ドラマ『グッド・ドクター』に学ぶ、「この仕事、向いてない」と思った時に必要な2つの行動

あなたの得意なことや好きなことはなんですか?それは職場で認められていますか? もし今、あなたらしさが認められず、伸び悩んでいるとしても、必ずしもあきらめる必要はありません。ドラマ『グッド・ドクター』の主人公、自閉症の小児外科医・新堂湊の行動から、その理由を紐解いてみましょう。

ドラマが面白いと、明日が楽しくなる!そんなドラマの登場人物の行動やセリフから、ビジネスやキャリア形成のヒントを探るシリーズ。今回ご紹介するのは、フジテレビ『グッド・ドクター』です。

この仕事、向いてない…やっていることが裏目に出たら?

人はそれぞれ、さまざまな特性を持っています。誰よりも優しい、思ったことははっきり言う、鋭い観察眼を持っているなど……。

それはどれもすばらしい長所ですが、場合によっては充分に発揮できないこともあるでしょう。職場に迷惑をかけて、長所が裏目に出て欠点とみなされたり、上司からの評価が下がったり、同僚にうとまれてしまうことも……。

自分では一生懸命やっているのに、よかれと思って行動したことが裏目に出てしまうと、しだいに「この仕事、向いていない」と落ち込んでしまっても、無理はありません。

ドラマ『グッド・ドクター』の主人公、新堂湊(山崎賢人)は自閉症という特性があり、周りとうまくコミュニケーションがとることができません。

湊の働く大学病院では、「医師として必要な倫理的判断力があるように思えない」「訴訟リスクの高い小児外科で、自閉症の医師を雇うなんて」と湊のことをなかなか理解してくれず、重要な仕事を任せてくれないのです。

そんな時、大学病院の院長である司賀明(柄本明)は、湊の同僚の小児外科医・瀬戸夏美(上野樹里)に、次のように伝えます。

「たしかに彼は、みなさんとは違う考え方をする。周囲が理解に苦しむことが多々あるとは、私も承知しています。しかしどうか、彼を信じて、伸び伸びとやらせてあげてください。彼なりのやり方で」(4話・司賀)

実は湊は、サヴァン症候群でもあります。卓越した記憶力を持ち、一度見たカルテやレントゲン写真はすぐに記憶してしまい、過去の膨大な症例をすべて頭にインプットしています。一般的な医師とは違いますが、それらの能力や想いは他の誰も持ちえない、医師として突出した一流のスキルです。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

職場では異質といわれても、あきらめずに自分の特性を磨き続ける

冒頭に挙げた、「誰よりも優しい」「思ったことをはっきり言う」「するどい観察眼を持っている」という特性も、裏目に出てしまえば、「優しすぎてクロージングできない営業」「我が強すぎてチームプレイのできないエンジニア」「観察眼はあってもお客さまに話しかけられない販売員」といったように、仕事の成果からほど遠いものになってしまいます。

しかし、そうした特性を曲げることなく、徹底的につらぬき、磨いて伸ばしていけば、市場価値の高い人材になれる道もあります。先ほどの“成果の出ない人材”を「お客さまのことを考え抜ける顧客ファーストの営業」「ぜったいに妥協しない、こだわりの強いすご腕エンジニア」「不必要に声をかけずに、お客さまの行動を先読みできるマーケター的販売員」 と置き換えた途端、市場価値が高くなることがわかります。

『グッド・ドクター』第4話では、まさに自らの信念を曲げず、患者の少女に寄り添い、救おうとする湊の行動が周囲に認め始められるストーリーが展開されました。

『グッド・ドクター』第4話

ある時、湊は緊急搬送されてきた少女あかりの担当医を任されます。少女は心を閉ざし、一切話をしようとしないため、身元も症状もわからない状況でした。その後、少女の継母が病院に名乗り出てきますが、転院させたいと言います。「あかりちゃんは、渡しません。絶対絶対、渡しません」と拒否する湊とトラブルになった少女の継母は、「暴力をふるわれた」と病院に訴え、湊は自宅謹慎になってしまいます。

しかし湊は、なぜそうなったのか誰にも話そうとしません。それは、少女のノートを見て、継母から虐待されていることに気づいたものの、誰にも言わないでと頼まれたからだった。たとえ自分が悪者になったとしても、少女の気持ちによりそう湊は、しだいに少女の心を解きほぐしていきます。

