉で伝えられるよう、まとめておく必要があります。「子ども(孫)が将来留学したい、お金のかかる習い事をしたいと言った時に出せるように頑張っています」とか、「家のローンと老後の資産を計算したら○○万円足りないので」など、具体的な数字やメリットを示し「今は共働きが当たり前ですよ!」と、「今年は2019年ですよ!」と同じトーンでお伝えいたしましょう。

義母は自分の心の写し絵かもしれない

そんな風にフラットに「イマドキ夫婦のライフスタイル」を義母様にお伝えするために一番肝心なことは、
ご自身が「共働きなのだから家事育児を分担して当たり前」「アウトソーシングして当たり前」と思えているかどうか、です。

共働きを選択しているのは、家計や家族の将来のことを考えてのことでしょう。そのために頑張っている訳です。それなのに「働いているから、専業主婦に比べて○○もできないし、○○もできない」と、できない事にフォーカスしていると、例え義母が責めるつもりじゃなくても、義母の存在そのものがご自身を責めるトリガーとなってしまうでしょう。知らず知らずのうちに、「昭和の良妻賢母」の呪いを自らにかけ続けて、できないことへの負い目を感じているのかもしれません。

「私は十分頑張っている。私はこのままでOK。」

ちゃんとご自身の事を認めた上で、生身の義母と色々と話したり歩み寄ってみたりするのはいかがでしょうか?
立場や年齢は違えど、愛した人を生み、育てた人は、もしかしたらとても魅力的な人かもしれません。

川崎 貴子

f:id:kashiemi:20171127101518j:plain

リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

イラスト:かしえみ

Pagetop