「会話レス」夫婦の溝は「○○○」で埋めるーー山口拓朗の「夫婦円満法」

今年で結婚20年目。2度の離婚危機を乗り越えて、今ではお互いが相手を認めて応援し合い、それぞれのビジネスを発展させている山口拓朗さん、朋子さんご夫婦。拓朗さんは文章の専門家として、これまでに著書を10冊以上出版。奥様の朋子さんは主婦の起業を支援するオンラインスクール「彩塾」の塾長として、これまでに600名以上の門下生を輩出。2016年から夫婦そろって中国での講演をスタートさせるほか、「夫婦コミュニケーション」をテーマにした講演活動にも力を入れています。

そんな山口拓朗さんが自身の経験から編み出した「夫婦円満法」を公開するこのコーナー。第12回は「夫婦の会話を活性化する質問のススメ」です。

“会話レス”のマンネリ化が夫婦間の溝となる。

夫婦の会話は多いほうがいい。筆者はそう考えています。なぜなら、会話をすることによって、以下のような「相手の情報」が見えてくるからです。

  • 何を考え、どういう価値観を持って生きているのか
  • 何に喜びを感じ、何に不満を抱いているのか
  • 何を楽しみにしていて、何に不安に感じるのか
  • 何に悩んでいるのか

会話をしながら情報を得ることは、良好なパートナーシップを築くうえで極めて重要なポイントです。

新婚1年目であろうと、筆者夫婦のように結婚生活20年が過ぎていようと、会話の重要性は変わりません。大事なのは常に「相手のいま」を把握しておくことです。人間は日々、進化・変化し続けている生き物です。たとえ夫婦といえども、会話をしなければ、すぐに相手のことが見えなくなっていきます。夫婦間に深い溝を作らないためにも、会話量を減らさない(むしろ増やす)工夫が必要です。

とはいえ、世の中には「二人で会話をするのが苦手」という夫婦も少なくありません。「今さら特に話すことがない」「雑談なんて気恥ずかしい」という具合です。なかには、「子供の進路」や「住宅の購入」など、なにかしらの目的がないと会話が続かない、という人もいるようです。“会話レス”がマンネリ化した夫婦であれば、単純に「会話を始めるとっかかりが見つからない」という人もいるでしょう。

「クイズ形式の質問」でコミュニケーションが活性化!

“会話レス”な夫婦にオススメしたいのが、筆者夫婦が実践している「クイズ形式の質問」です。雑学系のクイズを出しましょう、ということではありません(雑学系のクイズも悪くはありませんが)。ここで言う「クイズ形式の質問」とは、自分自身をネタにしたクイズです。たとえば、夜、帰宅したらパートナーに「では問題ね。今日は昼に何を食べたと思う?」とクイズを出すのです。

夫「では問題ね。今日は昼に何を食べたと思う?」
妻「えー、なんだろう。カレーライス?」
夫「ブブ〜。カレーは昨日食べたから」
妻「えー、じゃあ、何だろう? ヒレカツ定食!」
夫「ズバっときたね。でも違う。最近は胃が持たれちゃうから、揚げ物はダメなんだよねえ」
妻「へえー。ケンちゃんも、ずいぶん年取ったんだね(笑)」
夫「うるさいよ(笑)。それより答えは?」
妻「うーん、何だろう…。1人で食べたんだよね?」
夫「うん、今日は1人。じゃあ、ヒントを与えよう」
妻「うん、ちょうだい」
夫「今日は営業回りで忙しかったから、急いで食べなくちゃいけなかったの」
妻「そうなんだ。じゃあ、ファストフード系かなあ…」
夫「お、いい読みだね」
妻「でもケンちゃんってハンバーガーとか、あんまり食べないよね…。ちなみに、営業ってどのあたりを回ってたの?」
夫「西荻窪」
妻「ニシオギ? わかった駅を出たところにあるお蕎麦屋だ!」
夫「そう正解! 『○×そば』でした」

「くだらない会話だなあ」と思いましたか? 「まどろっこしいやり取りだなあ」と思いましたか? その通り、くだらないですし、まどろっこしいです。でも、そのくだらなさや、まどろっこしさがいいのです。なぜなら、それこそが雑談の醍醐味だからです。「では問題ね。今日は昼に何を食べたと思う?」というクイズ形式の質問を皮切りに、会話のキャッチボールが何往復も続きました。この何の変哲もない会話のキャッチボールが、渇いた夫婦間に潤いを与えるのです。

