もしかして私、「ウザい上司」って思われている?|川崎貴子の「働く女性相談室」


「働く女性の成功、成長、幸せのサポート」という理念のもと、キャリア支援やコンサルティング、結婚コンサルタントなど、幅広い領域で活躍されている川崎貴子さん。その経験と女性経営者ならではの視点から、のべ1万人以上の女性にアドバイスをしてきた川崎さんが「“働く女性”に立ちはだかるさまざまなお悩み」に厳しくも温かくお答えするこのコーナー()。

今回は、「気づかぬうちに、わたし、ウザい上司になっているのではないか…?」というお悩みについてです。

職場のウザい上司に対して対応に困る部下

<今回の相談内容>
職場にいわゆるお局様タイプとして年下の社員から「ウザい」と敬遠されている同僚がいます。年下の社員のミスをイヤミっぽく大声で話をする一方、年上の人や地位の高い人にはゴマをすっていて、同世代の私からみても「ああはなりたくない」と思います。しかし、自分も部下を持つ身として、知らぬうちに「ウザい」と思われているのではないか、と不安になる時があります。(42歳 事務)

 

「ウザい・・・」

なかなか面と向かって言われないまでも、相手に対する不快さをひと言で表した、なかなか殺傷力のある言葉です。
調べてみたら1980年代のツッパリブームから使われるようになり、1990年代に若者言葉として定着したのだとか。まさにそのころ若者だったわれわれ世代が作り、語り継いでしまった負の言葉だと言えるでしょう。
私も、わが家の中学生の娘に「うちのママ、まじウザい」と陰で言われている自信がモリモリあります。自分たちが産み育てた言葉に復讐される日が来ようとは!「因果応報は世の習い」を絶賛実感中なのであります。

さて、このように(?)昔から現代に至るまで、若者というものは年長者、指導者、養育者、管理者などを「ウザがる」ものです。私もかつて、漏れなくそうでした。

だからと言って、上司としても母としても、ただ開き直ったり、手をこまねいたりしている訳ではありません。指導するのも養育するのもエネルギーが要ります。同じエネルギーを使うのなら相手にしっかり届く方法を採用したいと思うもの。
しかし、対象者に「ウザい」と思われていると、こちら側の意図をキャッチする能力が落ちます。

要は、パフォーマンスが悪いんです。ウザがられていると。

今回は、相談者さんのような方だけではなく、「上司というものは嫌われてなんぼ!」と思っている上司の方々にも、ぜひとも読んでいただきたく。

というのも、コンサル先やカウンセリングの現場で集めた「ウザい上司の特徴」はびっくりするほど内容が同じなのです。そこに光る個性などほとんどなく、金太郎飴のように同じ内容で、部下たちは上司を「ウザい」と感じている。
つまり、その要因を潰すだけで「ウザくならない技術」が習得できるのです。

今回は女性上司に特化して「若者にウザいと思われる上司」の特徴と対策をまとめてみました。

電話、メール、メモ…伝達方法はどうしてる?

とりあえず電話する
物心ついた時からネット環境がある若者たちにとって、電話は緊急連絡手段です。メールやラインやメッセンジャーで済む内容を「その方が早いから」といちいち電話されるとかなりウザいそう。これは、今となってはシニアになった私ですらウザいっす。
電話だと内容も残らないので、緊急じゃなければほかの手段で!

長文メールを送る
とはいえ、込み合った内容をメールにしたためてしまうとウザさはマックスに。言葉をより短くする、スタンプで済ますという事に若者たちは心血を注いで生きており、上司からの長文メールは「いったい何ごと?」と彼らの恐怖心すら煽ってしまう。
緊急で長くなりそうな場合は逆に電話をする。翌日でいいのなら会って話すのが吉かと。

やたらと細かいメモをデスクに貼る
「あれもこれも、あの件もできていないので明日やること。あと今日、タバコ休憩長かったと思うから気を付けて」と、部下への指導を細かく書いてデスク上に貼ってあると、上司がメモを貼って回る姿が想像できてウザいそう。メモという伝達方法が上司というより「いじわるな姑のそれ」に近い印象を与えるのかも。指導の内容が同じ部署の人たちに丸わかりなのも、プライバシーにこだわる若者にはウザポイントが加算。
その場で言う、もしくはメールや次の日で良し。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

指示の出し方、適切?

