営業向き? 技術向き? 「適材適所」の大きな勘違い。

f:id:blog-media:20150622184016j:plain

Photo by sacks08

 こんにちは!はてなブログ「プロジェクトマネジメントの話とか」管理人のwiz7です。

 突然ですが、

 今あなたが抱えている仕事、自分に合っていますか?

 自分の能力、十二分に発揮できていますか?

 仕事をしていると、様々なタイプの人たちと出会いますよね。仕事が速い人と遅い人。陽気な人と落ち着いた人。スーパーマンや奇人変人……。いろいろな性格の人たちがいて、それぞれに得手・不得手があるわけです。

 私は昔、「仕事がとても苦痛だ、逃げ出したい!」と感じながら、くすぶった日々を過ごしていました。日曜日の夜、サザエさんが終わる頃から気分が重くなり、月曜の朝に何とか会社にたどり着くや否や「金曜の夜まであと5日もあるやんかー!」などといった、不毛なカウントダウンが頭の中で始まったものです。

 そんな私でしたが、自分の適性に合った(と思っている)仕事内容にシフトしてからは、「仕事が面白い!」という、以前の私では考えられないような大きな変化が起きたのです。

 自分の適性に合った仕事にすぐ携わることができれば幸せですが、実際問題、世の中そのような人ばかりではないと思います。これって個人にとっても組織にとっても、大きな損失ですよね。

 今回は「適材適所」について「各個人」と「マネージャー」双方の観点から、どのように行動すれば皆がより効率的に楽しく仕事ができるか?について、私が考えていることを書いてみたいと思います。

■ 組織が求める「画一的な理想像」と、その型に無理にハマろうとする人たち

 「明るくて」「外交的で」「リーダーシップがあり」「仕事が速くて」……。組織は暗黙的に会社員の理想像を掲げ、各個人は、そのお眼鏡にかなうよう必死に努力を積み重ねます。

 壁にぶつかり、工夫を重ねることで壁を乗り越え、成長を果たす。そしてまた次の壁にぶつかり、レベルアップを繰り返す。これは仕事に限らず、人が成長するために必要不可欠なプロセスです。

 理想と現実のギャップを埋めるために試行錯誤を繰り返すことは、人が生きていく上で非常に重要で、尊い営みです。人は余程のことがない限り、簡単には変われません。だからこそ「壁」が必要なのです。

 ただ、ここで一つ考えるべきことがあります。

 「仕事のスピード」を例に考えてみましょう。

 私のブログで「爆速で仕事をこなすための方法」などと謳った記事がよく読まれていたりするのですが、そのような状況を見ても、私を含めた世の中のビジネスパーソンがいかに「仕事の高速化」で頭を悩ませているかが良くわかります。

 ですが、例えば「仕事は遅いが深く緻密に思考することが大得意で、その方面で天才的な能力を発揮する」ような人が、質よりも「量とスピードだけ」が求められるような仕事に永続的に従事するとなると、どうでしょうか?

 四苦八苦して何とか高速化に適応しようとするものの、心身共に激しく消耗するばかりで、なかなか対応できないまま本人の持ち味が殺されてしまう……。これは本人はもちろん、組織にとっても大きな不幸だと思うのです。

 これは一つの例でしたが、全員が全員、外交的で声がデカくて仕事が速くて……というわけではないし、そうである必要もないのです。人間の性格は、そう簡単に変えられるものではありませんし、そもそも、外交的な人が内向的な人よりも、人間としての価値が高いということなど決してないのです。

 人の数だけ個性があるのです。誰が「かくあるべき」などと決められるのでしょうか?

 今の仕事の方向性が自分の適性から完全にずれてしまっている、ということであれば、弱みを克服することに多大な労力・時間を費やすのではなく、強みを伸ばすことに力を注ぐ必要があるのです。今という時間を享受するために。「人には強みと弱みがあるものだ」という事実を受け入れることで初めて、次のステップに進むことができるのです。

 とはいえ、人は経験を積んだだけ成長する生き物です。「どこで見極めて方向転換するか」については、非常に難しいポイントだとは思います。また、アサインされた(割り当てられた)タスクを変えるのか、部署を移るのか、はたまた会社自体を変えるのかについては、慎重な判断が必要となります。

 ただ、この切り替え作業自体は決して「現実逃避」などではなく、人生という限られた貴重な時間を有意義に過ごすために必要な「建設的で前向きな営みである」ということは理解しておく必要があります。

 人間は未来について「アレも克服して、コレもやって……」などと、未来に過度の期待を抱きがちですが、人が一生の間に得られる経験値には限りがある、という事実も意識すべきなのです。(だからこそ、今日一日を有意義に過ごしたいものですね!)