しかも、会話を進める中で、「(夫が)胃にもたれる揚げ物がダメなこと」や「(夫が)営業先を忙しく回っていた様子」など、ランチとは直接関係のない情報も出てきました。このような“脇道情報”が飛び交うことも、他愛のない雑談のメリットです。結局、「相手のいま」を把握するうえで“ムダな情報”などひとつとしてないわけです。

もちろん、「○×そば」という店名まで答えが出たからといって、会話を終わらせる必要はありません。続いて夫が「じゃあ、『○×そば』で何を注文したでしょうか?」と、さらにクイズを出すこともできますし、妻のほうから「じゃあ、私はお昼に何を食べたと思う?」と逆クイズを仕掛けることもできます。クイズ形式の質問を使うことによって、いくらでも会話を膨らませることができるのです。

クイズ形式の質問に答えようとするときに、相手のことを想像・推察することも、夫婦円満の観点からすると、好ましい状態といえるでしょう。その行為自体が、相手に興味・関心を向ける役割を果たしているからです。そして、前述のとおり、クイズ形式の質問から広がる“他愛もない雑談”を通じて、実は相手のこと——考えや価値観、喜びや不満、楽しみや不安、悩みなど——がよく見えてくるのです。

クイズ形式の質問ネタは無限にある!

クイズ形式の質問は、そのレベルを下げることによって、好きなときに好きなだけくり出すことができます。以下はクイズ形式の質問例です(男女問わず)。

「今日、電車で珍しい人に会ったんだ。誰だと思う?」

「国外出張が決まったんだ。どこの国へ行くと思う?」

「会社の近くに新しい飲食店がオープンしたんだけど、何屋さんだと思う?」

「今日、ネットショップをのぞいていたら、ある商品が無性に欲しくなっちゃった。何だと思う?」

「さっきスーパーであるものを衝動買いしちゃった。何だと思う?」

「いま公開中の映画で、私が一番見たいと思っている作品はなんでしょう?」

「私が最近『ステキだなあ』と思っている芸能人は誰でしょう?」

「今日、とっても嬉しいことがあったの。何だと思う?」

「今日、1年に1回レベルの大失敗をしちゃったの。何だと思う?」

話の核心(=質問の答えとなる情報)をズバっと話すのではなく、あえてクイズ形式の質問で会話を始めることによって、より楽しく自由なコミュニケーションへと発展しやすくなります。しかも、クイズが終わるころには、相手に対する理解が、(クイズを始める前よりも)ほんの少し深まっているのです。

夫婦パートナーシップに“彩りと温もり”を与えるスパイス

「そんなくだらない話をしていられるか!」「そんなまどろっこしい話をしていられるか!」とツッコみたくなる気持ちも、わからなくもありません。特に、日常の会話量が極端に少ない夫婦にとっては、クイズ形式の質問を投げること自体、そう簡単ではないはずです。人によっては、質問を投げるときに、こそばゆさを感じたり、不安に襲われたりするでしょう。

しかし、もしもあなたが本気で相手との関係を改善したいと考えているなら、今回ご紹介した「クイズ形式の質問」が強力なお助けツールとなるでしょう。心配はご無用です。しょせんクイズはゲームです。夫婦のパートナーシップに“彩りと温もり”を与えるスパイスくらいに考えておけばOK。今夜、帰宅したらぜひ相手に質問を投げてみてください。「では問題ね。今日は昼に何を食べたと思う?」と。

 

著者:山口拓朗

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『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』著者

伝える力【話す・書く】研究所所長。「伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するコミュニケーション術」「売れるキャッチコピー作成」等をテーマに執筆・講演活動を行う。最新刊の『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』(日本実業出版社)のほか、『残念ながら、その文章では伝わりません』(大和書房/だいわ文庫)など著書多数。起業家の妻・山口朋子と「対等な夫婦パートナーシップで幸せな人生を作る方法」など夫婦関係の築き方をテーマにした講演も行っている。『世帯年収600万円でも諦めない! 夫婦で年収5000万円になる方法』(午堂登紀雄、秋竹朋子著)にも夫婦で取り上げられている。

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