指示に一貫性がない
「この件は私に逐一報告してね」と言っていたのに報告すると、「忙しいんだからいちいち報告しないで!」「自分で考えて!」とダブルスタンダードの指示。部下は「またかー」と途方に暮れ、胸いっぱいにウザさを感じる。部下は上司の一貫性の無さや不安定さにはとても敏感。
自分の指示の仕方は、しっかり振り返り検証してみよう。報告方法や期間を定めるなどの工夫を。

指導が芋づる式
Aの件で怒られていたのに、「そう言えば、1年前のBの件はあなたの確認不足じゃなかった?Cの件もあったわよね。あれはもっと早く相談してくれたら起こらなかったミスよね?」と、過去に遡り、色々関連付けられて、話が一向に終わらない。最終的には何の件で指導されていたのかがわからなくなるという本末転倒。
上司からするとすべて数珠つなぎの記憶でも、意識して切り分けて指導することを心がけよう。

要らぬ「ひと言」添え
部下のミスを指導して、「次から気を付けて」で終ればいいのに、どうしても最後にひと言「○○さんを信用していたのにがっかりだわ」などと言ってしまう。それは女の業なのか?はたまた過剰な愛の裏返しなのか?
どちらでもいいのだが、とにかくウザいから今すぐ止めよう。彼氏や夫との喧嘩の際につい要らぬ「ひと言」添えが出てしまう人は、職場でも無意識に乱発する可能性が高いので気を付けて。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

どんな態度が部下を困らせているのか?

人によって態度が変わる
偉い人にはもちろんの事、部下でも「お気に入り」と「普通」と「嫌い」なタイプを分けて態度を変える上司に関してはかなりの「ウザいシェア」を獲得。「声がオクターブ違う」「仕事の振り方が不公平過ぎる」「逆に○○くんだけロックオンされてかわいそう」と、多数の具体例が報告される。自分が意識している以上に、部下は上司の態度を見ている(それは子どもも同じ)。
「見られている」という事をもっと自覚し、誰に対してもフラットな対応を心がけよう!

何とも言えない「自虐ネタ」
「もう私は年なんで」「私はもうおばさんだから・・・」と会話の端々に自虐ネタを挟み込まれると、相手が上司なので対応に困るそう。「いえいえ、お若いですよ」と言う以外の選択肢はない、と。
例え会話の糸口のつもりであったり、「自分は若いなんて思っていませんよ」という自己申告のつもりであっても、返答に困る言動は避けよう。そういえば私も若いころに経験した記憶が…。

機嫌が悪い事を隠さない
「私は今日機嫌が悪いので話しかけないで」を、全身で表してしまう上司。職場の空気を変えてしまっている事に気づかない、もしくは「なぜいま機嫌が悪いのか、察しろ」というテレパシーを送りまくり、場を支配してしまう。最初は「また○○さん機嫌悪いわー」とウザがっていた部下たちも、しだいにその職場の空気に耐えられなくなっていく。女性の転職理由で「上司が定期的に不機嫌になり、職場がピリピリしていて」というのは実はとても多い。
自分の機嫌は自分でコントロールする、体調やプライベートで何かあっても職場に持ち込まない、自分の考えを言語化する。これらは、本来上司が自身の態度で部下に教えなければならない。

媚びる
とはいえ、必要以上に若者たちにすり寄り、好かれようと顔色をうかがう上司はそれはそれでウザいらしい。あああ、若者って敏感!!若者、逆にウザくね!?
ただ、自分が若者だったころを思い出せばそれも納得。
子どもも部下も、将来自分がどんな大人になるのか?どんなビジネスパーソンになるのか?常にお手本を探しているのだ。同時に反面教師も。そして、彼ら彼女らは将来「若者に媚びる大人」には絶対になりたくないのだろう。

 

若い社員や自分の娘と接していると、驚くことがたくさんあります。
娘のラインの返信など、最初は「わかったよー!了解!」だったのが、「了解」のみになり、さらには「りょ」となって、今では「り」。一文字です。
こちとら、脳の老化のせいか、年々文章が(こんなにも)長くなっているっていうのに、ほんとに勘弁してほしいですよ、と思いつつ、今では夫も私もラインでは「り」を採用しております。

生まれた時からネット環境があり、物心ついた時からスマホがある若者たちと、世代的共感は当然生まれないし、過剰に寄せていくつもりはありません。ときには心を鬼にして、若者たちにとってのウザい上司やウザい母にならざるを得ないシーンもありますが、通常「ウザい上等!」と開き直って生きる気もありません。
お互いの意思疎通のために、工夫したり、新しい事を知ったりすることは、働く上でも生活していく上でも必要な事だからです。

そして、年齢を重ねても他人の快不快に敏感で、自身をバージョンアップできるわれわれの背中はきっと、次世代に良い影響を与える気がしています。

回答者:川崎貴子f:id:kashiemi:20171127101518j:plain

リントス(株)代表。「働く女性に成功と幸せを」を理念に、女性のキャリアに特化したコンサルティング事業を展開。
1972年生まれ、埼玉県出身。1997年、人材コンサルティング会社(株)ジョヤンテを設立。女性に特化した人材紹介業、教育事業、女性活用コンサルティング事業を手掛け、2017年3月に同社代表を退任。女性誌での執筆活動や講演多数。(株)ninoya取締役を兼任し、2016年11月、働く女性の結婚サイト「キャリ婚」を立ち上げる。婚活結社「魔女のサバト」主宰。女性の裏と表を知り尽くし、フォローしてきた女性は1万人以上。「女性マネージメントのプロ」「黒魔女」の異名を取る。2人の娘を持つワーキングマザーでもある。

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イラスト:yoko
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