■ スーパーエンジニアの評価が真っ二つに

 ここで一つ、元同僚のエンジニアのエピソードを紹介します。

 勘が非常に鋭く、技術的なスキルは周囲の誰よりも突出している天才肌だった彼は、開発現場の中心的な存在でした。説明下手であることが彼の弱点だったのですが、あるプロジェクトでは技術的理解のある顧客から、非常に高い評価を得ていました。

 しかし、別プロジェクトの体育会系の顧客からは激高した勢いでイスを投げつけられるような有り様だったのです

 同じ会社に在籍していても、所属する部署・プロジェクトによって求められる能力が大きく異なることがあります。求められるアウトプットの形が異なれば、パフォーマンスに歴然とした差が発生することもあり得るのです。つまり、同じ人間であっても評価が割れるようなことが起こる、というわけです。

 よって、メンバーは自分のパフォーマンスを最大限発揮させるために、自分の「強み」を把握した上で、マネージャー層へアサインのアピールをする必要があり、マネージャー側には、それを考慮した上でチームを最適化する義務があるのです。

 では次節以降にて、現状を改善させるための具体的解決策について「メンバー」と「マネージャー」が各々何をすべきなのか考えてみましょう。

■ メンバーは、自分で道を切り開け!

 まず、各個人がどのように行動すべきか、考えてみましょう。

 メンバーは、組織・チームに対して「この仕事は自分が!」と手を挙げて自分の希望を強く伝える必要があります。放っておけば、仕事は会社の都合でアサインされることになるのです。当然、全ての希望が通る保証はありませんが、可能な限り自分の人生は自分でコントロールすべきではないでしょうか。

 また、会社側は自分の適性にあった仕事をアサインしてくれるはず、という幻想も捨てるべきです。もちろんマネージャーらはそうしようと努力はしますが、そもそも彼らは本当に、あなたの適性を正確に把握できているのでしょうか?基本的にはチーム側の都合と、「あいつ何となく、コレ強そう」といったレベルでアサインされているのが現状ではないでしょうか。

 黙って組織の指示に従うことを美徳だと考えているのであれば、即刻改めたほうがよいと私は思います。会社員は奴隷ではありません。権利は最大限、行使すべきなのです。

 また、自ら手を挙げるためにも、メンバーには自分の強みを把握する義務があるのです。

 そのためには、興味あるものに手を挙げて「ぶつかっていく」姿勢が必要となります。仕事との相性というものは実際に経験してみないとわからない部分が大きいためです。失敗して怪我をして、初めて向き不向きが見えてくる部分も大きいのです。

 具体的には、過去に経験した仕事同士の「相対的な差」から、「あの仕事よりも、こっちのほうが向いているな」といった感覚が得られるようになるのですが、そのためにも「失敗と軌道修正」を繰り返すことが必要になります。

 また、「興味のある仕事=適性がある仕事」とも限らない点にも注意が必要です。興味があり、とても面白そうだからやってみたけど、イマイチだった……ということが現実には起こり得るためです。

 特に若手の方は、自分の適性を自分だけで判断することが難しい場合もあるかと思います。自分が得意とする仕事は楽々と処理できて当然であるが故に、それが「自分の強み」であるということが自覚しづらいためです。日頃、自分の中では当たり前だと思っていたことが、実は周囲からしたら突出した才能として目に留まり、「コイツやべえ、凄いわ。モンスターだわ……」といったこともあり得るわけです。

 先ほどの話と矛盾する部分もあるのですが、信頼できる上司、同僚、友人にアドバイスを仰ぐことで、新たな気づきが得られることもあると思います。第三者の視点を借りるのです。もちろん、それらのアドバイスが外れることも多々あるので、総合的に判断する必要があります。

■ 個人を生かすも殺すも、マネージャーのさじ加減一つ

 次に、マネージャーはどのように各メンバーをサポートすべきなのか、考えてみましょう。

 マネージャーには、個人の能力を余すところなく引き出す責務があります。仕事をアサインする際には、本人の興味だけではなく、適性も併せて見るべきです。本人の希望(=興味)をヒアリングしつつ、チームのバランスを見ながらメンバーを配置するのが一般的かと思いますが、果たしてこれで適切にアサインできるのでしょうか?

