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リクナビNEXTジャーナル

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リモートワークをはじめたら、保育園から「退園」させられるって本当?東京23区の「休園制度」について調べた

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暑い季節は涼しいところへ、寒い季節は暖かいところへ。快適な環境を求めて移動しながら、どこでも同じようにリモートワークできることをめざす「渡り鳥プロジェクト」。

年初に沖縄へ渡り、穏やかな気候のもとでつかの間のプチ移住生活を送りましたが、妻と幼い子を連れて飛び立つ決意をするにあたっては「やると決めてから見えることがある」と考えていました。実際その通りになりまして、この活動を通じて初めて「子供が保育園をしばらく休むと退園になる」という事実を知りました。

待機児童問題は解決するどころか都市部はますます深刻で、子育て世代にとってはまさに死活問題。だからみなさん「保活」に対して熱心になるわけですが、無事に入園できても「退園になるかもしれないルール」があることに気づいていない方も少なくないのではないでしょうか。事実、わが家もそうでした。

そこで今回は、特に待機児童の多い東京23区の「休園制度」について調べた結果をレポートしたいと思います。

 

やっと入れた認可保育園に落とし穴

まずはわが家の状況から。

都内で暮らすわが家には今、2歳になる子供がいるのですが、0歳児の際に申し込んだ認可保育園にはどこにも入れませんでした。あわせて認証保育園にも申し込んでいましたが、希望園からは定員8名に対して「79人待ち」と通知され、思わず天を仰ぎました。
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△この通知書を見て、目が点になりました

そんな中、別の認証園から「空きが出た」との連絡が3月末にあり、わらにもすがる思いで4月から入園させてもらったのでした。

解説:国の設置基準を満たしているのが認可保育園、東京都の基準を満たしているのが認証保育園、それ以外は認可外保育園と分類されます。はじめから認証園や認可外園を選ぶ家庭もありますが、まずは認可園に申し込むのが一般的です

認証は私立ですから経済的な負担も大きかったのですが、頑張って1年間通い続けて「通園実績」ができたことで、保育の必要性がポイントとして認められ、ちょうど市内に新設園が増えたタイミングもあって、翌年からはありがたく認可園に通えることになりました。内定通知が手元に届いたときは、妻と抱き合って喜んだほどです。

それほど望んで運よく手に入れられた「在園チケット」ですが、まさか長期の欠席によって資格を失うかもしれないとは思いもしませんでした。仮に何も知らずに冬季まるまる移住していたとしたら、都内に帰ってくるころには退園になっていたわけで、無知は怖いと思い知らされました。

 

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△「退園したらおともだちに会えなくなっちゃうね」

 

なぜ保育園を退園させられてしまうのか

保育園の利用にあたっては「保育を必要とする状況にあること」が前提条件。主には「保護者が働きに出ていること」ですが、ほかにも「保護者が入院していること」や「介護をしている親族がいる」などが挙げられます。そうした状況になく、在園資格を満たしていない家庭は「保育の必要性がない」と見なされて入園に至らず、入園後も条件に当てはまらなくなれば退園しなくてはなりません

長期的に欠席することについても、子供が長らく保育園を休むということは家庭やその他で子供を見ることができており、あるいは誰かに預けられる状況下にあって、「保育の必要性に乏しい」と判断されることになります(実際はそうでないのだとしても)。

厚生労働省の発表では、2016年4月時の待機児童数は全国で23,553人。多くの子供が列をなして待機している現状ですから、入園資格や条件をより満たしている家庭が優先されるのは当然といえば当然です。 

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△たくさんの方が保育園の利用を望んでいます

もちろんまとまった日数を欠席するにはやむを得ない個々の事情があるはずで、その点は制度的に考慮してくれる自治体もあります。たとえば子供が病気やケガで入院してしまったら、現実問題として通園は難しくなりますから、医師の診断書を添えて「休園届」(自治体によって名称が異なります)を提出し、申請が認められれば正式に休園できるケースが多いです。その際、休園期間中は保育料が免除になることもあります。

ただし、たとえ病気やケガだとしても、休園できる期間はおおむね2ヶ月が限度それ以上のお休みは退園になります。

他にも第二子、第三子の里帰り出産は休園の理由として認められる場合と、そうでない場合もあるなど、同じ東京都下でも区によって微妙に制度の差があります。ざっくりまとめると、下記のようになります。

 

  • 病気やケガを理由に届け出れば月単位で2ヶ月程度休園できる
  • その場合、休園中は保育料が免除される(されない区もある)
  • 里帰り出産は休園の理由になる区とならない区がある
  • 欠席が続けば区によって最短1ヶ月、最長3ヶ月で退園になる

 

 

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上記の表はあくまで認可園のケースです。認証園や認可外園を利用している場合は園ごとにルールが異なりますから、気になる方は施設に直接問い合わせてみましょう。


また、23区外や東京都以外にお住まいの方も「〇〇市 保育園 休園(退園)」などのキーワードで検索してみてください。自治体が公開しているページにヒットすると思います。入園申込みの案内書でも休園や退園について言及されていますし、もしも情報がどこにも見当たらなければ役所の担当課に聞いてみるのが確実です。

特に注意したいのは休園期間にまつわる認識で、期限ぎりぎりまで休んでも大丈夫なのか、期限いっぱい休んだら退園になるのかという点です。たとえば2ヶ月は休んでも大丈夫だと思い込んで3ヶ月目に登園を再開したら、すでに退園扱いになっているかもしれません。ほかにも「休園できるのは年度内に一度だけ」と明示している自治体もありますし、ひょんな勘違いで退園になってしまわないよう、休む予定のある家庭はきっちり確認しておきましょう。 

自治体ごとの退園ルールを把握しよう

それにしても里帰り出産が休園の理由として認められず、母体の回復が遅れるなどして欠席が長引くと退園させられてしまうのは、当事者にはつらいところですよね。もちろん裏を返せばそれによって入園枠がひとつ空き、困っていた家庭がひとつ救われるとも言えて、そもそも「席の奪い合い」になっている点がこの問題の根深いところではありますが。

そして里帰り出産による長期欠席さえ認められないケースもある以上、いよいよ「プチ移住」を理由として正式に休園できるところはまずないでしょう。仕事のパフォーマンスを上げるためにも快適な場所に移動する、そこに子供も連れていく、その期間が長期に渡るのは、自治体のルールに照らし合わせれば退園に相当するというわけです。家族を含めた自由な働き方を探る中で、念頭に置いておきたい大事なルールですよね。

とにかくルールはルール。みなさんも自治体にどういう退園ルールがあるのか、きっちり把握しておきましょうたとえば二人目を出産したら第一子は退園になってしまうのか、近くの自治体に引っ越した場合も現在の保育園を継続して利用できるのかなど、置かれた状況に応じて常に必要な情報をキャッチしておくことをおすすめします。

そう、保活という名の情報戦は入園する前だけでなく、入園した後も続くのですね。 

 

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文:松岡厚志
1978年生まれ、ライター。デザイン会社「ハイモジモジ」代表。主な移動手段は電車と自転車。バイク並にタイヤが太い「FAT BIKE」で保育園の送り迎えを担当し、通りすがりの小学生に「タイヤでっか!」と後ろ指をさされる日々。
イラスト:Mazzo Kattusi