【スキルは二の次、仕掛けが8割!】職場での「雑談力」を高める方法

最近、職場での「雑談」が注目されています。
職場の上司や同僚との雑談でコミュニケーションが円滑になったり、クライアントの雑談から信頼関係を構築したり、ビジネスの糸口を見つけたりと、雑談が仕事に与える影響は大きいもの。デジタルデバイスが進化し、人と人とがリアルに話す機会が減ったからこそ、雑談を通じた対話が重要視されているのです。

一方で、「雑談と言っても、何を話せばいいかわからない」「面白いネタなど持っていない」「話し下手だからうまく雑談を仕掛けられない」などと悩んでいる人も少なくないようです。

業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善士であり、『話し下手のための雑談力』 (幻冬舎)著者である沢渡あまねさんによると、「雑談は仕掛け8割、スキル2割。ちょっとした工夫で雑談は自然と生まれる」とのこと。

先日は、日本マイクロソフトの澤円さん、サイボウズフェローの野水克也さんとともに、「職場での雑談力の高め方」をテーマに鼎談いただきました(→)が、今回は、沢渡さんの著書『話し下手のための雑談力』の中から、「雑談を仕掛ける工夫」についてを一部抜粋し、ご紹介します。

職場における雑談のテーマを理解しよう

「雑談」を辞書で調べると、「さまざまな内容のことを気楽に話すこと」とあります。お笑い芸人のようにとっておきのネタを用意することも、気の利いた話を考える必要もありません。

沢渡さんによると、職場における雑談の種類は次の4つ。雑談に苦手意識を持っている人は、ひとまずこの4つの中から最もネタが探しやすいテーマ、かつ職場の雰囲気に合っているテーマを考えると、雑談がスムーズに仕掛けられそうです。

1. 仕事に関するよもやま話。ちょっとした脱線
仕事周りの雑談はしやすいもの。たとえば新しく出た自社製品の情報や、技術に関する情報、関連部署に関する噂話や人事異動の情報、客先や取引先に関する話などは、立派な雑談ネタ。普通に仕事をしている中でも仕入れやすく、さりげなく切り出しやすいという特徴もあります。

2.時事ネタ、ニュース
業界の最新情報や社会情勢、新聞紙面や各種メディアを賑わせているニュースなど。仕入れるハードルが低く、かつお堅い雰囲気の職場でも話題にしやすいテーマです。

3.自分自身のプライベートな話
ちょっとくだけた自分自身の話は、職場の人間関係を円滑にする潤滑油になります。例えばこれまでの経歴、将来の夢や展望などのほか、休日の過ごし方、最近読んだ本、趣味や好きな食べ物なども雑談テーマになります。積極的に自己開示する人は信頼されやすいという側面もあります。

4.他愛のない世間話
スポーツや芸能ネタ、漫画やアニメネタなどといった「どうでもいい世間話」も、職場をリラックスさせコミュニケーションをスムーズにする効果があります。ただ、身近な他人の噂話などは相手の警戒心を強めるので要注意です。

 

雑談を「仕掛ける」ために取るべき行動とは?

沢渡さんによると、職場の組織風土はトップや管理職の行動に大きく影響されるものであり、雑談が生まれやすい職場の管理職やリーダーの多くは次のような行動を取っているのだとか。あなたが管理職やリーダーでなくても、以下の行動を留意すれば、雑談を生み出すことができるでしょう。

●話しかけられやすい雰囲気を醸し出す
どの職場にも一人はいる「話しかけにくい人」の特徴は、常に忙しそうにしている、無言、無表情、会話にオチや答えを求めすぎる、そもそも席にいない…の5つ。自分がこれに当てはまっていないかチェックし、まずは1つでも行動を改善してみましょう。

そして周りから話しかけられたら、「リピート」+「感情ワード」で返しましょう。例えば、「朝から渋滞に巻き込まれちゃいましたよ」と話しかけられたら、「渋滞か!そりゃ大変だったね」と返すだけでも、その後の会話が続けやすくなります

●話しすぎない。聞き手に回る
自分からマシンガンのように話をしてしまう、相手の話を途中で遮ってひたすら自分の話を展開する…これは「雑談力」があるとは言えません。周りも、気軽に話しかけにくくなります。

人は、自分の話を聞いてくれる相手には信頼感を抱くと言います。初めのきっかけは自分から仕掛けたとしても、ひとたび会話が始まったらなるべく聞き役に徹するのが◎。その際は、前述の「リピート」+「感情ワード」が役に立ちます。

●相談モードで話しかける
「周りが忙しそうで、なかなか雑談を持ち掛けにくい」「わざわざ業務外のことを話しかけづらい」という場合は、「ちょっと相談してもいい?」「困っていることがあるんだけれど、話を聞いてもらってもいい?」などと話しかけるといいでしょう。例えば、「たしか富山出身だったよね?来週富山に出張するんだけど、よかったらお勧めの飲食店を教えてもらえないかな?」などでOK。

人は誰しも、頼られると嬉しく思うものです。それが年上や目上の人であればなおのこと。もしあなたが管理職やリーダーだったら、ぜひ相談モードで部下に話しかけてみましょう。

