キャリアもプライベートも、どちらも充実させる!マイクロソフトに見る「新・バリキャリ女子」の仕事観

女性が昇進、昇格して理想のキャリアを実現するには、プライベートを犠牲にしても昼夜問わずバリバリ働き、男性以上の成果を上げる――少し前まではこんな「バリキャリ女子」の考え方が主流でした。
ただここにきて、「プライベートの時間も確保しつつ、キャリアも追求する」という、新しい形のバリキャリ女性が増えています。彼女たちはどのようにキャリアとプライベートを両立させているのでしょうか?今回は日本マイクロソフトの「新・バリキャリ女性」に取材しました。

f:id:itorikoitoriko:20150106215245j:plain

日本マイクロソフト株式会社 片山智咲子さん
パートナーセールス統括本部 ストラテジックビジネス推進本部 シニアビジネスディベロップメントマネージャー

大学経営学部卒業後、大手システム開発会社に就職。SEとして3年間勤務した後、小規模のソフトハウス3社で同じくSEとして働く。その後個人事業主として独立し、米シリコンバレーと日本の最新技術の融合をするビジネスを4年間手がける。その後、2011年4月に日本マイクロソフトに入社。顧客企業向け技術アドバイザー職を経て、昨年7月より現職。

■1日20時間、360日働く生活を経験し「働くとは?」を真剣に考える

クラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」を始めとしたマイクロソフト製品の代理店営業を担当する片山さん。今までのメインキャリアはエンジニアだが、昨年7月、さらなるステップアップを目指し営業部門に異動した。代理店の新規開拓から、既存代理店への営業指導、勉強会開催、営業動向、売り上げ管理など、守備範囲は非常に多岐にわたる。

時間のコントロールがしにくそうなミッションを数多く抱えている印象だが、片山さんは毎日プライベートの時間をしっかりと確保している。毎日1時間以上、オンライン大学院でボランティア活動をしているほか、週2回は趣味のロードバイクと水泳をこなし、大好きな料理を心ゆくまで楽しむために週に1回はホームパーティーを開く。「毎日を自分らしく、イキイキ過ごすには、サードプレイス(家でも職場でもない第3の居場所)が大切。プライベートが充実しているから、仕事にも意欲的に取り組めるし、生活にハリが出る」と笑顔で話す。

実は片山さんにも「家と職場との往復」しかない時代があった。大学卒業後、就職したシステム開発会社でのことだ。
「大手クライアントの業務支援システム開発に携わっていましたが、とても激務で…。今なら社会問題になりそうですが、毎日終電帰り、始発出勤で、1日20時間、360日は働いていました。新卒で入った会社なので辞めるという選択肢は思いつかず、ただただ毎日、マシンのように開発に取り組み続けていましたね。しかし、同僚が一人倒れ、二人倒れ、そして仲のよかった同期が心を壊して郷里に帰ることになってしまったときに、『こんな生活を送っていてはだめだ』とようやく気付いたんです」

そして、小規模のソフトハウスに転職。要件設計やマーケティングなどの経験を積み、自身のアイディアが活かせて裁量もある仕事のやりがいを実感した。前職に比べ時間に余裕ができたので、スキルアップのための勉強会や情報交換会にはできる限り参加したという。
「今まで知らなかったさまざまな技術に触れ、スキルアップ意欲の高い技術者ともたくさん知り合い、刺激を受けました。思えばこのときに、サードプレイスの大切さを実感しましたね」

その後、「技術者たるもの、一度はシリコンバレーを相手に仕事がしたい!」と独立。頻繁に渡米して現地でのネットワークを築き、現地企業の技術を輸入販売するビジネスを4年間手掛けた後、日本マイクロソフトに入社して、3年半になる。

■毎日1時間ボランティア活動、自転車、水泳、料理も平日に楽しむ

f:id:itorikoitoriko:20150106215246j:plain

プライベートの時間を捻出するためのタイムマネジメントスキルは、マイクロソフト入社後にブラッシュアップされた。入社前にMBAを取るためにオンライン大学院に入学していたため、入社を機に仕事と勉強を両立する必要が生じたのだ。