 日常の業務の中だけでマネージャーがメンバーの適性を一方的に判断することは難しいと私は考えます。何故なら、評価対象であるメンバーの「アウトプット」が、アサインされた仕事の範囲のみに限定されているためです。

 本人が自分の適性についてどのように考えているのかを、ヒアリングする必要があるわけです。そのためには形骸化した定期面談に留まらず、一対一のランチの場であったり、何気ない雑談の中であったりと、フランクな雰囲気の中での密なコミュニケーションが必要なのです。

 そのような双方の認識のすり合わせを行う過程で、前述のような「新たな気づき」を本人に与えられることもあります。もちろん、必ず本人の希望通りにアサインすることが本人のためになるかと言えば、答えはNOです。ケースバイケースですが、意図的に苦手分野をアサインする必要もあるわけです。

 仕事と人的リソースの兼ね合いの問題があるため調整は容易ではありませんが、その落とし所を模索するのがマネージャーの仕事だと思います。

 「適材適所」という、「適した人材を、適した場所に配置する」ことを指すこの言葉。これはマネージャーの思い込みで一方的に決める話ではなく、メンバーとマネージャーの双方が協力し、意思疎通を繰り返し図ることで、実現していくべきものなのです。

■ 「個人差」として無視できない睡眠の話

 適性については個人差がある、マネージャーも十二分に気を使うべきだ、と述べてきましたが、実はメンバーのパフォーマンスを左右する「睡眠」についても全く同様のことが言えます。

 元同僚に、非常に優秀かつ極端に勤怠が悪い人がいました。ズバ抜けて仕事ができるにも関わらず、勤怠の悪かった彼は、会社から中途半端な評価を受けていたのでした。その彼は結果的に、独立して起業してしまいました。

 もちろん、会社からの評価と独立は無関係だとは思います。ただ、会社が彼にもう少し自由度を与えていたら、どの程度のパフォーマンスを発揮していたのだろう?と思うと、非常にもったいなく思えるのです。明らかに勤怠にばかり着目して、彼の能力を抑え込んでいたように見えたためです。

 勤怠の悪いメンバーを「怠け者だ」と単純に切り捨てることは簡単ですが(実際、ただの怠け者もいますが……)、必要な睡眠時間・バイオリズムには個人差があることを、マネージャー・経営層はもう少し認識すべきだと思うのです。個人的には、フレックス制度やシエスタ制度(=昼寝制度)など、柔軟性のある働き方が可能となる制度が日本の組織により普及して、皆のパフォーマンスが向上することを切に願っています。

 もちろんそれらの制度は、個人・組織のパフォーマンスを最適化させることが目的となるので、「彼はいつも不在だから、打ち合わせもままならない!」などといった事態は防がなければなりません。メンバーのパフォーマンスを十二分に引き出すために、日本企業のマネージャー・経営層は規律を維持しながらも、もう少し社員に対して自由度を与えても良いのでは?という話でした。

■ 仕事で苦しむのは損。少しでも面白く!

 昨今のインターネットなどを見ていると、企業に属する会社員を「不自由きわまりない、囚われの身だ」などと揶揄する表現が散見されますが、私はそうは思いません。それは、冒頭でも述べた通り「苦痛だった毎日を変えることに成功した」ということに大きく起因しているのだと思います。

 そこから得た教訓は「言いたいことも言えないこんな組織じゃ……」などのような愚痴をこぼすだけでは状況は一切変化しないということ。そして「どれだけ面白おかしく仕事ができるかは、どれだけ主体的に動いたかで決まる」という、極めてシンプルな法則でした。

 仕事は厳しく、大変なものです。

 だからこそ。

 少しでも面白く、少しでもおかしく――。

 あなたの「今日一日」を面白く変えられるのは、会社でも上司でもありません。

 それができるのは、あなただけなのです。

著者:wiz7 (id:wiz7)

Webサービスの開発会社でプロジェクト管理など、最近は企画寄りのお仕事もしています。

はてなブログ「プロジェクトマネジメントの話とか」では、プロジェクトマネジメントの他、ライフハック・IT業界の話を中心に、ビジネス全般について書いています。

Pagetop