●その場にあるものをネタにする
窓の外に見える景色、相手が身に着けているものなど、「その場にあるもの」は雑談やちょっとした会話のネタになりやすいので注目しましょう。

とはいえ、いつもの職場のいつもの景色では、なかなかネタも拾いにくいもの。その際、「場所を変える」「手段を変える」「相手を変える」の3つの“変える”が役に立ちます。

「場所を変える」はメンバーを連れ出して休憩室や食堂に行ってみる、カフェでお茶を飲んでみるなど。
「手段を変える」は対面で話すだけでなく、たまにはメッセンジャーやチャットでやり取りしてみるなど。
「相手を変える」は、他チームや他部署の人を混ぜて話してみるなど。特に部下や若手社員と対話する場合、相手の気持ちをほぐす方法として有効です。

●小ネタとなる道具を用意する
会話をするとき、小ネタとなる道具を持っておくと便利。固定席であれば、デスクの上に置いておく方法でもOKです。

例えば、家族の写真やちょっと変わった文房具、お気に入りのフィギュアなどをデスクに置いておく、お気に入りの湯飲みやマグカップでお茶を飲む、旅行先で買ったお土産を配る…など。オフィスの机をキレイに整頓するのも大切ですが、少しぐらい余計なものを置いたほうが会話のきっかけが生まれやすくなります。

 

個人でもできる、雑談を生むための「環境」づくり

職場での雑談が生まれやすくするには、環境づくりも大切です。たとえば、社員が集まるリフレッシュスペースを作る、フリーアドレスにする、席替えをするなど「偶然の出会い」を生み出すためのオフィス導線や仕掛けづくり、勉強会や発表会、読書会など「必然の出会い」を促進するイベントなどは、雑談を生み出すのに有効です。

ただこれらは組織単位、チーム単位の取り組み。個人の発案ではできないこともあるし、時間もかかります。

そこで、個人でもすぐにできる「ちょっとした工夫」をご紹介します。

●机にお菓子を置いておく
お菓子の周りには、人が集まります。例えばクッキーを缶ごと置いて、「ご自由につまんでください」と付箋を貼ってみましょう。特に用がないのに、一人、また一人と集まるようになり、そこから雑談が生まれます。用事があって声を掛けてくる人にも、「お一つどうぞ」と声を掛けるだけで雰囲気が和らぎ、会話が弾むようになります。

●予定連絡メールや日報に、自分らしい一言を添える
部内やチーム内の人に送る予定連絡メールや日報など、「定型化したコミュニケーション」に一味加えてみましょう。たとえば、以下のような内容です。

「○○は、明日は終日大阪出張で不在です。ところで、駅前のラーメン屋さん、明日から冷やし中華を始めるみたいですよ」「○○です。本日の作業内容を添付にて報告いたします。以下、フリー画像を集めたサイトを見つけました。パワポ資料作りに使えそうですので、ご参考まで」
わざわざ雑談するのは気が引けるという人こそ、このようにルーチン化された普段のコミュニケーションに「ついでに」ビルトインしてしまいましょう。

●チャットやメッセンジャーのプロフィール欄に一言書く
チャットやメッセンジャーなど、デジタルツールを仕事で活用する機会が増えました。この手のツールは、意外と知られていませんが、自分のプロフィールを記入する欄があります。これを活用しない手はありません。

「今夜のビアフェス、一緒に行く人募集中!」「どなたか大阪営業所に知り合いはいませんか?相談したいことがあって…」「ExcelのVBAと格闘中。詳しい人お声掛けよろしくです」などなど。この結果、「メッセンジャーで見たんだけれど…」と誰かが声を掛けてくれるかもしれません。

●身に着けているものを変えてみる
「衣・食・住」は雑談の鉄板ネタ。中でも「衣」を少し変えてみることは、自分から話しかけるのが苦手な人にお勧めです。

例えば、ネクタイを変えてみる、時計をいつものと替えてみる、ノートパソコンにステッカーを貼ってみる、など。小さな変化でも、気づいてくれる人はいるもの。そこから会話が始まります。

 

雑談力を磨いて、業務の生産性向上を目指そう

本書では、雑談が生まれやすい職場の作り方、雑談が生まれやすい環境づくりなどのほか、企業における「雑談の仕掛け事例」を詳しく紹介しています。雑談力を上げて周囲とコミュニケーションを図りたい、仕事を円滑に進めたいと考える人にはもちろん、管理職やリーダーとして、雑談力を通じて強い組織を作りたいと考える人にも役立つ一冊です。

著者の沢渡さんは、業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善士として70以上の職場を見てきた経験から、「雑談がある職場とない職場では、雰囲気はもちろん、メンバー同士の協力体制、ひいては生産性にも大きな差が出る」と断言しています。働き方改革、生産性向上が声高に叫ばれている今、限られた時間を有効に使うためにも、もっと「雑談力」を活用してみてはいかがでしょうか?


参考書籍:『話し下手のための雑談力』/沢渡あまね/幻冬舎

 

EDIT&WRITING:伊藤理子

 

Pagetop