朝5時に起きて9時まで勉強の時間に充て、出社したら「19時までに仕事を終わらせる」と決めて仕事に没頭した。「退社時間を決めてしまうと、『それまでにやらなければ!』という思いが強くなるので、あらゆる行動にムダがなくなる」という。そして退社後はまた、勉強。こうして入社後1年で、無事にMBAを取得した。このときに身に付いた習慣が、仕事とプライベートとの両立に活きている。

現在、プライベートの時間にボランティアで行っている「ラーニング・アドバイザー」は、片山さんが卒業したオンライン大学院で募集していたもの。オンライン上でのディスカッションの場に参加し、生徒のディスカッションを引っ張ったり、考え方のヒントを提示したり、科目ごとのアドバイスを行う役割だ。片山さんは毎日1時間以上これに参加しているほか、月に1~2回は在校生、卒業生のリアルなコミュニティーに参加して情報交換も行う。

「大学院にはいろいろな業種、職種、役割、さまざまな年代の人がいます。立場の異なる方々との議論は、新たな視点に気づくことができ、知的な刺激を得られるんです。私はあくまでヒントを示すアドバイザーですが、たまには『マイクロソフトってどう思う?』などとお題を振って市場リサーチをすることも(笑)。プライベートの場で得た視点や気づきを仕事に役立てられるのも嬉しいですね」

趣味のロードバイクや水泳、子供のころから得意だった料理も、日常的に続けている。自宅近くの隅田川沿いを数キロ走ってから出社したり、会社帰りにさっと泳いでリフレッシュすることも多い。仕事の効率化を進め生活にメリハリを持たせるため、平日夜にあえてホームパーティーを企画することも。得意料理はあめ色になるまで炒めた玉ねぎたっぷりのオニオングラタンスープ。プライベートでの肩書は、「料理人兼アスリート」だという。
「体力があれば、精力的に動けるようになるので、仕事とプライベートの両立がよりスムーズになります。美味しい料理も、活力の源ですからね」

■自分の時間の使い方に罪悪感を持たない。任せられるものは周りに任せる

f:id:itorikoitoriko:20150106215247j:plain

キャリアもプライベートも両立したいと考えている女性に対して、片山さんは「自分の時間の使い方に、決して罪悪感を持たないこと」とアドバイスする。

「日本人は職場の和を尊び、人目を気にする人が多いから、『周りが働いているのに、私だけ先に帰るなんて…』と罪悪感を持つ人が多いですが、プライベートの充実は気持ちのリフレッシュにつながり、仕事にもいい影響を与えるはず。そもそも、毎日遅くまで仕事をして、でも疲れた顔ひとつ見せずに笑顔でイキイキ働く…なんてごく一部のスーパーウーマンにしかできないことですよ」

キャリアを積み、ステップアップするなかで、責任も増し、プライベートの充実なんて考えられない…という中堅女性には、「周りに任せる」ことを勧める。

「仕事がデキる人ほど、『自分の思い通りに仕事を進めたい』という思いから、すべて一人で抱え込んでしまう人が多いように感じます。でも、それではいつかパンクしてしまう。部下や同僚に任せられる業務はどんどん任せ、相手を信頼すること。そして、任せるならば口は出さないことです。プロセスが気になっても、結果さえ出ればOK!と考えています」

そんな片山さんでも、思い通りに行かずに立ち止まることはある。昨年7月に代理店営業に異動した当初は、初めての業務に戸惑い、ペースがなかなかつかめずにいた。夜遅くまで残業が続き、疲れ果てていたという。そんな片山さんを見かねて、隣の部署の先輩女性社員がランチに誘ってくれ、ひたすら悩みや相談を聞いてくれたことが転機になったという。
「ああ、こういうことを吐き出してもいいのだと気付き、すっと楽になったんです。職場のメンターの重要性を、この時初めて体感しました。辛くなったら、周りに聞いてもらうことで心が軽くなるし、解決の糸口が見えてくることもある。こういう立場を、私も担えたら…と思うようになりました」

この経験を機に、社内の女性のコミュニティーを意識するようになった。
「もともと、マイクロソフトには女性の活躍を支援する制度や取り組みが多数ありますが、現在、私が中心になって、女性社員10人をお茶休憩に誘う『10カップチャレンジ』という社内企画を進めています。このような、仕事以外の場で皆の交流機会を増やし、働きやすさがさらに向上するような取り組みを、どんどん実現していきたいと思っています」

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

転職ならリクナビNEXT

PC_goodpoint_banner2

Pagetop