「お腹が痛い」ことを、継母に「あんたの声なんか聞きたくない」と言われて我慢していたのですが、その後少女は腹部を痛がって苦しみ、手術をすることに。少女は一命を取り留めましたが、その決め手は、湊が気づいた「メッケル憩室」という隠れた疾患でした。この手術の後、湊は「少女に寄り添って気持ちを深く理解し、病気への突出した知識があったからこそ、この疾患を見つけられた」と認められるようになります。

仕事に自分の強みを活かして成果を出し、職場で認められ頼りにされる人は、他の誰とも替えがきかない、唯一無二の存在です。周りとなれ合って「どこにでもいる人」であることより、職場では異質なぐらいのほうが、唯一無二の存在になれる可能性を秘めているのではないでしょうか。

湊が誰よりも子どものことを理解しようとし、子どものささいなことばから重大な病気に気づいて命を救うことができたのは、自分の信念を曲げす、信じたことを突き通して行動し続けるからではないでしょうか。

「欠点だ」「向いていない」と自分の特性を抑えこんでしまわず、むしろ思いきり表に出して仕事に活用しましょう。すぐに結果が出ないからといってあきらめる必要はありません。

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自分の得意や好きを曲げずに、つらぬき通すために必要な2つのこと

では、湊のように自分の特性をつらぬき通すためには、どうすればよいのでしょうか。一つはたった一人でもいいので、味方を見つけること、そしてもう一つは表面ではにこやかにしていても、水面下ではもがき続け、絶えずインプットとスキルアップを行うことです。

湊の場合、たった一人の味方は夏美です。湊が最初に小児外科へ配属されたときから、周りが「自閉症!? マジすか…2年ぶりの新人がそれって…」とぼやく中、ただ一人「あんたたちより、腕があるかもよ? 仕事する前から文句言うの、どうかと思うけど?」と、かばいます。

それは、夏美が湊のことばや行動の端々から、その能力の高さに勘づいたからですが、その後も何かにつけ、規格外の行動をする湊をかばって病院にさからったり、院長の司賀に「私のほうが、学ぶことが多い気がしています」と言い、バックアップしていきます。

湊はサヴァン症候群なので、ずば抜けた記憶力を持っていますが、それにおごることなく、暇さえあればパソコンの前で患者のカルテを見たり、病棟へ行って子どもたちと向き合うことを惜しみません。それは他の若手医師が、休憩時間にぐちを言っているのとは対照的です。

「この仕事、向いていない」と悩むことがあったら、まず落ち着いて、どこが向いていないのか整理してみましょう。ノートに書き出すだけでもいいと思います。そして、その向いていない部分は果たして本当に欠点なのか、今の仕事に活かすことは全くできないのか、あるいは、どうすれば今の仕事に活かせるのか考えてみてください。

自分でアイデアが出ないときは、インターネットで、似たようなタイプでうまくいった人がいないか探すのも手です。それを徹底して真似すればいいのです。

そして、湊にとって夏美のような自分を理解してくれる味方を見つけ、スキルアップをあきらめない。そうすれば、必ず周りで見ていてくれる人が現れ、自分の好きや得意を最大化し、市場価値へ転換できるようになっていくはずです。

夏美の助言もあって、当直や手術の助手も任されるようになった湊。これからさらに、どのような活躍をしていくのか、とても楽しみですね。

<番組情報>

土曜ドラマ『グッド・ドクター』(フジテレビ、木曜22:00~)

野心的なホスト役を好演したドラマ『トドメの接吻』や、ピアノ調律師を演じた映画『羊と鋼の森』で演技派俳優として注目を浴びる山崎賢人の最新作。自閉症スペクトラム障がいを持つ小児外科医が、「すべての子どもを大人にしたい」と奮闘するメディカル・ヒューマンドラマ。日本に0.3%しかいないとされる小児外科医(14歳以下の子どもを専門に診療する外科医)に、温かい目線で光をあてている。出演は他に、上野樹里、藤木直人、戸次重幸、中村ゆり、浜野謙太、板尾創路、柄本明。

WRITING:石川香苗子
新卒で大手人材系会社に契約社員として入社し、2年目に四半期全社MVP賞、年間の全社準MVP賞を受賞。3年目はチーフとしてチームを率いる。フリーライターとして独立後は、マーケティング、IT、キャリアなどのジャンルで執筆を続ける。IT系スタートアップ数社のコンテンツプランニングや、企業経営・ブランディングに関するブックライティングも手がける。学生時代からシナリオ集を読みふけり、テレビドラマで卒論を書いた筋金入りのドラマ好き。
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